マグネシウムは800以上の酵素反応に関わる、体に欠かせない必須ミネラルのひとつです。
実は、代謝や血糖値の調整、便通やむくみの改善など、マグネシウムはダイエットにもうれしい働きがたくさんあります。
「最近なかなか痩せにくい…」と感じている方は、もしかするとマグネシウム不足が関係しているかもしれません。
この記事では、まだあまり知られていないマグネシウムが持つ6つのダイエット効果や、5つの実践法をわかりやすく解説していきます。
これまで色々なダイエット法を試してきたけれども、
「自分には効果がなかった…」
「続けられなかった…」
「リバウンドしてしまった…」
そのような方は今回ご紹介する、無理せず手軽にできるマグネシウムを使った新しいダイエット法を試してみてください。
マグネシウムとダイエットの意外な関係とは?

マグネシウムが不足すると、体の代謝機能やエネルギーの流れがスムーズに働かなくなり、結果的に「太りやすく・痩せにくい」体質になってしまうと考えられています。
マグネシウムは体内の約300種類の酵素と、それに関連する約800以上の化学反応に栄養を与える必須ミネラルです。
体のありとあらゆる働きに影響することから、“細胞の門番”と表現されることもあります。
マグネシウムが充分に摂取できていないと、体内で起こる多くの化学反応が機能しにくくなり、その影響で脂肪の燃焼効率が落ちたり、血糖値のバランスが乱れたりと、ダイエットを妨げる要因がいくつも重なります。
つまり、マグネシウム不足の状態は、知らないうちに痩せにくい体をつくっているのです。
日本人はダイエットをサポートするマグネシウムが不足しがち

日本人の食生活は欧米化が進み、マグネシウムの摂取量が減少傾向にあると言われています。
マグネシウムの1日あたりの推奨摂取量は、
- 30代男性:約380mg
- 30代女性:約290mg
ですが、令和5年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、実際の平均摂取量は以下の通りです。
- 男性:約241mg/日
- 女性:約197mg/日
参考:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省
さらに、マグネシウムは吸収されにくい栄養素としても知られています。
そのため、摂りすぎた分や吸収されなかった分は、下痢などの形で体外へ排出されてしまう場合もあります。
普段の食事でマグネシウム不足を感じてサプリメントなどで補う場合には、吸収しやすい構造を意識して選びましょう。
以下の記事では、サプリメントに配合されているマグネシウムの種類や吸収率の違いについてまとめてあります。
どんなサプリメントを利用するのがいいのか迷われている方は、こちらも併せてご覧ください。

マグネシウムの6つのダイエット効果

ここからはマグネシウムの具体的な6つのダイエット効果と、その根拠を科学的な知見を交えて、詳しく解説していきます。
・マグネシウムのダイエット効果①代謝を促進する
・マグネシウムのダイエット効果②血糖値と食欲の安定をサポートする
・マグネシウムのダイエット効果③運動の効率化を高める
・マグネシウムのダイエット効果④ストレスを軽減する
・マグネシウムのダイエット効果⑤便秘を改善する
・マグネシウムのダイエット効果⑥むくみ対策につながる
1つずつ順番に見ていきましょう。
マグネシウムのダイエット効果①代謝を促進する

