足関節の捻挫は、運動や日常生活のなかで誰にでも起こりうる症状です。
特に激しい運動をする方やスポーツ好きな人は、足関節の捻挫を経験したことがある人も多いのではないでしょうか?
「歩けるけど痛い」
「歩けないほど痛い」
程度の差はあれ、足関節の捻挫は一度経験するとクセがつきやすく、再発する可能性が高まってしまいます。
今回は足関節の捻挫となる原因や対処法、そして、マグネシウムの働きと足関節の健康との関係を解説します。
普段の生活にどうマグネシウムを取り入れるかも紹介しているので、最後まで読んでいただき、参考にしてください。
そもそも足関節捻挫(そくかんせつねんざ)とは?

足関節捻挫(そくかんせつねんざ)とは、足首に強い外力が加わることで関節が過剰に伸び、靭帯(じんたい)や周囲の組織が損傷するケガのことを指します。
平たく言うと「足をくじく」「足をひねる」ことで、足首に痛みを感じることです。
スポーツ選手にとって最もよく起こりやすいケガの一つであり、軽度のケガなら数日で回復しますが、重度のものになると回復まで数週間〜数ヶ月を要することもあります。
再発率は50〜70%とも言われており、早期回復と再発予防のためにも基礎知識を理解しておくことが大切です。
足関節捻挫の原因と対処法(RICE処置)

足関節捻挫は、スポーツ中はもちろんですが、段差でのつまずきや歩行時など日常生活でも容易に起こりうるものです。
発症直後の対処方法としては「RICE処置」と呼ばれる基本的な応急処置を知っておくと良いでしょう。
処置 | 方法 |
---|---|
Rest(安静) | 安静にして患部を動かさないようにする |
Icing(冷却) | 氷やアイスバッグなどで冷却し、炎症や痛みを和らげる |
Compression(圧迫) | 弾性包帯で患部を軽く圧迫し、腫れを予防する |
Elevation(挙上) | 患部を心臓より高い位置に保つことで腫れや痛みを抑える |
この処置を早期に行うことで、炎症や内出血の進行を抑え、回復を早める効果が期待できます。
ただし、あくまでも応急処置のため、再発のリスクを減らすためにも早めに整形外科を受診するようにしましょう。
参考:RICE(ライス)処置とは何か?肉離れ・打撲・捻挫の応急処置│オムロン ヘルスケア
足関節捻挫の予防・回復に役立つ4つの習慣

ここからは日常で取り入れられる、足関節捻挫の予防や回復に役立つ4つの方法を紹介します。
- ストレッチとトレーニング
- サポーターやテーピングの活用
- 自分に合った靴の着用
- マグネシウムの摂取
一つずつ順番に確認していきましょう。
ストレッチとトレーニング
柔軟性を高めるストレッチや、足首周囲の筋力を鍛えるトレーニングは、捻挫の予防や再発防止に有効です。
例えば、かかとの上げ下げやバランス感覚を鍛えるトレーニングは、足関節の安定性を向上させる効果があります。
さらに、ふくらはぎやアキレス腱のストレッチを習慣的に行うことで、急な負荷にも対応できる柔軟な関節がつくられるようになり、足関節捻挫の予防につながるでしょう。
サポーターやテーピングの活用
足関節が不安定な状態な場合は、サポーターやテーピングが補助的に役立ちます。
とくにスポーツ時は適切に固定することで、関節にかかる負荷を減らし、無理な動きを防いでくれます。
ただし、あまり頼りすぎると筋力低下につながるおそれがあるため、補助的な活用を意識するようにしましょう。
自分に合った靴の着用
靴の選び方も足関節捻挫の予防には大切です。
かかとがしっかりフィットし、足首を安定させる靴は、関節への負担を軽減します。
逆に、ソールが薄く不安定な靴やかかとの高いハイヒール、サイズの合わない靴などは、足のぐらつきやつまずきを招きやすくなるので、運動時や日常的な散歩などでは機能性とフィット感を重視した靴を選ぶようにすると良いでしょう。
マグネシウムの摂取
「なぜマグネシウム?」と思われるかもしれませんが、マグネシウムは筋肉や神経の正常な働きに欠かせない重要なミネラルです。
マグネシウムを体内に摂取することで、筋肉や神経の健康維持に関わり、結果的に足関節捻挫予防と回復に役立つことが期待できます。
実際に「ラグビー日本代表チーム」は弊社オーガニックサイエンスのマグネシウム製品を日常的に摂取しており、栄養管理の一環として利用しているそうです。
選手の写真付きの、以下の記事をぜひご覧ください。

