「なんとなく疲れが抜けない…」
「夜、眠りが浅い…」
「足がつりやすい…」
マグネシウムは、このような不調の改善から健康維持まで幅広い効果があると言われています。
しかし、現代の食生活では不足しやすく、そのまま放置すると血圧や血糖のバランスが崩れたり、睡眠の質の低下、イライラや不安を感じやすくなるなどの悪影響につながりかねません。
そこで今回は、マグネシウムに期待できる効果や効果が実感できるまでの期間、1日に必要な摂取量、さらにはマグネシウムの効果的な摂取方法についてもわかりやすく解説します。
「最近ちょっと調子が悪いかも…」と感じる方は、ぜひ参考にしてみてください。
マグネシウムの8つの効果

マグネシウムは体内で300種類以上の酵素を活性化し、800を超える化学反応に関与する重要なミネラルです。
ここではその中でも特に代表的な効果を8個ピックアップして紹介します。
マグネシウムの効果1:骨の健康を守る
マグネシウムはカルシウムと一緒に働いて骨を形成し、骨密度をサポートします。
特に女性は18歳をピークに骨密度が低下する傾向にあり、閉経に伴い骨粗鬆症の人口も急増しがちです。
それゆえ、健康な骨の維持にはカルシウムと同じくらいマグネシウムも必要となります。
関連記事:マグネシウム不足が骨を弱くする?マグネシウムと骨密度の関係
マグネシウムの効果2:筋肉の痙攣(けいれん)やこむら返りを予防する
マグネシウムは筋肉の収縮と弛緩に重要な役割を果たしているミネラルです。
カルシウムは筋肉を収縮、マグネシウムは筋肉を緩める働きがあるため、マグネシウムが不足すると筋肉の急な収縮によるこむら返りがおこりやすくなります。
また、運動をする上でも筋肉を緩めることは、けがの防止やパフォーマンスの向上にも役立つと考えられます。
関連記事:こむら返り(足がつる)はマグネシウム不足が原因?予防法と対策を紹介!
マグネシウムの効果3:神経系を調整し、脳にプラスの影響を与える
マグネシウムは神経系の正常な機能に関与し、ストレスの軽減やリラックス効果があるとされています。
身体の神経系だけでなく、神経細胞のつまっている脳に影響を与えることで、記憶力や認知機能の向上、食欲コントロールなどの改善も期待できるのです。
さらに、脳内のGABA受容体に結合することで、良質な睡眠やリラックス作用の面でも取り入れられています。
また、片頭痛も神経のエラーや筋肉の緊張によるものと考えられており、マグネシウムでリラックスさせることで改善する場合があります。
関連記事:マグネシウムが脳を整える?脳疲労・集中力・睡眠への影響とは
マグネシウムの効果4:エネルギーを生成する
マグネシウムはATP(アデノシン三リン酸)の生成に関与し、細胞内でエネルギー生産に重要な役割を果たしています。
ATPは「細胞の燃料」とも呼ばれ、筋肉の収縮や神経伝達、体温調整など、あらゆる生命活動を支えているのです。
また、マグネシウムは細胞合成のエラーによって起こるさまざまな病気の予防に役立つだけでなく、疲労回復や集中力の維持といった効果も期待できます。
関連記事:ミトコンドリアとは?人間の体を動かす「エネルギー工場」の神秘
マグネシウムの効果5:心臓や血管の健康を保つ
マグネシウムは心筋の収縮や血管の弛緩に関わり、心臓のリズムを安定させるうえで欠かせないミネラルです。
十分に摂取することで血圧を正常に保ち、動脈硬化や高血圧のリスクを下げる効果が期待できます。
逆に不足すると、不整脈や血圧の上昇など循環器系のトラブルが起こりやすくなるため注意が必要です。
日々の食事からマグネシウムを意識的に摂ることが、心臓や血管の健康維持につながると言えるでしょう。
関連記事:マグネシウムで血圧は下がる?上がる?経皮吸収での効果とおすすめの使用方法も紹介
マグネシウムの効果6:血糖値のコントロールに役立つ
マグネシウムはインスリンの分泌や細胞へのインスリンの効果を調整することで、血糖値のコントロールにも作用します。
また、インスリンのコントロールは暴飲暴食を抑えたり、偏食の改善をサポートするため、血糖値の安定だけでなく、体重管理や生活習慣病の予防にも有用です。
関連記事:糖尿病対策にマグネシウムが効く?血糖値との意外な関係を解説
マグネシウムの効果7:抗酸化作用がある
マグネシウムは抗酸化物質としても機能し、細胞を酸化ストレスから保護する役割があります。
細胞は過度な抗酸化ストレスを受けることで、年齢肌やしみ、しわなどのお悩みが出てくるほか、がん細胞などが発生する可能性を高めてしまいます。
そうした意味でも、充分なマグネシウムの摂取が必要となるのです。
関連記事:マグネシウムでスキンケア!高保湿で肌バリアUP!アトピーからUVケアまで!
マグネシウムの効果8:腸内の水分コントロールする
マグネシウムは腸内の水分量を増やして便をやわらかくする働きがあります。
そのためマグネシウムは便秘薬として処方されることも多い成分のひとつです。
また、便秘が改善することで、約80%以上が腸で生成されていると言われる幸せホルモンの分泌をサポートすることにもつながります。
関連記事:マグネシウムが便秘に効くって本当?驚きの効果や摂取方法を解説
マグネシウムが持つこれらの効果は、まさに「縁の下の力持ち」と言えるでしょう。
不足しがちなミネラルだからこそ、毎日の食事で意識的に摂ることが健康維持には欠かせません。
以下の記事では、マグネシウム不足を改善する食べ物をランキング形式で10品紹介しているので、ご参考にしてください。
マグネシウム不足を改善する食べ物ベスト10!効果的な摂取方法も解説
マグネシウムの効果はどのぐらいで感じられる?

