「1日3時間睡眠で元気な人がいる」
そんな話を聞くと、不思議に思ったり、少しうらやましく感じたりしますよね。
多忙なテレビタレントやインフルエンサーにも、ほんの少しの睡眠で活動している人もいます。
一般的には、1日たった3時間の睡眠だと、日中の眠気やだるさに悩まされるケースがほとんどでしょう。
実はこの違いは、単に気合いや慣れの問題ではなく、睡眠の質や先天的な体質、生活習慣などが深く関係しています。
今回は、3時間睡眠でも調子よく過ごせる人がいる理由を紐解きながら、ショートスリーパーの特徴や注意すべきリスク、適切な睡眠方法についてわかりやすく解説します。
前提として、睡眠時間は代替が効かないと覚えておきましょう。
眠い状態では、知的にも、感情的にも、身体的にもパフォーマンスが確実に低下します。どれだけコーヒーや他の刺激物を摂取しても、それを補うことはできません。
実際に、第二次世界大戦中に行われた実験では、パイロットを意図的に睡眠不足にし、覚醒状態を維持させるためにアンフェタミンを投与して、パフォーマンスの改善が見られるかを検証しました。
結果的に、パイロットの士気は高まったものの、実際のパフォーマンスは悪化しました。
兵士たちは自分たちがうまくやっていると感じていましたが、客観的に評価するとそうではなかったという典型的な例です。
睡眠に代わるものは存在しません。
もし、仕事の負担が増え続けて睡眠時間が削られているのなら、今こそ自分の生ライフスタイルを見直し、十分な睡眠時間を確保できるよう環境を整えるべきタイミングかもしれません。
3時間睡眠でスッキリする理由

ショートスリーパーには、いくつかの共通点があります。
ポイントとなるのは、睡眠時間の長さそのものではなく、どれだけ効率良く休息を取れているかという点です。
はじめに、3時間睡眠でもスッキリ目覚められる主な理由について見ていきましょう。
睡眠の質が良い
3時間という短い睡眠時間でもすっきり目覚められる人の多くは、睡眠の質が高い傾向があります。
睡眠は長さよりも中身が重要だと言われますが、まさにその典型といえるでしょう。
睡眠には浅い眠りと深い眠りがあり、特に脳と体をしっかり休ませる役割を担っているのが深いノンレム睡眠です。
この深い眠りが効率良く取れていると、睡眠時間が短くても回復感を得やすくなります。
よく知られている目安として、入眠後およそ4時間、6時間、11時間前後に眠りの質が変化する「4・6・11の法則」がありますが、質の良い睡眠を取れている人ほど、早い段階で深い眠りに入りやすいとされています。
また、就寝前の過ごし方も睡眠の質に大きく影響します。
寝る直前までスマートフォンを見続けない、強い光を避ける、就寝時刻をなるべく一定に保つといった習慣が、短時間でも深い眠りを得る助けになるでしょう。
ただし、ショートスリーパーは先天的な体質によるところも大きいため、これらの工夫を取り入れたからといって必ずしも短い睡眠時間で済ませられるようになるわけではありません。
参考:睡眠マネジメント|神奈川県予防医学協会
パワーナップの活用
パワーナップとは、15分から30分程度の短い仮眠のことで、脳の疲労回復や集中力のリセットに役立つとされています。
パワーナップのポイントは、長く寝過ぎないことです。
昼寝の時間が長くなると、目覚めた直後に強い眠気やだるさを感じる「睡眠慣性」が起こりやすくなるためです。
また、長時間の昼寝や夕方以降の仮眠は、その日の夜の睡眠にも影響します。
パワーナップは、午後の早い時間帯に、短時間で切り上げることが大切です。
参考資料:昼寝の鋼材とパワーナップ|J-Stage
3時間睡眠のメリット

3時間睡眠のメリットとして最初にあげられるのが、自由に使える時間が増えることでしょう。
睡眠時間が短い分、仕事や趣味、勉強などに使える時間が増え、1日の活動量が多くなります。
集中力の高い時間帯を有効に使える人にとっては、生産性が上がったと感じることもあるでしょう。
また、睡眠リズムが安定している人の場合、短時間でも毎日ほぼ同じ時間に眠り、同じ時間に起きる生活を続けることで、体内時計が整いやすくなることもあげられます。
結果的に目覚めが良くなりやすく、起床後すぐに行動できると感じる人もいます。
さらに、もともと睡眠欲求が少ない体質の人にとっては、長時間寝ようとすること自体がストレスになる場合があります。
無理に寝床にいる時間を延ばすよりも、必要最低限の睡眠で切り上げた方が、気分や体調は安定しやすくなるでしょう。

