「片頭痛で1日中ツラい…」
「薬を飲んでも、痛みがとれない…」
「マグネシウムは片頭痛に効果ある?」
海外の調査によると、日本人の約6〜8%が片頭痛に苦しんでいると報告されています。
そして、その原因の1つが「マグネシウム不足」だと考えられています。
そこで今回は、マグネシウム不足が片頭痛を引き起こすメカニズムや5つの原因、今すぐ実践できる3つの摂取方法を科学的根拠とともに詳しく解説します。
「薬に頼らず、片頭痛を改善したい」「もう片頭痛に悩まされたくない」そんな方は本記事を参考に、片頭痛を改善する具体的なマグネシウムの摂取方法をお試しください。
マグネシウム不足と片頭痛の関係

マグネシウムは体内で起こる800以上の酵素反応に関わる重要なミネラルであり、エネルギー代謝、神経伝達、筋肉の収縮、そして血管の拡張など、数多くの生理的プロセスに関与しています。
そして、マグネシウムが不足すると、これらの機能が正常に働かなくなり、片頭痛が発生しやすくなることが知られています。
ここではマグネシウムと片頭痛の関係やメカニズムについて確認していきましょう。
マグネシウムが片頭痛に関与するメカニズム
マグネシウムは脳内の神経伝達物質の調節に関与しており、血管の収縮と拡張を調整しています。
マグネシウムが不足すると、血管が過剰に収縮し、それが反動的に拡張することで片頭痛が引き起こされる可能性があるのです。
また、マグネシウムはセロトニンの合成にも関与しており、セロトニンの不足が不眠やそれに不随する片頭痛の一因にもなりえます。
さらに、マグネシウムの不足は体内での炎症反応を引き起こす可能性があり、これが片頭痛の発症に寄与することになります。
以下は代表的なマグネシウム不足となる原因です。
- 日常生活におけるアルコール摂取や栄養状態の不良
- 利尿薬の長期投与
- 過労など精神的なストレス
- 猛暑による発汗
さまざまなストレスを抱えやすい現代社会では、マグネシウムの低下を起こしやすい環境であり、片頭痛の症状を改善させるためには、後述する「マグネシウムの摂取」が必要不可欠です。
女性に片頭痛が多い理由
女性に片頭痛が多いのは、主に女性ホルモンの変動が原因とされています。
特にエストロゲンの急激な変動が片頭痛の引き金になることが多いです。
例えば、月経周期に伴うエストロゲンレベルの低下は、多くの女性で「月経片頭痛」を引き起こします。
また、妊娠中はエストロゲンが徐々に増加するため、多くの女性で片頭痛が改善しますが、逆に、閉経期にはホルモンの不安定さが片頭痛を悪化させることがあります。
参考:Sex and gender differences in migraines: a narrative review |PubMed
また、世界的学術誌Natureでは、女性は一般的にストレスの影響を受けやすく、片頭痛を引き起こす他の環境要因(長時間の労働、睡眠不足、特定の食品や添加物など)にも敏感であることが伝えられています。
マグネシウム不足だけじゃない!片頭痛を引き起こす5つの原因

