副腎疲労にはマグネシウムが効く?その理由と6つの対策方法

副腎疲労にはマグネシウムが効く?その理由と6つの対策方法

「最近、朝起きるのがつらい…」

「なかなか疲れが取れない…」

「カフェインが手放せない…」

これらはもしかすると、副腎疲労が原因かもしれません。

副腎は、ストレスに対抗するホルモンを分泌する器官です。過剰なストレスを受けると副腎が疲労してしまい、慢性的な疲労感や睡眠障害、気分の落ち込みといった症状が現れ、日常生活に支障をきたす恐れがあります。

この状態が「副腎疲労」です。

副腎疲労は医学的に正式に認められている病名ではないものの、ストレスが大きいといわれている現代社会に生きる私たちにとって、決して他人事ではありません。

今回は、副腎疲労の改善に効果的だといわれている「マグネシウム」がもたらす副腎への作用や、マグネシウムを日常生活に取り入れる効果的な方法について解説します。

マグネシウムが副腎疲労に効く理由

副腎疲労にはマグネシウムが効く?その理由と6つの対策方法

副腎疲労の改善に向けてマグネシウムを上手に活用するために、まずは「マグネシウムの働き」について解説します。

ストレスホルモン、自律神経、睡眠の3つの視点から、マグネシウムと副腎の関係について見ていきましょう。

ストレスホルモンの調整

ストレスを感じると、副腎から「コルチゾール」というホルモンが分泌されます。

副腎は腎臓の上に位置する臓器で、左右に一つずつあります。位置としては肝臓の下側、腎臓の真上、ちょうど胃の裏側あたりです。

副腎は体内環境を一定に保つ役割を担っており、体の状況によってさまざまなホルモンを分泌します。たとえば、血圧や血糖値を調整するホルモンや、塩分や水分のバランスを調整するホルモン──などです。

ストレスに抵抗するホルモン「コルチゾール」もその一つです。

コルチゾールは別名「ストレスホルモン」とも呼ばれていますが、コルチゾール自体はストレスから体を守る重要な役割を果たしており、必ずしも人体に害を与えるものではありません。

しかし、慢性的かつ長期的にストレスにさらされ続けると、コルチゾールの過剰な作用によりホルモンや自律神経など、体内のさまざまなバランスが崩れてしまいます。

コルチゾールの適切な分泌バランスを保つには、マグネシウムが欠かせません。なぜなら、マグネシウムにはコルチゾールの分泌を抑制し、セロトニン(幸福ホルモン)の分泌を促す働きがあるからです。

さらに、マグネシウムが不足すると、副腎はコルチゾールを過剰に分泌しようとする性質があります。

結果として副腎が疲弊し、ホルモンバランスがいっそう崩れてしまうという悪循環に陥りやすくなります。

副腎疲労を予防するには、副腎の負担を軽減する必要がありますが、そのためにはマグネシウムの摂取が効果的です。

自律神経の調整

ストレスが続くと、交感神経も影響を受けます。具体的には交感神経が優位になりやすくなったり、体が緊張状態になりやすかったり。

そんな状態が続くと体のリズムが乱れ、ストレスにより副腎にも大きな負担がかかります。

そこで活躍するのがマグネシウムです。

マグネシウムには、副交感神経(リラックス神経)を優位にする働きがあります。

マグネシウムをしっかり摂ることで、副交感神経を活性化し、自律神経のバランスが整います。

結果として心身がリラックスし、副腎の負担も軽減されるというわけです。

睡眠の質を改善

副腎疲労の大きな要因の一つが「睡眠の質の低下」です。

私たち人間は基本的に、日中に活動した疲労などを、夜に寝ることで回復しています。

免疫システムや自律神経も同様に、朝と夜のリズムとサイクルの中でオンとオフを繰り返しながら、コンディションを保っています。

しかし、回復時間である夜に十分な睡眠が得られなかったら、体の疲労やダメージはどんどん蓄積されていってしまいます。

質の高い睡眠は、毎日を元気に過ごすために決して欠かせません。

ところが、副腎が疲労しているとコルチゾールの分泌が乱れ、睡眠障害を招く場合があります。

これを改善するために、マグネシウムを意識的に摂取する習慣を取り入れてみましょう。

マグネシウムには神経の興奮を抑える作用があるため、スムーズな入眠と深い睡眠をサポートしてくれます。

副腎疲労とは?

