お風呂の入り方で睡眠の質が上がる!マグネシウムを利用した快適入浴法

お風呂の入り方で睡眠の質が上がる!マグネシウムを利用した快適入浴法

ストレス社会をサバイバルする現代人には、「寝ても疲れが取れない…」「夜中に目が覚めてしまう…」といった睡眠の悩みを抱えている方が多いといわれています。

2022年に厚生労働省が実施した調査では、日本人成人の4人に1人が、慢性的な不眠に悩まされていることがわかりました。

「快適な睡眠」は、現代人にとって深刻かつ重要な課題となっていることが分かります。

しかし、忙しい現代人にとって、ぐっすり眠れる夜を手に入れるのは簡単ではないようです。

今回は、睡眠の質を大きく向上させるお風呂の入り方や、睡眠とお風呂の深い関係をご紹介します。

睡眠とお風呂の相関メカニズム

お風呂の入り方で睡眠の質が上がる!マグネシウムを利用した快適入浴法

私たちの体は、サーカディアンリズム(体内時計)とホメオスタシス(恒常性維持機構)という2つの重要なシステムによって、24時間の生活リズムを保っています。これらの機構は、睡眠のタイミングや深さをコントロールする重要な役割を担っています。

また、睡眠の質に関係する大きな要素として次の3つが挙げられます。

  • 深部体温
  • 自律神経
  • 脳と神経伝達物質

それぞれ、睡眠にどのような影響を与えるのか、順に見ていきましょう。

参考:良い睡眠はお風呂から! 入浴で睡眠の質を変えよう│BATHCLIN

深部体温と睡眠の関係

眠気の誘発には、体の内部の体温(深部体温)が深く関係しています。人が自然と眠気を感じるのは、深部体温が下がったときです。そして、深部体温を下げて自然と眠気を誘発するには、入浴が効果的なことがさまざまな研究により明らかになっています。

たとえば、睡眠生理学を研究する米国のSS. Campbell博士の調査では、深部体温の低下速度が最大となるタイミングと入眠の関係を検討した結果、90%程度の人において相関性が見られました。

つまり、深部体温の低下速度が最大に達してから、数時間以内に睡眠が始まるということです。

入浴すると体温が一時的に1℃程度上昇し、その後、体内の熱が放散され始めて体温が低下していきます。

このタイミングから、体は入眠に適したコンディションとなっていきます。入浴後の深部体温の変化とサーカディアンリズムを照らし合わせると、就寝の1.5〜2時間前にお風呂に入るのが、快適な睡眠を実現するのにもっとも効果的とされています。

参考:睡眠前の体温変動が入眠に及ぼす影響:北翔大学学術リポジトリ
参考:良い睡眠はお風呂から! 入浴で睡眠の質を変えよう│BATHCLIN

自律神経と睡眠の関係

深部体温のほか、睡眠には自律神経も深く関係しています。入眠においては、自律神経のうち特に副交感神経が優位になることが重要です。日中の活動に向けて体をアクティブな状態にする交感神経に対し、副交感神経は体をお休みモードに導く体内スイッチです。副交感神経が活性化すると、体はリラックスモードに切り替わり、眠りの準備に入ります。

逆に、緊張状態で交感神経が優位なままだと、寝つきが悪くなったり睡眠が浅くなったりしやすくなります。たとえば、仕事のプレッシャーや生活の不安などのストレスがあると、心身が緊張状態となり快適な睡眠が難しくなります。

自律神経の適切な働きを促すには、健康的な生活習慣の維持のほか、ストレスへの対策も必要です。

参考:ぐっすり眠りたい。お風呂から習慣を変えてみよう。│アース製薬
参考:睡眠障害 ~自律神経に着目する~│ブレインケアクリニック

脳と睡眠の関係

睡眠には、脳神経のコンディションも密接に関わっています。私たちの脳は、生命活動に伴い無意識のうちに神経伝達物質を介し、膨大な量の情報を処理しています。しかし、何らかの原因により神経伝達がスムーズに行われないと、睡眠障害や精神的不調などが誘発されやすくなるのです。

スムーズな神経伝達を促すのに効果的な成分の一つが、「マグネシウム」です

マグネシウムは、脳神経のホメオスタシスを維持するために必要なミネラルであり、特に現代人には不足しがちな栄養素でもあります。脳の機能を正常に保ち、神経系の働きをサポートして快適な睡眠を実現するために、マグネシウムの積極的な摂取が求められます。

マグネシウムが睡眠の質を左右する? 不足の影響と改善方法を徹底解説!

