私たちは眠っている間にも1時間で約50kcal、7時間なら約300〜350kcalを消費しています。
しかもその消費量は、ただの基礎代謝ではなく、深い睡眠で分泌される脂肪を燃やすホルモンなどの影響を受けることが知られています。
ところが、多くの現代人はこの睡眠中の消費カロリーの恩恵を逃してしまっている可能性が高いとされています。
「寝つきが悪い」
「眠りが浅い」
「夜中に何度も起きてしまう」
こうした積み重ねが、基礎代謝の低下や体重の停滞につながっているのです。
この記事では、睡眠中のカロリー消費の仕組みから、眠りの質を高めて寝ながら痩せ体質を作る具体的な方法まで、科学的根拠とともにお伝えします。
マグネシウムをはじめとする栄養素の力も活用して、今夜から「効率のいい睡眠」を始めましょう。
睡眠中に消費されるカロリーと体重別の早見表

睡眠中も私たちの体は、呼吸・心臓の鼓動・体温維持・細胞の修復といった生命活動を続けており、常にエネルギーを消費しています。
ここでは、実際にどれくらいのカロリーが消費されているのか、具体的な数値と計算方法を見ていきましょう。
睡眠中の消費カロリーは約300kcal
海外の研究によれば、寝ていても1時間あたり約50kcal消費するという報告がされています。
この研究に基づいて計算すると、成人が7〜8時間の睡眠を取った場合、平均的な消費カロリーは約300kcal。
これは、寝ているだけでおにぎり約1.5個分のカロリー消費に相当します。
参考:How Your Body Uses Calories While You Sleep|Sleep Foundation
【体重別】睡眠中の消費カロリー早見表
もっと簡単におおよその睡眠中の消費カロリーを計算するには、以下の式を目安にするとよいでしょう。
「睡眠中の消費カロリー≒体重 ×0.9kcal × 睡眠時間」
この計算式を使って、成人女性の平均的な代謝をもとに算出した睡眠中の消費カロリーが以下です。
【50kgの人の睡眠中消費カロリー】
| 睡眠時間 | 消費カロリー |
|---|---|
| 6時間 | 約270kcal |
| 7時間 | 約315kcal |
| 8時間 | 約360kcal |
【55kgの人の睡眠中消費カロリー】
| 睡眠時間 | 消費カロリー |
|---|---|
| 6時間 | 約297kcal |
| 7時間 | 約347kcal |
| 8時間 | 約396kcal |
【60kgの人の睡眠中消費カロリー】
| 睡眠時間 | 消費カロリー |
|---|---|
| 6時間 | 約324kcal |
| 7時間 | 約378kcal |
| 8時間 | 約432kcal |
この表から分かるように、体重が重いほど、また睡眠時間が長いほど消費カロリーは増えます。
ただし後述しますが、「長く寝れば痩せる」という単純な話ではなく、「睡眠の質」こそが重要なポイントであることを覚えておいてください。
また、厚生労働省の報告によると、日本人の睡眠時間は平均7時間42分で、過去20年間にわたり減少を続けています。
それゆえ、しっかりと睡眠時間を確保することが、痩せやすい体質や健康維持には欠かせないと言えるでしょう。
睡眠中に消費されるカロリーは、筋肉量に大きく影響されます。
筋肉は「カロリーの受け皿」として機能し、筋肉量が多いほど、安静時でもより多くのエネルギーを消費します。
例えば、オリンピック選手のように筋肉量の割合が高い(最大45%程度)場合、睡眠中も効率的にカロリーが消費されます。
一方、筋肉量が約20%以下と少ない場合は、睡眠中のカロリー消費も少なくなり、さらに糖尿病のリスクも高まる可能性があります。
睡眠中、私たちの体は決して休んでいません。
脳は老廃物の排出を行い、内臓は損傷の修復を進め、筋肉はエネルギーを使って再構築されています。
しかし、運動不足で筋肉量が少ないと、この修復活動で消費されるエネルギーも少なくなってしまうのです。
筋肉量を増やすために最も手軽なのが、早朝20分間のウォーキングです。
これにより体内時計が整い、気分が向上し、基礎代謝も上がります。
その結果、睡眠の質が向上し、安静時のカロリー消費も効率的になります。
なぜ寝ているだけでカロリーが消費されるのか?

