「睡眠のゴールデンタイムは22時〜2時」とよく耳にしますよね。
しかし、最新の睡眠科学では「何時に寝たか」よりも「入眠直後の深い眠りがとれているか」が、成長ホルモンの分泌に重要であることがわかってきています。
睡眠不足が続くと、疲労が抜けないだけでなく、肌ツヤが落ち、太りやすくなり、メンタルまで不安定になりやすいです。
その背景には、成長ホルモンの分泌低下が深く関係しているとされています。
今回は睡眠と成長ホルモンの関係について科学的根拠に基づいて解説し、忙しいあなたでも実践できる「質の高い睡眠」を手に入れる方法をお伝えします。
疲労回復や美肌、そして健康的な毎日のために今日から始められる睡眠習慣を一緒に見つけていきましょう。
「睡眠のゴールデンタイム」とは?

「睡眠のゴールデンタイム」は、一般的には「22時〜2時」と言われていますが、その真偽と最新の睡眠科学が示す本当の意味でのゴールデンタイムについて解説します。
そもそも「ゴールデンタイム」という言葉は、テレビの視聴率が高い時間帯を指す業界用語でした。
睡眠の分野では一般的に「成長ホルモンが活発に分泌され、心と体の回復が最も効率的に行われる時間帯」という意味で使われることが多いです。
成長ホルモンは、その名の通り子どもの成長に不可欠なホルモンですが、大人にとっても重要な役割を果たします。
成長ホルモンの主な働きは以下です。
| 概要 | 詳細 |
|---|---|
| 肌の新陳代謝を促進 | 古い細胞を新しい細胞に入れ替え、ハリとツヤのある肌を保つ |
| 筋肉の修復と増強 | 日中に受けたダメージを修復し、筋肉量を維持する |
| 脂肪の分解 | 中性脂肪を分解してエネルギーに変換し、太りにくい体質をサポートする |
| 疲労回復 | 細胞レベルでの修復を行い、翌日のパフォーマンスを高める |
| 免疫力の向上 | 免疫細胞を活性化し、病気への抵抗力を高める |
つまり、睡眠のおけるゴールデンタイムとは「美容と健康を支える成長ホルモンが、最も効率的に分泌される貴重な時間」のことです。
この時間帯を最大限に活かすことが、若々しさと健やかさを保つ秘訣です。
参考:About sleep’s role in memory|PubMed
睡眠のゴールデンタイムが「22時〜2時」の誤解と科学的な見解
「22時〜2時がゴールデンタイム」という説は、科学的根拠が不十分です。
多くの美容雑誌や健康情報で「夜10時から深夜2時までに寝ることが美肌の秘訣」と紹介されてきたため、この時間帯を逃すと成長ホルモンが出ないと思い込んでいる方も少なくありません。
しかし、PubMedに掲載された研究論文によると、成長ホルモンの分泌は体内時計よりも「睡眠そのもの」に強く依存することがわかっています。
23時に寝ても、24時に寝ても、深い睡眠に入りさえすれば成長ホルモンは分泌されるということです。
最新の科学が示す本当の「睡眠のゴールデンタイム」
最新の科学が明らかにした事実は「何時に寝るか」よりも「寝ついてからの最初の90分をいかに深く眠るか」が重要だということです。
研究によると、寝ついて最初の10〜20分で深い睡眠が始まり、そこから最初の90分以内に成長ホルモン分泌のピークが訪れることがわかっています。
たとえば、22時に布団に入っても、スマホを見続け浅い眠りが続くAさんよりも、24時就寝でもすぐに深い眠りに落ちるBさんの方が、成長ホルモンはしっかり分泌されるということです。
つまり、あなたが目指すべきことは「早く寝ること」ではなく、「寝ついたらすぐに深い眠りに入れる環境と習慣を整えること」だと言えるでしょう。
参考:Growth hormone secretion during sleep|PubMed
成長ホルモンが分泌される仕組みと睡眠の関係