マグネシウムは、体の中で約300種類以上の酵素をサポートし、エネルギー産生やタンパク質の合成、DNAの修復といった代謝の重要なプロセスに関わっています。
特に、エネルギーのもととなる「ATP(アデノシン三リン酸)」の生成にはマグネシウムが不可欠です。
ATPは細胞内で使われる“エネルギーの通貨”とも呼ばれており、体の活動を支える重要な物質です。
充分なマグネシウムが補われることで、これらの機能が正常に働き、基礎代謝がアップしたり、体重管理がしやすくなったりするのです。
また、以下の論文ではマグネシウムを摂取することで、メタボリック症候群の予防や改善サポートに役立つ可能性があると報告しています。
“A 2016 review of 27 double-blind clinical trials investigating the effects of supplementation with magnesium on components of metabolic syndrome (insulin resistance, hyperglycaemia, hypertension, dyslipidaemia) found that all six of the trials that looked at insulin resistance showed an improvement in the Homeostatic Model Assessment for Insulin Resistance (HOMA-IR).” 2016年に発表された27件の臨床試験をまとめた研究によると、マグネシウムを補うことでメタボリックシンドロームの要因(インスリン抵抗性や高血糖、高血圧、脂質異常)にどんな効果があるかが調べられました。 その中で「インスリン抵抗性」を調べた6件の研究すべてで、インスリンの効きがよくなる(インスリン抵抗性が改善する) という結果が得られたのです。 参考:Magnesium: A Review of Clinical Use and Efficacy|Nutritional Medicine Journal |
したがって、食事を抜くよりもマグネシウムを豊富に含む食品を摂取することで、体に無理なく自然なダイエットができると考えられるでしょう。
下記ではマグネシウムが豊富な食事について、ランキング形式で詳しくご紹介しています。
食生活を見直して健康的にマグネシウムを補いましょう。

マグネシウムのダイエット効果②血糖値と食欲の安定をサポートする

マグネシウムは、インスリンの分泌や感受性をサポートする働きがあり、血糖値の安定に深く関わっています。
私たちの体は、血糖値が下がると空腹を感じる仕組みになっており、特に炭水化物を多く摂ると血糖値が急上昇。
その反動で急降下しやすくなり、強い空腹感や間食欲を引き起こしやすくなります。
マグネシウムが不足すると、インスリンの働きがうまくいかず、血糖のコントロールが乱れやすくなるため、過食や間食が増えやすいというわけです。
暴飲暴食しがちな人や、食欲にムラがある人、甘いものや刺激物などの偏ったものが食べたくなる人などは、マグネシウムを意識的に摂ることで、食欲の波を穏やかにできる可能性があります。
関連記事:糖尿病対策にマグネシウムが効く?血糖値との意外な関係を解説
マグネシウムのダイエット効果③運動の効率化を高める

健康的で美しい体づくりに、運動は欠かせない要素のひとつです。
そして、マグネシウムは筋肉の働きや神経伝達に関わるミネラルとして、運動の効率を高めるサポート役を担っています。
マグネシウムは、カルシウムが収縮させた筋肉を緩める働きがあるとされ、こむら返りの予防や、筋肉のこわばりの緩和、疲労回復にも関わっています。
運動中や運動後に筋肉の違和感を感じやすい方、ストレッチやヨガをしっかり行いたい方は、経皮吸収タイプのマグネシウム(ミストやバーム、バスソルトなど)を活用するのもおすすめです。
経皮から摂取することで、部分的な筋肉の緊張緩和やリラックス作用が期待できます。
運動とセットでマグネシウムを補うことを意識して、より効果的なダイエットを目指しましょう。
関連記事:エプソムソルトは自律神経を整える?乱れの原因とマグネシウムとの関係を解説
マグネシウムのダイエット効果④ストレスを軽減する

ストレスや不安は、ダイエットの大敵です。
コルチゾールというホルモンが過剰に分泌されることで、食欲が増し、脂肪を蓄積しやすくなるといわれています。
だからこそ、ストレスフリーな状態を保つことは、無理のないダイエットに欠かせません。
古くから自然療法や予防医学を重要視しているオーストラリア政府が運営するサイトでは、マグネシウムとストレスの関係について以下のように明記しています。
Magnesium may help to control the chemical messengers (neurotransmitters) in the brain, resulting in a calming effect on the body.
(マグネシウムは脳内の化学伝達物質(神経伝達物質)を制御し、体に鎮静効果をもたらす可能性があります。)
Magnesium may help to manage your stress response system and cortisol levels. Low levels of magnesium in the body can increase stress, and high levels of physical or mental stress can lower magnesium.
(マグネシウムはストレス応答システムやコルチゾールのレベルを調整するのに役立つかもしれません。
体内のマグネシウムが不足すると、ストレスが増大し、肉体的または精神的なストレスが増えるとマグネシウムが低下する可能性があります。)
One of the body’s reactions to stress and anxiety is muscle tension.(ストレスと不安への体の反応の一つは筋肉の緊張です。)
引用:Can magnesium help to reduce anxiety?|Health direct
また、ストレスは睡眠の妨げにもなります。
睡眠は体の回復や修復、代謝の促進や老廃物の回収などに深い関わりがあり、ダイエットでも良質な睡眠が求められます。
下記ではマグネシウムの睡眠に対する効果について、詳しくまとめていますので、「最近寝つきが悪い」「睡眠の質を改善したい」という方はぜひ併せてご覧ください。

