「最近、イライラしてばかりいる…」
ふとした瞬間にイライラしてしまうことは、誰にでもあるものです。
仕事でのちょっとした行き違い、家事や育児の忙しさ、あるいは人間関係のストレス…。
理由が分かっているときもあれば、特に思い当たる原因がないのに気持ちが落ち着かないこともありますよね。
そんなとき「自分自身の問題」と、つい自分を責めてしまいがちですが、実は「栄養不足」がイライラに関わっているケースも少なくありません。
今回は、イライラと関係の深い6つの栄養素と、気持ちが不安定になりやすい人におすすめのレシピを紹介します。
毎日の食事に少し気を配るだけで、心がふっと軽くなる感覚を取り戻せるかもしれません。
本記事を参考に食生活を見直してみましょう。
イライラに関係する6つの栄養素

イライラには、心だけでなく体のコンディションも深く関わっています。
特に、脳の働きを支える栄養素が不足すると、感情を落ち着かせるための材料が足りず、気持ちが揺らぎやすくなることがあります。
はじめに、イライラと関係の深い代表的な6つの栄養素について紹介します。
1.マグネシウム
マグネシウムは、気持ちの安定に関わる神経伝達物質の働きをサポートするミネラルとして知られています。
ストレスが続くと体内のマグネシウムが消費されやすくなるため、忙しい毎日の中では不足しやすい栄養素の1つです。
また、マグネシウムは筋肉のリラックスにも関わるため、睡眠の質にも間接的に影響します。
よく眠れない日が続くとイライラしやすくなる…という悪循環を感じる方も少なくありません。
海藻類、ナッツ類、豆類、全粒穀物などに多く含まれているため、間食でナッツを取り入れたり、ごはんを雑穀米に変えたりなど、ちょっとした工夫で補いやすい栄養素です。
2.ビタミンB群
ビタミンB群は、気持ちの安定に欠かせない「エネルギー代謝」と「神経の働き」を支える重要な栄養素です。
特にビタミンB1・B6・B12は、脳内の神経伝達物質がスムーズに働くためのサポート役として知られており、不足すると集中しづらくなったり、些細なことでイライラしやすくなることがあります。
また、ビタミンB群はストレスを感じたときにも消費されやすいため、忙しい毎日を送る現代人には意識して補給したい栄養素です。
ビタミンB群は豚肉・卵・大豆製品・玄米・バナナなどに豊富に含まれています。
日々の食卓に取り入れやすい食材が多いので、特定の食品に偏らずいろいろなメニューを組み合わせ、栄養をバランス良く摂るのがポイントです。
3.鉄
鉄は、全身に酸素を運ぶ役割を持つ大切なミネラルで、心身のエネルギー維持に深く関わっています。
鉄が不足すると、体が思うように動かない、集中力が続かない、疲れやすいといった状態が起こりやすくなり、結果としてイライラが増えてしまうことも。
気持ちが不安定に感じるときに、実は鉄不足が背景にあるケースは意外と少なくありません。
また、鉄は脳内の働きとも関連しており、神経伝達物質の合成をサポートするため、心のバランスを整える上でも大切です。
特に女性は月経によって鉄が不足しやすいため、普段からこまめに摂るよう意識したい栄養素です。
鉄は、レバー、赤身肉、あさり、小松菜、ひじきなどさまざまな食品に含まれています。
動物性食品に含まれるヘム鉄の方が吸収されやすいため、植物性食品と組み合わせて摂るのも良い方法です。
なお、ビタミンCと一緒に摂ることで利用効率が高まるため、野菜や果物を添えるなど工夫するのがおすすめです。
4.たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や肌だけでなく、気持ちの安定に関わる神経伝達物質の材料にもなる、大切な栄養素です。
特にセロトニンやドーパミンといった心のバランスに関わる物質は、たんぱく質に含まれるアミノ酸からつくられています。
そのため、たんぱく質が不足すると「なんとなく気力がわかない」「イライラしやすい」「集中できない」といった不調につながることがあります。
現代の食生活では、手軽に済ませる食事が増えることで、気付かないうちにたんぱく質が不足してしまうケースが少なくありません。
