【何が違う?】酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムの違いと使用用途を解説

【何が違う?】酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムの違いと使用用途を解説

マグネシウムは、骨の形成を助けたり、神経や筋肉の機能保持など、私たち「人間」の健康維持に必要なミネラルの1つです。

また、マグネシウムには、いくつかの種類があり、それぞれ体に働きかける効果や吸収率が異なるため、目的に応じたマグネシウムの正しい理解と選択が大切です。

本記事では、サプリメントや医薬品などでよく見かける「酸化マグネシウム」と「硫酸マグネシウム」の違いや選び方について詳しく解説していきます。

サプリメントの選び方や便秘薬に迷っている方は、ぜひ参考にしてください。

酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムの特徴と使用用途

【何が違う?】酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムの違いと使用用途を解説

マグネシウムの種類のなかで、最もよく使われている成分が酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムです。

この2つは、まったく異なる場面で活用される成分で体への働き方も異なります。

ここで、それぞれの性質や使われ方について、詳しく見ていきましょう。

酸化マグネシウムとは?

酸化マグネシウムとは、マグネシウムが酸素と結びついた白色の粉末で、マグネシウム化合物の1つです。

便秘薬や胃薬、サプリメントなどで使用されており、長期的にも使いやすい成分として定評があります。

酸化マグネシウムの特徴は、次の2つです。

  • 水には溶けにくいが水を吸収しやすい
  • 体に吸収されにくい

酸化マグネシウムは、体内で吸収されずに腸内にとどまり、水分を吸収して便をやわらかくし、排便を促す働きがある、「刺激の少ない便秘薬」として支持されています。

また、酸化マグネシウムは胃酸を中和する作用もあり、制酸剤としても活用されています。

市販の便秘薬や、病院で処方される胃薬などにも含まれており、穏やかな効き目と高い安全性から広く利用されています。

参考:酸化マグネシウムの主な機能|アシザワ・ファインテック株式会社

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硫酸マグネシウムとは?

硫酸マグネシウムとは、マグネシウムに硫酸が結合した「塩」です。

入浴剤「エプソムソルト」としても広く知られており、美容や医療、リラクゼーションの場面で使われています

硫酸マグネシウムの特徴は次の2つです。

  • 水に溶けやすく、苦味と塩味がある
  • 経口・経皮・点滴などさまざまな方法で体に取り込まれる

硫酸マグネシウムは、美容・健康目的で愛用する人が多く、海外セレブやアスリートの間でも定番のケアアイテムとなっています。

医療の現場では、下剤や解毒剤として使用されるケースがあります。

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参考:硫酸マグネシウム|サンエス石膏株式会社
参考:硫酸マグネシウムについて|ざいつ内科クリニック

酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムの違い

【何が違う?】酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムの違いと使用用途を解説

では、ここで酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムの違いについて見ていきましょう。

以下表に、それぞれの用途や効果、副作用などについてまとめました。

【酸化マグネシウムと硫酸マグネシウムの違いについて】

項目酸化マグネシウム硫酸マグネシウム
主な用途便秘薬
制酸剤
サプリメント
入浴剤(エプソムソルト)
注射・点滴治療
効果排便促進
胃酸中和
筋弛緩
血圧低下
リラックス効果
吸収率低い(腸にとどまりやすい)比較的高い(皮膚・体内に吸収されやすい)
副作用下痢
腹痛
まれに電解質異常
低血圧
吐き気
過剰摂取時の中毒症状
使用上の注意点長期での連続使用は避ける
腎機能に注意
医療目的の場合は医師の指導下で使用

参考:酸化マグネシウムの主な機能|アシザワ・ファインテック株式会社
参考:硫酸マグネシウム|サンエス石膏株式会社

利用目的が便秘薬やサプリメントとしてなのか、美容目的なのかによって選ぶべきマグネシウムの種類が変わってきます。

「どちらが優れているか」ではなく、「自分の目的に合っているのはどちらか」を基準にした判断が大切です。

なお、マグネシウムの吸収率を重視している方には、高吸収でマグネシウムをしっかり届けてくれる次世代型のサプリメント「マグリポ」がおすすめです。

【目的別】マグネシウムの選び方

マグネシウムは、便秘、リラックス、美容など、目的によって必要な種類が異なります。

ここでは、日常生活での目的別に必要なマグネシウムの種類を次の3つに分けて解説します。

  • 便秘の解消には酸化マグネシウム
  • リラックスやデトックスには硫酸マグネシウム
  • サプリメントは製品に何が含まれているか確認する

サプリメントや便秘薬を選ぶ際の参考にしてください。

便秘の解消には酸化マグネシウム

便秘の改善が目的の場合は、酸化マグネシウムが最適です。

酸化マグネシウムは、腸内に水分を引き寄せて便を柔らかくし、スムーズな排便を促す緩やかな下剤作用を持っています。

また、腸を無理に動かさないので体への刺激が少なく、習慣性や依存性も低いのも特徴です。

そのため、慢性的な便秘に悩む方でも安心して使いやすい薬として、市販薬や処方薬のどちらにも広く利用されています。

リラックスやデトックスには硫酸マグネシウム

硫酸マグネシウムは、別名「エプソムソルト」とも呼ばれています。

主に入浴剤として使われており、筋肉のこわばりを緩和し、リラックスを促す効果が期待できます。

また、エプソムソルトは、皮膚からも吸収されるため、入浴時に体を温めながら、マグネシウム補給とデトックスが同時にでき、スポーツ後の疲労回復や、ストレス緩和を目的に取り入れている人も増えています。

