「毎日きちんと眠っているのに朝から体が重い…」
「寝ても寝ても日中に強い眠気を感じる…」
このように、日中の眠気に悩まされている人は多いでしょう。
仕事や家事、スマートフォンの使用、ストレスなどに追われる現代では、気付かないうちに睡眠不足や寝不足の状態が続いてしまうケースが珍しくありません。
睡眠は単なる休息ではなく、心と体、脳を回復させるために欠かせない大切な習慣です。
十分に眠れていない状態が続くと、さまざまな不調として表れ、生活の質にも影響を及ぼす可能性が高くなります。
今回は、睡眠不足で起こりやすい症状や体への影響、今すぐ実践できる対策について、わかりやすく解説します。
最近よく眠れていないと感じている方や、寝不足が続いている方は、自分の体と向き合うきっかけとしてぜひ最後までご覧ください。
睡眠不足で起こる代表的な症状

睡眠不足による影響は、ある日突然強くあらわれるものばかりではなく、日常の小さな不調として少しずつ積み重なっていくものです。
「年齢のせい」「疲れているだけ」と見過ごしがちなサインも、実は寝不足が原因であることは少なくありません。
はじめに、睡眠不足で起こりやすい代表的な症状を紹介します。
日中の眠気・集中力低下
睡眠不足が続いたときにまず感じやすいのが、日中の強い眠気や集中力の低下です。
十分な睡眠がとれていない状態では、脳がしっかりと回復できず、覚醒レベルが下がってしまいます。
その結果、仕事中や授業中にぼんやりしてしまったり、話を聞いていても内容が頭に入ってこなかったりすることが増えやすくなるのです。
集中力が続かないと、作業効率が落ちるだけでなく、ケアレスミスや判断ミスが起こりやすくなるのも特徴です。
普段なら簡単にできていることに時間がかかったり、同じ作業を何度もやり直したりする場合は、脳が疲労しているサインかもしれません。
眠気を我慢して無理に頑張ろうとすると、さらにパフォーマンスが下がり、悪循環に陥ってしまうこともあります。
また、慢性的な眠気は気分の落ち込みや意欲低下にもつながりやすく、やる気が出ない状態が続く原因になることもあるため、日中の眠気や集中力低下を感じたときは、単なる疲れとして片付けず、睡眠時間や睡眠の質を一度見直してみることが大切です
頭痛・めまい
頭痛やめまいも、睡眠不足を代表する症状のひとつです。
十分な休息がとれていない状態では自律神経のバランスが乱れやすくなり、血管の収縮や拡張がうまく調整されなくなるため、頭痛やめまいが起こりやすくなります。
慢性的になったり重症化したりすると、片頭痛や頭全体が締め付けられるような緊張型頭痛といったリスクも高まります。
また、寝不足によって血流が悪くなると、脳に十分な酸素や栄養が行き渡りにくくなり、ふらつきや立ちくらみ、めまいを感じやすくなるケースもあります。
特に、朝起きた直後や、長時間同じ姿勢で過ごしたあとに症状が出やすいのが特徴です。
イライラ・情緒不安定
睡眠不足が続くと、感情をコントロールする役割を担う前頭前野の働きが低下し、イライラしやすくなる場合があります。
自分でも感情を抑えられず、「どうしてこんなに余裕がないのだろう」と悩んでしまうケースも少なくありません。
つい人格や性格の問題だと自分自身を責めてしまいがちですが、こうした変化は性格の問題ではなく、脳が疲れているサインである場合が多いので注意が必要です。
免疫力低下
睡眠不足が続くと、体を守る免疫機能にも影響が及びやすくなります。
睡眠中は免疫細胞が活発に働き、ウイルスや細菌と戦うための準備が進められています。
しかし、十分な睡眠がとれていない状態だと、この免疫の働きが弱まり、体の防御力が低下してしまいます。
その結果、風邪やインフルエンザなどの感染症にかかりやすくなったり、いつもより症状が重く出たり、治るまでに時間がかかったり──といったリスクが高まりやすくなるのです。
