日中に強い眠気に襲われたり、集中しようとしても頭がぼんやりしてしまったりすることはありませんか?
こうした眠気に対して「寝不足なのかも…」「年齢のせいかも…?」と考えがちですが、その眠気の背景には、食事内容や栄養バランスの乱れが隠れている可能性があります。
特に現代は、コンビニ食や外食が増え、手軽に摂れるものほど糖質に偏りがちです。
その結果、エネルギーを生み出すために必要なビタミンB群や鉄、マグネシウムなどの栄養素が不足し、脳がスムーズに働けなくなることがあります。
眠気は体が発する大切なサインです。
もし「食後すぐ眠くなる」「朝からだるさが抜けない」「甘いものを食べると眠くなる」といった傾向があるなら、栄養状態を見直す良いきっかけかもしれません。
今回は、眠気と関係の深い栄養素やセルフチェックリスト、今日からできる食事の工夫までをわかりやすく紹介します。
本記事を参考に、眠気の正体を探っていきましょう。
眠気に関係する主な栄養素

まずは、眠気と関係の深い主な栄養素について確認していきましょう。
マグネシウム
マグネシウムは、体の中で800種類以上の酵素反応をサポートする重要なミネラルです。
最近の研究では、1200以上の酵素反応に関わっていることも示唆されています。
また、マグネシウムはエネルギー産生や神経の働きにも深く関わっており、特に眠気に関しては、脳がブドウ糖をエネルギーとして使う際に必要となるため、マグネシウムが不足すると「エネルギーに変換できない状態」が起こりやすくなります。
その結果、脳が十分に働けず、ぼんやりしたり、強い眠気が出たりすることがあるのです。
また、マグネシウムには神経の興奮を落ち着かせる働きもあるため、マグネシウムが不足するとイライラしやすくなったり、睡眠の質に影響したりすることがあります。
慢性的な疲れや朝のだるさや眠気が続く人は、十分な量のマグネシウムを摂取できているか今一度確認してみましょう。

ビタミンB群
ビタミンB群は、糖質や脂質、たんぱく質をエネルギーに変換する際に欠かせない栄養素です。
いわば、食べ物をエネルギーとして活用するための「サポート役」のような存在で、この働きが十分でないと脳や体がスムーズにエネルギーを生み出せなくなってしまいます。
特にビタミンB1は糖質をエネルギーに変える際に重要で、不足すると午後になるとだるくなったり、集中力が低下しやすくなったりします。
また、ビタミンB6やB2が不足すると、体がうまく代謝できていないサインとして肌荒れや口内炎が出やすくなることも。
さらに、ビタミンB12は神経の働きに関わり、不足すると手足のしびれや気分の落ち込みが起こりやすくなることもあります。
ビタミンB群は互いに協力しながら働くため、特定の種類だけを重点的に摂るよりも、複数の食品を組み合わせてバランス良く補うことが大切です。
鉄・亜鉛・葉酸
鉄・亜鉛・葉酸は、どれも造血や神経伝達物質の合成に深く関わる重要な栄養素です。
これらが不足すると、脳へ十分な酸素が行き渡らなかったり、心のバランスに関係する物質がうまく作れなくなったりするため、日中の強い眠気やだるさにつながりやすくなります。
まず鉄は、血液中で酸素を運ぶヘモグロビンの材料となる栄養素です。
不足すると酸素が十分に運ばれなくなり、脳が「酸素不足状態」になりやすくなります。
結果としてぼんやりしたり、立ちくらみやめまいを感じたり、常に眠気を伴うような倦怠感が出ることがあります。
亜鉛は、神経伝達物質の合成に関わり、味覚や免疫機能の維持にも重要なミネラルです。
亜鉛が不足すると、セロトニンやドーパミンといった脳の働きを支える物質が作られにくくなり、気持ちの落ち込みや集中力の低下が生じることがあります。結果としてやる気が出なかったり、眠気が続いたりといった状態が続いてしまうことも。
葉酸も造血に欠かせない栄養素で、細胞分裂やDNAの合成に関係しています。
