「日中ずっとだるい」
「なんだかやる気が起きない」
「寝ても疲れが取れない」
それらの症状は、もしかしたらマグネシウム不足が原因かもしれません。
マグネシウムはエネルギー生成や慢性疲労症候群などにも関係しているとされ、私たちの健康に関わる必須ミネラルの1つです。
不足すると慢性的な疲労感やだるさ、さまざまな不調を引き起こします。
今回はマグネシウム不足が疲労を引き起こす理由や、マグネシウム不足による症状のセルフチェック、そして食事・サプリメント・経皮吸収という3つの効果的な摂取方法まで、科学的根拠に基づいて詳しく解説します。
最近疲れがなかなか抜けない、ボーッとして集中できない方は、マグネシウムの摂取が体の不調を解決に導いてくれるかもしれません。
あなたは疲れてない?マグネシウム不足の症状チェックリスト

まずはあなたがマグネシウム不足になっていないか、簡単なテストをしてみましょう。
以下の「マグネシウム不足セルフチェック」は、医師監修の14問の質問に回答していくだけで、マグネシウムが不足しているかどうかを判断の目安をつけられます。
わずか1分で完了できるので、あなたの健康を確認する指標の1つとしてご利用ください。

マグネシウム不足で疲れる5つの理由とは?

マグネシウムは体内で約800以上の酵素反応に関与する必須ミネラルであり、その役割は多岐にわたります。
エネルギーの代謝以外にも、筋肉の弛緩と収縮、神経伝達、骨の健康維持、ストレスの緩和などにおいても、マグネシウムは欠かせない存在です。
マグネシウム不足が疲労感にどのように影響するかを、以下で詳しく見ていきましょう。
関連記事:マグネシウムの効果とは?体に効く理由と効率的な3つの摂取方法を完全解説
参考:Magnesium in ManMagnesium in Man: Implications for Health and Disease | Physiological Reviews: Implications for Health and Disease|American Physiological Society Journals
エネルギーの生成(ATP)に必須のミネラルだから
エネルギーと密接な関係があるのが、ATP(アデノシン三リン酸)です。
ATPは、細胞内のエネルギー通貨として知られていて、簡単にいうとエネルギーを細胞に届ける役割をしています。
エネルギーは体を動かすだけでなく、消化や吸収、思考、休息、回復、睡眠など、ほとんど全ての活動や化学反応に必要となるものです。
そして、このATP生成のプロセス全体において重要な役割を果たしているのが、マグネシウム。
マグネシウムが不足すると、ATP(エネルギー)の生成が滞り、体が慢性的なエネルギー不足となって疲労しやすくなります。
神経伝達のバランスが崩れるから
マグネシウムは神経伝達物質の合成と分泌を調節する役割も果たします。
特に、ストレスを緩和させる際に重要な役割を果たすGABA(ガンマアミノ酪酸)やセロトニンなどの神経伝達物質の生成に関与しており、マグネシウムが不足することでこれらの神経伝達物質のバランスが崩れ、精神的な疲労感やストレス感が増大してしまいます。
筋肉の収縮と弛緩をコントロールするから
筋肉の収縮と弛緩にもマグネシウムが必要です。
カルシウムが筋肉の収縮を引き起こす一方で、マグネシウムは筋肉の弛緩を助けます。
マグネシウムが不足すると、筋肉が緊張しやすくなり、筋肉痛や疲労感が増加しやすくなります。
肝臓機能のサポートをするから
マグネシウムは、肝臓での解毒酵素の活性化に必要です。
肝臓は毒素を分解し、体外へ排出する役割を果たします。
アルコールやカフェイン、薬の摂取や化学添加物、農薬など、体にとっての毒素は肝臓で処理されるため、マグネシウム不足により肝臓が疲れてしまうと、毒素が溜りやすくなり疲労の原因になってしまいます。
下記ではマグネシウムとアルコール摂取について、さらに詳しく解説しているので、ご参考にしてください。
女性ホルモンの減少に関係するから
40~50代の女性のなかには、疲労感が抜けず日常生活に影響がでるほどの「慢性疲労症候群」と診断される人も多くなっています。