睡眠中の私たちの体は決して「休止状態」ではありません。
むしろ、生命維持と体の修復・再生のために、24時間休むことなく働き続けているのです。
睡眠中に消費されるエネルギーの主な用途は、以下の4つです。
呼吸と心臓の活動
睡眠中も呼吸は続き、心臓は全身に血液を送り続けています。
つまり、ただ息をして心臓を動かしているだけで、大量のエネルギーが必要になるというわけです。
体温の維持
人間の体温は約36〜37度に保たれており、これを維持するためにも常にエネルギーが使われています。
特に冬場や冷房の効いた部屋では、体温を一定に保つためにより多くのカロリーが消費されることになります。
細胞の修復と成長ホルモンの分泌
睡眠中、特に深い睡眠(ノンレム睡眠)の時間帯には、成長ホルモンが大量に分泌されます。
成長ホルモンは、日中に傷ついた細胞の修復、筋肉の合成、脂肪の分解などを促進する重要なホルモンです。
また、脂肪組織で脂肪分解を促し、脂肪をエネルギーとして使いやすくする働きを持つことも、代謝の研究で示されています。
参考:The Impact of Sleep and Circadian Disturbance on Hormones and Metabolism|PubMed
脳の情報整理と代謝活動
睡眠中、脳は日中に得た情報を整理し、記憶として定着させる作業を行っています。
脳は体重の約2%しかありませんが、基礎代謝の約20%ものエネルギーを消費する器官です。
睡眠中も脳の代謝活動は活発に続いており、これが消費カロリーの大きな部分を占めています。
参考:健康日本21アクション支援システム|厚生労働省
このように、睡眠中の体は常に休むことなく、修復・再生・脂肪分解といった代謝活動を行っているのです。
それゆえ、「睡眠の質」を高めることが、効率的なカロリー消費と健康的な体づくりにつながると言えるでしょう。

睡眠不足だと太りやすくなる!科学的な3つの理由

複数の科学研究により、睡眠時間が短い人ほど肥満になりやすいことが明らかになっています。
ここでは、睡眠不足が体重増加につながる3つの理由を解説します。
食欲調節ホルモンが乱れるため過食になる
睡眠不足になると、食欲をコントロールする2つのホルモンバランスが大きく崩れます。
1つ目は「グレリン」と呼ばれる食欲増進ホルモンです。
グレリンは胃から分泌され、脳に「お腹が空いた」というシグナルを送ります。
睡眠不足になると、このグレリンの分泌量が増加します。
2つ目は「レプチン」という食欲を抑えるホルモンです。
脂肪細胞から分泌され、「もうお腹いっぱい」と脳に伝える役割を持っており、睡眠不足になると、レプチンの分泌が減少してしまいます。
実際に睡眠不足によって空腹感が24%増加し、食欲が23%増加したという海外の研究結果もあります。
つまり、睡眠不足の場合「食べたい欲求」が強くなり、「満腹感」を感じにくくなる状態になっている可能性が高いと言えます。
参考:Brief Communication: Sleep Curtailment in Healthy Young Men Is Associated with Decreased Leptin Levels, Elevated Ghrelin Levels, and Increased Hunger and Appetite|American College of Physicians
脳の報酬系が過剰反応し自制心が低下する
睡眠不足は、脳の働きにも深刻な影響を与えます。
特に注目すべきは、前頭前野の機能低下と報酬系の過剰反応です。
前頭前野は、理性的な判断や衝動のコントロールを司る部位です。
睡眠不足になると、この前頭前野の活動が低下し、「今日だけはいいか」「少しくらい大丈夫」といった自制心が効きにくくなります。
一方で、快楽や報酬に反応する脳の「報酬系」は過剰に活性化し、高カロリーで太りやすい食べ物を強く欲するようになります。
参考:The impact of sleep deprivation on food desire in the human brain|Springer Nature
代謝機能が悪化する
睡眠不足は、体のエネルギー代謝そのものを低下させます。
つまり、細胞レベルから糖代謝を悪化させることで、太りやすく、病気になりやすい体を作っていることになります。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠指針2014」でも、睡眠不足が肥満や糖尿病のリスクを高めることが明記されており、適切な睡眠時間の確保が推奨されています。
参考:Impaired Insulin Signaling in Human Adipocytes After Experimental Sleep Restriction|American College of Physicians
睡眠中の消費カロリーを最大化する5つの秘策とは?