葉酸が不足すると鉄と同じように貧血を引き起こしやすくなり、脳が十分に働けなくなることで慢性的な眠気につながる可能性が高まります。
たんぱく質
たんぱく質は、筋肉や臓器だけでなく、ホルモンや神経伝達物質の材料にもなる重要な栄養素です。
日中の眠気とは一見あまり関係がないように思われますが、実はたんぱく質の摂り方によっては、血糖値の変動を通して眠気につながることがあります。
たとえば、食事でたんぱく質を多く摂ると、同時に糖質も多くなりやすいため、結果的に血糖値が急上昇しやすくなる場合があります。
血糖値が上がると一時的にエネルギーが満たされたように感じますが、その後インスリンの働きで急激に下がることで、強い眠気が生じることも。
特に昼食後にうとうとしてしまう場合は、たんぱく質だけでなく、食事全体のバランスや食べる量にも注意が必要です。
一方、適度なたんぱく質はエネルギー代謝を支え、日中の集中力維持にも役立ちます。
魚、肉、卵、豆類、乳製品などをバランスよく取り入れながら、急激な血糖値の上昇を避ける食べ方を意識することが大切です。
眠気と栄養のセルフチェックリスト

眠気と密接な栄養素を確認したところで、次に今の状態を簡単に把握するために、以下のセルフチェック項目を確認してみましょう。
あてはまる項目を数え、次項の「チェックの結果」と照らし合わせてみてください。
セルフチェック項目
- 朝食を抜くことが多い
- 昼食後に強い眠気を感じる
- 甘いお菓子やパンをよく食べる
- コーヒーやエナジードリンクを毎日飲む
- 立ちくらみやめまいを感じることがある
- 手足の冷えが気になる
- イライラや集中力の低下を感じる
- 肩こりや頭痛が慢性的にある
- 魚や海藻、ナッツ類をほとんど食べない
- 睡眠時間は足りているのに常にだるい
チェックの結果
- 3つ以下…一時的な疲労の可能性。栄養バランスを少し意識してみましょう。
- 4〜6つ…エネルギー代謝に関わる栄養素(マグネシウム・鉄・ビタミンB群)が不足しているかもしれません。
- 7つ以上…慢性的な栄養不足のサイン。食事内容の見直しや医師・管理栄養士への相談を検討しましょう。
眠気対策のポイント
眠気を和らげるためには、まず毎日の食事リズムを整えることが大切です。
特に朝食は、体と脳を「起動」させるためのスイッチのような役割があります。
朝にたんぱく質やミネラルをしっかり補うことで、血糖値が安定しやすくなり、午前中の集中力が保たれやすくなります。
また、眠気の大きな原因のひとつである血糖値の乱高下を避けるためには、甘い飲み物やお菓子の摂りすぎに注意が必要です。
急激に血糖値が上がると、その後に強い眠気が押し寄せやすくなるため、食事や間食の内容を少し意識するだけでも、日中のパフォーマンスに変化が出やすくなるでしょう。
さらに、マグネシウムや鉄、ビタミンB群といったエネルギー代謝に関わる栄養素を日常的に補うことも大切です。
大きく食事を変える必要はなく、ナッツ類や海藻、魚、卵などを普段の食事に少し加えるだけでも、体の土台が安定しやすくなります。
栄養は毎日の積み重ねです。
無理なく続けられる小さな習慣を積み重ねて、眠気を感じにくい体づくりを目指しましょう。
栄養について考える際に意識しておきたいことが2つあります。
1つは、過去40年間の栄養学において「カロリーはカロリーである」と仮定されましたが、実はこれは大きな誤りであったことです。
この考え方により、一般的な成人に対して「1日2000キロカロリーを摂取すれば良い」という食事指導が行われるようになりました。そして、本当に大切な「どんな食品からそのカロリーを摂取しているか」が見落とされてきたのです。
たとえば、「パスタだけで2000キロカロリーを摂取する」のと、「野菜・肉・脂質を組み合わせての2000キロカロリーを摂取する」のとでは、栄養価がまったく異なります。
これが、現代社会において「食べ物が豊富にあるにも関わらず栄養不足の人が多い」原因の一つです。
