マグネシウムを摂取するにはどのような方法があるのか?
一般的には食事から摂取すれば問題ないと考えられがちですが、食品からのマグネシウム吸収率はわずか約30〜50%(※)にとどまります。
つまり、マグネシウムが100mg含まれる食品を食べても、体内に届くのは30〜50mgだけなのです。
さらに、ストレスやアルコール摂取でマグネシウムは尿と一緒に排出されてしまうため、厚生労働省の調査によれば、日本人の平均摂取量は推奨量より約90〜140mg不足していることになります。
「では、どうすればいいのか?」
答えは、3つの摂取方法を組み合わせることです。
①食品
②サプリメント
③経皮吸収
今回は科学的根拠に基づいた効率的な摂取方法から、1日に必要なマグネシウムの摂取量、マグネシウム不足の無料診断、今日からできる具体的な食事例まで徹底的に解説しています。
本記事であなたに合ったマグネシウムの摂取方法を見つけましょう。
※参考:Magnesium|United States National Institutes of Health(NIH)
※参考:Scientific Opinion on Dietary Reference Values for magnesium|European Food Safety Authority(EFSA)
マグネシウムの3つの摂取方法|食品・サプリ・経皮吸収

結論からお伝えすると、マグネシウムの効率的な摂取方法は以下の3つです。
- マグネシウムの摂取方法1:食品
- マグネシウムの摂取方法2:サプリ(栄養補助食品)
- マグネシウムの摂取方法3:経皮吸収
大切なことなので、1つずつ順に解説していきます。
マグネシウムの摂取方法1:食品
まず1番自然な形でマグネシウムを補える方法が、食品からの摂取です。
毎日の食事を通じて、無理なく継続的にマグネシウムを補えます。
以下はマグネシウムを多く含む3つの食品群です。
- 海藻類
- 豆類
- 穀類
より具体的な食品名を見ていきましょう。
| 分類 | 食品名 | マグネシウム含有量 (100gあたり) |
|---|---|---|
| 海藻類 | あおさ(素干し) | 3,200㎎ |
| あおのり(素干し) | 1,400㎎ | |
| ひじき(乾燥) | 640㎎ | |
| 豆類 | えんどう豆(乾燥) | 360㎎ |
| きなこ | 260㎎ | |
| 黄色大豆(乾燥) | 220㎎ | |
| 穀類 | あわ | 270㎎ |
| 玄米(生) | 143㎎ | |
| 全粒粉 | 140㎎ |
参考:食品成分データベース|文部科学省
マグネシウムはこの他にも、米ぬかやバジル、かぼちゃの種やアーモンドなどにも多く含まれています。
マグネシウムを多く含む食品についてより詳しく知りたい方は、以下の記事をご参考にしてください。
また、以下は医学論文や研究などからわかった、食品からマグネシウムを摂取するメリットとデメリットをまとめたものです。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 過剰摂取の心配がない(余分は尿として排出) | 吸収率が約30〜50%と低い |
| 他の栄養素も同時に摂取できる | 推奨量を満たすには意識的な食事が必要 |
| 長期的に摂取しても安全 | 食材選びや調理に手間がかかる |
食品から体内に吸収されるマグネシウムは約30〜50%といわれており、他のミネラルと比べても吸収率があまり良いとはいえません。
参考:Magnesium|Harvard T. H. Chan School of Public Health’s Department of Nutrition
詳しくは、以下の記事で解説しているので、ぜひ合わせてご覧になってください。
マグネシウムを食品から摂取する際の注意点も書いてあるので、健康意識が高いあなたの参考になるはずです。
マグネシウムの摂取方法2:サプリ(栄養補助食品)
マグネシウムをお手軽に摂取できるサプリ(栄養補助食品)は、マグネシウムの摂取方法として効果的です。
食品からの摂取方法と併用することで、その効果はより一層高まります。
ただし、市販されている一般的な錠剤サプリメントでマグネシウムを摂取する場合には、注意が必要です。
錠剤の形でマグネシウム含有量が高いサプリメントを摂取しすぎると、細胞にうまく吸収されずに過剰なマグネシウムが体内に残り、副作用として下痢やお腹にガスが溜まりやすくなる場合があります。
食事だけで推奨量を満たすのが難しい場合、マグネシウムを手軽に摂取できるサプリ(栄養補助食品)は、効率的にマグネシウムを補給するのに役立ちます。
特に忙しい方や、食事制限をしている方に適していると言えるでしょう。
マグネシウムサプリには様々な種類があり、それぞれ吸収率や効果が異なります。
| 種類 | 吸収率 | 特徴 |
|---|---|---|
| 酸化マグネシウム | 低い | 便秘薬としても使用 |
| 塩化マグネシウム | 中程度 | 消化器症状が出やすい |
| グリシン酸マグネシウム | 高い | 胃腸に優しい |
| クエン酸マグネシウム | 高い | 吸収されやすく、一般的 |
| リポソームマグネシウム | 非常に高い | 最新技術で吸収率を向上 |
また、サプリから摂取するメリットとデメリットは以下です。
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 確実に必要量を摂取できる | 過剰摂取すると下痢や腹部の不快感 |
| 手軽で継続しやすい | 錠剤タイプは添加物が含まれる可能性 |
| 吸収率の高いタイプを選べる | コストがかかる傾向 |
さらに詳しくマグネシウムのサプリについて知りたい方は、こちらのガイドも合わせてお読みになると、より理解が深まりますよ。
マグネシウムの摂取方法3:経皮吸収
マグネシウムは皮膚からも吸収される可能性があり、海外ではエプソムソルト(硫酸マグネシウム)の入浴剤が広く用いられています。
そのほか経皮吸収でのマグネシウム摂取方法としては、マグネシウムを含んだバームやクリームなどを気になる箇所に直接塗って、肌から優しく局所へアプローチする方法もあります。
マッサージをしながら塗り込むことで、肩こりや筋肉痛、肌の保湿・保護、アトピーや妊娠線のケアなどにも用いられることがあります。
さらに、リラックス効果でストレスの解消や心の安定にもつながるでしょう。
【経皮吸収のメリットとデメリット】
| メリット | デメリット |
|---|---|
| 胃腸に負担をかけない | 科学的エビデンスが限定的 |
| 局所的なケアができる | 効果の個人差が大きい可能性 |
| 過剰摂取の心配が少ない | 定期的な使用が必要 |
なぜマグネシウムが必要なのか?

