「CBD」「CBN」「CBG」という言葉を聞いたことがあっても、それぞれの違いを明確に説明できる人は多くありません。
これらはどれも大麻草に含まれる「カンナビノイド」と呼ばれる成分であり、近年は健康や美容の分野で注目を集めています。
ただし、それぞれに特徴的な効果や安全性、選び方のポイントがあります。
CBDは海外で難治性てんかんの治療薬などとして使用され、またCBNは、その希少性から『レアカンナビノイド』と呼ばれ、CBGは、全てのカンナビノイド成分の元となることから『母なるカンナビノイド』と呼ばれています。
今回はCBD・CBN・CBGの違いや、それぞれの効果、副作用の可能性、選び方についてわかりやすく解説します。
記事を読み終えれば、自分に合った成分や製品を選ぶための判断基準がつかめるはずです。
ぜひ参考にしてください。
CBD・CBN・CBGの違い

CBD、CBN、CBGは、全て大麻由来の成分であり、カンナビノイドの一種です。
日本国内では合法的に利用できますが、含まれる部位や効果に違いがあります。
以下の一覧表で、それぞれの大まかな内容を確認しておきましょう。
大麻の成分名称 | CBD(カンナビジオール) | CBN(カンナビノール) | CBG(カンナビゲロール) |
日本での使用可否 | ⚪︎(合法) | ⚪︎(合法) | ⚪︎(合法) |
抽出元 | 大麻の茎や種子 | 古い大麻草や成熟した大麻草 | 若い大麻草 |
主な特徴 | リラックス、炎症抑制、美容分野でも注目 | 睡眠の質改善、鎮静作用 | 抗菌・抗炎症、腸や神経をサポート |
安全性 | 高い | 高いとみなされる | 高いとみなされる |
安全性の根拠 | 医療界や美容業界で利用されており、FDA(米国食品医薬品局)がてんかん治療薬を承認している。 | 動物実験で安全性が示唆されている。(まだヒトでの大規模な臨床試験が不足している) | 動物実験で安全性が示唆されている。(まだ信頼できる臨床データが少ない) |
安心していただきたいのは、どれも麻薬ではない(合法)という点です。
それを踏まえて、それぞれの詳細を確認していきましょう。
CBD(カンナビジオール)とは?
CBDは『Cannabidiol(カンナビジオール)』の略称です。
大麻草に含まれるカンナビノイド成分の中で、最も広く研究されている成分の一つで、大麻草に含まれる割合は約20%と言われています。
依存性や中毒性がなく、安全性が高いとされており、主にリラックス作用やストレス軽減、炎症の抑制、痛みの緩和に効果があるとされています。
また、スキンケア商品にも取り入れられ、ニキビや肌荒れ改善、アンチエイジングに期待する声も増えています。
CBDについてさらに詳しく知りたい方は、以下の記事もご参考にしてください。

CBN(カンナビノール)とは?
CBNは『Cannabinol(カンナビノール)』の略称です。
CBNは、「THC(テトラヒドロカンナビノール)」(※)が酸化や分解することによって生成されるカンナビノイドであり、THCと違って合法です。
(※)THCは、大麻草の花や葉、茎、根からとれる成分であり、日本では違法とされている成分
CBNは、THCほど脳や心に影響を与える作用はありませんが、わずかに鎮静効果を持つとされています。
特に、睡眠の質を向上させる効果があると考えられており、不眠症の改善を目的とした製品に多く含まれています。
CBNは、CBDやTHCと比べて抽出できる量が少ないため、「レアカンナビノイド」とも呼ばれています。
参考:大麻由来成分CBN(カンナビノール)の7割は不眠、不安、うつなどのヘルスケア用途であることが明らかに|宮崎日日新聞
CBG(カンナビゲロール)とは?
CBGは『Cannabigerol(カンナビゲロール)』の略称です。
CBDやTHCの元になる化合物で、全てのカンナビノイド成分の元となることから「カンナビノイドの母」とも呼ばれています。
CBGは比較的新しく研究が進められているカンナビノイドであり、抗菌作用や抗炎症作用、神経保護作用があると報告されています。
また、CBGは大麻草に含まれる割合は1%未満のため、希少性が高く、価格が高い傾向にあります。
CBD・CBN・CBGの効果