3時間睡眠のデメリット

次に、3時間睡眠のデメリットについて見ていきましょう。
3時間睡眠のデメリットとしては、次のようなものがあげられます。
- 慢性的な疲労や集中力の低下
- 心身のバランスが崩れやすくなる
- 免疫力低下
- 生活習慣病のリスクが高まる
睡眠時間が不足すると、脳や体の回復が十分に行われず、日中の判断力や注意力が落ちやすくなります。
本人は「慣れている」と感じていても、作業効率やミスの増加といった形で影響が現れることがあります。
また、心身のバランスが崩れやすくなる点も見逃せません。
睡眠不足が続くと、自律神経の働きが乱れ、イライラしやすくなったり、気分の落ち込みを感じやすくなったりすることがあります。
こうした変化は周囲から指摘されて初めて気付く場合も多く、本人の自覚がないまま進行することも少なくありません。
さらに、睡眠は免疫機能やホルモン分泌とも深く関係しています。
短時間睡眠が習慣化すると、体調を崩しやすくなったり、生活習慣病のリスクが高まる可能性が指摘されており、特に年齢を重ねるにつれてリスクが大きくなりやすい点に注意が必要です。
ショートスリーパーの特徴

ショートスリーパーは先天的な特性によるところが大きいといわれており、一般的な睡眠感覚を持つ人が、練習や努力を重ねてショートスリーパーになれるわけではありません。
カリフォルニア大学の研究グループの研究によると、ショートスリーパーの割合は10万人に約4人とされており、かなりの少数派であることがわかります。
日本人では5〜8%がショートスリーパーといわれています。
少数派=レアな存在ということから、ショートスリーパーを魅力的に感じる人も中にはいるでしょう。
しかし、ショートスリーパーの真似をして無理に睡眠時間を削ると、日々のコンディションやパフォーマンスの低下につながるだけでなく、深刻な病などの健康リスクを高める可能性があるので注意が必要です。
出典:ショートスリーパーとは?睡眠時間の特徴や偉人・有名人の事例をご紹介|BRAIN SLEEP
短時間睡眠とショートスリーパーのリスク
生まれつきのショートスリーパーと、生活習慣などによって睡眠時間を削っているケースを混同してはいけない理由としてあげられるのが、「ショートスリーパーは無理をして睡眠を削っていない」という点です。
ショートスリーパーは、生まれながらにして短時間睡眠でコンディションを維持できる体質です。
そのため、たとえ3時間しか眠っていなくても、寝不足から日中のパフォーマンスが落ちたり情緒不安定になったりすることはありません。
逆に、ショートスリーパーではない一般の人が、無理をして短時間睡眠を続けると、脳の認知機能や記憶力が低下しやすくなるほか、さまざまな健康トラブルにつながるリスクが高まります。
ショートスリーパーであるかどうかに関わらず、「短く寝れば大丈夫」と安易に考えない姿勢が大切です。
自称ショートスリーパーの危険性
近年、睡眠時間を削りながら生活している人は珍しくありませんが、自分をショートスリーパーに当てはめるのはやや危険です。
いわゆる「自称ショートスリーパー」の危険な点は、睡眠不足による不調を自覚しにくいことです。
眠気や疲労に慣れてしまうと、それが通常の状態だと錯覚し、集中力の低下や判断ミス、気分の不安定さを問題として認識できなくなります。
その結果、仕事や人間関係、日常生活の質が徐々に低下していく可能性があるのです。
世間的には「十分な睡眠がとれない人=仕事を頑張っている人」と評価されがちですが、睡眠不足はさまざまな不調や健康リスクを高める一因なので、寝不足が美徳にならないよう意識を改める必要があります。
3時間睡眠は良い?悪い?