マグネシウムのダイエット効果⑤便秘を改善する

マグネシウムには、腸内で水分を引き込む「浸透圧作用」があり、便に適度な水分を与えて排出を促す働きがあります。
このため、酸化マグネシウムは医療現場でも便秘治療に使われており、安全性も高く知られています。
ダイエット中は便秘に悩まされることも多いですが、「さつまいもやキャベツなど、食物繊維を摂っているのにスッキリしない…」という方は、不溶性食物繊維が原因かもしれません。
実は日本人の多くは「ねじれ腸」や「落下腸」と呼ばれる腸の形の変化を持っており、こうした状態では不溶性食物繊維が詰まりやすく、かえって便秘を悪化させることも・・・。
「便が硬い」「腹痛を伴う」「スッキリしない」そんなときは、マグネシウムの摂取を意識してみるのがおすすめです。
水分をしっかり便に届けることで、自然な排便をサポートしてくれます。
以下の記事ではマグネシウムが便秘に役立つ理由や効果的なマグネシウムの摂取方法について解説しているので、ご参考にしてください。
マグネシウムが便秘に効くって本当?驚きの効果や摂取方法を解説
マグネシウムのダイエット効果⑥むくみ対策につながる

実は、マグネシウムにはむくみの改善に役立つ働きがいくつもあります。
- 利尿作用・・・腎臓での尿の生成と排出を促し、体内の余分な水分や老廃物の排出をサポートする
- 血管の拡張作用・・・血管がゆるむことで血流がスムーズになり、必要な栄養素も全身に届きやすくなる
- 筋肉のリラックス効果・・・筋肉の緊張がほぐれることで血行やリンパの流れも改善される
こうした作用が重なることで、体内の巡りが良くなり、脚や顔のむくみが気になりやすい方にも効果が期待できます。
特に、座りっぱなしや立ちっぱなしでむくみやすい日には、マグネシウムを意識的に取り入れてみるのも◎。