CBD・CBN・CBGはそれぞれの効果も異なります。
順番にその効果を見ていきましょう。
CBDの効果
CBDに期待できる主な効果には、以下のようなものがあります。
効果 | 詳細 |
---|---|
ストレス軽減 | CBDはストレスホルモンの分泌を抑えることで、心を落ち着かせる働きがあります。 |
炎症の抑制 | 抗炎症作用があり、関節炎や筋肉痛の緩和に効果が期待できます。 |
神経保護 | 神経変性疾患の予防に役立つ可能性があり、アルツハイマー病やパーキンソン病の研究対象となっています。 |
肌トラブルの改善 | 抗酸化作用と抗炎症作用により、ニキビやアトピー性皮膚炎の改善が期待されています。 |
CBDは抗炎症作用があるため、ニキビなどの皮膚トラブルの改善やアンチエイジングの作用があるとも言われていて、近年では美容面でも注目されています。
CBNの効果
CBNに期待できる主な効果は、以下のようなものです。
効果 | 詳細 |
---|---|
睡眠の質向上 | CBNは鎮静作用があり、不眠症の改善に役立つ可能性があります。 |
痛みの緩和 | 神経系に作用し、慢性的な痛みを和らげる働きが期待されています。 |
抗菌作用 | 細菌の増殖を抑える効果があり、特に耐性菌に対する効果が研究されています。 |
CBNにはTHCの10分の1程度の精神作用があり、CBDと比べて特に鎮静作用や睡眠補助といった働きが強いと言われています。
2021年7月「International Journal of Complementary & Alternative Medicine」で公開された記事では、カンナビノールの使用により睡眠の質が向上したと結論づけています。
実験の概要 | ナノテクノロジーを用いて処理された水溶性カンナビノール(CBN)製品を使用して、睡眠不足の人々にどのような効果があるかを検証する。 |
実験対象 | 睡眠不足、または何らかの睡眠障害を抱える人々。 |
実験方法 | CBN製品の使用前と使用後(少なくとも7日間の使用)に自己評価アンケートを行う。 |
実験結果 | 60名がアンケートに回答。この製品を使用することで、全ての睡眠障害の発生率と重症度が有意に減少した。 また、13名に副作用があったが、全員が自己調整によって症状が解消された。 |
結論 | “This nano treated CBN product rapidly induced sleep initially and after awakening, increasing the time and quality of sleep in most individuals suffering from sleeplessness.” 「このナノ処理されたCBN製品は、睡眠不足に悩む多くの人に対して入眠および途中覚醒後の再入眠を迅速に促進し、睡眠時間と睡眠の質を向上させる効果がありました。」 |
参照:Use of a water-soluble form of cannabinol for the treatment of sleeplessness|International Journal of Complementary & Alternative Medicine
CBGの効果
CBGに期待できる主な効果は、以下です。
効果 | 詳細 |
---|---|
腸の健康維持 | CBGは消化器官の働きをサポートし、胃腸のトラブルを軽減します。 |
抗菌・抗炎症作用 | 感染症予防や炎症性疾患の改善に寄与します。 |
神経保護作用 | CBD同様、神経変性疾患の予防に期待されています。 |
CBGの効果については、まだ研究段階であり、確固たる科学的エビデンスは限られているというのが現状です。

クリニックにて:CBDの有用性について
国によって法律は異なりますが、カナダでは大麻が合法で、娯楽・医療の両面で利用されています。
医療の観点からは、大麻成分の中でも CBD が最も有用だと考えられています。
CBDはストレス軽減、抗炎症作用、神経保護作用、そして皮膚の健康促進といった特性を持ちながら、精神作用がないため、副作用の心配なくあらゆる患者層に使用できる点が大きな利点です。
一方、CBNやCBGも注目される成分ですが、大麻植物内の含有量が少ないため、CBDほどの影響力はありません。
しかし、今後の研究によって健康への貢献が期待されます。
CBD・CBN・CBGはどれを選べばいい?

