マグネシウムによる肌への効果は?スキンケアしながら肌バリア機能をサポート

マグネシウムによる肌への効果は?スキンケアしながら肌バリア機能をサポート

マグネシウムは健康維持だけでなく「スキンケア」や「美容」にも注目されている必須ミネラルです。

肌の水分保持を助け、高い保湿効果でバリア機能を整えるため、乾燥や敏感肌の改善、アトピー性皮膚炎のサポートにも役立ちます。

また抗酸化作用によって紫外線ダメージを軽減し、UVケアやエイジングケアにも応用可能です。

近年、マグネシウムはバーム・クリーム・入浴剤・サプリなど多彩な形で取り入れられ、健やかで透明感のある肌作りをサポートするアイテムとして注目を集めています。

この記事ではマグネシウムによるスキンケアの効果や注意点を、海外論文を用いて科学的に詳しく解説します。

マグネシウムの8つのスキンケア効果とその理由

マグネシウムのスキンケア効果とその理由

ビタミンやミネラルなどが肌に必要だということは多くの人が理解していますが、マグネシウムのスキンケア効果はまだ知らない人も多いようです。

マグネシウムはこれまで、日本ではあまり着目されて来なかった必須ミネラルのひとつですが、実は人間の体内に起こる約800種類以上の化学反応に関与しているとされ、その重要性が注目されはじめています。

マグネシウムは細胞内に存在するミネラルのひとつで、カルシウムや神経伝達物質の調整だけでなく、実はその保湿効果は古くから入浴剤などとしても取り入れられてきました。

また、近年の研究ではヒアルロン酸生成の活性やアンチエイジング効果、アトピー肌やかゆみ肌などの改善が見られることもわかっています。

しかし、現代の日本人はマグネシウム不足が懸念されています。

令和5年の厚生労働省の調査によると、マグネシウムの推奨摂取量の

男性約63%
女性約68%

しか摂取できていないことがわかりました。

参考:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省

以下ではマグネシウムのスキンケア効果について、より具体的にお伝えしていきます。

また、関連記事ではマグネシウムの身体への効果について詳しくご紹介していますので、あわせてご参照ください。

マグネシウムの肌効果①保湿力

マグネシウムの肌効果①保湿力

マグネシウムは保湿効果が高いことで知られています。

その理由のひとつマグネシウムと必須脂肪酸にあります。

実は、体内のマグネシウム率が低くなると、必須脂肪酸が不足する傾向にあるのです。

先ほどお伝えした通り、マグネシウムは約800以上の化学反応に関係しています。

マグネシウムなどのミネラルは補酵素と呼ばれ、体内の酵素を活性化させる働きがあるのです。

体内のほとんどすべての化学変化には酵素が関わっており、そこには必須脂肪酸の生成、代謝、維持も含まれています。

マグネシウムの働きの一つにはこの「必須脂肪酸に関わる酵素をサポート」も含まれるため、マグネシウムが不足すると酵素の働きが弱まり、結果的に肌の保湿や弾力性が失われることにつながるのです。

つまり、不足しがちなマグネシウムが補充されることで、肌にもともと備わっている保湿力や弾力を取り戻すことになります。

参考:Bathing in a magnesium-rich Dead Sea salt solution improves skin barrier function, enhances skin hydration, and reduces inflammation in atopic dry skin|PubMed

マグネシウムの肌効果②アトピー肌へのアプローチ

マグネシウムの肌効果②アトピー肌へのアプローチ

アトピー性皮膚炎は、慢性的な炎症性皮膚疾患であり、乾燥した肌、かゆみ、赤みが特徴です。

マグネシウムは、その抗炎症特性により、アトピー性皮膚炎の症状を和らげるのに役立つと考えられています。

厚生労働省の調査によると、日本のアトピー性皮膚炎患者は年々増加しており、2014年(約45万人)~2025年(161万人)で約110万人以上も増えているのです。

参考:令和5年 患者調査 傷病分類編|厚生労働省

マグネシウムがアトピー性皮膚炎に与える影響について、世界中で研究がおこなわれています。

Journal of Biomedicineで掲載されている研究によると、アトピー性皮膚炎および脂漏性皮膚炎の症状改善にマグネシウムが役立つ可能性が示されました。