ここからは「痩せやすい睡眠」を実現するための、エビデンスに基づいた5つの方法を紹介していきます。
- 寝る90分前に入浴する
- カフェイン・アルコールを控える
- 寝る前にストレッチや深呼吸を行う
- 日々の運動で筋肉量をアップする
- マグネシウムの摂取で深い睡眠を促す
それぞれ順番に解説します。
寝る90分前に入浴する
入浴のタイミングが、睡眠の質を左右します。
最も効果的なのは、就寝の90分前に入浴を済ませることです。
人間の体は「深部体温が下がるタイミング」で自然な眠気を感じるようにできています。
入浴で一時的に深部体温を上げると、その後に体温が下がっていく過程でスムーズに入眠でき、深い睡眠が得られやすくなるという仕組みです。
熱すぎるお湯や長時間の入浴は、交感神経を刺激してしまい逆効果になるため注意しましょう。
ぬるめのお湯でゆったりとリラックスすることが、副交感神経を優位にし、質の高い睡眠をとるコツです。
カフェイン・アルコールを控える
睡眠の質を下げる代表的な物質が、カフェインとアルコールです。
カフェインは、摂取後5〜7時間は体内に残り続け、睡眠の深さを妨げます。
「夕方以降はコーヒーを飲まない」というのが基本ルールですが、カフェインは緑茶、紅茶、エナジードリンク、チョコレートにも含まれているため要注意です。
アルコールを摂取すると入眠は早くなりますが、深い睡眠(ノンレム睡眠)が減少し、夜中に目が覚めやすくなります。
その結果、成長ホルモンの分泌が抑制され、脂肪分解の効率が落ちてしまうのです。
睡眠の質を高めたいなら、就寝3〜4時間前からはカフェインとアルコールを避けると良いでしょう。
寝る前にストレッチや深呼吸を行う
就寝前の軽いストレッチや深呼吸は、副交感神経を優位にし、体をリラックスモードに切り替える効果があります。
ただし、激しい運動は逆に交感神経を刺激してしまうため、就寝前は「気持ちいい」と感じる程度の軽いストレッチにとどめましょう。
また深呼吸は自律神経を整え、自然な眠気を促す効果があるとされています。
参考:熟睡するための睡眠法│寝る前にリラックスする5つのテクニック
日々の運動で筋肉量をアップする
睡眠中の消費カロリーを根本的に増やすには、基礎代謝を上げることが最も効果的です。
そして基礎代謝を上げる最良の方法が、筋肉量を増やすことです。
筋肉は、脂肪組織と比べて約3倍のエネルギーを消費します。
参考:Basal metabolic rate calculator|Protéalpes
また、厚生労働省の「健康づくりのための身体活動基準2013」では、成人は週に150分以上の中強度の有酸素運動、または週に75分以上の高強度の有酸素運動を行うことが推奨されており、筋力トレーニングも週2日以上行うことが望ましいとされています。
マグネシウムの摂取で深い睡眠を促す
マグネシウムは神経の興奮を抑えたり、筋肉の緊張をほぐしたり、深い睡眠を促したりするなど重要な働きを持つミネラルです。
複数の科学研究を統合分析した2021年の研究結果では、マグネシウム補給の補給によって、寝つくまでの時間が平均して約17分短縮されたことが報告されています。
深い睡眠時間が増えることで、成長ホルモンの分泌が高まりやすくなるとされ、脂肪分解や筋肉修復の効率にも良い影響を与える可能性があります。
参考:Oral magnesium supplementation for insomnia in older adults: a Systematic Review & Meta-Analysis|PubMed
睡眠の質を向上させる「マグネシウム」がおすすめ

