マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っていい?飲み合わせの効果と摂取のコツを解説

マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っていい?飲み合わせの効果と摂取のコツを解説

マグネシウムと亜鉛は私たちの健康に必須のミネラルです。

ミネラルと聞くと、なんとなく体に良さそうなイメージがありますが、マグネシウムと亜鉛がどのようなミネラルで、体内でどんな働きをしているのか、説明できる方は少ないのではないでしょうか?

そこで今回はマグネシウムと亜鉛の働きや飲み合わせの効果、効率的な摂取方法を解説します。

マグネシウムと亜鉛を豊富に含む食材も紹介しているので、最後までご覧いただき、日常の食生活にミネラルを上手に取り入れる参考にしてください。

マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っても大丈夫?

マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っていい?飲み合わせの効果と摂取のコツを解説

マグネシウムと亜鉛はどちらも私たちの体に欠かせないミネラルです

結論からお伝えすると、この2つのミネラルを同時に摂取しても基本的には問題ありません

むしろ、適切なバランスで摂ることで相乗効果が期待できます。

ただし、一度に大量に摂取すると、互いの吸収を妨げてしまう可能性も考えられるため、バランスよく取り入れるようにしましょう。

マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っていい?飲み合わせの効果と摂取のコツを解説

亜鉛をサプリメントで摂るときは、銅とのバランスに気をつけることがとても大切です。

理想的なのは「亜鉛10に対して銅1」の割合で摂取すること

これは、亜鉛と銅が体内でお互いに補い合う働きをしているためです。

亜鉛のみを単独で摂取し続けると銅不足を引き起こす恐れがあり、逆のケースも同様です。

また、私がカナダで診療を行っていた際、亜鉛不足の見た目で分かるサインの一つとして「爪に現れる白い斑点」を確認していました。

それに加えて、硫酸亜鉛を使った味覚テストも活用していました。

この味覚テストは非常に興味深いもので、亜鉛が不足している人は、硫酸亜鉛の液体を口に含んでもほとんど味を感じません。

しかし、亜鉛が十分に体内にある人は、バナナの皮のような渋味を強く感じます。

こうした味覚の違いを利用することでも体内の亜鉛の状態をある程度判断することができ、

簡易的なチェック方法として有効でした。

マグネシウムと亜鉛の飲み合わせによるメリット

マグネシウムと亜鉛の飲み合わせによって、以下のようなメリットが期待できます。

メリット具体的な効果
免疫力の強化亜鉛が免疫細胞の生成をサポートし、マグネシウムが炎症反応を抑え、免疫機能が高まる。
ストレス・不安の軽減マグネシウムが神経の興奮を鎮め、亜鉛が神経伝達物質の代謝を助けることで、精神の安定をサポートする。
睡眠の質の改善マグネシウムがリラックスを促し、亜鉛がメラトニンの合成に関与することで、入眠や深い眠りを促す。
筋肉の健康維持と修復促進マグネシウムが筋肉を緩め、亜鉛は細胞の修復・再生を助けるため、筋肉の疲労回復に役立つ。
エネルギー代謝の促進両者とも代謝酵素の働きをサポートし、ATP(エネルギー源)の生成や栄養素の代謝を助ける。
皮膚・髪・爪の健康維持亜鉛が細胞の生成・再生を支え、マグネシウムが代謝を促し、美容にも良い効果を果たす。

このようにマグネシウムと亜鉛を一緒に摂取することで、健康維持に幅広い効果が得られると言えるでしょう。

マグネシウムと亜鉛|飲み合わせの効果を示す論文

実際にマグネシウムと亜鉛の飲み合わせによる健康効果は、多くの研究で報告されています。

今回はマグネシウムと亜鉛を同時に摂取することでその有効性が示された、海外の論文を2つ紹介します。

まずは2020年に報告された調査では、マグネシウムと亜鉛の同時摂取が代謝指標や炎症マーカー、精神的な健康に有益な可能性があることが明らかにされました。


調査目的
2型糖尿病(T2DM)と冠動脈疾患(CHD)をもつ人が、「マグネシウム」と「亜鉛」を同時摂取することで、血糖値・脂質・炎症・酸化ストレス・精神状態にどのような影響があるのかを調べる。
調査対象60人(2型糖尿病と冠動脈疾患の両方を持つ成人)
調査方法12週間、「マグネシウム+亜鉛」を摂るグループとプラセボ(偽薬)を摂るグループに分けて毎日薬を摂取してもらう。
調査結果”In patients with T2DM and CHD, the 12-week intake of magnesium plus zinc had beneficial effects on FPG, HDL-cholesterol, CRP, insulin, total nitrite, TAC levels, and BDI and BAI score. This suggests that magnesium and zinc co-supplementation may be beneficial for patients with T2DM and CHD. Further studies on more patients and lasting longer are needed to determine the safety of magnesium and zinc co-supplementation.”