適切な睡眠時間は人によるため一概には言えませんが、一般的に「3時間睡眠」は「短い睡眠」と判断できます。
人間の代謝やホルモンバランス、概日リズムなどを考慮すると、基本的に3時間睡眠は推奨されません。
では、一般的に理想的な睡眠時間はどのくらいなのでしょう。
理想的な睡眠時間とは
厚生労働省が公表している「健康づくりのための睡眠ガイド 2023」では、成人に対して6時間以上の睡眠を確保することが推奨されています。
これは、日中の眠気や疲労を防ぎ、心身の健康を維持するために必要な目安として示されているものです。
このガイドでは、単に長く寝れば良いという考え方ではなく、日中に強い眠気がないことや、生活の質が保たれていることを重視しています。
そのため、6時間以上眠っていても不調が続く場合や、逆に短時間でも問題なく過ごせている場合があることも前提とされています。
ただし、3時間睡眠はこの目安を大きく下回っており、一般的には推奨される睡眠時間とはいえません。
「短くても平気」と感じている場合でも、長期的な健康への影響を考慮し、まずは十分な睡眠時間を確保できているかどうかを見直すことが大切です。
参考サイト:「3時間睡眠で元気」憧れる人へ教えたい残念な真実|東洋経済ONLINE
出典:健康づくりのための睡眠ガイド 2023|厚生労働省
睡眠時間は調整すべき?
「忙しいから睡眠時間を短くしたい…!」「訓練すれば少ない睡眠でも平気になるのでは…?」と考える人もいるかもしれません。
しかし、結論から言うと、自分に必要な睡眠時間を努力で調整することは基本的にできないとされています。
人が必要とする睡眠時間には個人差があり、その多くは体質や遺伝的要因によって左右されます。
無理に睡眠時間を削り続けても、体が必要とする休息量そのものが変わるわけではなく、結果として疲労や眠気を抱えた状態が慢性化しやすくなるのです。
また、短時間睡眠に慣れたつもりでも、脳や体の機能は本来の状態より低下しやすくなります。
本人の自覚がないまま判断力や集中力が落ちているケースもあり、「慣れ」は必ずしも良い適応とはいえません。
十分な睡眠がとれていないと感じるなら、生活リズムや睡眠環境、仕事のスケジューリングやタスク管理を整える方向で見直すのがおすすめです。
「3時間しか眠らない」と「3時間しか眠れない」の違い