CBD・CBN・CBGはそれぞれ異なる特徴を持っているため、自分の体調や期待したい作用を意識すると選びやすくなります。
選ぶ際には、以下のポイントを参考にしてみてください。
CBDがおすすめ
【ストレスや日常のリラックスを重視する人】
仕事や家事でストレスを感じていたり、気分を落ち着けたい人にはCBDが向いています。
リラックス効果や炎症抑制作用があるため、仕事終わりのリフレッシュや就寝前の心身のリセットに。
CBNがおすすめ
【不眠や睡眠の質改善を求める人】
「寝つきが悪い」「途中で目が覚める」といった悩みを持つ人にはCBNがおすすめです。
鎮静作用があるため、睡眠サプリやオイルに少量配合され、入眠サポートとして利用されています。
CBDと併用すると、より深いリラックスが得られる場合もあります。
CBGがおすすめ
【腸や神経の健康を意識したい人】
CBGはまだ研究段階ですが、腸内環境のサポートや神経保護の働きが報告されています。「胃腸が弱い」「神経の健康維持を図りたい」という人に向いており、予防的に取り入れる価値があると考えられます。
ただし、これらの効果は人によって感じ方が異なりますので、あくまで選ぶ際の目安と捉えるとよいでしょう。

CBD・CBN・CBGに副作用はある?

CBD・CBN・CBGの副作用ですが、それぞれの安全性は高く、基本的にはほぼないと考えてよいでしょう。
しかし、それぞれについて以下のような副作用の報告もあることを、念のため押さえておいてください。
CBDの副作用
CBDは世界で最も研究が進んでいる成分で、てんかん治療薬(Epidiolex®)としても使われています。
その臨床試験では、眠気、食欲の低下、下痢、肝臓の数値上昇、疲れやすさなどが一部の人に見られました。
特に肝機能に影響が出ることがあるため、長く使う人や薬を飲んでいる人は注意が必要です。
参考:Epidiolex®ラベル情報|FDA
CBNの副作用
CBNは「眠りをサポートする成分」として注目されています。
2024年の大規模な臨床試験(1,000人以上が参加)では、眠気やだるさなど軽い副作用が一部で見られましたが、プラセボ(偽薬)と比べても大きな差はありませんでした。
CBGの副作用
CBGについてはまだ研究段階ですが、2021年に127人を対象にした調査があります。
その結果、約44%の人は「副作用なし」との回答でした。
一方で、口の渇き(16.5%)、眠気(15%)、食欲増加(11.8%)、眼の乾き(8.7%)といった軽い不調を感じた人もいました。
このようにCBD・CBN・CBGの副作用の報告は挙がってはいますが、深刻な副作用は報告されていないため、安全性は高いと言えるでしょう。
以下の記事では、CBDの副作用についてさらに詳しく解説しているので、こちらも併せてご覧ください。
CBD(カンナビジオール)の副作用・デメリットとは?安全に使うための3つのルール
CBD・CBN・CBG摂取時の注意点【違法性は?】

CBD・CBN・CBGはそれ自体、合法的に使用できるカンナビノイドであり、違法性はありません。
いわゆる「ハイになる」「キマる」といった状態になることもないため、安心して使用できます。
ただし、製品によってはTHCが微量に含まれていることがあり、注意が必要です。
なぜなら、大麻取締法の一部が2024年12月12日に施行されたことで、CBD製品に含まれるTHCの量が厳格に規制されることになり、これまで合法とされていた商品でも、THCの含有量次第では違法とみなされる可能性が出てきたからです。
参考記事:【2025年】大麻取締法改正のCBD規制の変更点は?CBDオイルは違法性ありで販売禁止?
そのため、カンナビノイドを含む製品を摂取する際は、成分表を確認し、信頼できるメーカーの製品を選ぶようにしてください。
特に海外の製品をオンラインなどで購入する際には、大麻取締法の規定量以上のTHCや日本では承認されていない成分なども含まれている可能性があるので、十分注意するようにしましょう。
参考:大麻の所持・譲渡、使用、栽培は禁止!法改正の内容も紹介します|政府広報オンライン
まとめ:CBD・CBN・CBGの違いを知って、健康維持に活かそう!
CBD、CBN、CBGはそれぞれ異なる特性を持ち、ストレス緩和や睡眠の質向上、腸や神経の健康サポート、抗炎症作用など多様なメリットが期待されています。
使用する際には、安全性が確認された製品で正しい摂取量、適正な摂取方法を守ることが重要です。
ぜひ今回の記事を参考に、自分の目的に合ったカンナビノイドを生活に取り入れ、健康維持に役立ててください!