マグネシウムは、骨や歯の形成、筋肉の収縮、神経伝達など、私たちの体に欠かせないミネラルです。
しかし、1日にどれくらい摂取すればよいのか、また摂りすぎによるリスクはないのか、疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、成人のマグネシウム推奨量は男性で340〜380mg、女性で280〜290mgとされています。
一方、「令和5年の国民健康・栄養調査」によると、多くの日本人がこの推奨量を満たせていない状況にあることが明らかになっています。
そこで今回は、マグネシウムの1日の推奨量と実際の摂取量のギャップ、耐容上限量、さらにはマグネシウム不足がもたらす影響や効果的な摂取方法について、わかりやすく解説します。
適切な摂取量を知ることで、マグネシウムを安全かつ効果的に取り入れ、健康的な毎日を送りましょう。
1日に必要なマグネシウムの摂取量・推奨量

マグネシウムは年齢や性別、妊娠・授乳の有無によって必要量が異なります。
まずは厚生労働省が定める推奨量と、実際の摂取量を大人と子どもそれぞれで確認していきましょう。
大人の1日に必要なマグネシウムの摂取量・推奨量
成人の1日あたりのマグネシウム摂取量・推奨量は、以下です。
<成人のマグネシウム摂取量>
| 性別 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 年齢 | 摂取量 (mg/日) | 摂取量 (mg/日) |
| 20~29(才) | 193 | 229 |
| 30~39(才) | 197 | 241 |
| 40~49(才) | 214 | 238 |
| 50~59(才) | 229 | 256 |
| 60~69(才) | 252 | 278 |
| 70~79(才) | 262 | 284 |
| 80才以上 | 244 | 271 |
参考:令和5年の国民健康・栄養調査|厚生労働省
<成人のマグネシウム推奨量(2025年版)>
| 性別 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 年齢 | 推奨量 (mg/日) | 推奨量 (mg/日) |
| 18~29(才) | 280 | 340 |
| 30~49(才) | 290 | 380 |
| 50~64(才) | 290 | 370 |
| 65~74(才) | 280 | 350 |
| 75以上(才) | 270 | 330 |
| 妊婦(付加量) | +40 | ー |
| 授乳婦(付加量) | +0 | ー |
参考:日本人の食事摂取基準(2025年版)|厚生労働省
マグネシウムは、男性の方が女性よりもやや多く必要とされ、妊娠中の女性は胎児の成長や母体の代謝機能維持のため、通常よりも多めの摂取が推奨されています。
推奨量と比較すると、男性で約130mg、女性で約70〜90mg不足していることが分かります。
つまり、多くの日本人が意識的にマグネシウムを摂取しなければ、推奨量に届かない状況にあるのです。
子どもの1日に必要なマグネシウムの摂取量・推奨量
子どもの1日あたりのマグネシウム摂取量・推奨量は以下です。
<子どものマグネシウム摂取量>
| 性別 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 年齢 | 摂取量 (mg/日) | 摂取量 (mg/日) |
| 1~6 (才) | 140 | 148 |
| 7~14 (才) | 207 | 224 |
| 15~19(才) | 192 | 256 |
参考:令和5年の国民健康・栄養調査|厚生労働省
<子どものマグネシウム推奨量(2025年版)>
| 性別 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 年齢 | 推奨量 (mg/日) | 推奨量 (mg/日) |
| 1~2 (才) | 70 | 70 |
| 3~5 (才) | 100 | 100 |
| 6~7(才) | 130 | 130 |
| 8~9(才) | 160 | 170 |
| 10~11(才) | 220 | 210 |
| 12~14(才) | 290 | 290 |
| 15~17(才) | 310 | 360 |
参考:令和5年の国民健康・栄養調査|厚生労働省
子どもも、成長に伴ってマグネシウムの必要量が増えていきます。
特に思春期以降は、骨や筋肉の発達が著しくなるため、大人に近い量のマグネシウムが必要となります。
子どもの平均摂取量も各年齢層で推奨量をやや下回る傾向にあるため、特に偏食がちな子どもや、好き嫌いが多い子どもの場合は、意識してマグネシウムを含む食品を取り入れたいですね。
たとえば、納豆やきなこ、お味噌汁、アーモンドなど、子どもでも食べやすいメニューから取り入れてみるのがおすすめです。
マグネシウムを摂りすぎるとどうなる?