成長ホルモンがどのように分泌され、睡眠とどう関わっているのか。
ここでは、成長ホルモンの分泌タイミングとメカニズム、睡眠の質が与える影響について詳しく解説します。
成長ホルモンが分泌されるタイミング
成長ホルモンは入眠後、最初に訪れる深いノンレム睡眠(徐波睡眠)と密接に関係しています。
ノンレム睡眠とは脳を休息させ、成長ホルモンを分泌させて心身の回復を促す睡眠です。
眠りについて10〜20分後に深い睡眠が始まると、成長ホルモンの分泌が急激に増加します。
睡眠は約90分周期でレム睡眠とノンレム睡眠を繰り返しますが、成長ホルモンの分泌量が最も多くなるのは、寝ついてから最初の1〜2時間の間です。
この時間帯に訪れる深いノンレム睡眠時に、1日の中で最大の分泌ピークが起こります。
健常な成人男性の場合、睡眠中全体で1日の成長ホルモン分泌量の約60〜70%が分泌されると報告されています。
つまり、夜中や明け方ではなく「寝ついた直後」こそが成長ホルモン分泌のゴールデンタイムなのです。
参考:睡眠時間と成長ホルモンの分泌量|日本医事新報社
睡眠の質が成長ホルモン分泌に与える影響
睡眠時間が同じでも、睡眠の「質」によって成長ホルモンの分泌量は大きく変わります。
浅い眠りや途切れとぎれの睡眠では、深いノンレム睡眠が十分に得られず成長ホルモンの分泌が減少するのに対し、深いノンレム睡眠(徐波睡眠)が増加すると、成長ホルモンの分泌も上昇。
また、加齢とともに深い睡眠が減少するため、成長ホルモンの分泌量も低下します。
JAMA(米国医師会雑誌)に掲載された研究では、成長ホルモンの最も大幅な減少は、青年期初期から中年期(16歳から43歳)にかけて発生するとされています。
それゆえ「睡眠の質」を高めることで、年齢による成長ホルモンの分泌量の減少を補えると考えられます。
睡眠不足が引き起こす5つの健康リスク

睡眠不足は単なる疲労だけでなく、深刻な健康被害をもたらすとされています。
厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、睡眠不足が肥満、高血圧、2型糖尿病、心疾患や脳血管障害の発症リスクを上昇させると指摘しています。
ここでは、科学的に証明されている5つの健康リスクについて見ていきましょう。
高血圧:交感神経が過剰になり血圧が上がりやすくなる
睡眠不足が続くと、交感神経が過剰に活性化され、血圧が上昇しやすくなります。
本来、睡眠中は副交感神経が優位になり、血圧が低下して心身が休まるはずですが、睡眠が不足するとこのリズムが崩れてしまうのです。
慢性的な睡眠不足は高血圧の発症リスクを高めます。
さらには、すでに高血圧の方は症状をより悪化させてしまう可能性も。
適切な睡眠時間を確保することは、血圧コントロールにおいて大切な要素の1つなのです。
心臓病:慢性的な睡眠不足が心血管系に負担をかける
睡眠不足は心臓にも大きな負担をかけます。
睡眠中は心拍数が低下し、心臓が休息する貴重な時間です。
しかし、睡眠が不足すると心臓が十分に休めず、長期的には心血管系の疾患リスクが高まります。
海外の研究では、睡眠時間が6時間以下の人は、7〜8時間睡眠をとる人と比べて心臓病のリスクが上昇することが報告されています。
それゆえ、質の良い睡眠は心臓の健康を守るための基本と言えるでしょう。
糖尿病:インスリン感受性が低下し血糖コントロールが乱れる
睡眠不足はインスリンの働きを低下させ、血糖値のコントロールを困難にします。
実際に行われた研究では、たった1晩、4時間睡眠に制限しただけで、インスリン感受性が約25%低下した例もあるほどです。
また、厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」でも、睡眠不足が2型糖尿病の発症リスクを上昇させると指摘しています。
特に40代以降は糖尿病のリスクが高まる年代。
質の良い睡眠を確保することは、血糖値の安定と糖尿病予防のために欠かせません。
うつ症状:脳内の神経伝達物質が不安定になる
睡眠が不足すると、セロトニンやドーパミンといった脳内の神経伝達物質のバランスが崩れ、気分の落ち込みやイライラ、不安感が増大します。
不眠症状を抱える人はうつ病の発症リスクが高いことが多くの研究で報告されており、睡眠問題がうつ病の初期症状として現れることも少なくありません。
十分な睡眠は、メンタルヘルスを守るための初歩的な予防策になると言えるでしょう。
肥満:食欲ホルモンが乱れて太りやすくなる
睡眠不足は食欲をコントロールするホルモンバランスを乱し、太りやすい体質を作ります。
睡眠が不足することで、食欲を増進させる「グレリン」が増加し、満腹感を与える「レプチン」が減少。
その結果、必要以上に食べてしまったり、特に高カロリーで脂質の多い食べ物を欲しくなったりします。
コロンビア大学の研究では、睡眠時間が7時間未満の人は肥満リスクが高くなることが検証されました。
ダイエットを成功させたいなら、食事制限や運動だけでなく、十分な睡眠時間も不可欠なのです。
参考:Inadequate sleep as a risk factor for obesity: analyses of the NHANES I|PubMed