「最近よく体調を崩す…」「一度風邪をひくとなかなか治らない…」と感じる場合は、背景に慢性的な寝不足が隠れているかもしれません。
免疫力の低下は自覚しにくいものの、健康を大きく左右する重要な問題です。忙しい日々が続くと睡眠を削りがちですが、体調を守るためにも、まずは睡眠時間を確保することが大切です。
肌荒れ・くすみ
睡眠不足は、肌の状態にも影響を与えます。
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、日中に受けたダメージを修復したり、肌のターンオーバーを整えたりする働きが行われています。
しかし、寝不足が続くとこの修復が追いつかず、肌荒れやくすみといったトラブルが起こりやすくなるのです。
たとえばニキビができやすくなったり、肌が乾燥しやすくなったり、顔色が悪く見える──といった変化が表れることもあります。
食欲増加・体重増加
睡眠不足が続くと、食欲をコントロールするホルモンのバランスが乱れやすくなります。
特に満腹感を伝えるレプチンの分泌が減り、空腹感を強めるグレリンの分泌が増えやすくなります。
その結果、実際にはエネルギーが足りていても「まだ食べたい」「何か口にしたい」と感じやすくなり、間食や夜食が増えやすくなるのです。
特に、甘いものや脂っこいものを無性に欲するようになるのも、睡眠不足によく見られる傾向です。
さらに、眠気や疲労感から活動量が減ることで、消費エネルギーが少なくなり、体重増加につながることもあります。
判断力低下・物忘れ
判断力の低下や物忘れも、寝不足により生じる代表的な症状のひとつです。
睡眠中、特に深い眠りの時間には、日中に得た情報や記憶が整理され、必要なものが定着するという脳の仕組みがあります。
しかし、睡眠が不足するとこの作業が十分に行われず、脳が情報をうまく処理できなくなってしまいます。
その結果、「さっき考えていたことを忘れてしまう」「人の名前や約束を思い出せない」といった物忘れが増えたり、判断に時間がかかったりしやすくなるのです。
たとえば、仕事や家事での決断力が鈍り、普段なら普通にできていたことが急にできなくなる──といったケースもあります。
こんなとき、「何となくいつもの自分じゃないみたい…」「どこかおかしいのかな…」と不安を感じる人も多いでしょう。
こうした変化は一時的な疲れとして見過ごされがちですが、放置するとミスの増加やストレスの原因になります。
血圧上昇・動悸
睡眠不足が続くと、血圧の上昇や動悸といった循環器系の不調を感じることがあります。
本来、睡眠中は副交感神経が優位になり、血圧や心拍数はゆるやかに下がって体が休息モードに入ります。
しかし、寝不足の状態では交感神経が過剰に働き、体が常に緊張した状態になりやすくなるのです。
その結果、夜間に十分に血圧が下がらず、高止まりした状態が続いたり、日中に心臓がドキドキするような動悸を感じたりすることがあります。
こうした症状が一時的なものであれば、睡眠時間を確保し、生活リズムを整えることで落ち着くこともあるでしょう。
ただし、血圧上昇や動悸が頻繁に起こる場合や、症状が強い場合は、睡眠不足だけでなく別の原因が隠れていることも考えられるため、体からのサインを軽視せずに注視することが大切です。
ホルモンバランスの乱れ(特に女性)
睡眠不足は、ホルモンバランスの乱れを引き起こしやすく、特に女性の体には影響が出やすいとされています。
代表的な症状としては、生理周期が不安定になったり、生理前の不調が強く出たり、気分の浮き沈みが激しくなるといったケースがあげられます。
あるいは、理由もなくイライラしたり、落ち込みやすくなったりする場合も、ホルモンバランスの乱れと睡眠不足が重なっているケースが少なくありません。
生活習慣病リスクの上昇
睡眠不足は血糖値を下げる働きを持つインスリンの作用を弱めやすく、糖尿病のリスクを高める一因になるとされています。
また、交感神経が優位な状態が続くことで血圧が上がりやすくなり、高血圧や動脈硬化につながる可能性も指摘されています。