「体に良い」とされるマグネシウムですが、過剰に摂り過ぎると逆効果になることもあります。
食事からマグネシウムを摂取している分には、基本的に過剰摂取になることはありませんが、サプリメントや医薬品から摂取する場合は、耐容上限量を守ることが重要です。
ここでは、過剰摂取による症状やリスクについて詳しく見ていきましょう。
耐容上限量(350mg/日)とは?
耐容上限量とは、「健康障害をもたらすリスクがないとみなされる習慣的な摂取量の上限」のことです。
厚生労働省によれば、サプリメントや医薬品などの通常の食品以外からのマグネシウム摂取について、以下の耐容上限量が設定されています。
- 成人:1日あたり350mg
- 小児:1日あたり体重1kgで5mg
大切なポイントは、「通常の食事から摂取するマグネシウムには耐容上限量が設定されていない」ということです。
なぜなら、健康な人が普通の食事をしている限り、過剰摂取になることはほとんどないためです。
腎機能が正常であれば、余分なマグネシウムは尿として体外に排出されます。
参考:6. 1. 4.マグネシウム(Mg)|厚生労働省
過剰摂取による症状
マグネシウムを耐容上限量(350mg/日)を超えて継続的に摂取すると、以下のような症状が現れることがあります。
| 症状 | 概要 |
|---|---|
| 下痢 | 最も一般的な症状で、マグネシウムが腸内で水分を引き寄せるために起こります。 |
| 腹痛・吐き気 | 消化器系への刺激により、不快感や痛みが生じます。 |
| 脱力感・倦怠感 | 過剰なマグネシウムが神経伝達に影響を及ぼします。 |
注意が必要なのは、サプリメントや医薬品としてマグネシウムを摂る場合です。
特に、腎臓に疾患を抱えている人や糖尿病の方は、体内のマグネシウム排出能力が低下しているため、過剰摂取が危険になる可能性もあります。
もし症状が続く場合はサプリメントの摂取を中止し、医師に相談しましょう。
国際オーソモレキュラー(ISOM)医学会の公式アンバサダーを務め、現在はNADクリニックのチーフサイエンスオフィサー(東京)として活躍するAlexander Audette氏から、以下の解説をいただきました。

栄養補助食品を摂取する上で「安全第一」であることは当然の前提ですが、それと同じくらい大切なのが、正しい文脈での理解です。
確かに、マグネシウムを過剰に摂取すると体に害を及ぼす可能性があります。
しかし、皮膚に塗るタイプの製品(経皮吸収)によって過剰摂取が起きるリスクはほとんどありません。
経口サプリメントの場合、過剰に摂ると下痢などの副作用が出ることがありますが、命に関わるような深刻な中毒は極めて稀であり、世界的な医学文献においてもごく限られた症例しか報告されていません。
なお、致命的なマグネシウム中毒の多くは、点滴や浣腸、あるいは医療従事者による誤投与など、医療現場における特殊なケースに限られています。
このように、経口サプリメントの使用と医療処置はまったく異なるものであることを、正しく理解しておくことが大切です。
過剰摂取のリスクが高い人
マグネシウムの過剰摂取は、以下のような方で特にリスクが高くなります。
【腎機能が低下している人】
腎臓がマグネシウムを十分に排泄できず、体内に蓄積しやすくなります。
【高齢者】
加齢に伴い腎機能が低下している場合があり、注意が必要です。
【下剤や制酸剤を常用している人】
これらの医薬品にはマグネシウムが含まれていることが多く、サプリメントと併用すると過剰摂取になる可能性があります。
とくに腎機能が低下している方は、通常よりも少ない摂取量でも高マグネシウム血症のリスクが高まります。
サプリメントや医薬品でマグネシウムを摂取する際は、必ず事前に医師や薬剤師に相談するようにしてください。
マグネシウムが不足するとどうなる?

マグネシウムが不足すると、私たちの体にはどんな影響が現れるのでしょうか?
ここでは身体的・精神的な不調、さらには慢性的な不足による長期的なリスクについて解説します。
マグネシウム不足による身体的影響
マグネシウムが不足すると、筋肉や神経にトラブルが起こりやすくなります。
代表的なのが「こむら返り」や「筋肉のけいれん」などです。
これらは運動時だけでなく、睡眠中や日常生活の中でも起こることがあります。
また、マグネシウムは血圧の調整にも関わっているため、不足すると高血圧や不整脈のリスクが高まるおそれも。
さらに、マグネシウムは骨の形成にも必要なため、慢性的に不足していると骨粗しょう症の原因にもなりかねません。
マグネシウムは、私の心身の健康をさまざまな面からサポートしてくれているのです。
マグネシウム不足による精神的影響
意外に思われるかもしれませんが、マグネシウムは精神の安定にも深く関わっています。
マグネシウムが不足すると、イライラしやすくなったり、不安感や抑うつ状態になったりする可能性も。
実際、現代人に多い「ストレス過多」な状態では、体内のマグネシウム消費量が増加します。
マグネシウムは「抗ストレスミネラル」とも呼ばれており、私たちの体はストレスを感じるとマグネシウムを消費してストレスに対応しようとするのです。
そのため、忙しくてストレスが多い人ほど、マグネシウム不足に陥りやすい傾向があります。
マグネシウム不足によるその他の影響
身体的影響や精神的影響の他にも、慢性的なマグネシウム不足は、疲れやすさや食欲不振、頭痛、便秘といった不調を招くこともあります。
生活習慣病や心疾患のリスクを高める可能性もあるため、軽視せずに日頃から意識して摂取するのがおすすめです。
ここまで読んで、マグネシウム不足による影響が気になった方は、以下の簡単なセルフチェックで現在の状態を確認してみましょう。