同研究では、5%の高濃度マグネシウムを局所的に使用した患者が、わずか4日間の治療で顕著な症状の改善がみられたと報告されています。

参考:Magnesium of Dead Sea Salts as a Key Factor for the Treatment of Seborrheic and Atopic Dermatitis: A Case Report|Bioscientia Medicina

また、アトピー性皮膚炎には

  • 抗炎症作用
  • 皮膚バリアの強化
  • ストレス低減
  • 肌の保湿

なども関係しており、これらはマグネシウム不足を補うことでサポートできる可能性があります。
それゆえ、マグネシウムは肌の状態を整えるために重要な要素の一つだと言えるでしょう。

アトピー性皮膚炎についてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考にしてください。

参考:アトピー性皮膚炎について|京都府立医科大学皮膚科

マグネシウムの肌効果③抗酸化活性の向上

マグネシウムの肌効果③抗酸化活性の向上

マグネシウム不足に陥ると、

  • 酸化ストレスに弱くなる
  • 抗酸化作用を低下させる

という二つの観点で、身体が酸化ストレスの悪影響を受けやすくなってしまいます。

マグネシウムは細胞膜の安定化やDNAの修復に関与しており、マグネシウム不足によってこれらの機能が低下すると、細胞が酸化ストレスに対して脆弱になります。

その結果、酸化ストレス(フリーラジカル)によって損傷した細胞(老廃物)が蓄積しやすくなるのです。

つまり、マグネシウム不足が起こると身体には酸化ストレスの悪影響を受けた細胞が増えるということ。

変性した細胞は、のちにがんやアルツハイマーを含む多くの生活習慣病を引き起こすリスクが高まる可能性があります。

さらにマグネシウムは、抗酸化作用自体に関わる酵素の活性化にも必要だと言われています。

マグネシウムが不足するとこれらの酵素がうまく機能せず、体内の抗酸化能力が低下することにつながるのです。

バランスの取れた食事によるマグネシウムの適切な摂取は、健康的な抗酸化システムの維持に役立ちます。

マグネシウムの肌効果④ヒアルロン酸生成の促進

マグネシウムの肌効果④ヒアルロン酸生成の促進

マグネシウムが直接的にヒアルロン酸を生成するわけではありませんが、細胞機能やタンパク質の合成に関わっているため、間接的にヒアルロン酸の合成に影響を与えていると考えられます。

2021年12月に日本人の研究者によって世界有数の科学紙 International Journal of Molecular Sciences(訳:国際分子科学ジャーナル)にて発表された論文では、遺伝的にマグネシウムチャネルの障害を持つ患者さんを調査しています。

マグネシウムチャネルに障害がある患者さんは、皮膚バリアの損傷がみられるのですが、これまでそのメカニズムは解明されていませんでした。

しかし、ヒトの角質細胞由来のHaCaTという細胞の実験で、細胞内の塩化マグネシウム濃度が上昇すると、ヒアルロン酸を合成する酵素(HAS)が増加し、ヒアルロン酸(HA)の生成も増加することがわかったのです。

そのため、肌の細胞内のマグネシウム不足を補うことで、ヒアルロン酸の低下を防いだり、正常な生成を促すことが考えられます。

参考:Elevation of Hyaluronan Synthase by Magnesium Supplementation Mediated through the Activation of GSK3 and CREB in Human Keratinocyte-Derived HaCaT Cells|PubMed