2つめに意識したいのが、「間欠的断食(インターミッテント・ファスティング)」についてです。
これは「食事の時間枠を意図的に狭めること」を基本とする食事制限法です。とはいえ、「朝食を抜くこと=間欠的断食」というわけではありません。
間欠的断食は基本的に、「食事の時間帯を11時〜19時の間に限定する」といった具合に行われます。
ただし、これは食事内容がバランスよく整ってから実施すべき方法です。
もし、日頃から高GI(高糖質)の食品を摂り過ぎて血糖値が乱れがちであれば、まずはその食習慣を見直しましょう。
血糖値が安定し、栄養バランスがしっかりと整っていれば、朝食を抜くことはさほど問題になりません。
むしろ、インスリン抵抗性の改善や、インスリンの平均値の減少といった効果に期待できるようになる可能性があります。
これは、集中力の維持や加齢による代謝低下の予防といった面でも大きなメリットがあります。
眠気の正体とは?体が眠気のサインを出す仕組み

日中の強い眠気には、体そのものが働きづらくなっているサインが隠れている可能性があります。
ここからは、眠気が生まれる仕組みをわかりやすく見ていきましょう。
脳のエネルギー源はブドウ糖とマグネシウム
脳は、体の中でも特に多くのエネルギーを必要とする器官です。
脳の主なエネルギー源となるのがブドウ糖ですが、実はブドウ糖を効率よくエネルギーに変換するためには、マグネシウムやビタミンB群といった栄養素が欠かせません。
どれか一つでも不足するとエネルギー代謝の流れが滞り、脳が「エネルギー切れ」の状態に陥りやすくなります。
たとえばマグネシウムが不足すると、エネルギーがうまく作られなくなるだけでなく、神経伝達までスムーズに行われなくなることがあります。
その結果、集中力低下やぼんやり感、強い眠気を感じやすくなることも。
ストレスが多い生活や加工食品中心の食事は、マグネシウムの消耗を早めてしまう可能性があるため注意が必要です。
鉄やビタミンB12不足による酸素供給低下
鉄やビタミンB12は、血液中で酸素を運ぶ役割を持つヘモグロビンの材料となる重要な栄養素です。
これらが不足すると、血液が十分に酸素を運べなくなり、脳が慢性的な酸素不足状態に陥りやすくなります。
脳は大量の酸素を必要とするため、供給が滞ると働きが鈍くなり、ぼんやりしたり、集中力が落ちたり、強い眠気につながりやすくなるのです。
特に鉄不足は女性に多くみられ、疲れやすさや立ちくらみといった自覚症状が眠気と並行して現れることがあります。
一方、ビタミンB12は神経の働きにも関わるため、不足するとしびれや気分の落ち込みが生じることがあり、こちらも日中のだるさの原因となりやすい栄養素です。
酸素供給は、脳の覚醒レベルを保つための基盤ともいえる働きです。
もし「しっかり寝ているのに常に眠い」「朝起きても疲れが抜けていない」と感じるなら、鉄やビタミンB12を含む食品が日常的に足りているか見直してみると良いかもしれません。
血糖値の乱高下も眠気の原因に
血糖値の急激な上下動、いわゆる血糖値スパイクも、日中の強い眠気を引き起こす大きな要因になります。
特に精製された糖質を多く含むパンやお菓子、甘い飲み物などを摂ると、血糖値は短時間で急上昇します。
すると体は、血糖値の急上昇を抑えるためにインスリンを大量に分泌し、血糖値を一気に下げようとします。
この「急上昇」と「急降下」のギャップが、脳へのエネルギー供給を不安定にし、強い眠気やだるさとして現れることがあるのです。
昼食後に急激に眠くなるタイプの眠気は、この血糖値スパイクが関わっている可能性があります。
食事内容が糖質に偏っていると、午後のパフォーマンスが安定しない原因となりやすいため、食事の順番や食材選びが重要です。
現代型栄養失調の可能性
一見すると食事量は足りているのに、実は十分な栄養が摂取できていない「現代型栄養失調」というものがあります。