副腎疲労にはマグネシウムが効く?その理由と6つの対策方法

ここで、改めて「副腎疲労」について掘り下げてみましょう。

先述したように、副腎疲労は医学的な病名ではありませんが、副腎が疲労することで見られる主な症状や原因がいくつかあります。

ここからは、副腎疲労の主な症状や原因、治療法について順に見ていきましょう。

参考)副腎疲労とは?セルフチェックでわかる症状と治し方│東京原宿クリニック

副腎疲労の主な症状

副腎疲労は、主に以下のような症状が特徴です。

  • 朝なかなか起きられない
  • いつも疲れている
  • 気分が沈みがち
  • 性欲の低下
  • めまいや立ちくらみ
  • 塩分や甘いものを強く欲する
  • アレルギー症状の悪化
  • 風邪をひきやすい
  • 睡眠の質が悪い

どれも「なんとなく不調」といった、いわゆる「未病(みびょう。不調ではあるものの、まだ病気とまではいえない状態)」の軽い症状に感じるかもしれませんが、放っておくと日常生活に支障をきたすことも。

また、上記は副腎疲労の代表的な症状ではありますが、これらの症状があるからといって、必ずしも副腎疲労が生じているというわけではありません。

体調が心配な方は、必ず医師の診断を受けてから対策してくださいね。

副腎疲労の主な原因

副腎疲労の原因はさまざまですが、主な原因としては次のようなケースがあげられます。

  • 長期間のストレス
  • 夜更かしや不規則な生活
  • 有害金属・化学物質への慢性的な暴露
  • アルコールやタバコの過剰摂取
  • 栄養不足(特にビタミンやミネラル)
  • 慢性の炎症や感染症

つまり、生活習慣や環境によるストレスが慢性的に積み重なると、副腎本来の機能が低下してしまうのです。

副腎疲労の治療法

副腎をケアするには、ライフスタイルを根本的に見直す必要があります。

手軽に取り組みやすいのは、規則正しい生活とストレスの軽減でしょう。

また、食習慣の改善もとても効果的です。

中でも特に意識したいのが、マグネシウムや各種ミネラル・栄養素の摂取です。

とりわけマグネシウムは、副腎の機能を支える上でとても重要な要素です。

マグネシウムは、ビタミンCやビタミンB群などと相互に作用しながら副腎をサポートし、エネルギー代謝に必要な酵素の活性化を促進します。

副腎疲労の回復を目指すなら、まずはマグネシウムを意識的に摂取するのがおすすめです。

参考:副腎疲労から回復する(補給編)│疲労回復処 輔-task-鍼灸院 廿日市院

マグネシウムの基礎知識

副腎疲労にはマグネシウムが効く?その理由と6つの対策方法

マグネシウムは生きていくのに欠かせないミネラルの一つですが、実は現代人に不足しやすい栄養素でもあります。

副腎疲労との関係性を理解するために、まずはマグネシウムの基本的な働きを押さえておきましょう。

マグネシウムは、体内で800以上の酵素反応に関わっており、主に次のような働きを担っています。

  • 神経の安定
  • 筋肉の弛緩
  • 血圧の調整
  • 血糖値のコントロール

特に精神的なストレスが大きい人ほど、体内のマグネシウムの消耗が激しくなります。

ストレス社会といわれるようになって久しい日本ですが、特に忙しく働く現代人にとって、マグネシウムは意識的に補給したいミネラルといえるでしょう。

マグネシウムの摂取量が十分かどうか心配な方は、「マグネシウム不足自己診断テスト」でお試しください。

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副腎疲労の6つの対策方法

副腎疲労にはマグネシウムが効く?その理由と6つの対策方法

次に、副腎疲労の予防・改善に向けた6つの対策方法をご紹介します。

副腎疲労を予防したり改善したりするには、副腎に優しい習慣を取り入れることが大切です。

食事を工夫する

はじめに意識したいのは、食習慣の改善です。

特に現代日本人は、加工食品の摂取量が多い一方で、マグネシウムなど各種ミネラルが豊富な魚介類の消費量が減少傾向にあるのが現実です。

マグネシウムを豊富に含む食事を摂るということは、健康的な食習慣を実践するということ。

内臓機能や免疫力が整うだけでなく、お肌の調子やメンタル的なコンディションの改善などにも期待できるので、ぜひとも実践したいところです。

マグネシウムを豊富に含む代表的な食材には、あおさやひじき、わかめなどの海藻類、アーモンドなどのナッツ類、豆腐や納豆などの大豆製品、ほうれん草や小松菜など緑黄色野菜があげられます。