特に朝食でたんぱく質が足りていないと、午前中の気分の浮き沈みを感じやすくなる人もいます。
大切なのは、1度に大量に摂るのではなく、朝・昼・晩とバランス良く取り入れることです。
たんぱく質は、肉、魚、卵、大豆製品、乳製品など、さまざまな食品から摂取できます。
忙しいときにはヨーグルトやゆで卵、豆腐料理など、すぐに食べられるメニューを活用するのもおすすめです。
5.カルシウム
カルシウムは、マグネシウムと同様に神経の興奮を抑え、心の落ち着きを保つ上で大切なミネラルです。
体内のカルシウムバランスが乱れると、神経が過敏になりやすく、イライラやそわそわした気分につながることがあります。
カルシウムの摂取を考える上では、カルシウムばかり摂取するのではなく、マグネシウムと一緒に摂るのを意識することが大切です。
カルシウムは乳製品だけでなく、豆腐や小魚、海藻、緑黄色野菜など幅広い食品に含まれています。
毎日少しずつ継続して摂ることが大切なので、ヨーグルトを朝食にプラスしたり、夕食に小松菜のお浸しを添えたりと、無理のない工夫で補給することを意識しましょう。
6.亜鉛
亜鉛は、体のさまざまな機能をサポートするミネラルで、特に神経伝達物質の生成やホルモンバランスに関わる重要な栄養素です。
亜鉛が不足すると味覚の低下や肌荒れだけでなく、気分の落ち込みやイライラなど、心のコンディションにも影響が出やすいといわれています。
ストレスがかかると体内の亜鉛が消費されやすくなるため、忙しい現代人にとって不足しやすい栄養素の1つです。
また、亜鉛はたんぱく質の代謝を助ける働きもあるため、間接的に心のバランスにも影響します。
心身の調子を整えるために、普段の食事から十分に摂取できるよう意識しましょう。
亜鉛を多く含む食品には、牡蠣、赤身肉、レバー、ナッツ類、豆類などがあげられます。
特に牡蠣は含有量が多く、季節の料理で取り入れると効率良く補給できます。
ただし、亜鉛は摂りすぎても体に負担がかかることがあるため、サプリメントではなく食事から自然に取り入れるのがおすすめです。
栄養に関するトピックで触れられることはあまり多くありませんが、実は「リチウム」も気分の安定に役立つミネラルのひとつです。
精神医療などでは、高用量の「炭酸リチウム」が処方されるケースがありますが、栄養学的にはむしろ微量レベルのリチウムの方が、自然かつ効果的に働くと考えられています。
リチウムが働く主なメカニズムには、次のようなものがあげられます。
・BDNF(脳由来神経栄養因子)の増加
・セロトニンおよびドーパミンの増加
・モノアミンオキシダーゼ(MAO)活性の上昇
・グルタミン酸レベルの低下
・炎症の抑制
・ビタミンB12・葉酸の輸送補助
・ミトコンドリア機能の向上
こうした働きから、リチウムは神経系の保護やメンタルバランス・睡眠の質向上にも関与するとされています。
なお、微量リチウムを含む食品としては、以下のようなものがあげられます。
【豆類】レンズ豆、ひよこ豆、各種豆類
【穀類】玄米、小麦、オートミール
【根菜・葉物野菜】じゃがいも、ビーツ、キャベツ
【ナッツ・種子類】特にくるみ
【海藻類】昆布、わかめ(ケルプは特に豊富)
土壌のミネラル組成により含有量は変動しますが、これらの食品を日常的に取り入れることで、自然にリチウムを補うことができます。
本記事で紹介したマグネシウムや亜鉛、鉄、ビタミンB群、たんぱく質、オメガ3脂肪酸などと合わせてリチウムを摂取すると、神経伝達物質の代謝と精神的安定性をより効果的にサポートできます。
リチウムは単体で働くのではなく、脳に必要な栄養素の「調整役・補佐役」として機能するため、栄養バランスを意識して摂取することが大切です。
食事や生活スタイルに合わせながら取り入れると、メンタルヘルスへのより包括的なサポート効果に期待できるでしょう。
「イライラする」ときにおすすめのレシピ7選
イライラを感じやすいときは、栄養不足のサインである場合もあります。
そんなときは、バランスの良い料理を取り入れることで気分がやわらぐことがあります。
ここでは、忙しい日でも手軽に作れて、栄養もしっかり摂れるおすすめレシピを紹介します。