マグネシウムは体内の800種類以上の酵素反応に関わる必須ミネラルであり、成人の体内には約25〜30g存在し、その50〜60%は骨や歯に、残りは筋肉や脳、神経に含まれています。
なぜマグネシウムが私たちの体に欠かせないのかを解説します。
マグネシウムの5つの働き
以下の一覧はマグネシウムの代表的な働きをまとめたものです。
| マグネシウムの働き | 不足することで引き起こされる症状 |
|---|---|
| エネルギーを作る | 慢性的な疲労感や倦怠感、集中力の低下が見られることがある |
| 骨と歯を強くする | 骨粗しょう症のリスク増加 |
| 筋肉を動かす | こむら返り、まぶたのピクピク、肩こり |
| 精神を安定させる | イライラ、不安感、不眠、うつ症状 |
| 血圧・血糖値を調整する | 高血圧、2型糖尿病のリスク増加 |
そして、長期的なマグネシウム不足は、以下の疾患リスクを高めることが研究で明らかになっています。
- 2型糖尿病:インスリンの働きが低下
- 心血管疾患:虚血性心疾患、動脈硬化
- メタボリック症候群:内臓脂肪の蓄積
- 骨粗しょう症:骨密度の低下
マグネシウムが不足すると、体内のこれらの働きがスムーズにいかなくなり、さまざまな症状を招く恐れがあります。
それゆえ、マグネシウムを摂取することは私たちの健康維持に必須だと言えるでしょう。
日本人のマグネシウム不足問題
これほどまでに重要なミネラルであるにも関わらず、私たちはマグネシウム不足の傾向にあります。
その主な原因を5つ紹介します。
- 食の欧米化:大麦や雑穀の摂取が激減
- 精製食品の増加:白米、白パン、加工食品
- ストレス:尿中への排泄量が増加
- アルコール:腎臓からの排泄を促進
- 吸収率の低さ:食品からは30〜50%しか吸収されない
以下の記事ではさらに詳しくマグネシウム不足の原因を解説しているので、ご参考にしてください。
マグネシウムの摂取方法はわかったけど、1日に必要な摂取量は?

マグネシウムの1日あたりの推奨摂取量は、厚生労働省の報告によると以下です。
| 成人男性 | 約340mg~380mg |
| 成人女性 | 約280mg~290mg |
参考:日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省
それに対して、実際の平均摂取量は成人男性が約241mg、成人女性が197mg。
男性ですと1日約100〜140mg、女性は約80〜90mgもマグネシウムが毎日不足していると推定されます。
マグネシウムの不足の主な原因は、以下です
- 食の欧米化(和食離れ)
- 過度なストレス
- アルコール摂取の増加
- 日本の土壌と環境
- 加齢
マグネシウムが不足すると私たちの体には、筋肉の痙攣(けいれん)や偏頭痛、睡眠障害、精神的な不安、便秘など、さまざまな不調が現れたり、骨粗しょう症や2型糖尿病、動脈硬化症などのリスクが高まることが長年の研究でわかってきています。
マグネシウム不足をチェックして、適切な摂取方法を見つけよう