マグネシウムは薬のようにすぐ効くものではありませんが、日々の摂取を続けることで少しずつ体に変化が現れてきます。
一般的には、1〜2週間ほどで「睡眠の質が改善した」「便通がよくなった」と感じる人が多いようです。
ただし、効果の出方には個人差があるため、最低でも1ヶ月は継続してみることをおすすめします。
以下の記事では、マグネシウムの効果を得るにはいつ飲むのがベストなのかを、マグネシウムの種類別に解説しています。
マグネシウムの効果を最大限に感じたいという方は、こちらも併せてご覧ください。
マグネシウムはいつ飲むと効果的?種類別の効果と最適な摂取タイミングも紹介
マグネシウムの効果を10分の動画で時短解説
オーガニックサイエンスの公式YouTubeチャンネルでは、マグネシウムの効果について「中井鍼灸院」院長の小島友美子先生が、以下の動画で詳しく解説してくれています。
ながら聞きでも理解できる10分ほどの動画ですので、お気軽にご視聴ください。
マグネシウムの効果の理由

マグネシウムは、骨や歯、筋肉、脳、神経など体のあらゆる場所に存在し、生命活動を維持するために欠かせないミネラルの1つです。
その理由は、酵素の働きを助ける「補酵素」としての役割にあります。
厚生労働省が運営するeJIMでは、マグネシウムは300種類以上の酵素を活性化し、筋肉の収縮・神経伝達・体温や血圧の調整に関与すると紹介されています。
酵素が正しく働くからこそ、栄養素をエネルギーに変換でき、体の代謝や神経、循環が正常に保たれるのです。
逆に不足すると、骨の形成不良やこむら返り、不整脈、虚血性心疾患、高血圧などの不調が起こりやすくなり、神経過敏や気分の落ち込みにつながることも。
つまり、マグネシウムの効果の理由は「酵素反応を支え、全身の化学反応をスムーズに進めること」にあるのです。
参考:マグネシウム|厚生労働省eJIM
マグネシウムの効果を得るのに1日に必要な摂取量は?

マグネシウムは健康維持に欠かせないミネラルですが、日本人は日常的に不足しがちだといわれています。
厚生労働省が発表している「日本人の食事摂取基準(2025年版)」での推奨摂取量は、
男性30代 | 約380mg/日 |
女性30代 | 約290mg/日 |
しかし、令和元年の「国民健康・栄養調査」によると、実際の摂取量は
男性30代 | 約241mg/日 |
女性30代 | 約197mg/日 |
であることがわかりました。
つまり、一般的に男性で約139mg/日、女性で約93mg/日、マグネシウムが不足している状態です。
この不足が続くと、代謝の低下や疲れやすさ、睡眠の質の低下、ストレスへの弱さなど、さまざまな不調の原因となる可能性があります。
特に現代の日本では、欧米化した食生活やストレス社会の影響により、マグネシウムを消耗しやすい傾向にあると言えるでしょう。
したがって、私たちが健康を保つためには、意識して積極的に毎日の食事やサプリメントなどから、マグネシウムを摂取する必要があるのです。
関連記事:マグネシウムの1日の「摂取量」と「推奨量」を解説|過剰摂取は危険?
マグネシウムの数値は採血ではわからない?