気持ちが不安定なときこそ、体が喜ぶ食事で自分をいたわってあげましょう。
ビタミンCたっぷり「パッタイ」

- 米粉麺(センレック)…100g
- ぬるま湯…1L
- えび(頭付き)…4尾
- 溶き卵…1個分
- 厚揚げ…20g
- にら…1本
- もやし…40g
- 煎りピーナッツ…6粒
- サラダ油…大さじ2
- ナンプラー…大さじ3
- オイスターソース…大さじ1
- 塩…1g
- レモン…1/2個
- パクチー…お好みで
- 米粉麺をぬるま湯に20分浸けてもどし、水分をしっかり拭き取る
- 厚揚げは半分の厚さに切り、短冊切りに。ニラは3cm程度の食べやすい大きさにカットし、えびは頭を外して殻をむき、背ワタを取り除いておく
- フライパンにサラダ油を引いて加熱し、溶き卵を入れ強火でふんわり炒める
- えびの香りが出てきたら、えびの頭をつぶして米粉麺を加え、全体が絡むように中火で炒める
- えびの身、厚揚げ、にら、もやし、ナンプラー、オイスターソース、塩を加えて炒める
- えびの身に火が通ったら火を止め、砕いたピーナッツとたっぷりのレモン果汁を回しかけ、食べやすくカットしたパクチーを添えたら完成
米粉麺はくっつきやすかったりベトベトしやすかったりしますが、ぬるま湯に浸けて戻すことと、多めの油を使って炒めることで、コシのあるおいしい仕上がりになります。レモンをたっぷり絞って酸味を効かせるのがポイント。
野菜やレモン、パクチーなどをたっぷり使うことで、ビタミンCをしっかり摂ることができます。
ビタミンCは鉄の吸収をサポートするほか、ストレスに関わるホルモンの働きを助ける栄養素としても知られています。
さっぱりとした酸味と甘辛い味付けが食欲をそそり、疲れた心と体をやさしく満たしてくれるでしょう。
また、パッタイに使われるエビや卵はたんぱく質が豊富で、気持ちの安定に関わる神経伝達物質の材料として役立ちます。
米粉麺を使うことで軽い食べ心地になりますが、焼きそば用の麺で代用することも可能です。
仕上げにナッツやレモンを添え、マグネシウムやビタミンCをプラスすると、よりバランスの良い1皿に仕上がります。
米粉で作る「ヘルシークリームシチュー」

- 鶏むね肉…1枚
- 玉ねぎ…1/2個
- にんじん…1/2本
- じゃがいも…2個
- ブロッコリー…1/4株
- バター…10g
- 水…500mL
- 牛乳…300mL
- 米粉…大さじ2
- 塩…3g
- 黒こしょう…1g
- ナツメグ…1g
- 玉ねぎは繊維に沿ってスライスし、にんじんは1口大にカット、じゃがいもは皮をむいて1口大にカットし、水にさらしてアクを抜く
- 鍋に高さ1cmほどの水(分量外)を張り、房に分けたブロッコリーを並べて10分加熱する(フタはしない)
- 別の鍋に水を張り、鶏むね肉を丸ごと15分煮る。
- 鶏むね肉の中心まで火が通ったら鍋から引き揚げ、筋繊維に沿って細かくほぐす。スープはとっておく。
- フライパンにバターを引いて加熱する
- バターが溶けたら玉ねぎ、にんじん、じゃがいもを加えて弱火でじっくり炒める
- 玉ねぎがしんなりしたら4のスープを加え、半分程度になるまで煮詰める
- 米粉を入れた計量カップに牛乳を少しずつ入れて溶かす
- 8を7に加え、弱火で5分煮込む
- 塩、黒こしょう、ナツメグを加えて味を整えたら、ほぐした鶏むね肉を混ぜ込む
- 器に盛り付けてブロッコリーを添えたら完成
ブロッコリーは、湯から頭を出して煮ることで色鮮やかな仕上がりになります。また、ブイヨンやコンソメを使わなくても、鶏むね肉のだしを使うことで、十分においしく栄養たっぷりな仕上がりに。牛乳の代わりに豆乳を使うと、いっそうさっぱりとしたシチューになります。
クリームシチューは心をほっと落ち着かせてくれる料理ですが、小麦粉を使うと重たく感じることもあります。
そこでおすすめなのが、米粉で作るヘルシーなクリームシチューです。
米粉はとろみが出やすく、短時間で仕上がる上に、胃にもやさしい食材です。
シチューに鶏肉や豆乳、にんじん・玉ねぎ・ブロッコリーなどをたっぷり加えると、自然と栄養バランスが整います。