参考:慢性疲労症候群患者の日常生活困難度調査事業|聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター
そしてマグネシウムもまた、女性ホルモンの減少が激しい40〜50代で失われやすくなっているのです。
この年代ではエストロゲンとプロゲステロンといったホルモンのレベルが急激に変化します。
エストロゲンの減少は、骨の健康やカルシウムの代謝に影響を与えるだけでなく、マグネシウムの吸収や利用にも影響を与え、マグネシウムの体内利用効率が低下することが知られています。
その結果、疲れやだるさといった疲労感を感じやすくなるのです。
マグネシウム不足によって疲れてしまう主な理由を5つ紹介しましたが、「そもそもなぜ私たちはマグネシウム不足になってしまうのか?」
そのように思われた方は、以下の記事でマグネシウム不足の原因や引き起こされる症状についてまとめていますので、こちらもあわせてご覧ください。
関連記事:マグネシウム不足の原因とは?体に起こる症状や改善策も解説!
疲労回復だけじゃない!私たちにマグネシウムが必要な3つのワケ

ビタミンやミネラルはATP生成に必要ですが、その中でも必須ミネラルであるマグネシウムは日本人に不足しがちな栄養素です。
ATP生成のプロセス全体やエネルギー生成経路では、以下の3つの理由からマグネシウムが必要になります。
酵素を活性化させるため
グルコースの分解を進行させる酵素の活性化にはマグネシウムが必要です。
特に、ヘキソキナーゼやホスホフルクトキナーゼといった酵素は、マグネシウム依存性です。
酵素の補因子として機能するため
マグネシウムは、クエン酸回路のいくつかの酵素の補因子として機能します。
特に、イソクエン酸デヒドロゲナーゼやアルファケトグルタル酸デヒドロゲナーゼといった酵素がマグネシウムを必要とします。
ATP合成酵素やATPの活動に利用されるため
マグネシウムは、ATP合成酵素(ATPシンターゼ)に必須です。
この酵素は、プロトン勾配を利用してATPを生成する際にマグネシウムを必要とします。
ATP自体も、マグネシウムと結合して安定化されます。
ATPが細胞内で効果的に利用されるためには、マグネシウムが不可欠です。
マグネシウムの補給が疲労回復に役立つ科学的エビデンス

マグネシウムを摂取することで疲れや疲労回復に本当に効果があるのか、以下の2つの論文をエビデンスとしてご紹介します。
マグネシウムの補給とATP生成に関する研究
この研究では、100名の被験者を対象に、マグネシウム補給がATP生成に与える影響を調査しました。
被験者は無作為にマグネシウム補給グループとプラセボグループに分けられ、ATP生成を測定しました。
100名
被験者は無作為に2つのグループに分けられ、一方にはマグネシウムを補給し、もう一方にはプラセボを投与。
3ヶ月
マグネシウム補給グループはプラセボグループに比べてATP生成が有意に増加。
プラズママグネシウム濃度が正常化し、ミトコンドリアの機能が改善されました。
この研究は、マグネシウム補給がATP生成を促進し、エネルギー代謝を改善する可能性があることを示しています 。
参考:A Double-Blind, Placebo-Controlled, Crossover Study of Magnesium Supplementation in Patients with XMEN Disease|PubMed
マグネシウムと慢性疲労症候群に関する研究
慢性疲労症候群の患者では、マグネシウムの血中濃度が低いことが多くの研究で示されています。
以下の論文では、慢性疲労症候群(CFS)の患者に対するマグネシウム補給の効果が調査されました。
被験者をマグネシウム補給グループとプラセボグループに分けて、二重盲検試験を実施
40名の慢性疲労症候群の患者
毎日370mgのマグネシウム酸化物
3ヶ月
マグネシウム補給グループは疲労感の有意な減少し、心理的ストレスの軽減したことがわかった。
この研究は、マグネシウム補給が慢性疲労症候群の症状改善に有効である可能性を示しています。
参考:The Effects of Magnesium Supplementation on Subjective Anxiety and Stress-A Systematic Review|PubMed
疲れ対策!マグネシウムの摂取方法とポイント