現代型栄養失調は表面的にはわかりにくい反面、多くの現代人が抱える隠れた問題でもあります。
日中の強い眠気の一因にもなる現代型栄養失調の特徴や仕組みについてわかりやすく解説します。
現代型栄養失調とは
現代型栄養失調とは、食事量は十分に摂れているのに、体に必要なビタミンやミネラルが不足してしまう状態を指します。
昔のように「食べ物が足りない」ことで起こる栄養失調とは異なり、食事はしっかり摂っているのに、栄養素の偏りによって体が必要とする成分をうまく補えなくなっている点が特徴です。
現代は、コンビニ食や外食、加工食品が増え、カロリーは摂れているのに代謝に必要な微量栄養素が不足しがちです。
特にマグネシウム、鉄、亜鉛、ビタミンB群などは、精製された食品では十分な量を摂取するのが難しく、忙しい生活の中で偏った食事を続けていると、知らないうちに不足してしまいやすい栄養素です。
こうした栄養素の不足は、エネルギーをうまく作れない体質を招き、原因がはっきりしない不調として現れることがあります。
現代型栄養失調の主な症状
現代型栄養失調では、見た目の体重や食事量では気付きにくい一方、日常生活の中でさまざまな不調となって現れることがあります。
特に、エネルギー代謝や神経の働きを支える栄養素が不足している場合、次のような症状が出やすくなります。
- 慢性的なだるさ・疲れやすさ
- 集中力が続かない
- 気持ちが落ち込みやすい
- イライラしやすい
- 口内炎・肌荒れ
- 立ちくらみ
- 息切れ
- 動悸など
代表的な症状が、慢性的なだるさや疲れやすさです。
しっかり休んでも回復しない場合は、ビタミンB群や鉄、マグネシウムなどが不足し、エネルギー産生がうまくいっていないサインかもしれません。
さらに、集中力が続かない、気持ちが落ち込みやすい、イライラしやすいなど、メンタル面の不調として現れることもあります。
また、口内炎や肌荒れが治りにくい、髪や爪が弱くなるといったトラブルも注意が必要です。
貧血ぎみの人の場合、立ちくらみ、息切れ、動悸といった症状が日常的に起こる場合もあり、これも脳への酸素不足が影響している可能性があります。
特に忙しい生活を送っている人ほど、こうした症状を「疲れているだけ」と見過ごしやすいものです。
もし複数の症状に心当たりがある場合、日頃の食生活を一度振り返り、ビタミンやミネラルがしっかり摂れているかを確認しましょう。
現代型栄養失調の主な原因
現代型栄養失調の大きな原因としてあげられるのが、加工食品やファストフード、コンビニ食の増加です。
これらは手軽に食べられる反面、精製されているため、ビタミンやミネラルといった微量栄養素が減りやすいという特徴があります。
次に、不規則な食生活や偏食も大きな要因です。
朝食を抜いたり、野菜や海藻をほとんど食べなかったり、炭水化物中心の食事が続いたりすると、特定の栄養素だけが過剰になり、必要な栄養素が不足する状態が生まれます。
また、外食が多い生活では、油や塩分が多くなりがちな一方で、代謝に必要なビタミン・ミネラルが摂れず、エネルギーが安定しにくくなることも。
さらに、慢性的なストレスや睡眠不足も栄養不足を招きやすい要因です。
ストレスが続くとマグネシウムが消耗されやすく、自律神経が乱れることで食欲や消化にも影響が出ます。
その結果、必要な栄養素を十分に取り入れられず、疲労や眠気が慢性化しやすくなるのです。
こうした生活習慣が積み重なると、見た目では健康そうに見えても、体の中では必要な栄養素が不足し、エネルギーの土台が崩れた状態となり、現代型栄養失調のリスクが高まりやすくなります。
栄養不足による眠気を防ぐための食事法

栄養不足が原因の眠気を防ぐためには、特別な食事をするよりも、毎日の食習慣を少し整えることが大切です。
ここからは、今日から取り入れやすい食事法を紹介します。
朝食を摂る
朝食抜きダイエットなどが話題になることがありますが、朝食は体と脳を目覚めさせるスイッチの役割を果たすため、朝食を抜くと一日のパフォーマンスが低下する可能性があります。