何時に寝るのがベスト?理想的な就寝時間と睡眠時間

成長ホルモンをしっかり分泌させ、健康的な体を維持するポイントは、就寝時間と睡眠時間です。
ここでは、科学的根拠に基づいた理想的な就寝時間と睡眠時間について解説します。
理想的な就寝時間は何時?
結論からお伝えすると、理想的な就寝時間は「人それぞれ」です。
最新の科学では、成長ホルモンの分泌に重要なのは「時刻」ではなく「入眠後の深い睡眠」です。
つまり、22時に寝ても、23時に寝ても、0時に寝ても、入眠後の最初の90分間に深い睡眠が得られれば、成長ホルモンはしっかり分泌されることになります。
それゆえ、就寝時間よりも以下の点を押さえておくと良いでしょう。
- 毎日同じ時刻に寝ることが大切
- 入眠して最初の90分の深い睡眠を守ること
- 早寝より、起床時間を一定にすること
ただそうは言っても、日付が変わる前(0時前)には就寝するのが理想的です。
深夜0時以降の就寝が続くと、体内時計が乱れやすく、睡眠の質が低下する傾向があります。
【年代別】必要な睡眠時間は何時間?
厚生労働省の「健康日本21アクション支援システム」によると、日本人の睡眠時間は平均7時間42分で、過去20年間にわたり減少を続けています。
では、理想的な睡眠時間は何時間なのでしょうか?
年代別に必要な睡眠時間を以下の表で確認していきましょう。
| 年代 | 推奨睡眠時間 |
|---|---|
| 65才以上(高齢者) | 8時間以内 |
| 18〜64才(成人) | 6時間以上 |
| 18才未満(こども) | 小学生:9〜12時間中学・高校生:8〜10時間 |
参考:健康づくりのための睡眠ガイド 2023 |厚生労働省
6時間以下の睡眠が続くと、肥満・糖尿病・高血圧・心血管疾患・うつ・早死リスクの上昇など、多くの健康リスクが生じる可能性があります。
それゆえ、6時間を最低ラインとして、少しずつ睡眠時間を確保する工夫を始めてみましょう。
参考:Recommended Amount of Sleep for a Healthy Adult: A Joint Consensus Statement of the American Academy of Sleep Medicine and Sleep Research Society|Journal of Clinical Sleep Medicine
厚生労働省は18歳から64歳の成人に対して「最低6時間の睡眠」を推奨していますが、最適なパフォーマンスを維持するには7〜8時間がより理想的です。
さらに重要なのが、朝に自然光を浴びることです。
サングラスをかけずに朝日を浴びると、体内時計(概日リズム)が正常に保たれます。
自然光は目を通じて脳内の「視交叉上核(SCN)」という領域を刺激し、体内時計を調整します。
以下の図はその仕組みを示したものです。
現代社会では、多くの人が屋内で過ごし、十分な日光を浴びていません。
しかし、朝に日光をしっかり浴びることで体内リズムが整い、夜の入眠がスムーズになります。
その結果、心身の健康が保たれ、見た目にも良い影響が期待できるでしょう。