特にブロッコリーはビタミンCやカルシウムも豊富で、イライラに関係する栄養素を効率良く摂りたいときにぴったりです。
白ワインでさっぱり「豚ひれ肉のやわらか煮込み」

- 豚ヒレ肉…4枚
- にんにく…1片
- レモン…1/2個
- 薄力粉…小さじ2
- バター…15g
- 白ワイン…400mL
- ローリエ…1枚
- 塩…2g
- 黒こしょう…1g
- 綿棒などを使い、豚ヒレ肉を半分程度の厚さまで伸ばす
- 伸ばした豚ヒレ肉に薄力粉をまぶし、余分な粉を落とす
- フライパンにバターとスライスしたにんにくを入れ、弱火でじっくり加熱する
- にんにくの香りが立ったら、豚ヒレ肉を並べて両面を弱火で加熱する
- 豚肉に軽く火が通ったら白ワイン、ローリエ、塩、スライスしたレモンを加えて中火で煮込む
- 白ワインの量が半分程度になったら、黒こしょうを加えて完成
ローリエをフライパンに加える前に、ナイフなどで両面に傷をつけ、ガスコンロなどで軽く炙ると、いっそう香りが立ちます。また、お好みでザワークラウトを添えると、より酸味が引き立つ仕上がりになります。
豚ひれ肉は脂肪が少なく、たんぱく質をしっかり摂れるのが魅力です。
白ワインを使った煮込みは、コクがありながらもさっぱりしていて、疲れた日でも食べやすいのもポイント。
白ワインの酸味が肉の繊維をほぐし、短時間でもやわらかく仕上がります。
また、豚ひれ肉にはビタミンB群が豊富に含まれており、エネルギー代謝をサポートする働きがあります。
にんにくと一緒に煮込むことで旨味が増し、満足感のある仕上がりに。
気分転換したい日や、特別な料理を楽しみたい席などにもおすすめです。
ほんの少し贅沢な朝食に「至高のお茶漬け」

- ご飯…1杯分
- 刺身…お好みで
- 花穂…1本
- 梅干し…1個
- 食用菊…1個
- 茶葉…大さじ2~3
- 刻みのり…お好みで
- お湯…200mL
- 塩…1g
- 丼にご飯を盛り付けて刺身を並べ、塩を振りかける
- 急須に茶葉とお湯を入れて茶を淹れ、1に回しかける
- ハサミで細かく刻んだ食用菊を散らし、花穂と梅干しを添え、刻みのりを乗せたら完成
刺身にお湯をかけてミディアムレア程度に加熱するのがポイント。刺身は前日の残りもので構いません。お好みの刺身でオリジナルの丼を楽しみましょう。なお、お茶は緑茶や玉露を使うと、いっそう本格的な味わいになります。
魚やのりなど、ミネラルやビタミンが豊富な具材を選ぶことで、栄養バランスが良くなります。
特に刺身はたんぱく質がしっかり摂れ、梅はクエン酸が疲労感の軽減をサポートしてくれる食材として親しまれています。
温かいお茶をかけることで胃腸にもやさしく、目覚めたばかりの体にすっと馴染むのも魅力です。
夕食のもう一品に「牡蠣とほうれん草のホイル焼き」

- 牡蠣(刺身用)…100g
- ほうれん草…2株
- しめじ…1/2株
- バター…10g
- 酒…大さじ1
- 片栗粉…大さじ1
- しょうゆ…小さじ1
- 塩…1つまみ
- レモン…1/4個
- 牡蠣と片栗粉をボウルに入れ優しく揉み洗いしたら、ザルにあけて流水で汚れを洗い落とす
- ほうれん草は3cm幅にカットし、しめじは石づきを落として食べやすい大きさにほぐす
- アルミホイルにほうれん草、しめじ、牡蠣、バターの順に乗せ、塩としょうゆ、酒を振りかけて包む
- オーブントースターで15~20分焼いたら、レモン果汁を回しかけて完成
牡蠣に火を通し過ぎると縮むので、半生くらいの加熱を狙うのがポイント。牡蠣を安全に楽しむために刺身用を使い、使用前には片栗粉でひだの奥の汚れまでしっかり落としましょう。
牡蠣には亜鉛や鉄が豊富に含まれており、どちらも気持ちの安定に関わる栄養素として知られています。
ほうれん草を合わせることで、ビタミンCや葉酸などの栄養も同時に取り入れられるのがメリット。
ホイルで包んで蒸し焼きにするだけで、牡蠣の旨味がぎゅっと閉じ込められ、ほうれん草にもだしがしみ込んで深い味わいが楽しめます。
忙しい日の夕食にもう一品足したいときや、料理に時間をかけられない日にぜひ試してみてください。
イライラと栄養不足の関係とは?