睡眠の質を上げるお風呂の入り方

お風呂の入り方で睡眠の質が上がる!マグネシウムを利用した快適入浴法

では、どのようにお風呂を活用すれば、質の高い睡眠に結びつくのでしょうか?

ここからは、睡眠の質を上げるお風呂の入り方について解説します。

ぬるめのお風呂にゆっくり浸かる

ぬるめのお風呂は、交感神経の活性を抑えながら深部体温をゆっくりと上げるのに効果的です。就寝の1.5〜2時間前に、39〜40℃程度のぬるめのお湯に10〜15分間ゆっくり浸かることで、睡眠の質が向上しやすくなります。

また、その後の自然な体温低下を促進し、自然な眠気と質の高い睡眠を得やすくなります。

参考:良い睡眠はお風呂から! 入浴で睡眠の質を変えよう│BATHCLIN

体内活動を副交感神経へと導く

お風呂上がりには、副交感神経を優位にするリラックスタイムを持つことが大切です。たとえば、部屋の証明を少し落として落ち着いた雰囲気を演出したり、穏やかな音楽やお気に入りのアロマを炊いたりなど、リラックスして過ごせる空間づくりを意識してみましょう。

逆に、明るい照明や、SNSで誰かとメッセージをやり取りするようなアクティブな行動は、脳に刺激や興奮をもたらして交感神経を優位にします。スマートフォンやパソコンなどは脳を刺激するので、お風呂を出た後はできるだけデジタルデバイスを触らないのが理想的です。

また、お風呂上がりのリラックスタイムを習慣化することで、サーカディアンリズムも整いやすくなります。

マグネシウムを活用する

入浴時にエプソムソルト(硫酸マグネシウム)を利用するのも効果的です。エプソムソルトは、欧米で古くから普及しているバスソルトで、海水から取れる硫酸マグネシウムの純粋な結晶です。マグネシウムは皮膚からも吸収でき、筋肉の緊張をほぐしたり、リラックス効果を高めたりする働きが期待されるため、入浴剤として利用することができます。

マグネシウムの経皮吸収に関する研究の第一人者である、英国バーミンガム大学生命科学部に所属するRH Waring博士が発表した論文では、エプソムソルト入浴を行った19人の被験者のうち、16人に血中マグネシウム濃度の上昇が確認されたことが報告されています。つまり、エプソムソルトを利用した入浴は、マグネシウムを補給するのに理想的な方法の一つであるということです。

食事やサプリメントでマグネシウムを摂る方法もありますが、目的やタイミングに応じて手段を使い分けることで、より効果的なマグネシウムの摂取が可能です。

その不眠、マグネシウム不足かも?睡眠改善に効く摂取法&いつ飲むかのベストタイミング解説

ぐっすり睡眠のための「お風呂+生活習慣」アドバイス

お風呂の入り方で睡眠の質が上がる!マグネシウムを利用した快適入浴法

睡眠の質を高めるには、お風呂だけでなく睡眠環境や生活習慣など、ライフスタイルを総合的に整えることが大切です。ここでは、入浴時や睡眠時に避けたい行動など、睡眠の質をより高めるための注意点について解説します。

熱いお風呂はできるだけ避ける

42℃以上の熱いお湯に長く浸かると、血行促進に伴い発汗が促されます。循環器系が刺激されることでホメオスタシスが機能し交感神経が刺激されるため、覚醒状態になりやすいのです。結果的に、安眠から遠ざかる可能性があります。