成長ホルモンを最大化する「睡眠の質」を高める6つの習慣

深い睡眠を得るには、日中から就寝前までの「習慣」が大切です。
ここでは、科学的に睡眠の質を高める可能性が示されている6つの方法を紹介します。
- 入眠90分前の入浴で深部体温をコントロールする
- 寝室環境を最適化(照明・温度・湿度)する
- 夜のブルーライトを避ける
- 夕食は就寝3時間前までに済ませる
- 睡眠を促す栄養素(トリプトファン・マグネシウム)を摂取する
- 規則正しい睡眠リズムを確立する
1つずつ、順番に確認していきましょう。
入眠90分前の入浴で深部体温をコントロールする
睡眠の質を高める効果的な方法の1つが、入浴のタイミングを調整することです。
特に就寝の90分前に入浴を完了することで、スムーズな入眠と深い睡眠が得られます。
40〜42.5℃のお湯に入浴すると深部体温が上昇し、その後の放熱作用によって入浴後90分ほどで、深部体温が入浴前よりも低下することが確認されています。
私たちは深部体温が下がることで眠気を感じるように設計されているため、この体温変化を意図的にコントロールすることが質の高い睡眠につながるのです。
寝室環境を最適化(照明・温度・湿度)する
寝室の環境は、睡眠の質に直接的な影響を与えます。
理想的な寝室環境の目安は以下です。
- 照明は就寝時30ルクス以下
- 温度16〜20℃前後
- 湿度40〜60%
これらの環境調整により、体が自然と睡眠モードに入りやすくなります。
そして、成長ホルモンの分泌が促進される深いノンレム睡眠を得やすくなるのです。
夜のブルーライトを避ける
スマートフォンやパソコンから発せられるブルーライトは、睡眠の質を著しく低下させる最大の要因の1つです。
就寝前にブルーライトを浴びると、睡眠ホルモンである「メラトニン」の分泌が抑制され、体内時計が乱れることにつながります。
また、就寝前のスマホ使用は、SNSやメールの内容によって脳が刺激を受け、交感神経が優位になってしまいます。
これにより、たとえ布団に入っても脳が興奮状態のままで、深い睡眠に入りにくくなるのです。
夕食は就寝3時間前までに済ませる
食事のタイミングは、睡眠の質に大きな影響を与えます。
就寝直前に食事をすると、消化活動によって体が休息モードに入れず、深い睡眠が妨げられます。
理想的には、就寝の3時間前までに夕食を済ませるとよいでしょう。
また、就寝前の食事は成長ホルモンの分泌に影響すると考えられています。
食事によって血糖値が上昇すると、インスリンが分泌されますが、このインスリンは成長ホルモンの分泌を抑制する作用があります。
入眠後の最初の90分間に成長ホルモンを最大限に分泌させるためには、血糖値とインスリンレベルが安定している状態が望ましいため、就寝前の食事は控えましょう。
規則正しい睡眠リズムを確立する
すべての習慣の中で最も重要なのが、毎日同じ時刻に寝起きする「規則正しい睡眠リズム」の確立です。
体内時計は約24時間周期で働いており、毎日同じ時間に就寝・起床することで、この体内時計が安定し、質の高い睡眠が得られるようになります。
したがって、不規則な睡眠スケジュールは、この体内時計を混乱させることになるので、避けるようにしましょう。
睡眠を促す栄養素(トリプトファン・マグネシウム)を摂取する
食事の内容も睡眠の質に深く関わっています。
特に「トリプトファン」と「マグネシウム」という2つの栄養素は、睡眠ホルモンの生成と神経のリラックスに関与するとされています。
これらの栄養素を意識的に摂取することで、体内から睡眠の質を高められます。
| トリプトファン | 必須アミノ酸の1種で、体内でセロトニン(幸せホルモン)を経て、最終的に睡眠ホルモンであるメラトニンに変換されます。 |
| トリプトファンを 多く含む食品 | 大豆製品・乳製品・肉類・魚類・ナッツ類・バナナ |
| マグネシウム | 体内で800種類以上の酵素反応を助ける重要なミネラル。 神経の興奮を抑えたり、エネルギーを生成したり、心臓や血管の健康を保つなど多種多様な働きをしています。 |
| マグネシウムを 多く含む食品 | 海藻類・種実類・大豆製品・魚介類・全粒穀物・緑黄色野菜 |
これらの栄養素をバランスよく日常の食事に取り入れることで、睡眠に関わる体の働きをサポートすると考えられています。