たとえば、朝食を抜くと血糖値が不安定になり、脳に必要なエネルギーが届きにくくなるため、午前中から強い眠気やだるさを感じやすくなります。
また、空腹状態が長く続くことで、次の食事で血糖値が急上昇しやすくなり、血糖値が急激に変動しやすくなるというリスクも。
だからといって、朝からボリュームのあるメニューを摂らなければならないわけではありません。
朝食では、糖質・たんぱく質・ミネラルのバランスを意識しましょう。
全粒穀物のパンやご飯、卵、ヨーグルト、納豆、バナナ、ナッツ類などの組み合わせは、エネルギーを安定して供給しやすく、日中の集中力アップにもつながります。
特にマグネシウムを含む食材を朝に少し取り入れることで、エネルギー代謝が整いやすくなり、眠気を感じにくい体づくりを目指す上で役立つでしょう。
血糖値を急激に上げない食事法
血糖値の急激な変動も大きな課題です。
朝食をしっかり摂ったからといって、炭水化物や精製された食品が中心の食生活を送っていると、血糖値の乱れから体調に異変が生じることがあります。
こうしたリスクを予防するのに役立つのが、「ベジファースト」と呼ばれる方法です。
ベジファーストは、食事の最初に野菜を食べる方法で、野菜に含まれる食物繊維が糖の吸収をゆるやかにし、血糖値の急上昇を防いでくれるのがメリットです。
野菜を摂ったあとにたんぱく質、最後に主食の順で食べると吸収が穏やかになり、エネルギーが安定しやすくなります。
また、精製された白米や白パンよりも、玄米、全粒粉パン、雑穀などを選ぶと、血糖値の上昇が穏やかになります。
なお、甘い飲み物やお菓子は血糖値を急激に上げやすいため、日常的に摂る習慣がある場合は注意が必要です。
間食にはナッツやヨーグルト、かぼちゃの種など、血糖値が安定しやすい食品を選ぶのがおすすめです。
マグネシウムを積極的に補給する
マグネシウムは、海藻、ナッツ、豆類、魚介類など、身近な食材に豊富に含まれており、日常生活の中で比較的取り入れやすい栄養素です。
加工食品に頼りがちな生活が続くとマグネシウム不足になりやすいため、意識的に自然な食品から補うことが大切です。
自炊する習慣がないと摂取が難しい側面もありますが、日々の食事から十分な量のマグネシウムを補給するのが難しい場合は、サプリメントを活用するのも良いでしょう。
最近は、グミ型のおいしくて食べやすいマグネシウムサプリもあります。
自分に合うサプリを見つけ、補助的に活用しましょう。
鉄・ビタミンB群は動物性と植物性を組み合わせる
鉄やビタミンB群は、脳と体のエネルギー代謝に欠かせない栄養素ですが、特に鉄は吸収率の差が大きく、摂り方によって効率が大きく変わります。
動物性食品に含まれるヘム鉄は吸収されやすく、一方で植物性食品に含まれる非ヘム鉄は吸収率が低めなので、両方をバランス良く組み合わせるのが理想的です。
また、ビタミンB群も動物性・植物性の食品にそれぞれ含まれており、多方向から摂ることで栄養不足を防ぎやすくなります。
たとえば、レバーや赤身肉、魚、卵にはヘム鉄とビタミンB群が豊富に含まれています。
一方、納豆、ほうれん草、小松菜、豆類などの植物性食品にも鉄や葉酸が含まれ、これらを組み合わせることで栄養バランスがより整いやすくなります。
さらに、ビタミンCは鉄の吸収を助けるため、野菜や果物を一緒に食べると吸収率が高まるというメリットも。
動物性と植物性の良さを活かしながら、バランスよく摂ることを意識しましょう。
【Q&A】栄養不足と眠気に関するよくある質問

ここまで、眠気と栄養不足の関係や対策となる食事法について解説してきました。
とはいえ、実際の生活の中では「何から改善すればいいのか」「どの習慣が眠気に影響しているのか」など、疑問が残る人も多いかもしれません。
そこで最後に、眠気と栄養不足に関してよく寄せられる質問をまとめました。
改善すべき食習慣や注意点はある?