これにより心臓や血管にも負担がかかりやすくなるため、心血管疾患のリスクも懸念されます。
十分な睡眠は、将来の病気を防ぐための土台作りであり、今すぐ取り組める重要な予防策といえるでしょう。
参考サイト:睡眠時間が足りないときの症状について|阪野クリニック
今すぐできる睡眠不足対策10選

睡眠不足を感じていても、忙しくてなかなか改善できなかったり、そもそも何から始めればいいかわからないと悩む人も多いでしょう。
睡眠の質を高めるための工夫は、特別な技術や環境がなくても、今日から取り入れられるものがたくさんあります。
ここからは、無理なく続けやすい、今すぐ実践できる睡眠不足対策を10個紹介します。
1. 毎日同じ時間に起きる
睡眠の質を整える上でもっとも基本的なのが、「毎日同じ時間に起きる」ことです。
就寝時間よりも起床時間を一定にすることで、体内時計が整いやすくなり、夜になると自然と眠気が訪れやすくなります。
また、休日に寝だめをしてしまうと、かえって体内リズムがずれてしまい、月曜日の朝がつらく感じる原因になります。
多少寝不足でも起きる時間をそろえることで、体は少しずつ正しいリズムを取り戻しやすくなります。
生活リズムを急に変えるのが難しく感じられる場合は、まずは平日と休日の起きる時間の差を小さくすることから始めてみましょう。
2. 寝る90分前の入浴
寝る90分前の入浴は、入眠をスムーズにするために取り入れやすい習慣のひとつです。
人の体は、深部体温が下がるタイミングで自然な眠気が訪れやすくなります。
入浴によって一時的に体温を上げておくことで、その後の体温低下が起こりやすくなり、寝つきが良くなるとされています。
お湯の温度は、熱すぎない40度前後のぬるめがおすすめです。
長時間入る必要はなく、10〜15分ほどゆったり浸かるだけでも十分なリラックス効果に期待できます。
シャワーだけで済ませている方は、湯船に浸かる習慣を取り入れるだけでも、リラックス感の違いを感じやすくなるでしょう。
より高いリラックス効果に期待するなら、エプソムソルトを活用したマグネシウム風呂もおすすめです。
特に日本人は、必須ミネラルのひとつであるマグネシウムが不足しやすいといわれています。
マグネシウム不足を補う意味でも、エプソムソルトは生活習慣の改善におすすめの健康習慣です。
エプソムソルトの成分について詳しく知りたい人は、こちらの記事も併せてご覧ください。
3. 寝る前のスマホをやめる
スマートフォンやタブレットの画面から発せられるブルーライトには、脳を覚醒させる働きがあり、眠りを促すホルモンであるメラトニンの分泌を妨げてしまいます。
そのため、布団に入ってからスマホを見続けていると、体は休もうとしているのに、脳だけが起きたままの状態になり、寝つきが悪くなりがちです。
結果として、睡眠時間が短くなったり、眠りが浅くなったりする原因にもなります。
就寝の1時間ほど前からできるだけスマホを手放し、デジタルデトックスの時間を作ることを意識しましょう。
スマートフォンやPCなどのデジタルデバイスと距離を置くことを「スクリーン断食」といいます。
スクリーン断食は、睡眠を改善するためのきっかけとして非常に効果的な方法です。
やり方は、まず午後6時以降にスマートフォンの電源を切り、翌日まで使用しないようにすること。自宅ではテレビやパソコンの使用も控えましょう。
夕食後には紙の本を読むなど、アナログなライフスタイルを意識すると理想的です。
近年、医学の分野では断続的断食(インターミッテント・ファスティング)に多くの注目が集まり、健康効果が期待されています。
スクリーン断食は、この考え方を応用したもので、実際に高い効果が期待できます。
4. カフェインを夕方以降控える
カフェインは眠気を抑える作用が強く、摂取する時間帯によっては睡眠に大きく影響します。