頭痛や片頭痛には、マグネシウム不足以外にもさまざまな原因が考えられます。
片頭痛は、脳の血管が拡張し、その周囲の神経が刺激されることによって引き起こされると考えられていますが、具体的なメカニズムはまだ完全には解明されていません。
しかし、主な要因として、以下の5つが考えられています。
原因1:ストレス
日常的なストレスが片頭痛の引き金となることが多く、精神的なプレッシャーや疲労が脳内の神経伝達物質のバランスを崩し、片頭痛を誘発します。
ストレスなどによって三叉神経領域が強く刺激されると、神経末端より炎症物質を放出し、その炎症物質がさらに血管を拡張させてズキンズキンと表現される拍動痛をもたらす頭痛発作を発症すると伝えられています。
原因2:睡眠不足または過剰な睡眠
睡眠のリズムが乱れると、片頭痛が発生しやすい状態になります。
睡眠不足が片頭痛を引き起こすメカニズムは、主に脳のホメオスタシスの乱れによるものです。
睡眠不足は、脳内のセロトニンやドーパミンなどの神経伝達物質のバランスを崩し、痛みに対する感受性を高めます。
また、睡眠不足はストレスホルモン(コルチゾール)の分泌を促進し、血管の収縮と拡張を不安定にし、片頭痛の発症リスクを高めると考えられています。
原因3:食事
アルコール、チョコレート、加工食品などが片頭痛のトリガーとなることがあります。
また、食事中の特定の添加物や防腐剤も影響を与えることが知られています。
これらはホルモンバランスの乱れを引き起こすだけでなく、体内の炎症反応を高めることで片頭痛を引き起こす可能性があるので注意しましょう。
原因4:環境要因
気圧の変化や強い光、騒音などの環境的な要因もストレスの原因となって、片頭痛を引き起こすことがあります。
原因5:ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れが片頭痛を招く可能性があり、特に女性は月経周期や妊娠、更年期に伴う女性ホルモン変動により片頭痛が男性よりも起こりやすいです。
日本人の片頭痛患者の割合

片頭痛は、多くの人々にとって生活の質を大きく損なう要因の1つです。
日本では、片頭痛は一般的な健康問題であり、調査によると成人の約6〜8%が片頭痛に苦しんでいると報告されています。
特に女性に多く、男性よりも約3倍の発症率が見られます。
片頭痛は、遺伝的要因、環境要因、生活習慣など、さまざまな要因が複雑に絡み合って発症しますが、特にストレスや睡眠不足、食事内容が片頭痛のトリガーとなることが多いです。
参考:https://thejournalofheadacheandpain.biomedcentral.com/articles/10.1186/s10194-020-01180-9|BMC
【科学的根拠】マグネシウムで片頭痛が改善

【科学的根拠その1】マグネシウムの摂取で頭痛が改善
コロナの予防薬で日本でも有名なカイザー社による研究では、片頭痛患者に対してマグネシウムの補充が行われ、その効果が検証されました。
この実験は1997年から2000年の間に、カリフォルニア州北部のKaiser Permanenteの7つの施設で行われたもので、3〜17歳の片頭痛を持つ子供たちを対象としました。
対象者は、少なくとも4週間にわたって毎週1回以上、中程度から重度の頭痛を経験した子供たちです。
子供たちは、毎日マグネシウム酸化物を9mg/kg(食事とともに1日3回に分けて摂取)またはプラセボを16週間にわたって摂取し、その効果を評価しました。
研究終了時に、マグネシウム群の子供たちで頭痛の頻度が統計的に有意に減少したことが示されました(P=0.0037)。
また、マグネシウム群はプラセボ群に比べて頭痛の重症度も低下しました(P=0.0029)。
この研究は、マグネシウムが片頭痛の頻度と重症度を減少させる可能性があることを示していますが、さらなる大規模な研究が必要であるとも結論づけています。
参考:Oral magnesium oxide prophylaxis of frequent migrainous headache in children: a randomized, double-blind, placebo-controlled trial|Kaiser Permanente Division of Research
【科学的根拠その2】マグネシウム摂取で片頭痛の予防効果
トルコ・エルジェス大学医学部の医師たちにより、前兆のない片頭痛患者におけるマグネシウム摂取の予防効果を評価するため、二重盲検、無作為化、プラセボ対照試験が行われた。
30人片頭痛患者(20〜55歳、月に2〜5回の片頭痛発作発症)に対して、600mg/日の経口クエン酸マグネシウム錠剤を3ヶ月間投与し、同時に同様の特性を持つ10人の片頭痛患者に対してプラセボ錠剤投与。
投与前と投与開始から3ヶ月後の片頭痛頻度、重度、視覚誘発電位、および脳単光子放射型コンピューター断層撮影の統計的パラメトリックマッピングによって評価しました。
片頭痛発作の頻度、重症度、および視覚誘発電位検査におけるP1振幅は、マグネシウム治療後に治療前の値と比較して優位に減少しました。(片頭痛頻度 p=0.005、重症度 p<0.001、P1振幅 p <0.05)
また、前下外側部、側頭下側部および頭部の皮質血流が、マグネシウム治療後に有意に増加したが、プラセボ群においては変化が見られませんでした。
この実験により、マグネシウムが急な片頭痛へ効果的な反応を示したほか、頭部の血流にも影響を与えている可能性があるということがわかりました。
参考:The effects of magnesium prophylaxis in migraine without aura|PubMed
マグネシウム不足による片頭痛の症状チェックリスト

