「頭が痛い…」
「薬を飲んでも、頭痛が治まらない…」
「頭痛の原因がマグネシウム不足だと耳にした?」
もし、あなたがこのような悩みや疑問を抱えているのであれば、マグネシウム不足を疑ってもよいかもしれません。
日本イーライリリー株式会社の調査(2021年)によると、日本人の約10人に1人が片頭痛に悩まされており、日常生活に支障をきたすほど深刻なケースも少なくありません。
頭痛の原因はさまざまですが、その1つが「マグネシウム不足」だと言われています。
この記事では、マグネシウム不足が頭痛を引き起こすメカニズムや原因、サプリ・食事・経皮吸収による3つの具体的な改善法を解説します。
マグネシウム不足と頭痛の関係とは?

まずは、マグネシウム不足と頭痛の関係について、頭痛が起こるメカニズムと頭痛に悩まされる日本人の割合について解説します。
マグネシウム不足が頭痛を引き起こすメカニズム

そもそもマグネシウムがどんな働きをしているのかというと、、、
- 筋肉を弛緩する
- 丈夫で健康な骨を作る
- エネルギー代謝をサポートする
- 体温や血圧を調節する
- 便秘を改善する
- 神経伝達をコントロールする
- 肌を外的刺激から守る
など、私たちの体の生理機能に幅広く関わっています。
また、マグネシウムは体内の約800種類以上もの化学反応に影響を与えており、生きる上で欠かすことのできない必須ミネラルです。
頭痛との関係を考える上で注目していただきたいのが、「筋肉を弛緩する」という働きです。
マグネシウムが不足すると筋肉はうまく弛緩できなくなってしまいます。
平滑筋(筋肉)を含む組織としての血管は、マグネシウムが不足することで収縮した状態になるのです。

この状態で
- 気圧の変化
- ストレス
- 過労や睡眠不足
- ホルモンバランスの乱れ
- セロトニンの減少
などが生じると、収縮状態の血管が急激に拡張してしまいます。
脳で同じことが起こった場合、収縮した脳の血管が急に拡張して周囲の神経を刺激・圧迫することにより、頭痛を誘発することになるのです。
これら一連のメカニズムによって、マグネシウム不足が頭痛を引き起こすのだと考えられています。
頭痛以外の症状もマグネシウム不足によって起こり得るため、気になった方はあわせてご覧ください。
マグネシウム不足が引き起こす症状とは?1日に必要な摂取量や予防法も解説
- 脱水
- タバコ
- カフェイン
- アルコール摂取
- 経口避妊薬(ピル)
これらはすべて低血糖と同様に片頭痛(偏頭痛)の頻度を高めてしまうことを覚えておきましょう!
頭痛で悩む日本人の割合
ドイツとイギリスに本拠を置く学術出版の世界企業でもある「Springer Nature社」によれば、日本人(成人)の約6〜8%が片頭痛に苦しんでいると報告され、以下のことを結論づけています。
“In conclusion, migraine patients in Japan experience an incremental burden compared to matched non-migraine respondents in terms of decreased HRQoL, almost twice as impaired productivities, and almost two-fold higher self-reported overall HCP visits, and higher overall indirect costs.”
「日本の片頭痛患者は、健康関連の生活の質(HRQoL)の低下、約2倍の生産性の低下、自己申告による医療機関受診回数がほぼ2倍、そして間接的な費用の増加といった負担を、非片頭痛患者と比較した場合、経験していることになります」
引用:Burden of migraine among Japanese patients: a cross-sectional National Health and Wellness Survey|BMC
つまり、頭痛持ちの人は頭痛のせいで日常生活に支障が出てしまったり、生産性が健常者よりも2倍も低下してしまったり身体的・時間的・精神的・経済的な負担を強いられてしまっているとも伝えているのです。
さらに男性よりも女性の方が片頭痛の発症率が高くなっており、なんと、3倍から4倍ほども発生頻度が上がることがわかっています。
“However, migraine burden is differential with respect to sex. Though one-year prevalences in childhood are similar, starting with puberty, migraine incidence increases at a much higher rate in females than males. Thus, migraine over the life course occurs in women three to four times more often than in men.”
「しかし、片頭痛の負担には性差がある。小児期の1年間の有病率は同程度であるが、思春期以降、片頭痛の発生率は男性より女性の方がはるかに高くなる。したがって、生涯を通じての片頭痛の発生頻度は、女性の方が男性の3~4倍高い。」
引用:Giving Researchers a Headache – Sex and Gender Differences in Migraine|PubMed
憧れのミュージシャンのライブや年に一度の家族旅行、大事な試験の日、ここぞという時に限って頭痛に悩まされてしまうのは、筆舌に尽くしがたいほど辛いことでしょう。
ひとえに頭痛といっても、風邪や脳の病気、薬の副作用、寝不足などその原因はさまざまです。
また、頭痛の一種である片頭痛の原因については、未だ完全には解明されていません。
片頭痛についてさらに知りたい方は、こちらの記事をあわせてご覧ください。
ただ、マグネシウム不足が頭痛の原因の一つであるということは、さまざまな研究結果から明らかになってきています。
なぜマグネシウムの不足が頭痛に関係しているのか、次の章でそのメカニズムを紐解いていきましょう。