睡眠の質を下げる3つのNG行為

どれだけ良い習慣を取り入れても、睡眠の質を下げる行為を続けていては意味がありません。
特に現代人が無意識にやってしまいがちな3つのNG行為について、解説します。
寝る直前のスマホ・SNSチェック
「ベッドに入ってからついスマホを見てしまう」という習慣は、睡眠の質を下げる最大のNG行為です。
寝る直前のスマホ使用は、ブルーライトによるメラトニン抑制だけでなく、SNSやメールの内容による精神的な刺激によって、脳を覚醒状態に導いてしまいます。
日本の複数の研究機関による調査では、就寝前のスマートフォン使用が睡眠の質を低下させ、認知機能や集中力を損なうことが明らかにされています。
特に、SNSのスクロールやメッセージのやり取りは、ドーパミンという快楽物質を脳内で放出させ、「もう少しだけ」という欲求を生み出します。
この状態では、たとえ画面を消してもすぐに眠りにつくことは困難です。
カフェイン・アルコールの摂取
カフェインは、アデノシンという睡眠を促す物質の働きをブロックします。
アデノシンは、起きて活動している間にどんどん脳にたまっていき、その量が増えるほど「眠気のスイッチ」が入る仕組みです。
しかし、カフェインは、アデノシンが結合するはずの受容体(レセプター)を先に占有してしまうため、脳はアデノシンの蓄積を正しく感知できなくなります。
その結果、入眠が遅れたり、睡眠が浅くなったりするといった影響が生じます。
さらに、カフェインには利尿作用もあるため、夜間の尿意で目が覚める「中途覚醒」の原因にもなってしまうのです。
また、寝つきがよくなるようにと就寝前にアルコールを摂取する方もいますが、実は睡眠の質は著しく低下しています。
アルコールは入眠を早める一方で、睡眠の後半に覚醒作用が現れます。
その結果、夜中に何度も目が覚める「中途覚醒」や、明け方に目が覚めてしまう「早朝覚醒」が起こりやすくなることに。
さらに、アルコールは深いノンレム睡眠(徐波睡眠)を抑制します。
成長ホルモンは、この深いノンレム睡眠時に最も多く分泌されるため、アルコール摂取は成長ホルモンの分泌に影響を与える可能性があります。
ストレスを溜め込んだままの就寝
精神的な状態も睡眠の質に大きく影響します。
ストレスを溜め込んだまま布団に入ると、交感神経が優位な状態が続き、深い睡眠に入れません。
さらに、ストレスは睡眠構造そのものを変化させます。
ストレス状態では、浅い睡眠が増加し、深いノンレム睡眠が減少します。
その結果、成長ホルモンの分泌も抑制されてしまうのです。
睡眠のゴールデンタイムと成長ホルモンに関するよくある質問

最後に睡眠のゴールデンタイムと成長ホルモンについて、よくある質問に回答していきます。
Q1. 夜更かしでも、長く寝れば成長ホルモンは出ますか?
はい、ある程度は分泌されますが、睡眠の質は低下します。
成長ホルモンは「入眠後の深い睡眠」で分泌されるため、夜更かしして長時間寝ても、一定量は分泌されます。
ただし、体内時計が乱れると深い睡眠の質が低下し、分泌量は減少することに。
したがって「長く寝れば大丈夫」ではなく、一定のリズムで眠ることが成長ホルモン分泌には重要です。
Q2. 昼寝でも成長ホルモンは分泌される?
はい、少量は分泌されますが、夜間睡眠の代わりにはなりません。
昼寝でも深い睡眠に入れば成長ホルモンは分泌されます。
しかし、昼寝では深睡眠の時間が非常に短いため、夜間睡眠ほどの分泌量は期待できません。
Q3. 年齢とともに成長ホルモンは減るって本当?
はい。思春期以降、年齢とともに徐々に低下し、30代から分泌量の減少が顕著になり始めます。
年齢とともに減少するのは避けられませんが、睡眠の質を高める努力によって、同年代の平均よりも多くの成長ホルモンが分泌される可能性もあると考えられています。
まとめ|睡眠の質を高めて成長ホルモンを味方につけよう

現時点での研究では、成長ホルモンの分泌に重要なのは時刻ではなく、入眠後の深い睡眠とされています。
何時に寝るかより、毎日同じ時刻に寝起きする規則正しいリズムを作ることが、深い睡眠と成長ホルモン分泌の決め手です。
入浴のタイミング、寝室環境、ブルーライト対策、食事時間など、今日からでもできる対策はあります。
そして、最低でも6時間以上の睡眠をとり、肌の美しさ、疲労回復、代謝の向上など、あなたの健康と美容に役立てていきましょう。
今回の記事を参考に成長ホルモンを味方につけ、より健やかな毎日を手に入れてください。