マグネシウムと亜鉛を12週間一緒に摂取することで、血糖値、脂質、炎症、酸化ストレス、精神状態のすべてにおいて有意な改善が見られた

参照:The effects of combined magnesium and zinc supplementation on metabolic status in patients with type 2 diabetes mellitus and coronary heart disease|Springer Nature

そして、2018年に報告された研究では、「多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)」という生理不順やホルモンバランスの乱れがある女性にとって、マグネシウムと亜鉛の同時摂取は体の炎症やストレスを減らす助けになる可能性があると報告しています。

調査目的PCOSの女性における「マグネシウム+亜鉛」の抗炎症作用・抗酸化作用を評価する。
調査対象60人(PCOSを持つ若年〜中年女性)
調査方法12週間、「マグネシウム+亜鉛」を摂るグループとプラセボ(偽薬)を摂るグループに分けて毎日薬を摂取してもらう。
調査結果PCOSの女性において、マグネシウムと亜鉛を12週間同時に摂取することで、炎症や酸化ストレスの改善、炎症性遺伝子の抑制に有益な効果があることが明らかになりました。

参照:The Effects of Magnesium and Zinc Co-Supplementation on Biomarkers of Inflammation and Oxidative Stress, and Gene Expression Related to Inflammation in Polycystic Ovary Syndrome: a Randomized Controlled Clinical Trial|PubMed

これらの研究からマグネシウムと亜鉛を同時に、かつ適切に摂取することで、私たちの体だけでなく、心の面でも有益であることが実証されています。

マグネシウムと亜鉛は生命維持に必須のミネラル

マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っていい?飲み合わせの効果と摂取のコツを解説

マグネシウムと亜鉛は、私たちが生きていく上で必要不可欠なミネラルです。

そもそもミネラルとは五大栄養素の一つであり、タンパク質・脂質・炭水化物・ビタミン・ミネラルのことを指します。

残念ながら、ミネラルは体内で作り出せないため、食事やサプリメントなどから摂取しなければいけません

マグネシウムと亜鉛、それぞれのミネラルについて詳しく解説していきます。

マグネシウムとは?

マグネシウムは、体内で800以上の酵素の働きに関わる重要なミネラルです。

代表的な働きは以下のようなものです。

  • 筋肉の収縮と弛緩を調整し、こむら返りが気になる方におすすめ
  • 丈夫な歯や骨を形成する
  • 神経の興奮を抑え、精神を安定させる
  • エネルギーの代謝を助ける
  • 血圧の調整をサポートする
  • 心臓のリズムを安定させる
  • 便秘の調子を整えるのに役に立つ

マグネシウムには、その他にもさまざまな働きや効果があるので、以下の記事もあわせてご覧ください。

マグネシウムの効果がすごい!体に効く理由と正しい摂り方を完全解説

亜鉛とは

亜鉛は、細胞分裂や新陳代謝、免疫機能の維持に欠かせないミネラルです。

以下が主な働きとなります。

  • 免疫力を高める
  • 皮膚・粘膜の健康を守る
  • 味覚・嗅覚を正常に保つ
  • ホルモンの分泌・調整を支える
  • ストレス・うつ症状を和らげる
  • 抗酸化作用により老化を防ぐ
  • 精子の生成や男性機能の維持に重要な役割を果たす
  • 抜け毛や脱毛が気になる方におすすめ

亜鉛もマグネシウムと同様に、多岐に渡って私たちの健康を維持する栄養素ですが、亜鉛の摂りすぎは、銅の吸収を阻害するおそれがあるので、過剰摂取にはならないようご注意ください。

マグネシウムと亜鉛、1日に必要な摂取量は?

マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っていい?飲み合わせの効果と摂取のコツを解説

1日あたりのマグネシウムと亜鉛の「推奨摂取量」は、以下です。

<マグネシウムと亜鉛の食事摂取基準(mg/日)>

性別(年齢)マグネシウム亜鉛
成人女性(18~64歳)280~290mg7.5〜8.0mg
成人男性(18~64歳)340~380mg9.0〜9.5mg

参考:日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省

マグネシウムも亜鉛もどちらも健康に重要な役割を果たすミネラルですが、現代人にとっては不足しがちな栄養素です。

不足することで、次のようなさまざまな不調や病気のリスクが高まる恐れがあります。

【マグネシウム不足による不調・症状】

  • こむら返りや肩こり
  • 片頭痛
  • 疲れやすい・慢性的な倦怠感
  • 高血圧
  • 骨粗しょう症のリスク増加・便秘
  • PMS(月経前症候群)の悪化
  • 睡眠の質の低下

特にマグネシウムはカフェインやアルコール摂取が多い人、ストレスの影響を受けやすい人が失いやすいため、注意するようにしましょう。

マグネシウム不足の症状と招く病気のリスクとは?最新研究が明かす健康への影響と予防法 マグネシウム不足の症状と招く病気のリスクとは?最新研究が明かす健康への影響と予防法

【亜鉛不足による不調・症状】

  • 抜け毛・脱毛
  • 味覚障害や嗅覚障害
  • 集中力の低下・記憶力の低下
  • イライラ・抑うつ傾向
  • 食欲不振・下痢などの消化器症状
  • 男性の精子数や運動率の低下
  • 月経不順やPMSの悪化
  • 肌荒れや湿疹、ニキビ、吹き出物

亜鉛は加工食品の摂取やストレス、飲酒、偏食などで知らず知らずのうちに不足しがちです。

また、妊娠中や授乳中の女性、アスリート、肉体労働者、高齢者などは亜鉛を失いやすくなっているので、特に意識して亜鉛を摂取するようにすると良いでしょう。

マグネシウムと亜鉛の効率的な摂取方法は?

マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っていい?飲み合わせの効果と摂取のコツを解説

マグネシウムと亜鉛を効率的に摂取するには、以下の2つの方法がおすすめです。

  • マグネシウムと亜鉛の効率的な摂取方法1:食事
  • マグネシウムと亜鉛の効率的な摂取方法2:サプリメント

それぞれ詳しく解説していきます。

マグネシウムと亜鉛の効率的な摂取方法1:食事

まず基本となるのは、日々の食事からの摂取です。

マグネシウムは海藻類、ナッツ、豆類に多く含まれており、玄米や雑穀ごはんを取り入れることでも補えます。

一方、亜鉛は肉類、魚介類、卵、チーズなどに豊富です。

特に加工されていない自然な食品を選ぶことで、ミネラルの吸収率を高められます。

どちらか一つを一度に多量にとればいいということではなく、日々の食事でバランスよく摂取できるのが理想的ですね。

マグネシウムと亜鉛の効率的な摂取方法2:サプリメント

普段の食事からでは十分な摂取が難しい方は、サプリメントの活用は不足分を補う意味でおすすめです。

仕事や家事、育児で慌ただしく、食事に手をかけたくてもなかなかそうできない人にとって、サプリは手軽に必要な栄養素を補える手段と言えるでしょう。

また、マグネシウムであれば経皮吸収(肌から吸収する)という摂取方法も検討してみてください

なぜなら、亜鉛は分子が大きく皮膚を通りにくいため、ほとんど経皮吸収されないと考えられていますが、マグネシウムはいくつかの研究において、経皮吸収される可能性が高いと示されているからです。

以下の記事で、マグネシウムの経皮吸収について解説しています。

ぜひ参考にしてください。

経皮吸収は本当に効果がある?最新のエビデンス(論文)で科学的に証明! 経皮吸収は本当に効果がある?最新のエビデンス(論文)で科学的に証明!

マグネシウム・亜鉛が豊富な食材ランキングTOP5

マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っていい?飲み合わせの効果と摂取のコツを解説

ここではマグネシウムと亜鉛、それぞれのミネラルを豊富に含む食材TOP5を紹介していきます。

<マグネシウム : 含有量Top5>

順位食品名成分量(100gあたりmg)
1藻類/あおさ/素干し3,200
2藻類/あおのり/素干し1,400
3藻類/てんぐさ/素干し1,100
4藻類/わかめ/乾燥わかめ/素干し1,000
5藻類/ひとえぐさ/素干し880

ちなみに「素干し」とは、味付けや加工をせずに素材そのものを乾燥させた状態を表します。

以下の記事ではさらに詳しくマグネシウムを豊富に含む食べ物を紹介しているので、こちらも参考にしてください。

マグネシウム不足を改善する食べ物ベスト10!効果的な摂取方法も解説 マグネシウム不足を改善する食べ物ベスト10!効果的な摂取方法も解説

<亜鉛 : 含有量Top5>

順位食品名成分量(100gあたりmg)
1魚介類/かき/くん製油漬缶詰25
2魚介類/かき/養殖/水煮18
3穀類/小麦/小麦はいが16
4魚介類/かき/養殖/生14
5魚介類/かき/養殖/フライ12

5位中、4つが牡蠣(カキ)であり、その含有量の高さが伺えます。

牡蠣は「海のミルク」と言われるだけあって、亜鉛だけでなく、鉄分やビタミンB12、タウリン、カルシウム、マグネシウム、たんぱく質なども含む栄養価の高い食材です。

たとえ毎日とはいかなくとも、1日1食でもこうした食材を意識して積極的に摂取していくことで、今よりさらに健康な体と心を手にいれられるはずです。

まとめ:マグネシウムと亜鉛の相乗効果で健康に!

マグネシウムと亜鉛は一緒に摂っていい?飲み合わせの効果と摂取のコツを解説

マグネシウムと亜鉛は、どちらも健康維持に欠かせない重要なミネラルです。

だからといって、どちらか一方をむやみやたらに摂取すればいいということではなく、大切なのはバランス。

マグネシウムと亜鉛は互いに補完しあう関係にあるため、適切なバランスで摂取すれば、エネルギー代謝や免疫力、ストレスへの耐性など、さまざまな健康効果が見込めます

日々の食生活を見直し、必要に応じてサプリメントも取り入れながら、栄養バランスのとれた生活を無理なく習慣化していけるといいですね。