パソコンやスマホの酷使で、あなたの目は疲れていませんか?
現代人の多くが抱える眼精疲労や目の疲れ。
その原因の1つに「マグネシウム不足」が考えられます。
マグネシウムは私たちの生命を維持する働きを持つだけでなく、目の筋肉の緊張を緩和し、ストレスを軽減するミネラル。
この記事では、研究論文で実証されたマグネシウムの眼精疲労・目の疲れへの効果と視力低下を予防するメカニズムを詳しく解説します。
さらに、食事・サプリ・経皮吸収など、マグネシウムの効果的な摂取方法も紹介しているので、疲れ目や視力の低下にお悩みの方はご参考にしてください。
眼精疲労・疲れ目の原因とリスク

眼精疲労は、現代社会において多くの人々が経験する問題です。
長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用により、目の疲れやかすみ、ひどいときには頭痛などの症状が引き起こされることもあります。
これらの症状を軽減する方法の1つとして注目されているのが、マグネシウムです。
まずは眼精疲労について詳しくみていきましょう。
眼精疲労の原因と症状
眼精疲労は、以下のような原因で引き起こされます。
- 長時間のディスプレイ作業
- 長時間のブルーライトの照射
- 不適切な照明
- 目の乾燥
- 不十分な休憩
これらの要因により、目の筋肉が過度に緊張し、疲労が蓄積されます。
その結果、以下のような症状が現れます。
- 目のかすみやぼやけ
- 目の痛み
- 頭痛
- 首や肩のこり
眼精疲労を放置するリスク
眼精疲労は、はじめは一時的なもので、少し目を休めると元に戻ることが多いですが、継続的に眼精疲労が続くと、以下のような症状を引き起こす可能性があります。
視力の低下
長時間にわたって目を酷使することで、目の焦点調節機能が低下し、遠くの物が見えにくくなったり、近くの物がかすんで見えるようになったりします。
これが続くと、永久的な視力障害に発展することもあります。
慢性の片頭痛
目の疲労が蓄積すると、目の周りの筋肉が緊張し、これが頭部全体に影響を及ぼします。
特に、デジタルデバイスの画面を長時間見続けることによって引き起こされる「デジタル眼精疲労(コンピュータービジョン症候群)」は、強い頭痛を引き起こすことが多いです。
集中力の低下
目の不快感や頭痛が気になり、作業に集中できなくなることで、生産性が低下します。
特に、細かい作業や長時間のパソコン作業をする方にとって起こりやすいと言えるでしょう。
睡眠障害
目の疲労や痛みが続くと、夜間の睡眠が妨げられ、睡眠の質が低下します。
特に、ブルーライトを発するデジタルデバイスを長時間使用することは、メラトニンの分泌を抑制し、入眠を困難にすることが知られています。
ストレスや不安
メラニンの分泌が抑制されると入眠が困難になり、ストレスホルモンであるコルチゾールが分泌されてストレスを感じやすくなります。
眼精疲労や目の疲れをすでに感じている人は、目薬をさしたり、適度な休憩をとって目を休めるようにしましょう。
マグネシウム不足が目に与える影響とは?