片頭痛の原因がマグネシウム不足かどうかを判断するために、まずは自分の症状をチェックしてみましょう。
以下に当てはまる項目が多いほど、マグネシウム不足による片頭痛の可能性が高いと言えるでしょう。
こんな症状があれば要注意
片頭痛の方には以下のような症状が見られます。
あなたも該当していないか、チェックしてみてください。
- 頭の片側(または両側)がズキンズキンと脈打つように痛む
- 痛みが長時間(4〜72時間)続くことが多い
- 光や音に敏感になり、暗い静かな場所で休みたくなる
- 吐き気や嘔吐を伴うことがある
- 階段の昇り降りなど、日常的な動作で痛みが悪化する
- 頭痛の前に、目の前がチカチカする、視野が欠ける
- 月に2回以上、片頭痛が起こる
- 生理前や生理中に片頭痛が起こりやすい(女性の場合)
こうした症状が深刻な場合は、脳卒中や脳腫瘍などの可能性もあるため、速やかに医療機関を受診することをおすすめします。
マグネシウム不足のセルフチェック
マグネシウム不足によって片頭痛が引き起こされていないか、以下の「マグネシウム不足セルフチェック」も活用してみてください。
医師監修の14問の質問に回答していくだけで、あなたのマグネシウム不足度合いをすぐに知ることができますよ。

マグネシウム不足を今すぐ改善する3つの摂取方法

マグネシウムを効果的に摂取するためには、主に3つの方法があります。
以下では、食事、サプリメント、経皮吸収(エプソムソルトやバーム・クリーム)について詳しく説明します。
食事からのマグネシウム摂取
マグネシウムは、多くの食品に自然に含まれています。
特に、以下の食品はマグネシウムの優れた供給源です。
アーモンドやカシューナッツ
ひまわりの種やチアシード
オートミールや全粒粉パン
ほうれん草やケールなどの葉物野菜
大豆やレンズ豆
食事からのマグネシウム摂取は、最も自然で安全な方法です。
ただし、現代の食生活では十分な量を摂取することが難しい場合があります。
こちらはマグネシウムの推奨摂取量を元に、1食分に必要なマグネシウムを補うための食事をAIにシミュレーションさせた画像です。


なかなか毎日こうした食事を管理するのは難しいですし、マグネシウムだけに着目したメニューでは他の栄養素に偏りが生じてしまうこともありそうです…。
そのため、現代人が充分にマグネシウムを補うためには、食事に気を付けつつ、足りない分はサプリメントを取り入れるのが良いでしょう。
参考:Role of magnesium in the pathogenesis and treatment of migraine|PubMed
サプリメントでのマグネシウム摂取