体調不良で病院に行ったものの、「ストレスですね」「野菜を食べて運動してください」などと言われたり、痛み止めなどの薬で対応するように言われたりして、根本的な問題や症状がなかなか改善されないというご経験はありませんか?
実は、病院で一般的な保険適応の検査としておこなわれる採血では、マグネシウム不足を見つけることが難しいのです。
というのも、マグネシウムは体内のわずか1%程度しか血液中に存在していないため、血中のマグネシウム値が正常であっても、体の細胞内では深刻な不足が起きているケースがあるのです。
マグネシウムは血中でとても重要な役割を果たしています。
血中のマグネシウムの濃度を一定に保つため、血中のマグネシウム数値が低くなると、マグネシウムが多く存在する骨や筋肉に蓄えたマグネシウムを動員して補おうとします。
つまり、血液検査で異常が出ないのは、体がなんとかバランスを取っているからに過ぎず、本当のマグネシウムの状態を知るには細胞レベルでの検査が必要になります。
ただし、そうした細胞内ミネラル検査は日本では自由診療となり、保険適用外で高額になりがちです。
そのため、多くのクリニックでも以下のような問診を取り入れてマグネシウム不足をチェックしています。
以下のような症状が複数当てはまる場合、マグネシウム不足の可能性があるかもしれません。
- 足がつりやすい(こむら返り)
- まぶたがぴくぴく動く
- 肩や首のコリがひどい
- 疲れているのに寝付けない
- 不安やイライラが続く
- 突然心臓がどきどきする
- 甘いものや偏食が止められない
- 便秘がひどく肌荒れがなかなか治らない
この中で当てはまるものがある場合には、まず食事から意識的にマグネシウムを取り入れ、不足している分はサプリメントや経皮摂取などで補うことも検討してみましょう。
自分がマグネシウムが不足かどうか気になる方は、以下のマグネシウム不足セルフチェックをお試しください。

マグネシウムの過剰摂取は逆効果?

マグネシウムを摂取することが重要なのはわかったけど、「過剰に摂取した場合、逆効果になるのでは?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。
結論からお伝えすると、「食事」からの過剰摂取で健康に害が出ることは、ほぼないと考えてよいでしょう。
ただし、注意が必要なケースもあります。
それは「サプリメントや医薬品由来」からのマグネシウムを摂取する場合です。
なぜなら、そうしたマグネシウムは吸収効率が高く、過剰摂取による下痢や腹痛といった消化器症状のトラブルを引き起こす可能性があるからです。
また、腎機能が低下している人はマグネシウムが体外に排出されにくいため、高マグネシウム血症となり、吐き気・血圧低下・心拍異常など、深刻な副作用を招くリスクもあります。
したがって、マグネシウムを摂取する際は、食事からバランスよく取ることを基本とし、不足分だけをサプリで補うのが安心です。
また、サプリを使う場合は一度に多量ではなく、少量ずつに分けて摂取することをおすすめします。
もし、サプリメントからの過剰摂取によって体調に変化があれば、使用を控えてすぐに医師に相談しましょう。
関連記事:グネシウムを摂りすぎるとどうなる?よくある症状と適量の目安
マグネシウムを効果的に摂る3つの方法