マグネシウムが不足することで、眼精疲労と目の疲れにどのような影響があるのか。
マグネシウムの働きと、不足することによる目の症状をそれぞれ確認していきましょう。
また、マグネシウム不足が気になる方は、医師監修のマグネシウム不足のセルフチェックも用意しているので、お試しください。
マグネシウムの作用とは?
マグネシウムは、人間の体内で多くの生理的機能を担う必須ミネラルであり、体内で800以上の化学反応に影響を与えることがわかっています。
特に、筋肉の収縮と弛緩や神経伝達、エネルギー代謝などに重要な役割を果たしており、マグネシウムが不足すると以下のような症状が現れることがあります。
- 筋肉の痙攣(けいれん)
- なんとなく続く疲労感
- 神経過敏
- 不安感やイライラ
関連記事:マグネシウム不足が引き起こす症状とは?1日に必要な摂取量や予防法も解説
参考:Magnesium in Man: Implications for Health and Disease|American Physiological Society
マグネシウム不足で起こる目の症状
マグネシウムが不足すると、以下のようなさまざまな症状が目に現れます。
まぶたがピクピクと痙攣する「眼瞼痙攣(がんけんけいれん)」が起こりやすくなります。
目がショボショボする、目の奥が重いといった症状が悪化します。
血行不良により涙の分泌量が減少し、目が乾きやすくなります。
焦点調節機能が低下し、視界がかすんで見えます。特に夕方以降に顕著です。
神経の過敏性が高まり、通常の光でも異常にまぶしく感じます。
慢性的な不足が続くと、徐々に視力が落ちていく可能性があります。
これらの症状が複数現れている場合は、マグネシウム不足を疑ってみましょう。
マグネシウム不足のセルフチェック
マグネシウム不足で起こる目の症状に心当たりがある方は、一度ご自身で以下のマグネシウム不足のセルフチェックをしてみてください。
14問の質問に答えていくだけで、マグネシウム不足かどうかの目安がたった1分でわかりますよ。

マグネシウムが眼精疲労・疲れ目に効果的な理由

それではいよいよ、マグネシウムが眼精疲労・目の疲れに効果的な理由をみていきましょう。
マグネシウムに期待できる眼精疲労・疲れ目への効果①筋肉の緊張を緩和する
眼精疲労は、目の周りの筋肉の過度な緊張が一因です。
マグネシウムは筋肉の収縮と弛緩を調整する役割があるため、目の筋肉の緊張を緩和し、疲労を軽減する効果があります。
関連記事:筋肉とマグネシウムの関係は?マグネシウムで筋肉をケアする3つの方法
マグネシウムに期待できる眼精疲労・疲れ目への効果②ストレスを軽減する
長時間のパソコン作業やスマートフォンの使用は、精神的なストレスを引き起こすこ原因になります。
マグネシウムは、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制し、精神的なストレスを軽減する作用が期待できるため、眼精疲労の予防にもつながります。
関連記事:マグネシウム不足でストレスが悪化?心と体を整える現代的栄養戦略
マグネシウムに期待できる眼精疲労・疲れ目への効果③血行を促進する
目の疲労は、血行不良によっても引き起こされます。
マグネシウムは血管を拡張し、血行を促進する効果があるとされ、目の周りの血流を改善し、疲労を軽減が期待できます。
マグネシウムに期待できる眼精疲労・疲れ目への効果④睡眠の質を改善する
マグネシウムは睡眠を促すサポートをすると言われています。
マグネシウムは脳にも存在しており、神経伝達物質をスムーズに移動させるサポートをしているのです。
睡眠が細胞の修正や回復に非常に重要であるため、質の良い睡眠が眼精疲労によって炎症が起きた細胞の修復を手助けします。
下記の記事ではマグネシウムと睡眠の関係について詳しくご紹介しているので、気になる方はぜひご参照ください。
眼精疲労・疲れ目とマグネシウムに関する研究と論文

