忙しい日々の中、心も体も癒してくれる入浴タイム。
時間がない日はシャワーでサッと済ませてしまうことも多いですが、やっぱり湯船にゆっくり浸かると、ホッと気持ちが安らぐという人も多いでしょう。
特に、近年話題のエプソムソルトなどを使った「マグネシウム風呂」は、美容や健康にも良いので、ぜひとも積極的に取り入れたいものです。
でも、どのくらいの時間湯船に浸かるのがベストなのか、体に負担をかけずに効果を得られる時間とはどのくらいなのか、エプソムソルトをどのくらい入れればいいのか──と、疑問を抱いている方も多いかもしれません。
今回は、年齢やライフステージによって異なる最適な入浴時間や、マグネシウム風呂の効果的な入り方について詳しく解説します。
自分にぴったりの入浴法を見つけて、心地良いバスタイムで癒やされましょう!

「どのくらいの量のエプソムソルトを入れればいい?」という点についてはさまざまな情報があり、混乱しがちです。一般的には、浴槽に最大でカップ2杯までのエプソムソルトを入れる分には、多くの人にとって問題ないとされています。
ちなみに、イスラエルと国境を接する死海の水は、硫酸マグネシウムをはじめとする鉱物が飽和した非常に濃い塩水で、カップ2杯どころではない高濃度です。実際、死海に入ると体が沈まず、水に浮かぶほどの密度があります。
カナダにある当院のクリニックでも、同様の原理を応用した「浮遊チャンバー」を導入していました。これは、エプソムソルト(硫酸マグネシウム)を高濃度で溶かした“超飽和溶液”によって体が浮く仕組みになっています。
このようなタイプの入浴では、通常よりも高い濃度でマグネシウムが体内に吸収される傾向があります。ただし、入浴後は硫酸マグネシウムが肌に残るため、ヌルつきを感じる人も多く、シャワーで洗い流すのが一般的です。
【人によって違う】湯船に浸かる最適な時間は何分?

お風呂に入る時間は、人によって異なるものです。
「他にやりたいことがあるから、お風呂はできるだけ早く済ませたい」という人もいれば、「バスタイムをゆっくり楽しんで、疲れを癒したい」という人もいます。
「実際、どのくらいの入浴時間が適切なの?」と疑問に感じている方も多いのではないでしょうか。
実は、最適な入浴時間は年齢や体調によって変わってきます。まずは入浴時間の一般的な目安と、それぞれのケースに合った入浴時間を紹介します。
一般的な入浴時間
一般的に理想とされている湯船の浸かり時間は、15〜20分程度が目安とされています。
これは、体がじんわり温まり、血流が促進されるのにちょうどいい時間でもあります。
なお、「入浴時間」とは、浴槽に浸かっている時間を指すため、体を洗ったり髪を洗ったりする時間は含まれません。
トータルでは、入浴に30分以上かかることもあるでしょう。そのうち、湯船に浸かる時間を20分以内に収めると、体への負担が少なくて安心です。

高齢者の入浴時間
高齢者の場合、入浴に伴う体力の消耗が激しいため、入浴時間を短めに設定するのが安全です。
5〜15分を目安にし、必要以上に体を温めすぎないよう心掛けましょう。
また、浴槽内での転倒や、急激な血圧の変化による立ちくらみなどは、大きなケガにつながる恐れがあります。
こうしたリスクを低減するために、入浴前後には水分補給を行い、ゆっくり動くことが大切です。
子どもの入浴時間
子どもは大人に比べて体が小さくのぼせやすいため、長時間の入浴は避けるのが賢明です。
目安としては5〜20分以内が理想的。
乳幼児は5分程度、3歳児なら10〜15分程度を基準にし、年齢に応じて調整しましょう。
のぼせやすい体質の子も多いため、様子を見ながら入浴時間を調整することが大切です。
妊婦さんの入浴時間
妊婦さんの場合、ホルモンバランスの変化により立ちくらみが起きやすく、体が温まりすぎると気分が悪くなることもあります。そのため、5〜10分程度を目安に短めに調整しましょう。
また、「今日は疲れているかも」「気分が乗らない」と感じる日は、無理して湯船に入らず、シャワーで済ませても問題ありません。体調に応じた入浴法・入浴時間を心掛けましょう。
お湯の温度や入浴の時間帯も重要

入浴時間だけでなく、「お湯の温度」や「入浴のタイミング」も、バスタイムの効果を左右します。
特に長風呂を好む方は、より安全で快適な入浴を楽しむために、注意点をしっかりと押さえておきましょう。
長風呂の注意点
湯船に長く浸かっているとリラックスできますし、体の芯まで温まるというメリットもあります。
しかし、入浴は意外と体力を消耗する作業なので、入浴時間が長くなればなるほど体への負担も大きくなります。
あまり長く浸かっているとのぼせてしまい、気分が悪くなったり脱水症状を引き起こしたりすることも。
特に高温のお湯に長時間浸かると、肌の乾燥やバリア機能の低下を招く可能性があるため、長風呂をしてしまったときは入浴後の保湿などスキンケアを忘れずに。
また、長風呂の後に急に立ち上がると、立ちくらみや転倒の危険があります。年齢に関わらずふいに意識を失い、倒れてしまうケースもあるくらいです。
入浴後はゆっくりと立ち上がるようにし、こまめな水分を行いながら、安全にバスタイムを楽しみましょう。
せっかく湯船に浸かるならマグネシウム風呂がおすすめ

