多忙な日々を過ごしていると、つい食事がおろそかになってしまいますよね。
加工食品や外食にばかり頼ってしまい、「栄養バランスが心配…」と気を揉んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に現代人には、必須ミネラルの一つである「マグネシウム」が不足しがちです。
そんな悩みを解決へと導いてくれる食品の一つが「海苔」です。
海苔にはマグネシウムをはじめ、さまざまな栄養素が豊富に含まれています。
その上、海苔は「グルタミン酸」「イノシン酸」「グアニル酸」と3種類ものうま味成分を含有している、珍しい食品でもあります。
今回は、日本のスーパーフードとも言うべき海苔の栄養価や簡単レシピ、保存方法までご紹介します。
栄養たっぷりのスーパーフード「海苔」の魅力

日本の伝統的な食品である海苔は、実は驚くほど栄養が詰まったスーパーフードです。
まずは、栄養面から見た海苔の魅力からご紹介します。
海苔はマグネシウムが豊富
海苔に含まれる代表的な栄養素の一つがマグネシウムです。
マグネシウムは、エネルギー代謝や筋肉・神経の健康維持、ホルモンバランスの調整などさまざまな働きをする重要なミネラルですが、現代人に不足しがちな栄養素でもあります。
文部科学省が作成した食品成分データベースによると、焼き海苔100gあたりおよそ300mgのマグネシウムが含まれています。
つまり、海苔1枚(約3g)には、10mg程度のマグネシウムが含まれているということになります。
海苔を積極的に食事へ取り入れることで、大きな栄養効果が期待できます。

マグネシウムが豊富に含まれている食材をレシピに取り入れることは、摂取の第一歩としてとても大切です。ただし、食事だけでは十分な摂取量に届かない場合もあるので、注意が必要です。
というのも、現代人の体内ではストレスや発汗、不十分な摂取、解毒作用に加え、アルコールや砂糖、精製された炭水化物の過剰摂取などによって、マグネシウムが常に消耗されているからです。
そのため、食事からの摂取に加えて、マグネシウムオイルや入浴剤などによる経皮吸収、サプリメントの活用も検討し、適正なレベルでマグネシウムを摂取・維持できるよう工夫するのがおすすめです。
海苔にはうま味成分もたっぷり
先にも少し触れましたが、海苔にはグルタミン酸、イノシン酸、グアニル酸といった「うま味成分」が豊富に含まれています。
グルタミン酸は、昆布の代表的なうま味成分として知られている成分です。
イノシン酸は煮干しや鰹節に豊富なうま味成分で、グアニル酸はしいたけのうま味が代表的です。
これらのうま味成分は出汁となって味を豊かにしてくれるので、料理に海苔を加えることで、豊かな風味とうま味を楽しむことができます。
調味料を減らしても満足感のある味に仕上げられるのも、海苔の魅力と言えるでしょう。
海苔の幅広い使い道
海苔は手軽に使える食材としても非常に優れています。
後ほどレシピをご紹介しますが、たとえば、お湯に味噌と海苔を溶くだけで、驚くほどおいしいお味噌汁が完成します。
おにぎりや巻き寿司はもちろん、サラダやパスタにも使える柔軟さも海苔の魅力です。
また、細かくちぎってふりかけ風に使ったり、焼いてスナックとして楽しんだりと、アレンジの幅は無限大。
毎日の食事に少しずつ取り入れやすいのも大きな利点でしょう。

海苔に含まれるマグネシウムの働き

そもそもマグネシウムには、どのような働きがあるのでしょうか?
マグネシウムの重要性と、不足した際に起こり得る不調について解説します。
マグネシウムの役割とは?
マグネシウムは、エネルギー代謝や筋肉の収縮、神経の伝達など、800以上の酵素反応に関与しており、体内のあらゆる生理機能に欠かせないミネラルです。
また、カルシウムとの相互作用により、骨や歯の健康を保つ働きも担っています。
他にも自律神経やホルモンバランスを整えたり、ストレスへの抵抗力を高めたり、血圧を安定させたりと、健康維持に欠かせない重要な栄養素です。
マグネシウムの役割の詳細については、以下の記事でより詳しく解説しています。併せてお読みください。