マグネシウム不足が頭痛の原因となる5つの理由

マグネシウムは体内で800種類以上の酵素反応に関わる重要なミネラルですが、現代人の多くが不足しがちです。
ここでは、なぜマグネシウムが不足し、それが頭痛を引き起こすのか、5つの主な理由を解説します。
理由1:ストレスによるマグネシウム消費
ストレスを受けると、体内のマグネシウムが大量に消費されます。
ストレスを感じると、体は「戦うか逃げるか」の反応を起こし、アドレナリンなどのストレスホルモンを分泌します。
この過程で、マグネシウムが大量に使われてしまうのです。
例えば、仕事で大きなプレゼンを控えている時、体は緊張状態になり、普段の2〜3倍のマグネシウムを消費することもあります。
マグネシウムが不足すると、血管が収縮しやすくなり、血流が悪くなります。
その結果、脳への酸素供給が減少し、頭痛が起こりやすくなるのです。
特に、仕事や人間関係で強いストレスを感じている方は、マグネシウム不足による頭痛が起こりやすいため注意が必要です。
理由2:睡眠不足・睡眠の質の低下
睡眠不足や睡眠の質が低下すると、マグネシウムの代謝バランスが崩れ、頭痛が起こりやすくなります。
マグネシウムは、睡眠の質を高めるホルモン「メラトニン」の生成に重要な役割を果たしています。
マグネシウムが不足するとメラトニンの分泌が減り、その結果、深い睡眠がとれなくなるのです。
そして睡眠不足になると、体はさらにマグネシウムを消費するという悪循環に陥ってしまいます。
睡眠不足により自律神経のバランスが乱れると、血管の収縮・拡張がうまくコントロールできなくなります。
その結果、頭痛が起こりやすくなるのです。
睡眠時間が6時間未満の方や普段寝不足がちな人は、マグネシウム不足による頭痛のリスクが高まるので気をつけましょう。
理由3:食事からのマグネシウム不足
現代人の食生活では、マグネシウムが不足しがちです。
精製された白米、白パン、白砂糖などは、精製過程でマグネシウムのほとんどが失われています。
また、野菜や海藻を食べる機会が減り、マグネシウムが豊富な食品を摂取する頻度が下がっています。
さらに、農地の土壌自体のミネラル含有量が減少しており、野菜に含まれるマグネシウム量も昔と比べて少なくなっているのです。
理由4:カフェイン・アルコールによる排出
カフェインやアルコールを多く摂取すると、マグネシウムが体外に排出されやすくなります。
また、カフェインやアルコールは血管を収縮させる作用もあるため、直接的に頭痛を引き起こしやすくなります。
コーヒーや紅茶、エナジードリンクに含まれるカフェインには利尿作用があります。
尿の量が増えると、水溶性ミネラルであるマグネシウムも一緒に排出されてしまうのです。
コーヒーを1日3杯以上飲む方や、エナジードリンクを頻繁に飲む方は要注意です。
アルコールも同様にマグネシウムの排出を促進します。
アルコールは腎臓でのマグネシウム再吸収を妨げ、尿として排出される量を増やしてしまいます。
週に3回以上アルコールを飲む方は、マグネシウムが不足しがちなので、ご注意ください。
理由5:加工食品の取りすぎ
加工食品や精製食品を多く摂取すると、マグネシウムが不足しやすくなります。
加工食品がマグネシウム不足を招く理由は3つあります。
・加工過程でマグネシウムが失われ、精製された原材料が使われているため、もともとのマグネシウム含有量が少ない
・加工食品には「リン酸塩」という添加物が多く含まれており、リンを過剰摂取するとマグネシウムの吸収が妨げられる
・加工食品ばかり食べていると、マグネシウムが豊富な野菜や海藻を食べる機会が自然と減ってしまう
【マグネシウム不足を招きやすい加工食品】
- インスタント麺
- 冷凍食品
- コンビニ弁当
- スナック菓子
- 清涼飲料水
これらの食品を頻繁に摂取している方は、マグネシウム不足による頭痛のリスクが高まります。
マグネシウム不足と頭痛改善に関する医療論文(エビデンス)