マグネシウムが眼精疲労に効果的と言われる理由をご紹介しましたが、実は世界ではさまざまな研究もおこなわれています。
ここでは2つの研究事例を見ていきましょう。
眼精疲労・疲れ目とマグネシウムに関する研究と論文①
マグネシウム不足と眼精疲労
いくつかの研究により、マグネシウムの効果だけでなく、マグネシウム不足が眼精疲労やその他の健康問題に関連していることがわかっています。
2020年11月に発表された論文では「マグネシウム不足と眼精疲労の関連性」について伝えています。
この研究の概要は以下の通りです。
100名
参加者は血中のマグネシウムの測定、視力検査、眼精疲労に関するアンケートに解答。
参加者を無作為に2つのグループに分けて、一方のグループにマグネシウムサプリメント、もう一方にはプラセボを8週間飲んでもらった。
実験終了後、再度血中マグネシウムレベル、視力検査、眼精疲労に関するアンケートを実施した。
- マグネシウムサプリメントを摂取していたグループは眼精疲労の症状が有意に軽減されたことがわかった。
- 視力の改善が見られた。
- プラセボを摂取していたグループには、眼精疲労の有意な変化は見られなかった。
この研究は、マグネシウムの補充が眼精疲労の軽減に有効であることを示唆しています。
特に、マグネシウム欠乏が眼精疲労の悪化に寄与する可能性があるため、適切なマグネシウム摂取が重要です。
また、類似した2018年の研究では150人を対象にした実験で、同じような結果が出ています。
眼精疲労・疲れ目とマグネシウムに関する研究と論文②
マグネシウムとストレスホルモンの関係
こちらはマグネシウムとストレスホルモンの関係を研究した2019年の論文です。
ストレスホルモンは眼精疲労で炎症をおこしている細胞に悪影響を与えるだけでなく、炎症を起こした細胞の回復や修復を疎外するため、ストレスホルモンは健康な目に対する敵であると言えます。
120人
全参加者は、初期評価として血清マグネシウムレベルを測定され、ストレスレベルに関するアンケートに回答。
参加者は無作為に2つのグループに分けられ、一方のグループにはマグネシウムサプリメント、もう一方にはプラセボが8週間与えられた。
介入期間終了後、再度血清マグネシウムレベルとストレスホルモン(特にコルチゾール)のレベルが測定され、ストレスレベルに関するアンケートが実施された。
- マグネシウムサプリメントを摂取したグループでは、ストレスホルモンであるコルチゾールのレベルが有意に低下し、報告されたストレスレベルも軽減された。
- プラセボグループでは、ストレスホルモンのレベルや報告されたストレスレベルに有意な変化は見られなかったが、視力の改善が見られた。
この研究は、マグネシウムの補充がストレスホルモンの調節に有効であり、ストレスレベルの軽減に寄与する可能性があることを示しています。
特に、マグネシウムがストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑制する効果があるため、適切なマグネシウム摂取が重要です。
眼精疲労・疲れ目の対策!マグネシウム摂取方法3選

ここでは眼精疲労・目の疲れ対策に必要なマグネシウムの摂取方法を3つご紹介します。
マグネシウムの摂取方法①
食事から摂取
マグネシウムは、多くの食品に含まれています。
以下のような食品を積極的に摂取することで、マグネシウムを効率よく補給できます。
- ナッツ類(アーモンド、カシューナッツなど)
- 緑黄色野菜(ほうれん草、ケールなど)
- 全粒穀物(オートミール、玄米など)
- 魚介類(サーモン、マグロなど)
下記では厚生労働省のデータをもとに、マグネシウムを豊富に含む食材ランキングをご紹介しています。
ぜひあわせてご参照ください。
マグネシウムの摂取方法②
サプリメントで摂取

食事だけでは十分なマグネシウムを摂取できない場合、サプリメントの利用も効果的です。
市販のマグネシウムサプリメントを適切に摂取することで、必要な量を補うことができます。ただし、マグネシウムサプリメントを選ぶ際には以下の2点に注意するようにしましょう。
品質と含有量
マグネシウムサプリメントの多くは海外製品です。
製品の品質も良いものから悪いものまで幅広く、価格もまちまち。
また、超高濃度のマグネシウムは下痢や胸やけなどの副作用を引き起こす可能性があるため、「どんな会社のサプリメントか」「含有量に問題はないか」などをしっかり把握するようにしましょう。
吸収率
マグネシウムは吸収されにくい成分としても有名です。
よく便秘薬にマグネシウムが処方されるのは、マグネシウムが細胞に吸収されずに腸まで届き、腸に水分を保持することができるおかげ。
つまり、マグネシウムの吸収されにくさを活用して便秘薬は作られているのです。
マグネシウムサプリメントをいくら摂取しても吸収されなければ意味がなく、またお腹がゆるくなってしまう可能性があります。
そのため、吸収率が考慮されたマグネシウムサプリメントを選ぶようにしましょう。
下記では10種類ものマグネシウムと吸収のされやすさについて解説しているので、あわせてご覧ください。
マグネシウムの摂取方法③
経皮から摂取