眠気を覚ましたい朝や、気分をリフレッシュしてもうひと頑張りしたいなときなどは熱いお風呂が効果的ですが、夜にぐっすり眠りたいときは「ぬるめのお湯でゆったり」が基本です。

参考:睡眠│公益財団法人 健康・体力づくり事業財団

カフェインやアルコールを避ける

コーヒーや紅茶に含まれるカフェインには、強い覚醒作用があります。また、アルコールは一時的に眠気を誘いますが、体内での分解が進むと脳が覚醒しやすくなり、睡眠の質を低下させる原因になります。たとえば、再入眠が難しくなったり、夜中に眠りが浅くなったり…などです。また、頻尿による睡眠中断のリスクも高まります。

入浴後の水分補給には、カフェインレスの飲料や白湯などを選ぶと安心です。

参考:睡眠学者・柳沢正史が教える「よりよい睡眠のための12箇条」│SUIMIN

入眠習慣を作る

軽いストレッチやヨガ、アロマディフューザーでリラックス、深呼吸や瞑想タイムなど、「眠るための儀式」をルーティン化すると、体が「眠るモード」に入りやすくなります。入眠習慣をルーティン化することで、脳が無意識的に「この行動をしたらスイッチをオフにして副交感神経を優位に」と認識するようになるためです。つまり、入眠習慣自体が「リラックスモード」のスイッチになるのです。

ルーティンの内容は何でも構いません。ストレッチやヨガ、瞑想などのマインドフルネスはもっともオーソドックスですが、好きな本を読んだり、窓から空を眺めたり、自分にとってリラックスできる心地良い習慣であることが重要です。睡眠研究の権威である柳沢正史氏は、「つまらない論文」を読むことを入眠習慣にしているそうです。

参考:睡眠学者・柳沢正史が教える「よりよい睡眠のための12箇条」│SUIMIN

規則正しい生活リズムを維持する

規則正しい生活リズムを保つことは、睡眠の質を高める基本です。起床時間、就寝時間はできるだけ毎日揃えて、規則正しい生活を意識しましょう。たとえ休日であっても、朝起きたらカーテンを開けて太陽の光を浴びたり、朝の軽い散歩を日課にしたりすると、体内時計がリセットされ、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。

生活リズムの小さな乱れも、積み重なれば睡眠の質に大きな影響を及ぼします。毎日のちょっとした意識が、心地よい眠りとすっきりとした目覚めを支えてくれます。

参考:サーカディアンリズムと私たちの生活│医療法人社団 平成医会

まとめ|マグネシウム入浴で良質な睡眠を実現しよう

お風呂の入り方で睡眠の質が上がる!マグネシウムを利用した快適入浴法

現代には睡眠の質をどのようにして向上させるか悩む人が多く、慢性的な不眠に悩む人も増加傾向にあります。今回は、「お風呂の入り方」というシンプルな工夫だけで、睡眠の質を向上させる方法をご提案しました。

さらに、マグネシウムを日々の暮らしや習慣に上手に取り入れることで、リラックス効果を高め、ストレス社会に負けない心と体を作ることも可能です。

今日からできる小さな習慣が、明日の目覚めを変え、1日のパフォーマンスを大きく左右します。お風呂とマグネシウムの力を借りて、快適な睡眠ライフを手に入れてみませんか?

お風呂の入り方で睡眠の質が上がる!マグネシウムを利用した快適入浴法

サーカディアンリズムは、私たちの体内のあらゆるリズム機能をコントロールしています。マグネシウムはサーカディアンリズムに直接作用するわけではありませんが、非常に重要な役割を果たしています。

基本的に、マグネシウムは体内でNAD+(ビタミンB3の補酵素)のリサイクルに必要不可欠です。NAD+は、日光への曝露とともに、サーカディアンリズムを動かす要素の一つです。マグネシウムが不足すると、NAD+も不足し、それによって概日リズムが乱れ、睡眠の質の低下につながります。