マグネシウムは以下の3つの方法で摂取できます。
ただし、あらかじめマグネシウムの特性を知って置くことが大切なため、まずはポイントから押さえましょう!
マグネシウム摂取の3つのポイント
①吸収率と種類を考慮
マグネシウムは吸収率が悪い成分として知られています。
そして「吸収されにくい」という特徴を活かした便秘薬は、腸まで届くことで便を柔らかくするのです。
そのため、サプリメントなどでマグネシウムを摂取したい場合には、吸収率が考慮されている製品や、種類を選ぶようにしましょう。
下記ではサプリメントに使われる10種類ものマグネシウムの特徴を徹底リサーチしました。
あわせてチェックしてみてください。
②マグネシウム以外の栄養素
マグネシウムは基本的に食品から摂取するのがベストです。
しかし、それにはマグネシウム以外の栄養素や成分を考慮する必要もあります。
例えばナッツ類にマグネシウムが多く含まれていますが、ナッツには豊富な脂質とタンパク質が含まれており、消化器官に負担がかかる食べ物でもあります。
また、海藻類は甲状腺や肝臓に疾患がある人が食べすぎると危険とも言われているため、マグネシウム摂取する際には栄養バランスも重視したほうが良いでしょう。
③品質や原材料
マグネシウムを豊富に含む食品でも、農薬や化学肥料が使われていたり、また、サプリメントも原材料や添加物が人体に悪影響を及ぼす場合があります。
疲労回復を目的にマグネシウムを摂取しても、毒素が溜って疲れの原因となってしまう可能性もあるため、品質や原材料にも着目することが大切です。
マグネシウムの摂取方法3選
マグネシウム摂取のポイントを確認したところで、ここではマグネシウムの摂取方法3選を見ていきましょう。
①食品から摂取
マグネシウムの摂取で最も自然な摂取方法とも言えるのが、食品からの摂取です。
先ほどもお伝えした通り、海藻やナッツ類、玄米などにマグネシウムは豊富に含まれています。
また、忙しい現代人には欠かせないコンビニでも、マグネシウムを多く含む食品を見つけることができます。
下記ではマグネシウムが豊富なコンビニ食品リストを記載しているので、ご参考にしてください。
②サプリメントから摂取
サプリメントは手軽にマグネシウムを摂取できる手段の1つです。
ヘルスケア先進国のアメリカなどではスーパーなどでも売られており、マグネシウムサプリは身近な存在になっています。
ただし、吸収率を考慮していない製品は下痢や胃のむかつきなどの副作用を及ぼす可能性もあるため、吸収率や種類、品質に考慮したサプリメントを選ぶようにしましょう。
関連記事:マグネシウムサプリのおすすめはこれ!人気5選&吸収率で選ぶ失敗しないコツ
③経皮から摂取(経皮吸収)
マグネシウムは古くから、エプソムソルトと呼ばれるお風呂に入れる製品として使われてきました。
最近ではお風呂に入らなくても、より長く肌にマグネシウムをとどめて、簡単に使えるバームやクリームなどの製品も登場しています。
香りやテクスチャーなど、自分好みのものを選ぶことで、リラックスタイムを楽しみながらマグネシウムを摂り入れることができます。
それに加えて、食品やサプリメントなど体の中からケアするのとは違い、直接肌からマグネシウムを吸収できるため、胃腸に負担がかからない点もエプソムソルトの魅力です。
関連記事:エプソムソルトの効果とは?知っておきたい効能&正しい使い方を解説
まとめ|疲れ対策・疲労回復に「マグネシウム」という選択肢を!
マグネシウムは体内800種類以上の酵素反応に関わり、エネルギー生成に欠かせない必須ミネラルです。
不足すると、たとえ休息をとったとしてもエネルギーがうまく作られず、疲労が蓄積しやすくなってしまいます。
「疲れが取れない」と感じたら、今回の記事を参考にして、まずはマグネシウムを意識した食生活を始めてみましょう。
必要に応じてサプリメントや経皮吸収も取り入れることで、疲労回復がサポートされるはずです。
あなたの健康的な毎日のために、マグネシウムという新しい選択肢を検討してみてください。