カナダのクリニックで、私は捻挫やスポーツによるケガを多く診てきました。
運動前の反動をつけないストレッチ(ターゲットを絞ったもの)に加えて、鍼灸やマッサージ治療、マグネシウムの補給(外用・内服の両方)も有効ですが、もう一つ非常に重要な対策があります。
それは「体幹の強化」です。
体幹が弱いと、捻挫などのケガが起こりやすくなります。
そこでおすすめなのが、日常的に取り入れやすい簡単なヨガのルーティンです。
どなたでも始められる内容なので、ぜひ以下の動画を参考にしてください。
参考:体幹の強化 | Instagram(@tokyoalexsensei)
マグネシウムと足関節捻挫の関係とは?

マグネシウムと足関節捻挫にどのような関係があるのか、以下の2つの観点から見ていきましょう。
- マグネシウムの働き
- マグネシウムが足関節捻挫に作用する仕組み
マグネシウムの働き
マグネシウムは私たちの体内で起こる約800以上の化学反応の補酵素として働いています。
たとえば、筋肉を緩めたり、歯や骨の健康を保ったり、神経伝達の調整やエネルギーの産生をしたりなど、マグネシウムは生理機能に関する必須ミネラルとも言えます。
以下の記事ではマグネシウムの多種多様な働きと効果を解説しているので、こちらも合わせてご覧ください。

マグネシウムが足関節捻挫に作用する仕組み
マグネシウムの働きの一つに、炎症を抑える作用があります。
具体的には、筋損傷時に生じる炎症の発生を抑制し、細胞の修復を促してくれるのです。
また、神経の過敏性を抑え、痛みや不快感の軽減にもつながるとされています。
したがって、マグネシウムは足関節捻挫のケアにも一定の有効性があり、回復過程をサポートすることが期待できます。
以下の記事では、マグネシウムの抗炎症作用や肌の保湿、バリア機能の向上についても詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