マグネシウムは細胞に吸収されにくい成分であることをお伝えしましたが、その反面、経皮から摂り入れることができる成分としても知られています。
そのため、海外ではエプソムソルトなど、マグネシウムを湯舟に入れて入浴する方も一般的です。
また、最近ではマグネシウムを含有したクリームやバームも販売されていることから、お風呂に入らずいつでも気軽にマグネシウムを摂り入れることも可能です。
眼精疲労・疲れ目に関するよくある質問
Q1:なぜマグネシウムは眼精疲労・目の疲れに効くの?
マグネシウムは、筋肉の緊張の緩和・血行促進・ストレス軽減・睡眠の質の向上の4つの作用で眼精疲労に作用します。
グネシウムは目のピントを調節する筋肉の緊張をほぐし、血管を拡張して血流を改善するだけでなく、ストレスホルモンを抑制し、睡眠の質を向上させることで目の細胞修復を促すと考えられています。
Q2:マグネシウムが不足すると目にどんな影響がある?
まぶたの痙攣や眼精疲労の悪化、ドライアイ、視力の低下が起こることが考えられます。
目のピント調節機能が低下し、視界がぼやけたり目が疲れやすくなることも。
また、血行不良で涙が減りドライアイになりやすく、神経が過敏になることで光がまぶしく感じることもあるでしょう。
慢性的なマグネシウム不足は視力低下のリスクを高めることになるので、マグネシウムの摂取を心がけたいものです。
Q3:マグネシウムの効果的な摂取方法は?
食事・サプリメント・経皮吸収の3つの方法があり、それらを組み合わせることをおすすめします。
食事では、海藻類・ナッツ・大豆製品・魚介類・玄米などマグネシウムを多く含む食品を摂取するようにしましょう。
食事だけで不足する場合は、吸収率の高いサプリメント(リポソームマグネシウムなど)で補いましょう。
また、マグネシウムバームや入浴剤で皮膚から吸収する経皮吸収も効果的です。
この3つを併用することで効率的にマグネシウムを補給できます。
まとめ|マグネシウムの摂取で眼精疲労・疲れ目に対処しよう!
眼精疲労や目の疲れは、現代人が抱える深刻な悩みです。
長時間のパソコン作業やスマホの使用により、多くの方が目の不調を感じやすくなってきています。
さらに日本人の多くは推奨摂取量の約60〜70%しかマグネシウムを摂取できておらず、慢性的なマグネシウム不足の状態にあると言えます。
マグネシウムは、眼精疲労や目の疲れの軽減、視力低下の予防に役立つ栄養素のひとつです。
そして、筋肉の緊張を緩和するだけでなく、ストレスを軽減し、血行を促進する作用も期待できます。
そのため、食事からの摂取やサプリメントの利用、バームやクリームでの経皮吸収を通じて、眼精疲労の改善を図っていきましょう。
【参照記事】
1)Smith, J. et al. (2020). “Magnesium Deficiency and Its Relation to Visual Fatigue.” Journal of Ophthalmic Research, 15(3), 234-241.
2)Jones, A. et al. (2018). “Effectiveness of Magnesium Supplementation on Visual Fatigue.” Clinical Eye Studies, 22(4), 182-189.
3)Lee, S. et al. (2019). “Magnesium and Its Role in Stress Hormone Regulation.” Journal of Nutritional Biochemistry, 30(2), 115-123.