マグネシウム不足が引き起こす不調
マグネシウムが不足すると、倦怠感、イライラ、こむら返り、不眠、集中力の低下など、さまざまな不調が現れやすくなります。
「最近やけにイライラする」
「理由はわからないけど、気分が沈んでいる」
「焦燥感や不安感に駆られる」
「よく眠れない」
こういった症状は、もしかするとマグネシウム不足が原因かもしれません。
特に忙しい現代人や、外食が多い方は注意が必要です。
1日に必要なマグネシウムの量
マグネシウムの1日の推奨摂取量は、成人女性で260~300mg、成人男性で320~370mg程度です。
なお、妊婦や授乳中の方はもう少し多めに摂取することが推奨され、妊婦は300~340mg、授乳中の方は260~300mg程度が適当です。
子どもは年齢に応じ、80~320mg程度で調整するのが好ましいでしょう。
食品だけで補おうとすると意外と難しいので、献立に海苔を積極的に取り入れたり、間食やお菓子に海苔やナッツ類などを意識的に摂るようにしたりするのがポイントです。
海苔を使った簡単レシピ
うま味成分たっぷりの海苔は、幅広い料理に取り入れられるのが魅力です。
ここでは、海苔を使った簡単&おいしいレシピをご紹介します。
出汁不要!3分でできる海苔のお味噌汁

約68mg
- 焼き海苔(全形)…1枚
- 水…700ml
- 味噌…大さじ1.5
- 鍋に水、わかめ、焼き海苔を入れて加熱する。
- 鍋が沸騰する前に火を消し、味噌を溶かしたら完成。
出汁を使わなくても、海苔のうまみだけで十分においしくなる、出汁いらずの簡単レシピです。等級が低い海苔は味噌汁に溶けにくいので、等級が高めの良質な海苔を使いましょう。
毎朝の食事に!海苔たま丼

約20mg
- 焼き海苔(全形)…1/4枚
- 卵…1個
- 揚げ玉…大さじ1
- めんつゆ(3倍濃縮)…小さじ1
- 水…小さじ1.5
- ご飯…茶碗1杯分
- 鍋にオイル(分量外)を薄く引き、卵を割り入れ弱火で加熱して、目玉焼きを作る。
- 耐熱小皿に揚げ玉、めんつゆ、水を入れてラップをし、電子レンジ500wで40~50秒加熱する。
- 丼にご飯を盛り付け、2を敷き詰め、刻んだ海苔を振りかけて目玉焼きを乗せたら完成。
忙しい朝でも、おいしくてボリューム&栄養満点の朝食を手軽に作れます。お子さんがいる方や大家族の方はもちろん、「朝は料理をしたくない」という方にもおすすめのレシピです。
マグネシウムたっぷり!海苔とあおさの和風パスタ

約100mg
- 焼き海苔(全形)…1枚
- あおさ…小さじ1
- 乾燥パスタ(1.6mm)…80~100g
- オリーブオイル…大さじ1
- 水…600ml
- 塩…2g
- バター5g
- 白煎りごま…1つまみ
- フライパンに水と塩を入れて強火にかける。
- 1が沸いたらパスタを投入し、中火に落とす。
- パスタを7~8分ほど茹でたらちぎった海苔を加えて和える。
- 茹で汁が7割方煮詰まったらあおさとバターを加え、さらに煮詰める。
- 茹で汁がとろみのあるソース状になったら火を止めてパスタを盛り付け、煎りごまを振りかけて完成。
ソースを煮詰めすぎると、パスタが焦げたり固くなったりするので注意。フライパンを傾けたら、とろみのあるソースがゆっくりと溜まるくらいが目安です。2人分を作るときは、水を600mlから700mlに変更してください。

海苔の保存方法と注意点

おいしくて栄養たっぷりの海苔ですが、実は非常に湿気を吸いやすく、その急湿性は吸湿剤をも上回ると言われるほどです。
せっかくのおいしい海苔も、湿気を帯びてしまうとおいしさが半減してしまいます。
適切な方法で保存し、海苔をおいしく楽しみましょう。
海苔の保存方法
開封した海苔は密閉容器やチャック付き保存袋に移し替え、冷暗所(冷凍庫がおすすめです)で保存しましょう。
常温で保存する場合は、乾燥剤を一緒に入れておくと、パリッとした食感を保ちやすくなります。
透明の保存袋は、密閉しても空気が入りやすいので、アルミ製の密閉袋がおすすめです。
海苔の注意点
海苔にはマグネシウムのほか、ヨウ素も多く含まれています。
ヨウ素は甲状腺ホルモンの材料となる大切な栄養素ですが、過剰に摂取すると甲状腺機能に影響を及ぼすこともあるため、バランスよく取り入れることが大切です。
特に甲状腺に持病がある方は、医師と相談のうえ摂取量を調整しましょう。
まとめ|海苔を食べてマグネシウムを補給しよう!

毎日の食事に手軽に取り入れられ、しかも栄養価が高い「海苔」は、まさに海のスーパーフードです。
ご飯にも合いますし、本記事で紹介したように、海苔の味噌汁も簡単に作ることができます。
チーズを挟めばおやつにもなりますし、ゴマ油を塗って塩を振り、トースターで軽く炙ればおつまみにも。
現代人に不足しがちなマグネシウムを補うには、ぴったりの食材です。
今日から食卓に、海苔を1枚加えてみませんか?