マグネシウムが足関節捻挫の予防・回復につながる2つのエビデンスを紹介

では、実際にどのような研究結果がマグネシウムと足関節捻挫の予防や回復との関連性を示しているのか、代表的な2つの研究をご紹介します。
マグネシウムと足関節捻挫のエビデンス研究1:マグネシウムサプリ摂取による抗炎症作用
マグネシウムの摂取が炎症を抑える可能性があることを示したのが、以下の研究です。
内容を詳しく見ていきましょう。
調査目的 | ・マグネシウムのサプリメントを摂ることで、炎症を鎮める効果があるのか明らかにするため、過去のデータをまとめて分析する。 ・PubMed-Medline、Web of Scienceなどの信頼性の高い各データベースを検索(2016年12月まで)。 |
調査対象 | ・8件の研究を選定し、合計349人分のデータを利用。 ・年齢、性別、体調はバラバラで、国もアメリカ、メキシコ、イラン、トルコと多様な人種の人々を調査。 |
調査方法 | マグネシウムを摂取したグループと摂取していないグループを比較 |
調査結果 | “This meta-analysis suggests that Mg supplementation significantly reduces serum CRP level. RCTs with a larger sample size and a longer follow-up period should be considered for future investigations to give an unequivocal answer.” 「本メタアナリシスの結果、マグネシウム補給により血清CRPレベル(体内の炎症サイン)が有意に低下することが示されました」 |
参考:Effect of magnesium supplements on serum C-reactive protein: a systematic review and meta-analysis|PubMed
この研究ではマグネシウムの量や摂取期間に関係なく、マグネシウムが体内の炎症を鎮める作用があることが明らかになりました。
ただし、この研究データは100%断定できるものではなく、より大規模で長期的な研究が今後も必要になると結論付けています。
マグネシウムと足関節捻挫の研究2:マグネシウム投与での筋損傷回復
2024年に公表された以下の研究では、自転車のロードレースを職業とする人にマグネシウムを投与することで、筋肉の健康維持に役立つ可能性が示されています。
“MgS reduced muscle soreness, improved performance, recovery and induced a protective effect on muscle damage.
To reach these positive effects, individuals engaged in intense exercise should have a Mg requirement 10–20% higher than sedentary people, to be taken in capsules and 2 hours before training.
Moreover, it is suggested to maintain magnesium levels in the recommended range during the off-season.”
「硫化マグネシウム(MgS)が筋肉痛を軽減し、パフォーマンスや回復を向上させ、筋損傷に対する保護効果をもたらすことが示されました。
このようなポジティブな効果を得るには、激しい運動をする人は、座って過ごす人よりも10〜20%多くのマグネシウムを摂取する必要があります。これはカプセルの形で、トレーニングの2時間前に摂取するのが望ましいとされています。
また、オフシーズン中もマグネシウム濃度を推奨範囲内に維持することが推奨されます」
引用:Effects of magnesium supplementation on muscle soreness in different type of physical activities: a systematic review||Springer Nature.
こうした研究からマグネシウムには筋損傷や筋疲労、筋肉回復に一定の役割を果たす可能性があり、マグネシウムの摂取は足関節捻挫の回復や予防にもつながると考えられます。
また、足関節捻挫を予防したり、損傷をできる限り抑えるには、日常的にマグネシウムを摂取することが重要であると推奨されています。
足関節捻挫の予防・回復にマグネシウムを取り入れる方法

現代人は加工食品や精製食品の摂取増加による食生活の変化などにより、マグネシウム不足に陥りやすい傾向にあります。
ここではマグネシウムを効果的に取り入れる、2つの方法を紹介します。
- マグネシウムを経口摂取する(体の内側から)
- マグネシウムを経皮吸収する(体の外側から)
マグネシウムを経口摂取する(体の内側から)
最も一般的なマグネシウムの摂取方法は、食事からの摂取です。
普段のバランスのいい食事からマグネシウムを摂取できればベストですが、食事の準備や食べること自体にあまり時間をかけられない人は、まずはマグネシウムを含む食品を意識するようにすることから始めてみてはいかでしょうか?
こちらの記事ではコンビニで手軽に買えるマグネシウム食品を紹介しているので、ぜひご参考にしてください。

また、マグネシウムの摂取にサプリメントを活用するのもおすすめです。
時間をかけることなく、必要なときに必要な分だけ摂取できるので、食事と併用すると良いでしょう。
マグネシウムを経皮吸収する(体の外側から)
マグネシウムを皮膚から吸収する「経皮吸収」もマグネシウムの摂取に有効な手段です。
マグネシウムを含んだバームやクリーム、スプレー、バスソルトなどを皮膚に直接塗ることによって、筋肉や関節周辺への局所的な作用が期待されます。
また入浴時のエプソムソルト(硫酸マグネシウム)の活用は、リラックスしながらマグネシウム補給ができるため、足関節捻挫の回復サポートとして役立つでしょう。

まとめ:マグネシウムの摂取で足関節捻挫を予防・回復しよう!

足関節捻挫は誰にでも起こりうる身近なケガですが、予防と早期回復のためには日々の習慣と栄養が重要です。
なかでも、今回紹介したマグネシウムは、筋肉の弛緩、神経の調整、炎症の緩和、回復の促進など多様な働きをもっています。
毎日の食事やサプリメント、経皮吸収からの摂取を通じて、マグネシウムを意識的に取り入れることで、足関節捻挫の予防や再発防止、回復の質を高められるようになるでしょう。
マグネシウムは私たちの体や心に深く関係し、健康を維持する役割があるので、ぜひ普段から取り入れられるようにしてみてください。