マグネシウムを効率的に摂取するには?

マグネシウムを、無理なく効率的に摂取するためにはどうすればよいのでしょうか。
ここからは、日常生活で実践できる3つの方法をご紹介します。
食事を工夫する
マグネシウムを摂取するのにもっとも基本的で安全な方法は、食事を工夫することです。
マグネシウムを多く含む食品には以下のようなものがあります。
- 玄米、胚芽米
- 納豆、豆腐、味噌などの大豆製品
- かぼちゃの種、アーモンド、カシューナッツなどのナッツ類
- ひじき、わかめなどの海藻類
- ほうれん草、小松菜などの緑黄色野菜
特に和食中心の食生活は、マグネシウムをバランスよく摂れる理想的なスタイルです。
忙しくても、できるだけ味噌汁や納豆などをプラスするのがおすすめです。
サプリメントを活用する
忙しくて食事だけでマグネシウムを補うのが難しい場合や、ミネラルや栄養が明らかに不足している場合は、サプリメントを活用するのも1つの手です。
ただし、サプリメントは「摂りすぎ」に注意が必要です。
特にマグネシウムサプリメントは、酸化マグネシウム、クエン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウムなど、種類によって吸収率や効果が異なるため、自分に合ったものを選ぶことが大切です。
また、必ず用法・用量を守って使いましょう。
経皮吸収を利用する
近年、入浴剤やマグネシウムオイルを利用して、皮膚からマグネシウムを吸収する方法も注目されています。
マグネシウムは皮膚からも吸収される性質があると考えられているため、入浴しながら気軽に補えるのがメリットです。
特に筋肉の疲労回復やリラックス効果を求める方には、バスソルトやマグネシウムオイルを使ったセルフケアがおすすめです。
マグネシウムの1日の摂取量に関するよくある質問

マグネシウムの1日の摂取量について、よくある質問に回答していきます。
Q1:食事だけでマグネシウムの推奨量を摂取できますか?
可能ではありますが、現実的には食事からだけでは難しいかもしれません。
毎食の準備に時間をかけられなかったり、加工食品や精製された穀物(白米、白いパンなど)が中心の食生活では、マグネシウムが不足しがちです。
ですので、サプリメントや経皮吸収などを併用することをおすすめします。
Q2:サプリメントでマグネシウムを摂りすぎる心配はありますか?
耐容上限量(350mg/日)を守っていれば、心配いりません。
ただし、マルチビタミンなど複数のサプリメントを併用している場合は、それぞれに含まれるマグネシウムの合計量を確認しましょう。
また、下剤や制酸剤などの医薬品にもマグネシウムが含まれていることがあるため、併用する際は注意が必要です。
とくに腎機能が低下している方は、通常より少ない量でも体内に蓄積しやすいため、サプリメントを利用する前に必ず医師に相談してください。
Q3:マグネシウムの1日の摂取量の目安はどのぐらい?
成人の場合、男性で340〜380mg、女性で280〜290mgが推奨量です。
しかし、実際の平均的な摂取量は成人男性で約230〜250mg、成人女性で約190〜230mgと、推奨量より100mg前後不足している状況です。
したがって、食事から意識的に取り入れるだけでなく、サプリメントの併用や経皮吸収でマグネシウムを補うことが望まれます。
その際には、耐容上限量(350mg/日)を超えないよう注意しましょう。
まとめ|1日の摂取量を守ってマグネシウムで健康的な毎日を

マグネシウムは、私たちの健康維持に欠かせない大切なミネラルです。
不足しても過剰に摂り過ぎても体調に悪影響を及ぼすため、日ごろから適切な量を意識して摂取することが大切です。
忙しい毎日でも、食事を工夫したり、必要に応じてサプリメントや経皮吸収を取り入れたりして、無理なくマグネシウムを補いましょう。
まずは今日の食事から、少しずつ意識してみませんか?