心の不調には、思いがけず体の栄養状態が影響していることがあります。
事実、世界保健機関(WHO)や厚生労働省は「バランスのとれた栄養・食生活はこころの健康における重要な基礎の1つ」としています。
ここでは、イライラと栄養不足の関係について、わかりやすく解説します。
神経伝達物質と栄養の関係
私たちが「落ち着く」「楽しい」「やる気が出る」と感じられるのは、脳内で働く神経伝達物質が気分や感情に影響しているためです。
代表的なものにセロトニンやドーパミン、GABAなどがあり、これらがバランス良く働くことで気持ちが安定し、ストレスにも対処しやすくなります。
しかし、これらの神経伝達物質は食事から得た栄養をもとに合成されているため、栄養が不足するとその働きが低下し、感情のコントロールが難しくなることがあります。
たとえば、セロトニンはトリプトファンというアミノ酸から作られますが、トリプトファンを効率良く働かせるためにはビタミンB6やマグネシウムといった補酵素の存在が欠かせません。
ドーパミンもチロシンというアミノ酸が材料となり、鉄や亜鉛などのミネラルが合成を支えています。
このように、気持ちの安定には複数の栄養素が連動して関わっており、どれかが不足するだけでもバランスが崩れやすくなるのです。
つまり、神経伝達物質の働きは「心の問題」というより「体の栄養状態」に左右されることが多いということ。
イライラや不安が続くときは、まず栄養の偏りを見直すことが、心を整える第一歩につながるかもしれません。
現代人に多い「隠れ栄養不足」
現代の食生活は便利になった一方で、知らず知らずのうちに栄養が偏りやすい側面もあります。
特に、忙しさから食事をコンビニや外食で済ませることが増えたり、ダイエットで食事量を減らしてしまったりすると、必要な栄養素が十分に摂れないまま過ごしてしまうことも。
見た目は普通に食べていても、実際には特定の栄養が不足している状態を「隠れ栄養不足」といいます。
特に若い世代の栄養不足は日本で深刻な課題となりつつあり、中でも20代女性の過度なダイエットややせ願望による栄養障害が深刻化しており、厚生労働省も警鐘を鳴らすほどの現状です。
隠れ栄養不足は、エネルギー量は足りていてもビタミン・ミネラル・たんぱく質などが不足してしまうのが特徴です。
特にマグネシウム、鉄、ビタミンB群、亜鉛などは現代人が不足しやすい栄養素としてよくあげられます。
これらは神経伝達物質の働きに関わるため、不足すると「なんだかイライラする」「集中できない」「疲れやすい」といった不調が現れやすくなります。
さらに、ストレスが続くと体内で栄養の消費が増えるため、普段以上に栄養不足が進みやすくなります。
つまり、忙しさやストレスが多い生活ほど、意識的に栄養を補う必要があるのです。
イライラ予防におすすめの栄養対策3選

イライラを感じやすい状態を整えるためには、日々の食事で不足しがちな栄養を補うことが大切です。
とはいえ、毎日の食事を大きく変えるのはむずかしいもの。
そこで、無理なく続けやすく、気持ちの安定にもつながりやすい栄養対策を3つ厳選しました。
気軽に取り入れられる対策として、ぜひ参考にしてください。
セロトニンの分泌を促す栄養素を摂る
心を落ち着かせる働きで知られるセロトニンは、「幸せホルモン」と呼ばれることもあります。
セロトニンをしっかり働かせるための鍵となるのが、アミノ酸の1種であるトリプトファンです。
トリプトファンは体内で作ることができないため、食品から補う必要があります。
トリプトファンを多く含む食品には、納豆や豆腐などの大豆製品、バナナ、卵、チーズ、ヨーグルト、鶏むね肉などがあります。