マグネシウム不足かどうかを調べるには、病院での検査が必要です。
しかし、一般的な保険適応の検査を目的とした採血では、マグネシウム不足を見つけることは難しく、より正確に測定するなら、保険適応外の細胞検査が必要になってしまいます。
そのため、多くの病院では問診で判断しています。
「病院に行ってまで調べる必要はないんだけど・・・」という方は、以下の無料で今すぐできる「マグネシウム不足のセルフチェック」をご利用ください。
医師監修のもと厳選した14問の質問に答えるだけで、あなたがどのぐらいマグネシウム不足の可能性があるのかを、数値で確認することができますよ。

また、オーガニックサイエンスの公式YouTubeチャンネルでは「マグネシウム欠乏のサイン」についての解説動画をご用意しています。
株式会社コミディア代表取締役であり、栄養カウンセラーでもある吉冨信長先生が、詳しく解説しているのでぜひご覧ください。
1日分のマグネシウムを摂取する食事例

マグネシウムは体内で作れないため、毎日の食事からコツコツ補うことが大切です。
ここでは、食品から約450mgのマグネシウムを摂取し、体内の吸収量を180mg(吸収率を40%と仮定)+サプリなどで100〜150mgを吸収し、最終的に1日必要な摂取量を約300mgとした献立例を紹介します。
【1日約450mgのマグネシウムを摂る食事例】
・朝食(約138〜150mg)
| 食品 | 量 | マグネシウム量 |
|---|---|---|
| 玄米ごはん | 小盛り1杯(100g) | 49mg |
| 納豆 | 1パック(50g) | 50mg |
| わかめの味噌汁 (乾わかめ1g・みそ18g) | 1杯 | 約12mg |
| 焼き海苔 | 全形3枚(約9g) | 27mg |
・昼食(約110mg)
| 食品 | 量 | マグネシウム量 |
|---|---|---|
| そば(乾麺) | 1人前(80g) | 約80mg |
| ほうれん草のおひたし | 小鉢1皿(70g) | 約28mg |
| 揚げ玉(天かす) | 少量 | 微量(数mg程度) |
・間食(約30mg)
| 食品 | 量 | マグネシウム量 |
|---|---|---|
| アーモンド | 10粒(約10g) | 29mg |
・夕食(約180mg)
| 食品 | 量 | マグネシウム量 |
|---|---|---|
| 玄米ごはん | 普通盛り1杯(150g) | 74mg |
| 焼き鮭 | 1切れ(80g) | 28mg |
| 木綿豆腐 | 1/3丁(100g) | 57mg |
| ひじきの煮物 | 小鉢1皿(50g) | 22mg |
参考:食品成分データベース|文部科学省
これらに加えて、サプリメントやミネラルウォーターなどで100〜150mgほど補うのが理想的です。
マグネシウムの摂取方法に関するよくある質問

ここではマグネシウムの摂取方法に関して、よくある質問に回答していきます。
Q1:食品だけで十分な量のマグネシウムを摂取できますか?
はい、理論的には可能ですが、現実的には難しいでしょう。
食品からの吸収率が約30〜50%であること、日本人の平均摂取量が推奨量より約80〜140mg不足であることを考えると、食品だけで推奨量を満たすにはかなり意識的な食事が必要です。
そのため、食事を基本としつつ、不足分をサプリメントや経皮吸収で補うと良いでしょう。
Q2:マグネシウムのサプリメントは安全ですか?過剰摂取の心配は?
適切な量であれば安全ですが、注意点があります。
サプリメントからの上限である1日350mgを超えると、下痢などの副作用が出る可能性があるので、気をつけてください。腎機能が低下している方や 特定の薬を服用中の方は、医師に相談しましょう。
また、食品からの過剰摂取の心配はありません(余分なマグネシウムは腎臓から尿として排出されます)。
Q3:マグネシウムの経皮吸収は本当に効果がありますか?
はい、吸収される可能性はありますが、エビデンスは限定的です。
海外では経皮吸収が広く利用されていますが、食品やサプリメントと比べて科学的根拠はまだ少ない段階と言えます。
まとめ|マグネシウムの効率的な摂取方法は「食品・サプリ・経皮吸収」
マグネシウムを効率的に摂取するには3つの方法を組み合わせることが重要です。
まず食品(海藻・豆類・穀類)を基本とし、不足分の100〜150mgをサプリメントで補います。
さらに、バームやクリーム、入浴剤による経皮吸収を加えることで、マグネシウム摂取量の増加が期待できます。
マグネシウム不足になっていないか気になる方は、1分でできる無料マグネシウム診断を試してみてください。
その上で、朝食に納豆と海苔をプラスしたり、白米を玄米に変えたりするなどして、マグネシウムの摂取量を徐々に増やしていきましょう!