パンプキンシードやヘンプシードなどの種実類も、マグネシウムを豊富に含んでいます。

マグネシウムを効率よく摂る方法!豊富な食品ランキング&簡単献立例

サプリメントを活用する

食事だけでは足りない場合は、サプリメントを上手に取り入れるのもいいでしょう。

マグネシウムは、経口摂取では30%程度しか吸収されません。

つまり、経口摂取での吸収率が、他のミネラルと比べて低めなのです。

ですから、マグネシウムを効率的に摂取するなら、多少の工夫が必要です。

たとえば、吸収率の高いクエン酸マグネシウムや、グリシン酸マグネシウムを活用したり、マグネシウムの吸収を促進するビタミンDと一緒に摂取したり。

なお、「吸収率が低いならたくさん摂取すればいい」と、マグネシウムのサプリメントを多量に摂取するのは絶対にやめてください。

マグネシウムは基本的に過剰に摂取しても問題ないとされていますが、腎臓に疾患があったり、糖尿病を患っていたりする場合、健康リスクが高まる可能性があります。

持病がある方は、かかりつけ医に相談の上でサプリメントの使い方を決めましょう。

マグネシウム風呂を活用する

実はマグネシウムは、皮膚から吸収(経皮吸収)することも可能です。

たとえば、エプソムソルト(マグネシウム成分で構成された入浴剤。硫酸マグネシウム)を溶かしたお風呂にゆっくり浸かると、筋肉の緊張の緩和や血行促進などにアプローチでき、リラックス効果が得られることもあります。

また、捻挫や子どもの成長痛など、痛みのある患部にマグネシウムオイルやマグネシウムバームなどを直接塗ることで、痛みをケアすることも可能です。

内臓機能やホルモンバランスなどにアプローチする経口摂取と、筋肉や血管などにアプローチする経皮吸収。それぞれ期待できる効果が異なるので、目的に応じて使い分けるのがおすすめです。

睡眠環境を整える

副腎を十分に休ませるには、良質な睡眠を取ることが重要です。

良質な睡眠にはマグネシウムの摂取も効果的ですが、就寝前には部屋を暗くしたり、リラックスできるムードを作ったりといった工夫も大切です。

近年はスマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスを使う人が増えましたが、寝ながらスマホやタブレットを操作すると、脳が覚醒して自律神経が優位になり、心地良い入眠を妨げる原因になることがあるので注意が必要です。

副腎疲労にはマグネシウムが効く?その理由と6つの対策方法

就寝の1時間前にはテレビやスマートフォン、パソコンなどの画面を見るのをやめる習慣をつけるのがおすすめです。寝室からスマートフォンを持ち出し、代わりに昔ながらの目覚まし時計を使いましょう。

スクリーンの使用を控えることで、刺激となるブルーライトの影響を大きく減らすことができ、アドレナリンの分泌を抑えるとともに、副腎への負担も軽くなります。

生活習慣を整える

人間にはバイオリズムがあり、そのリズムに基づいて心身のコンディションが調整されています。

不規則な生活を送ったり夜更かしをしたりすると、そのリズムが崩れ、体への負担やストレスが大きくなります。

副腎の回復をサポートするためには、規則正しい生活を心掛けることや、適度な運動と休息をしっかり取り、暮らしのリズムや習慣を整えることが大切です。

ちなみに適度な運動には、心身への負担が少ない散歩やストレッチなど、比較的軽めのものが理想的です。

ストレス管理

副腎は、ストレスに対抗するためのコルチゾールを分泌する器官ですから、ストレスが大きければ大きいほど、副腎への負担もまた大きくなります。

とはいえ、私たちは物事が複雑に絡み合った社会生活を送っているわけですから、日常のストレスを完全に排除するのは難しいでしょう。

だからといって、自分自身に無関心になったり、自分自身を大切にしなかったりするのは良くありません。

自分の心と身体の声に耳を傾け、自分にとって無理のない生活リズムを見つけることが、副腎疲労の最大の予防策です。

まとめ|マグネシウムで副腎疲労をケアしよう

副腎疲労にはマグネシウムが効く?その理由と6つの対策方法

「副腎疲労」は正式な病名でもなければ、象徴的な症状があるわけでもありません。

とはいえ、私たちにとって決して無縁ではなく、むしろいつでも誰しも陥る危険性が高い症状なのです。

「何となくやる気が出ない…」
「寝ても寝た気がしない…」
「なかなか疲れが取れない…」

こうした思いは、誰しも一度は経験したことがあるでしょう。

しかし、こうした状態が慢性的になっているなら要注意。

もしかすると、マグネシウム不足が原因かもしれません。

今回は、副腎疲労にマグネシウムが効果的な理由と、副腎疲労の予防・対策法について詳しく解説しました。

無理をしない。頑張りすぎない。そんな自分への優しさが、副腎のケアにつながります。

食生活の見直し、生活習慣の改善など、今日から少しずつ、できることから始めてみませんか?