手軽に取り入れられる方法として、自宅でのセルフケアにおすすめのマグネシウムです。

また、硫酸マグネシウムは注射や点滴など、医療目的でも使用されるケースがあります。

この場合の硫酸マグネシウムは、体内に直接吸収され、効果が速く強力で過剰投与による副作用のリスクがあるため、必ず医師の指導のもとで行う必要があります。

一般的な健康目的での利用とは異なり、医療行為としての利用と理解しておきましょう。

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サプリメントは製品に何が含まれているか確認する

市販されているマグネシウムサプリメントには、酸化マグネシウムだけでなく、クエン酸マグネシウム、グリシン酸マグネシウム、塩化マグネシウムなどさまざまな種類があります。

これらの種類のマグネシウムも、酸化マグネシウムや硫酸マグネシウム同様に、それぞれ吸収率の違いや体内での働きの特徴があるため、以下を参考に用途や体質に応じて適切なものを選びましょう。

クエン酸マグネシウム腸内で吸収されやすい
グリシン酸マグネシウム不眠症などに効果的
塩化マグネシウム食事で不足しがちなマグネシウムを補うためによく使われる

体調や持病の関係で、マグネシウムの摂取に不安がある場合は、購入前にパッケージの成分表示をよく確認し、必要に応じて薬剤師や医師に相談しましょう

日常的にマグネシウムの補給をサポートしたい方は、マグネシウムを高吸収で摂取できるサプリメントとしてマグリポがおすすめです。

参考:9種類のマグネシウム、それぞれの効果と副作用について|ELLE

マグネシウムを摂取する際の3つの注意点

マグネシウムは、体質や摂取方法によっては思わぬトラブルを引き起こす場合もあります。

とくにサプリメントや医薬品としてマグネシウムを摂取する際は、摂取量や体調への影響に十分な注意が必要です。

ここでは、マグネシウムを安全に摂取するために注意すべき3つのポイントを解説します。

  • 1日の推奨摂取量の目安を守る
  • マグネシウムの摂りすぎによる副作用
  • 腎疾患がある方は事前に医師に相談する

1日の推奨摂取量の目安を守る

マグネシウムは、必要以上の量を摂取しても、その分だけ効果が高まるわけではありません。

むしろ、過剰摂取によって体調を崩すリスクがあるため、1日の摂取目安量は守りましょう。

マグネシウムの1日あたりの推奨摂取量は、以下のとおりです。

成人男性(30~64歳)320〜370mg
成人女性(30~64歳)260〜290mg

日常の食事だけであれば、過剰摂取の心配はほとんどありませんが、サプリメントや便秘薬などでマグネシウムを補う場合は、この目安を大幅に超えないよう注意しましょう。

参考:日本人の食事摂取基準(2025年版)p.111|厚生労働省

マグネシウムの摂りすぎによる副作用

マグネシウムは「摂りすぎても尿や便として体外に排出されるから安全」と思われがちですが、一定量を超えると副作用が現れる可能性があります。

とくに便秘薬を常用している方や腎臓に障害がある方は注意が必要です。

マグネシウムは、水分を抱える性質があるため、水分を引き込む酸化マグネシウムなどを大量に摂取した場合、下痢や腹痛、吐き気、血圧の低下などの症状が出る場合があります。

また、硫酸マグネシウムの点滴など、吸収率の高いタイプのマグネシウムでは、体内のマグネシウム濃度が急激に上昇し、中毒症状を引き起こす可能性もあります。

副作用や中毒症状を起こさないためにも、サプリメントや薬を使う際は、必ず用法・用量を守りましょう。

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腎疾患がある方は事前に医師に相談する

マグネシウムは、腎臓を通じて尿や便として体外に排出されるため、腎機能に問題がある方は、マグネシウムの排出がうまくいかず、体内に蓄積してしまう場合があります。

この状態を放置すると、高マグネシウム血症となり、血圧の異常低下や意識障害、最悪の場合は心停止に至る可能性があるため注意が必要です。

腎臓病の診断を受けている方、透析を受けている方、または高齢で腎機能が低下している方は、マグネシウムを含むサプリや薬を使用する前は、必ず医師に相談してください

安全なマグネシウム摂取を続けるためには、医師による診察や処方内容の調整が必要となる場合もあります。

参考:高マグネシウム血症|MSD Manuals

まとめ|マグネシウムを目的に合わせて効率よく摂取しよう

マグネシウムは、神経や筋肉の働きをサポートし、エネルギー代謝や骨の健康にも深く関わる、必須ミネラルですが、種類によって体内での働き方や吸収率が異なります。

酸化マグネシウムは便秘改善、硫酸マグネシウムは入浴剤として美容面や筋肉の緩和に効果的など、種類ごとの特徴を理解し、用途に応じたマグネシウムの選定が大切です。

サプリメントや薬を選ぶ際は、自分の体調や目的に合ったマグネシウムを選び、正しい用法・用量を守りましょう。

腎機能に不安がある方や既往症のある方は、必要に応じて医師や薬剤師に相談し、安心・安全な摂取を心がけてください。