ただし、トリプトファンは単独ではセロトニンに変換されにくく、ビタミンB6やマグネシウムといった補助栄養素が一緒にあることでスムーズに働きます。
そのため、ナッツ類や魚、海藻、玄米なども合わせて取り入れると、より効率良くセロトニンを働かせやすくなります。
また、朝食でトリプトファンを摂ることも大切なポイントです。
朝にトリプトファンを摂り、日光を浴びることで、セロトニンがスムーズに生成されるといわれているためです。
トリプトファンはマグロやカツオなど赤身の魚にも多く含まれているので、本記事で紹介した「至高のお茶漬け」にこれらの魚を使うことで、質の良い朝食を楽しめます。
ミネラルを意識する
マグネシウム・カルシウム・亜鉛などのミネラルは、神経の働きをサポートしたり、心のバランスを保つ役割に関わったりするため、不足すると気持ちの揺らぎを感じやすくなることがあります。
特にマグネシウムはストレスがかかると消費が増えるため、現代人が不足しやすい栄養素の代表格です。
ミネラルを効率良く摂るためには、海藻類、ナッツ類、豆類、緑黄色野菜、小魚などを日常的に取り入れるのがおすすめです。
これらは調理しなくても手軽に食べられるものが多く、間食のナッツやサラダに海藻をプラスするだけでもミネラル補給につながります。
マグネシウムを多く含有する食材については、「【24選】マグネシウムを豊富に含む食品ランキング|効率的な摂取方法&簡単献立例」で詳しく紹介しています。
また、「マグネシウムたっぷりのヘルシーレシピ5選|ダイエットにも嬉しい」では、ダイエットにも役立つヘルシーレシピをまとめています。
健康的に体を絞りたい人は、ぜひ併せてチェックしてください。
水分補給の際にミネラルウォーターを選ぶのも、無理なく取り入れられる工夫の1つとしておすすめです。
普段の食事にマグネシウムを多く含む食材やミネラルウォーターを取り入れることで、イライラの予防だけでなく、体調全体を整えることにも役立ちます。
間食で栄養素をコントロールする
イライラを感じやすいときは、こまめに栄養を補給できる「間食」を上手に使うのも良いでしょう。
食事だけで栄養バランスを整えようとすると負担が大きく感じやすいですが、間食なら少量でも必要な栄養素を手軽に補うことができます。
特に、マグネシウム・カルシウム・亜鉛・トリプトファンといった心の安定に関わる栄養素は、間食で無理なく取り入れられる食品が多いのが魅力です。
おすすめの間食としてあげられるのがナッツ類です。
アーモンドやカシューナッツのほか、特にかぼちゃの種にはマグネシウムが豊富で、くるみにはオメガ3脂肪酸も含まれており、気持ちのバランスを整えるサポートになります。
次に、カカオ70%以上の高カカオチョコレートも少量で満足感があり、マグネシウムやポリフェノールを摂りやすい食品です。
どれもコンビニやスーパーで簡単に買えるものばかりなので、食べすぎに気をつけながら自分に合う食材を探しましょう。
まとめ|イライラは「栄養不足」から整えよう

「イライラ」には、本記事で解説した通り「体の栄養状態」が大きく関わっていることがあります。
今回紹介したマグネシウム、ビタミンB群、鉄、たんぱく質、カルシウム、亜鉛といった栄養素は、心のバランスを保つために欠かせないものばかりです。
また、手軽に作れる料理や間食の工夫を取り入れることで、無理なく栄養補給を続けやすくなります。
イライラは必ずしも「気持ちの弱さ」ではありません。
体と心のサインを受け取り、必要な栄養を満たしてあげることで、少しずつ自分らしい落ち着きを取り戻せるはずです。
今日からできる小さな工夫を続けながら、心地良い毎日につなげていきましょう。