まず注意したいのは、アルコールの摂りすぎです。
アルコールは体内で分解される際にビタミンB1を多く消費するため、代謝が乱れやすくなります。
また、糖質の多い食事を続けていると、ビタミンB群やミネラルの消費が増え、エネルギーを作るための栄養が不足しやすくなります。
カフェインの摂りすぎにも注意が必要です。
適量であれば覚醒を助けますが、1日に何杯も飲む習慣があると、自律神経が乱れ、かえって眠気を引き起こしたり、睡眠の質を下げて翌日だるさにつながることがあります。
さらに、夜遅くの食事は消化が追いつかず、睡眠中に体がしっかり休めなくなる原因になるため、就寝の3時間前までに食事を終えるのが理想的です。
ストレスが続く生活も、マグネシウムやビタミンCなどの栄養素を消耗させ、眠気やだるさを悪化させることがあります。
忙しいときこそ意識的に栄養を補い、小さな休息を挟むことを心掛けましょう。
食事以外で眠気対策できることは?
効果的なのが、朝日を浴びることです。
朝の光を目に入れたり体に浴びたりすることで、体内時計がリセットされ、セロトニンやメラトニンといったホルモンのリズムが整いやすくなります。
これは、日中の覚醒を促すだけでなく、夜のスムーズな入眠にも影響する場合があるので、意識的に行いたいところです。
次に、軽い運動習慣を取り入れるのもおすすめです。
ウォーキングやストレッチなど、無理のない運動を日中に行うと、血流が改善して脳に酸素が届きやすくなり、眠気の軽減につながります。
運動はストレス解消にもなり、エネルギー代謝をサポートしてくれる効果にも期待できるでしょう。
さらに、快適な睡眠環境を整えることも欠かせません。
自分に合ったマットレスや枕を選ぶだけで睡眠の質が変わり、翌日のだるさがやわらぎやすくなります。
寝室の温度・光を整えるのも、深い睡眠をサポートする大切なポイントです。
まとめ|栄養を見直して眠気対策を!

日中の強い眠気や集中力の低下は、単なる寝不足だけでなく、体の中でエネルギーをうまく作れなくなっているサインであることも少なくありません。
特にマグネシウム、鉄、ビタミンB群などの栄養素が不足すると、脳へのエネルギー供給が滞り、ぼんやりしたり、だるさが抜けにくくなることがあります。
こうした眠気は、体が「休ませてほしい」「もう少し整えてほしい」と訴えている重要なメッセージです。
眠気を軽減して毎日を快適に過ごすために、本記事で紹介したテクニックを活用してください。
日々の積み重ねが体の働きを大きく変えていきます。
眠気に悩むときこそ自分の体の声に耳を傾け、栄養バランスを見直すことから始めてみましょう。