同じ「3時間睡眠」という言葉でも、「あえて3時間しか眠らない人」と「眠りたくても3時間しか眠れない人」とでは、状況も意味合いも大きく異なります。
前者は生活スタイルや価値観の選択である一方、後者には心や体からのサインが隠れている可能性があり、ライフスタイルを見直す必要があるかもしれません。
ここからは、両者の違いを整理しながら「眠れない状態」の背景に目を向けていきましょう。
ストレス
「3時間しか眠れない」場合、ストレスが原因となっていないか自分自身を振り返ってみましょう。
仕事や人間関係、将来への不安など、ストレスが強い状態だと自律神経のバランスが乱れやすくなります。
結果として、眠るときに必要なリラックス状態に切り替わらず、脳が覚醒モードのままになってしまい、十分な睡眠が得にくくなります。
「考え事が止まらない」「寝ようとするほど目が冴える」といった経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
こうした状態が続くと、睡眠不足がさらにストレスを増幅させる悪循環に陥りやすくなります。
生活リズム
睡眠は、いわゆる体内時計と呼ばれる概日リズムに伴って周期的にとる必要がありますが、生活リズムが不規則だと、睡眠の周期も定まりにくくなります。
特に、夜更かしや不規則な勤務時間、休日の寝だめなどは、体内リズムを乱しやすい主な要因です。
平日は睡眠不足、休日は長時間睡眠という生活を繰り返していると、体は常に時差ボケのような状態になり、夜になっても眠れなかったり、早朝に目が覚めてしまったりしやすくなります。
生活リズムの問題は、本人の努力の問題ではなく、現代の生活環境や生活様式そのものが影響している場合も多いものです。
まずは起床時間を一定にする、朝に光を浴びるなど、できるところから少しずつ整えていきましょう。
心の病
心の病には、うつ病や統合失調症、双極性障害、パニック障害、依存症などさまざまな種類がありますが、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 精神保健研究所による「こころの情報サイト」によると、心の病で通院や入院をしている人は、国内でおよそ420万人(平成29年時点)にのぼるといわれています。
これは日本人のおよそ30人に1人が心の病を抱えている割合となり、日本の大きな社会問題のひとつともいえます。
心の病を抱えていると、頭の中が常に緊張や不安でいっぱいになり、体は休んでいても脳が休めていない状態になりがちです。
そのため、布団に入っても眠気が訪れなかったり、眠れても浅い眠りが続いたりします。
心の病に起因して不眠に悩むケースも多いですが、一方で心の不調は本人が自覚しにくい場合もあり、早急な治療や休養につながらないケースもあります。
体の病
高血圧や心臓の病気による胸苦しさ、呼吸器疾患による咳や息苦しさは、夜間の安静を妨げやすい代表的な症状です。
また、腎臓病や前立腺肥大による頻尿、糖尿病によるのどの渇きなども、夜中に何度も目が覚める原因になります。
関節リウマチなどの慢性的な痛みや、アレルギー疾患によるかゆみも、眠りを浅くする要因の一つです。
脳出血や脳梗塞などの既往がある場合、頭痛を伴う疾患が隠れているケースのほか、群発頭痛や睡眠時頭痛など、睡眠を妨げる疾患は多岐にわたります。
このような場合、不眠そのものに対策する前に、不眠の背後にある体の病気への対応が優先されます。
出典:不眠症|厚生労働省
睡眠障害
睡眠そのものの障害の影響で、十分な睡眠がとれないケースもあります。
たとえば、夜中や早朝に何度も目が覚めてしまう中途覚醒や、十分な時間床に入っているにもかかわらず眠れない入眠困難などが代表的です。
これらが続くと、睡眠時間が極端に短くなり、「眠りたくても眠れない」状態に陥りやすくなります。
アルコール・カフェインの摂取
アルコールは一時的に眠気を誘うため、寝酒として利用されることがあります。
しかし、アルコールが分解される過程ではかえって眠りが浅くなりやすく、夜中に目が覚めやすくなることが知られています。
その結果、睡眠時間が短くなったり、熟睡感が得られなかったりすることがあるのです。
一方、カフェインには覚醒作用があり、摂取する時間帯によっては入眠を妨げる原因になります。
コーヒーやエナジードリンクだけでなく、緑茶や紅茶、チョコレートなどにもカフェインは含まれているので、夕方以降はこれらの摂取をできるだけ避けましょう。
頻尿
夜中の頻尿も、安眠を妨げる代表的な症状のひとつです。
頻尿の原因はさまざまで、加齢による膀胱機能の変化や、前立腺肥大、過剰な水分摂取、冷えなどが関係していることがあります。
また、就寝前に水分やアルコールを多く取る習慣も、夜間のトイレ回数を増やしやすくなるので注意したいところです。
夜中に一度でも目が覚めると、その後なかなか寝つけず、睡眠時間が短くなってしまうこともあります。
頻尿が続いている場合は、生活習慣の見直しだけでなく、何らかの疾患が隠れていないか体の状態に目を向けてあげることも大切です。
その他の要因
寝室の室温や湿度、寝具の硬さや高さ、周囲の音や光など、睡眠環境におけるわずかな違和感が眠りを浅くすることもあります。
また、日中の活動量が極端に少なかったり、逆に就寝直前に過度な運動を行っていたりする場合も、眠りにくさにつながることがあります。
「特定の原因が見当たらない」と感じる場合も、生活や環境の中にヒントが隠れていることがあるため、眠れない原因を日常全体から探る視点を持つことが大切です。
参考サイト:睡眠専門医が教える中途覚醒の理由|阪野クリニック
十分な睡眠を取るための3つの秘訣
十分な睡眠が取れずに悩んでいる場合は、次の3つのポイントを押さえ、少しずつ睡眠環境を整えてみましょう。
- 入浴習慣…就寝90分前の入浴です。湯船につかって体を温めることで、自然な眠気が訪れやすくなります。マグネシウム風呂などを取り入れると、リラックスしやすくなると感じる人もいます。
- リラックス習慣…寝る前はスマートフォンを控え、照明や室温を整え、軽いストレッチなどで心身を落ち着かせましょう。「眠る準備」を意識するのがポイントです。
- 適度な運動習慣…日中のウォーキングなどの無理のない有酸素運動を続けることで、寝つきや睡眠の深さが整いやすくなります。短時間から始め、継続することを意識しましょう。
睡眠の質を向上するための具体的な方法については、「睡眠不足・寝不足で起こる症状とは?今すぐできる対策10選(※リンク先記事を公開後にここから発リンク処理をお願いします)」で詳しく解説しています。併せてご覧ください。
まとめ|睡眠3時間の良し悪しは人によって異なる

たった3時間睡眠ですっきり過ごせる人がいるのは事実ですが、それはごく限られた体質や条件がそろっている場合に限られます。
多くの人にとって3時間睡眠は十分といえず、気付かないうちに心身へ負担が蓄積している可能性があります。
大切なのは「短く寝られるかどうか」ではなく、「自分の体に合った睡眠が取れているかどうか」です。
眠気や疲れ、気分の不調がある場合、それは睡眠が足りていないサインかもしれません。
本記事を参考に自分に合った睡眠時間を見直し、健やかな毎日への第一歩を踏み出してみてはいかがでしょうか。