マグネシウムの肌効果⑤炎症を軽減

マグネシウムの肌効果⑤炎症を軽減

抗酸化作用があるマグネシウムは炎症の予防や改善にも効果が期待できます。

また、炎症性サイトカインと呼ばれる、炎症に影響を与えるタンパク質の種類を抑制する働きがあると言われています。

2023年の研究によると、マグネシウム欠乏症は炎症性サイトカインの増加と関連しているとし、全身の炎症を悪化させる可能性すらあることがわかりました。

ニキビや吹き出物、肌の乾燥やその他多くのトラブルは、肌自体はもちろん、体内の炎症にも反応して現れるもの…そのため、肌はもちろん体内の炎症も抑えることが大切です。

参考:A narrative review on the role of magnesium in immune regulation, inflammation, infectious diseases, and cancer|PubMed

マグネシウムの肌効果⑥肌バリア機能UP

マグネシウムの肌効果⑥肌バリア機能UP

さらに、マグネシウムは細胞分裂と成長に重要な役割をになっており、健康な肌の状態を保つサポートをしています。

特に、細胞分裂頻度を調整すると言われており、体内で適切なマグネシウム濃度が保たれることによって、細胞分裂が促進されることが観察されているのです。

マグネシウムは細胞分裂サイクルにおいて重要な役割を果たしていることを示しています。

参考:Magnesium ions in yeast: setting free the metabolism from glucose catabolite repression|PubMed

マグネシウムの肌効果⑦アンチエイジング

マグネシウムの肌効果⑦アンチエイジング

マグネシウムには、以下のようなアンチエイジングにつながる効果も期待できます。

  • ヒアルロン酸生成を促す
  • 細胞分裂と成長を促す
  • 肌を保湿する
  • 抗炎症作用
  • 抗酸化作用
  • バリア機能UP

ヒアルロン酸の生成や代謝、肌の保湿力やバリア機能などは年齢と共に年々低下していきます。

また、年齢問わず体内の炎症反応を高めたり、酸化ストレスが過剰にかかる生活習慣や食生活をしていることでも、肌年齢は上昇してしまいます。

そのため、マグネシウムを充分に補うことで、身体の内側から肌のアンチエイジングが期待できるということなのです。

アンチエイジングに関連して、以下の記事では白髪や頭皮ケアにもマグネシウムが有効であることを解説しているので、こちらもあわせてご覧ください。

マグネシウムオイルで白髪対策!頭皮ケアから始めるアンチエイジング

マグネシウムの肌効果⑧UVケア

マグネシウムの肌効果⑧UVケア

マグネシウムは紫外線をブロックする作用はありませんが、間接的に日焼け対策に役立ちます

乾燥した肌に紫外線が当たると、しみやしわ、そばかすなどができやすくなり、保湿されている肌に比べダメージも大きく修復しにくくなります。

マグネシウムにはヒアルロン酸の生成を助け、保湿を高める働きがあるため、マグネシウムを塗った後に、UVケア製品や日焼け止めを塗ることで、紫外線による肌へのダメージを最低限に抑えらえるのです。

また、紫外線は体内の酸化ストレスや炎症を高める一方で、ビタミンDの生成やセロトニンの分泌自律神経の調整などにも関与しています。

そのため、体内にも充分なマグネシウムを摂取しつつ、適度な日光浴を取り入れることが大切です。


 マグネシウム不足のセルフチェックする /

マグネシウムのスキンケアについて|YouTubeショートでサクっと解説

マグネシウムは若々しさを保ち、肌の保湿効果が期待できるため、肌の健康が気になる中年期の女性にとって特に大切な栄養素だと言えます。

以下のYouTubeショートでは、水分保持を保つマグネシウムのスキンケアについて紹介しているので、ご参考にしてください。

スキンケアにマグネシウムを使う3つの注意点

スキンケアにマグネシウムを使う3つの注意点

これだけさまざまな効果が期待できるマグネシウムですが、スキンケアに取り入れる際には、注意点があります

今回は特に重要な3つの注意点をご紹介していきます。

  • 注意点①ひりひりする
  • 注意点②お腹がゆるくなる
  • 注意点③継続する必要がある

1つずつ順番に見ていきましょう。

注意点①ひりひりする

注意点①ひりひりする

マグネシウムは実は刺激の強い成分としても知られています。特に皮膚に塗る(経皮吸収)タイプのマグネシウムは、あまりに高濃度すぎたり、肌トラブルがある状態に使用すると、

「ひりひりして使えない」

という人も多いよう…特に顔などに塗布して染みたりすると、しみの原因にならないか心配ですよね?