マグネシウムのサプリメントは、食事だけで十分な量を摂取できない場合に有効です。
一般的に、サプリメントは錠剤やカプセルの形で提供されており、1日あたり300〜400mgの摂取が推奨されます。
ただし、サプリメントの品質には注意が必要で、添加物や防腐剤が含まれていない製品を選ぶことが重要です。
また、サプリメントは高濃度のマグネシウムが配合されていても、きちんと吸収されていない可能性もあります。
高濃度のサプリメントは吐き気や下痢を引き起こす可能性もあるため、サプリメントを選ぶ際には「濃度」よりも「吸収率」を意識した製品を探しましょう。
下記ではマグネシウムサプリメントに使用されるマグネシウムの種類とその違いや効果について詳しくお伝えしています。
ぜひあわせてご参照ください。
経皮吸収によるマグネシウム摂取

経皮吸収とは、皮膚を通じてマグネシウムを吸収する方法です。
マグネシウムオイルやエプソムソルト(硫酸マグネシウム)を用いたバスソルトが一般的に使用されます。
皮膚からの吸収(経皮吸収)は、消化管を通さないため、胃腸に負担をかけずにマグネシウムを補充できる利点があります。
ただし、皮膚からマグネシウムを取り入れる際にも、品質には注意が必要です。
塗るタイプのバームやクリームタイプの製品は入浴剤よりも、ゆっくり時間をかけて長時間マグネシウムを経皮吸収できることがありますが、品質自体に問題がある場合もあります。
肌に負担がかかる添加物が含まれた製品は避けて、マグネシウム以外の成分にもこだわったアイテムを見つけましょう。
エプソムソルトの入浴方法については以下の記事でまとめてあるので、こちらをご参考にしてください。
マグネシウム製品を選ぶときの注意点
マグネシウムを摂取する際には、その供給源がどのような環境で生産されたかを考慮することが大切です。
農薬や化学肥料、防腐剤、添加物などが含まれている食品やサプリメントは、逆に頭痛の原因となる可能性があります。
肌に触れる製品は肌荒れの原因になることも…そのため、製品選びには注意が必要です。
成分表示をよく確認し、不要な添加物が含まれていないことを確認しましょう。
マグネシウムと片頭痛に関するよくある質問

ここでは、マグネシウムと片頭痛に関してよくある質問にお答えします。
Q1:片頭痛と偏頭痛は違うものですか?
同じものです。
表記の違いだけで、意味は同じです。
医学的には「片頭痛」という表記が正式ですが、一般的には「偏頭痛」と書かれることも多く、どちらも広く使われています。
Q2:マグネシウムの摂取が片頭痛に効くまでどれくらいかかる?
2〜4週間で変化を感じる方もいますが、個人差があります。
マグネシウムの補給を始めてから片頭痛が改善するまでの期間は、体内のマグネシウム不足の程度や、摂取方法によって異なります。
また、継続的に摂取することでその効果も高まるでしょう。
Q3:エプソムソルトは片頭痛に効果がある?
はい、効果が期待できます。
経皮吸収によるマグネシウム補給は、片頭痛の予防・改善に効果的だと考えられています。
エプソムソルトは、硫酸マグネシウムを主成分とする入浴剤で、皮膚からマグネシウムを吸収できるだけでなく、リラックス効果ももたらしてくれます。
まとめ|マグネシウムの摂取で片頭痛を改善しよう!
マグネシウムは、片頭痛の予防と改善において重要な役割を果たすミネラルです。
日本では、多くの人々が片頭痛に悩まされており、その一因としてマグネシウム不足が考えられます。
研究によると、マグネシウムの補充は片頭痛の頻度と強度を減少させる効果があり、食事やサプリメント、経皮吸収(エプソムソルトやバーム・クリームの肌への塗布)を通じて効果的に摂取することが可能です。
ただし、マグネシウムの摂取に際しては、農薬や化学肥料、防腐剤、添加物が頭痛の原因となる可能性があるため、製品選びには十分注意しましょう。
オーガニックで純度の高い製品を選ぶことが、片頭痛の予防と健康維持に役立ちます。マグネシウムを適切に摂取することで、頭痛や片頭痛から解放され、より健康的な生活を送りましょう。