マグネシウムは深い睡眠をサポートすると言われており、効率的なカロリー消費と体重管理を支える重要な役割を果たします。
しかし、厚生労働省の調査では現代人の多くがマグネシウム不足の状態です。
ここでは、マグネシウムがなぜ睡眠の質を高めるのか、そして効果的な摂取方法について詳しく解説します。
マグネシウムが睡眠の質を高めるメカニズム
マグネシウムは、体内で800種類以上の酵素反応に関わる必須ミネラルであり、睡眠に関しては3つの重要な働きをしています。
| 働き | 詳細 |
|---|---|
| 神経の興奮を抑える | 脳内の抑制性神経伝達物質「GABA」の働きを高め、脳の興奮を鎮めてリラックス状態を作ります。 |
| メラトニンの生成を促進する | 「睡眠ホルモン」と呼ばれるメラトニンの合成を助け、体内時計を調整して自然な眠気を促します。 |
| 筋肉の緊張をほぐす | 筋肉を弛緩させる働きがあり、体の緊張をほぐしてリラックスした状態で眠りにつけるようにします。 |
以下の記事では、睡眠の質を上げる入浴方法について解説しているので、併せてこちらも参考にしてください。
日本人に不足しているマグネシウムの実態
令和5年の厚生労働省「国民健康・栄養調査」によると、日本人の1日のマグネシウム平均摂取量は以下です。
- 30代男性:約241mg/日
- 30代女性:約197mg/日
これは推奨量と比べると、男性で約139mg(37%)、女性で約93mg(32%)程度が毎日不足している計算になります。
特に、ストレスが多い生活を送っている人は、体内でマグネシウムが消費されやすく、より不足しやすい傾向にあるため、意識的なマグネシウムの摂取が重要です。
マグネシウムを多く含む食品リスト
マグネシウムは、以下のような食品に豊富に含まれています。
日々の食事に取り入れることで、自然に摂取量を増やすことができます。
【マグネシウムを多く含む食品(100gあたり)】
| 海藻類 | あおさ(乾燥) | 3,200mg |
| わかめ(乾燥) | 1,100mg | |
| 昆布(乾燥) | 540mg |
| ナッツ・種子類 | かぼちゃの種 | 530mg |
| ごま | 360mg | |
| アーモンド | 310mg |
| 豆類 | 大豆(乾燥) | 220mg |
| 納豆 | 100mg | |
| 枝豆 | 62mg |
| 魚介類 | さくらえび(乾燥) | 310mg |
| しらす干し | 130mg | |
| あさり | 100mg |
| 穀類 | 玄米 | 110mg |
| オートミール | 100mg | |
| 全粒粉パン | 75mg |
| その他 | ダークチョコレート | 230mg |
| ほうれん草 | 69mg | |
| アボカド | 33mg |
マグネシウムを豊富に含む食べ物について、さらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
1日あたりのマグネシウム推奨量と効果的な摂取タイミング
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、年齢や性別によってマグネシウムの推奨量を以下のように定めています。
| 年齢 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 18〜29才 | 280mg | 340mg |
| 30〜49才 | 290mg | 380mg |
| 50〜64才 | 290mg | 370mg |
また、食事からマグネシウムを大量に摂取しても、副作用が起きる心配はほとんどありません。
ただし、サプリメントなどで過剰に摂取した場合は、下痢や腹痛などの副作用が起こることがあります。
サプリメントから摂取する場合の上限は、成人で350mg/日とされています。

睡眠中の消費カロリーに関するよくある質問

Q1. 昼寝(短時間の睡眠)でもカロリーは消費されますか?
はい、消費されます。
睡眠中のカロリー消費は睡眠時間に比例するため、昼寝でもその時間分のカロリーが消費されます。
ただし、効果的な昼寝は15〜20分程度、午後1〜3時の間がベストであり、30分を超えると目覚めた後に眠気が残りやすい傾向です。
Q2.睡眠時間を増やせば増やすほど痩せる?
いいえ、長すぎてもよくありません。
健康的な体重維持を図るには7〜8時間の睡眠が適切でしょう。
9時間以上の過度な睡眠は、日中の活動量の減少や代謝機能の低下を招く可能性があります。
重要なのは睡眠の「時間」よりも「質」だということを覚えておいてください。
Q3.なぜマグネシウムは睡眠の質を向上させるの?
マグネシウムは深い睡眠を促し、成長ホルモンの分泌を活性化させる働きがあるからです。
また、神経の興奮を抑えたり、リラックスを促すGABAの生成を助けたり、睡眠ホルモン「メラトニン」の材料となるセロトニンの合成にも役立っています。
マグネシウム自体の働きも大切ですが、不足した際に不眠に繋がるリスクがあるため、普段の食事やサプリメントで補うと良いでしょう。
まとめ|マグネシウムで質の良い睡眠と効率的なカロリー消費を

睡眠中でも私たちの体はカロリーを消費しています。
しかし重要なのは睡眠の「時間」ではなく「質」です。
睡眠不足は食欲調節ホルモンを乱し、自制心を低下させ、代謝機能を悪化させて、太りやすい体質を作ります。
今回紹介した、質の高い睡眠を実現する5つのポイントを押さえて、マグネシウムを摂取することで、健やかな睡眠と健康につながるはずです。
ぜひ今日からあなたの生活に取り入れてみてください。