マグネシウムは高濃度だからと言って効果があるわけではありません。

マグネシウムが細胞に取り込まれる上限は決まっているため、多く摂ったからと言ってすべてが細胞に取り込まれるわけではなく、不要なものはただ排出されるだけなのです。

そのため、マグネシウムをスキンケアに取り入れる場合には、濃度よりも肌への刺激を考慮しましょう。

口コミをチェックすることはもちろん、購入したら顔に塗る前に、腕の内側などでパッチテストをおこなうのがおすすめです。

以下の記事では、マグネシウムの経皮吸収による部位ごとの吸収率について解説しているので、こちらもあわせてご覧ください。

経皮吸収率は部位別に異なる?頭皮・陰部の吸収率と経皮毒が腎臓に与える影響

注意点②お腹がゆるくなる

注意点②お腹がゆるくなる

マグネシウムというと下剤を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

便を柔らかくするために病院などでも処方されるマグネシウム

実は吸収されにくい成分としても知られています。

ただし、下剤に使われる酸化マグネシウムはそもそも細胞に吸収されにくい性質があるため、吸収されずに腸まで届くことで、腸内の便に水分を含ませることができるという性質があります。

つまり、体内にもしっかりマグネシウムを届けたい場合には、細胞まで届く構造や吸収されやすい製造方法、もしくはマグネシウムの種類を選んで取り入れる必要があるのです。

下記の記事では、サプリメントに用いられることの多いマグネシウムの種類を詳しく紹介しています。

ぜひあわせてご参照ください。

注意点③継続する必要がある

注意点③継続する必要がある

マグネシウムはその他ビタミンやミネラルと同じように毎日消費されるため、その都度摂取する必要がある栄養素です。

また、一度や数日だけマグネシウムを取り入れても、細胞は簡単には変化しません。

食事やサプリメント、スキンケア製品から、継続的にマグネシウムを補うことを意識してみるようにしましょう。

また、毎日継続する際には、添加物や不純物が含まれている製品はおすすめではありません。

できる限り身体にやさしく、品質の高い製品を取り入れましょう。

マグネシウムを摂り入れる2つの方法

マグネシウムを摂り入れる2つの方法

マグネシウムを取り入れる方法は大きく分けて2つ。

  • 経皮摂取
  • 経口摂取

肌に塗ったり、湯舟にマグネシウムを入れて入浴したりする方法が経皮摂取です。

食べ物やサプリメントでマグネシウムを補うのが経口摂取となります。

経皮摂取は肌や筋肉など、部分的なトラブルの改善に取り入れられることが多く、経口摂取は身体やメンタル、睡眠などのお悩み改善に重要です。

経口摂取と経皮摂取はどちらか片方ではなく、どちらも適切に取り入れる方法が好ましいとされています。

スキンケアは肌質改善などの目的だと、経皮吸収だけでいいと感じることもあるかもしれませんが、体内の炎症や酸化ストレスが、肌荒れや年齢肌を引き起こす根本原因となっているため、経皮・経口どちらの摂取方法も取り入れてみるのがベターです。

まとめ|マグネシウムを継続的に摂取して、スキンケア全般に役立てよう!

マグネシウムは、保湿・抗炎症・抗酸化の3方向から肌を守り、バリア機能の向上やアトピー性皮膚炎のサポート、UV・アンチエイジングといった、スキンケア全般に役立ちます

効果を最大化するコツは、経皮(塗布・入浴)と経口(食事・サプリ)を併用し、毎日コツコツ続けることです。

また、マグネシウムを摂取する際には、添加物や不純物の少ない高品質な製品を選ぶようにしましょう。

当サイトではマグネシウム不足のセルフチェックが可能です。

「もしかしたら?」と気になる方は、ぜひチェックしてみてください。