マグネシウムは非常に重要なミネラルですが、実は体内で吸収されにくい性質があることをご存知でしょうか?
たとえば、便秘薬で用いられるマグネシウムはこの「吸収されにくい特性」を利用しています。
細胞に取り込まれなかったマグネシウムが腸内で水分を保持するサポートをするため、便秘の改善につながり、のちに排出されるのです。
便秘薬の場合はこの構造でいいのですが、細胞内にマグネシウムを取り込むためのサプリメントはどうでしょう?
実は一般的な構造のサプリメントは細胞に吸収されにくく、一般的に15%程しか吸収されないケースも少なくありません。
仮に1カプセルに500mgのマグネシウムが含まれていた場合、体内で吸収されるのはたったの
500mg×15%=75mg
となり、男女ともに実際には推奨摂取量に届かないことも。
さらに、吸収されなかったマグネシウムは便として排出されるため、腸が過剰に反応すると下痢や腹痛の原因になることもあります。
場合によっては、肝臓や腎臓などの代謝臓器に負担をかけることもあるため、過剰摂取には注意が必要です。
では、マグネシウムを効果的に摂るにはどうすればいいのでしょうか?
- 食事から摂る
- サプリメントから摂る
- 経皮から摂る
順番に詳しくご紹介します。
マグネシウムを効果的に摂る方法①食事から摂る
マグネシウムは、食事から摂ることで約30%程度が体内に吸収されるといわれています。
Roughly 30% of ingested magnesium through food or drinking water is absorbed by the intestine, although the extent of absorption depends on the body magnesium status (increased in case of Mg2+ deficiency).
おおよそ30%の摂取されたマグネシウムは、食物や飲み水を通じて腸に吸収されますが、吸収の程度は体内のマグネシウムの状態に依存します(Mg2+不足の場合には増加します)。
引用:Predicting and Testing Bioavailability of Magnesium Supplements|NIH
つまり、マグネシウムが不足している人ほど、体が多く吸収しようとする性質があるようです。
先ほどご紹介した通り、サプリメントは吸収率が低く、15%程度の製品もあるため、やはり毎日の食事からしっかり摂取するのが理想的です。
栄養バランスを整えながら、マグネシウムを補える食材を意識して取り入れることで、自然と健康的な体づくりに繋がります。
マグネシウムが豊富な食材については、下記のランキングでわかりやすくまとめているので、あわせて参考にしてください。

マグネシウムを効果的に摂る方法②サプリメントから摂る
健康的な食事はマグネシウムだけでなく、その他多くの栄養バランスを整えるためにもとても重要です。
ただし、マグネシウムが多く含まれている食品には、大豆や乾燥ひじき、海藻類などがありますが、毎日十分な量を摂るのはなかなか難しいですよね。
また、マグネシウムは加熱に弱いという性質があるため、調理方法によっては含有量が減ってしまうこともあります。
そんな時は、サプリメントを活用しましょう!
ただし、サプリメントを選ぶ際には「構造」に注意することが大切です。
一般的なサプリメントの構造だと、あまり吸収されないだけでなく肝臓などの消化器や泌尿器系などに負担をかけてしまうこともあります。
おすすめは、細胞膜と同じ成分であるリポソームを活用したサプリメントです。
細胞膜と同じ成分のため、体内で細胞とくっつきやすく、消化器や泌尿器などに負担をかけずにマグネシウムを細胞へと運んでくれると言われています。
吸収率が高い構造であれば、マグネシウム自体も必要な分だけ取り入れればOK。
リポソーム構造のサプリメントであれば、身体に余計な負担をかけないので、続けやすいというメリットがあります。
関連記事:マグネシウムサプリのおすすめはこれ!人気5選&吸収率で選ぶ失敗しないコツ
マグネシウムを効果的に摂る方法③経皮から摂る
マグネシウムの経皮吸収といえば、「エプソムソルト」を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
エプソムソルトは、見た目はバスソルトのような結晶で、お風呂に溶かして使用する入浴剤の一種です。
マグネシウムが豊富に含まれており、入浴による温浴効果とマグネシウムの働きによって、心身をリラックスさせる効果が見込めます。
ストレス軽減や睡眠の質向上を期待して、日々のセルフケアとして取り入れている方も増加傾向に。
さらに最近では、マグネシウムを配合したスキンケア製品やマグネシウムオイル・バームなども登場しています。
これらは入浴が難しい日でも、気になる部位に直接塗ることでマグネシウムを肌から吸収できるとされ、手軽なケアアイテムとして人気が高まっています。
仕事中のつらい肩こりや急な片頭痛、外出先での肌トラブルなど、お風呂に入れないタイミングでも使いやすいのが魅力です。
関連記事:エプソムソルトとは?知っておきたい3つのメリットと3つのデメリット
まとめ|マグネシウムを摂取して、全身の機能をサポートする効果を体感しよう!
マグネシウムは骨・筋肉・神経・心臓・腸など、体のあらゆる働きを支える「基礎ミネラル」であり、その効果は多岐に渡ります。
不足していると、睡眠の質の低下や便秘、疲れやすさなど、日常の不調につながることも少なくありません。
「なんとなく調子が悪い」「ストレスや睡眠の質が気になる」と感じている方は、日々の生活にマグネシウムを意識的に取り入れ、継続することで、マグネシウムの効果を感じられるようになるはずです。
まずは食事や生活習慣から見直して、無理のない範囲でマグネシウムを取り入れたセルフケアを始めてみてくださいね。