マグネシウムのダイエット実践法5選

では、実際にマグネシウムをどのように活用して、ダイエットを実践していけばいいのか、5つの方法を紹介します。
・食事からのマグネシウム摂取を意識する
・水分補給に「マグネシウムを含む飲み物」を選ぶ
・マグネシウムのサプリメントを利用する
・マグネシウムを経皮吸収で取り入れる
・マグネシウムの摂取と運動を組み合わせる
マグネシウムのダイエット実践法1:食事からのマグネシウム摂取を意識する
まずは、毎日の食事でマグネシウムを自然に取り入れることが基本となります。
特におすすめなのは以下の食品です。
・海藻類(わかめ、のり):食物繊維も豊富で腸内環境を整える
・ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ、ひまわりの種):間食に取り入れやすい
・豆類(大豆製品):低カロリー&高たんぱくで満腹感アップ
・全粒穀物(玄米、オートミール):血糖値の急上昇を防ぐ
これらを毎日の食事にバランスよく加えることで、マグネシウム不足を防ぎながらダイエットをサポートできます。
関連記事:マグネシウム不足を改善する食べ物ベスト10!効果的な摂取方法も解説
マグネシウムのダイエット実践法2:水分補給に「マグネシウムを含む飲み物」を選ぶ
普段から口にする飲み物をマグネシウム入りの飲み物に見直すと、ダイエットに効果的です。
例えば・・・
・硬水のミネラルウォーター:マグネシウムを効率的に摂取可能
・無調整豆乳:マグネシウムだけでなく、栄養価も高い
・無糖ココア:ポリフェノールも同時に摂れて代謝にプラス
砂糖入りの飲料やカロリーの高いドリンクを避け、マグネシウムを含む飲み物に置き換えることで「摂取カロリーを抑えつつ不足しがちなミネラルを補給」できるようになります。
関連記事:【コンビニで買える】マグネシウムが多い「飲み物」7選|効率よく摂取する方法も解説
マグネシウムのダイエット実践法3:マグネシウムのサプリメントを利用する
マグネシウムを食事で十分に補えない場合は、サプリメントを併用するのも一つの手です。
ただし、厚生労働省は「サプリからのマグネシウム摂取の耐容上限量は成人で1日350mg」と示しており、取りすぎると下痢などの副作用が出ることがあるので、注意しましょう。
基本は食事にし、必要に応じてサプリを補助的に使うのが良いでしょう。
参考:6. 1. 4.マグネシウム(Mg)|厚生労働省
関連記事:マグネシウムサプリのおすすめはこれ!人気5選&吸収率で選ぶ失敗しないコツ
マグネシウムのダイエット実践法4:マグネシウムを経皮吸収で取り入れる
食事やサプリだけでなく、入浴によるマグネシウムの「経皮吸収」もダイエットに取り入れたい方法の1つです。
エプソムソルト(硫酸マグネシウム)を入れたお風呂に浸かると、以下のようなメリットが期待できます。
・血行促進 → 代謝アップ&むくみ解消
・リラックス効果 → 睡眠の質向上&食欲のコントロール
・筋肉の緊張緩和 → 運動後の疲労回復をサポート
マグネシウムは直接的に「脂肪を燃やす」わけではありませんが、代謝を高め、疲労回復を促し、ストレスによる過食を防ぐことで、ダイエットを後押ししてくれるミネラルだと言えます。
関連記事:エプソムソルトとは?知っておきたい3つのメリットと3つのデメリット
マグネシウムのダイエット実践法5:マグネシウムの摂取と運動を組み合わせる
マグネシウムは、筋肉の弛緩・収縮や神経伝達に関わるため、運動パフォーマンスに直結します。
・筋肉がスムーズに動く → トレーニング効率アップ
・エネルギー代謝を助ける → 脂肪燃焼が促進される
・乳酸の分解を助ける → 疲労回復が早まり継続しやすい
つまり、マグネシウムをしっかり補うことで「運動の効果を最大化」でき、基礎代謝の向上や脂肪燃焼効率のアップにつながります。
無理な食事制限に頼らず、運動+マグネシウムでリバウンドしにくいダイエットを目指すことが可能です。
関連記事:筋肉とマグネシウムの関係は?マグネシウムで筋肉をケアする3つの方法
このようにマグネシウムをダイエットに取り入れることで「痩せやすい体質づくり」を内側からサポートする効果が期待できます。
食品・飲み物・サプリをバランスよく活用し、経皮吸収によるエプソムソルト入浴や運動と組み合わせることで、無理のない健康的なダイエットを実現できるでしょう。
まとめ|マグネシウムで効率的&健康的なダイエットを

今回は、マグネシウムとダイエットの関係についてご紹介しました。
マグネシウムは、直接ダイエット効果があるというエビデンスは限定的ですが、代謝アップ・血糖値の安定・筋肉の弛緩と収縮・便通の改善・むくみの解消・ストレスを和らげるなど、ダイエットを間接的にサポートしてくれる重要なミネラルです。
「食事内容は変わっていないのに太ってきた…」
「ストレスでつい食べ過ぎてしまう」
そんなお悩みがある方は、マグネシウム不足が関係しているかもしれません。
まずは日々の食事や生活習慣の中に、無理なくマグネシウムを取り入れる工夫をしてみてください。
体の内側から整えて、効率的で健康的なダイエットを目指していきましょう!
参考資料①Pubmed:The role of magnesium in edema and blood brain barrier disruption