「せっかく湯船に浸かるなら、健康や美容に良い入浴法を知りたい!」
そんな方におすすめなのが「マグネシウム風呂」です。
マグネシウム風呂は、文字通り「お風呂の中にマグネシウムを溶かす入浴法」のこと。
欧米では比較的ポピュラーな入浴法で、中でもエプソムソルトを使ったお風呂が人気です。
マグネシウム風呂は、リラックス効果だけでなく、肌や筋肉へのケアやサポートも期待されています。
エプソムソルトの成分について詳しく知りたい方は、「エプソムソルトの成分とは?硫酸マグネシウムの効果と安全性を徹底解説!」も併せてご覧ください。


エプソムソルトとにがりの違い
マグネシウム風呂を楽しむには、エプソムソルト(硫酸マグネシウム)をお風呂に溶かす方法と、にがり(塩化マグネシウム)を溶かす方法があります。
いずれも血行促進や筋肉の緊張緩和など基本的な効果は似ていますが、含有するマグネシウムの種類や濃度、肌への刺激性が異なります。
エプソムソルトは比較的刺激が少なく、風呂釜にもやさしいため、一般家庭のお風呂でも使いやすいのが特徴です。
一方、にがりは保湿効果に優れる反面、少しピリッとした刺激を感じることもあります。肌質や目的に合わせて選びましょう。
バスソルト(入浴剤)との違い
「エプソムソルト」と聞くと塩の一種に思われがちですが、実は塩分は含まれていません。
硫酸マグネシウムという、塩とはまったく別の成分で構成されています。
名前の由来は、16世紀にイギリスのエプソムという町で発見されたから。
そして、見た目が塩に似ていたため「エプソムソルト」と名付けられました。
硫酸マグネシウムを主成分とするエプソムソルトに対し、一般的なバスソルトは、岩塩や海塩にアロマオイルやハーブ、香料などを加えているのが一般的です。
香りによるリラックス効果が得られるのがバスソルトの魅力です。
それぞれ特徴や用途が異なるため、目的や好みに応じて使い分けたり、両方をブレンドして使ったりするのもおすすめです。
マグネシウム風呂で得られる3つの効果

マグネシウム風呂には、体にも心にも嬉しい効果が期待されています。
注目したい3つの働きについて解説します。
体の調子を整える
マグネシウムには、筋肉のこわばりを和らげたり、血行を促進したりする働きがあります。
運動後の筋肉痛や、足がつりやすいといった症状、全身の疲労や倦怠感などがある場合は、マグネシウム風呂で身も心も癒やしてみてください。
マグネシウムオイルやクリームなどを使えば、体の調子を局所的にケアすることもできます。

メンタルをサポート
マグネシウムには、自律神経のバランスを整える働きもあります。
入浴によるリラックス効果との相乗効果で、自律神経を整えて心を穏やかに保つ助けになるでしょう。
また、マグネシウムは睡眠の質を高める作用もあるため、「寝つきが悪い」「眠りが浅い」といった悩みを持つ方にもおすすめです。
美肌・デトックス効果
エプソムソルトに含まれる硫酸マグネシウムは、肌のバリア機能を担うアシルセラミドの生成をサポートする働きがあります。
そのため、マグネシウム風呂に入ると肌の保湿力が高まり、乾燥から守ってくれるのです。
また、発汗が促されることで老廃物が排出されやすくなり、デトックス効果にも期待できます。
マグネシウム風呂を取り入れる際の注意点

マグネシウム風呂は、文字通り心身のケアやサポートに役立ちますが、いくつか注意しておきたい点があります。
一つ目は、過剰な量のマグネシウム(エプソムソルトやにがり)を使わないこと。
マグネシウムをたくさん使っても基本的に有害性はありませんが、肌への刺激を強く感じられたり、海水のようにベタベタするような不快な感覚を覚えたりする場合があります。
特に、肌に傷があったり湿疹があったりする場合や、敏感肌やアトピーの方などにとって、濃度の高いマグネシウム風呂は刺激が強すぎる可能性があります。
マグネシウム風呂を初めて試す際は少量からスタートし、肌に異常が出ないかを確認しましょう。
また、マグネシウム風呂は「マグネシウムをたくさん入れると効果倍増」「長く入れば効果倍増」といったことはありません。
適量を守り、適切な入浴時間で、快適なバスタイムをお過ごしください。
まとめ|マグネシウム風呂は20分以内を目安にしよう

湯船に浸かる習慣は、日々の疲れを癒し、心身を整える大切なセルフケアです。
特にマグネシウム風呂は、単なるリラックスタイムというだけでなく、自律神経やメンタルの調整、体のケアなど、美容や健康に役立ちます。
とはいえ、過剰な量のエプソムソルトやにがりをお風呂に入れると、肌への刺激を感じたり、テクスチャーに不快感を覚えたりするかもしれません。
また、長風呂をするとのぼせてしまったり、立ちくらみや転倒したりといったリスクもあります。
マグネシウム風呂は心身のコンディションを整えるのにとてもおすすめですが、正しい入浴法を守ってこそ。
本記事を参考に、ご自分に合った入浴法を見つけてくださいね。