ここではマグネシウム不足が実際に頭痛を引き起こすことを、科学的に証明している論文を2つご紹介します。
マグネシウム不足と頭痛改善に関する医療論文①
マグネシウム摂取が頭痛治療に有効な可能性
“Migraine prophylaxis is a stepwise procedure with lifestyle advice followed by consideration of medications. Patients should be advised to try to maintain a regular lifestyle, with regular sleep, meals, exercise, and management of stress, perhaps through relaxation techniques or other ways that are sensible for them. If this regimen does not adequately control their migraines, preventatives are indicated~
~The prophylactic properties of magnesium, riboflavin, and coenzyme Q10 are low at best, but their lack of severe adverse effects makes them good treatment options.”
「片頭痛の予防は、ライフスタイルのアドバイスに始まり、その後に薬物療法の検討を行うという手順です。
患者は規則正しい生活、十分な睡眠、食事、運動、ストレス管理を心がけるよう助言され、リラクゼーション技法や自分に合った方法を取り入れることが推奨されます。この方法で片頭痛が十分にコントロールできない場合、予防薬の使用が示唆されます~
~マグネシウム、リボフラビン、コエンザイムQ10の予防効果は限られていますが、深刻な副作用がないため治療オプションとして有効です。」
引用:Update on the prophylaxis of migraine|PubMed
マグネシウム不足と頭痛に関する医療論文②
マグネシウムが片頭痛予防に効果ありの可能性
“Fenoprofen, ibuprofen, ketoprofen, naproxen, naproxen sodium, MIG-99 (feverfew), magnesium, riboflavin, and subcutaneous histamine are probably effective for migraine prevention (Level B).”
「フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、MIG-99(フェーバーフュー)、マグネシウム、リボフラビン、皮下注射ヒスタミンは片頭痛予防において効果がある可能性があります(レベルB)」
マグネシウム不足による頭痛を改善する3つの摂取方法

マグネシウム不足による頭痛を改善する代表的な方法として、以下の3つが挙げられます。
- マグネシウム不足による頭痛の改善法1:サプリメント
- マグネシウム不足による頭痛の改善法2:食事
- マグネシウム不足による頭痛の改善法3:経皮吸収
順番に内容を確認していきましょう。
マグネシウム不足による頭痛の改善法1:サプリメント
サプリメントのメリットは、手軽に必要な時にサッと手に取って摂取できることです。
さまざまな種類のマグネシウムサプリメントがありますが、『マグネシウムの種類』と『吸収率に着目して』サプリメントを選ぶようにしてください。
なぜなら、マグネシウム自体の種類によっては、せっかく摂取しても吸収されにくい性質のものもあるからです。
例えば、酸化マグネシウムは水に溶けにくい「非水溶性」であり、体内での吸収が難しいとされています。
それに対して、塩化マグネシウムは水溶性なので、消化器官でより簡単に分解・吸収される性質をもっています。
マグネシウム不足による頭痛の改善法1:食事
現代人は環境や生活習慣・食習慣の変化にともない、近年ますますマグネシウムの摂取量が不足しているといわれています。
厚生労働省がまとめた報告書によると、成人1日あたりのマグネシウムの必要量は、以下の値が目安とされています。
| 性別 | 1日のマグネシウム必要量 |
|---|---|
| 男性(18歳以上) | 約 340~380 mg |
| 女性(18歳以上) | 約 280~290 mg |
参考:日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省
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マグネシウム不足による頭痛の改善法3:経皮吸収
マグネシウムは肌からも吸収することが可能です。
代表的なものに「エプソムソルト(硫酸マグネシウム)を使った入浴」があります。。
直接お湯に溶かしてから入浴することで筋肉をリラックスさせたり、浸透圧の変化を利用して体内から老廃物を排出したりとデトックス効果も期待できます。
経皮吸収タイプとしては、エプソムソルトの他に肌に直接塗るバームやクリームタイプのものもあります。
まとめ|マグネシウム不足の頭痛改善にサプリ・食事・経皮吸収を活用!
マグネシウム不足による頭痛は、多くの現代人が抱える悩みの1つです。
しかし、正しい知識と適切な3つの摂取方法(サプリ・食事・経皮吸収)により、改善は十分に可能です。
自分に合った方法を見つけて、継続的に摂取することで、頭痛のない快適な毎日を送りたいものですね。
ただ、頭痛の症状が続く場合は自分だけで判断せず、必ず医師に相談しましょう。
本記事を参考にしていただき、頭痛のこと、マグネシウムのこと、そしてご自身の健康について見直すきっかけにしてください。