コーヒーや紅茶、エナジードリンクなどに含まれるカフェインは、体内で6時間以上作用が続くこともあり、夕方以降に摂ると寝つきが悪くなる一因にもなるので注意。
「夜になっても頭が冴えてしまう」「布団に入ってもなかなか眠れない」という場合、無意識のうちに遅い時間にカフェインを摂っているケースが少なくありません。
午後以降はカフェインの摂取を控え、ノンカフェインの飲み物に切り替えるのがおすすめです。
5. 寝具・寝室を整える
どれだけ眠る時間を確保しても、環境が整っていなければ、体と脳は十分に休むことができません。
まずは、安心してリラックスできる空間づくりを意識しましょう。
寝室の照明はできるだけ暗くし、就寝前は強い光を避けるのがおすすめです。
室温はおおよそ18〜22度、湿度は快適に感じる範囲を保つことで、寝苦しさを感じにくくなるでしょう。
また、枕やマットレスは自分の体に合ったものを選び、寝返りが増えたり眠りが浅くなったりしないよう配慮しましょう。
関連記事:熟睡するための睡眠法│寝る前にリラックスする5つのテクニック
6. 朝日を浴びて体内時計をリセット
朝起きたら、できるだけ早い時間に朝日を浴びましょう。
太陽の光を目から取り込むことで、脳は「朝が来た」と認識し、体内リズムがリセットされます。
この働きによって、夜になると自然に眠くなるサイクルが作られるのです。
この体内時計や体内リズムを「概日(がいじつ)リズム」といいます。
朝日を浴びることで、睡眠と覚醒のリズムに関わるメラトニンの分泌が整いやすくなります。
朝日を浴びる時間は数分から10〜20分程度で構わないので、朝がつらいと感じる人ほど、まずは光を取り入れることを意識してみましょう。
7. 軽い運動を習慣化する
体を適度に動かすことで心地よい疲労感が生まれ、夜に自然な眠気を感じやすくなります。
また、運動はストレスの発散にもつながり、心身をリラックスさせる助けにもなります。
激しいトレーニングを行う必要はなく、ウォーキングやストレッチなど1日10〜20分程度の軽い運動でも十分で、特に日中や夕方の時間帯に体を動かすと夜の睡眠が深まりやすいとされています。
ただし、就寝直前の激しい運動は交感神経を刺激してしまうため、避けるようにしましょう。
8. 深呼吸・ストレッチで副交感神経を活性化
寝る前に深呼吸やストレッチを行うことで、副交感神経が優位になり、心と体をリラックスした状態へと導きやすくなります。
併せて、首や肩、腰まわりを優しく伸ばすストレッチを行うと、血流が促され、体の緊張がほぐれていきます。
痛みを感じない範囲で、心地よさを意識することがポイントです。
9. 食習慣を改善する
食事の内容やタイミングが乱れていると、体内リズムが崩れやすくなり、寝つきの悪さや眠りの浅さにつながることがあります。
特に、夕食が遅くなりすぎると、消化活動が活発なまま就寝することになり、睡眠の質が低下しやすくなるとされています。
就寝の2〜3時間前までには食事を済ませ、胃腸を休ませる時間をつくるようにしましょう。
偏った食事をできるだけ避け、たんぱく質やビタミン、ミネラルをバランスよく摂るのも大切です。
参考サイト:健康サイト|アリナミン製薬
10. 眠れないときは一度ベッドを離れる
布団に入ってもなかなか眠れないときに、無理に目を閉じて寝ようとすると、かえって脳が緊張してしまうことがあります。
「早く眠らなければ」と焦るほど、目が冴えてしまった経験がある方もいるでしょう。
そんなときは、一度ベッドを離れて気分を切り替えることがおすすめです。
照明を落とした部屋で短時間の読書をしたり、静かな音楽を聴いたりするなど、リラックスできる行動を挟むことで、自然な眠気が戻りやすくなります。
スマホやテレビなど、強い刺激になるものは避けるようにしましょう。
なお、眠れないままベッドで過ごす時間が続くと、「ベッド=眠れない場所」と脳が覚えてしまうことがあります。
こうした悪い癖をつけないためにも、ベッドでは快適に入眠できる環境を整えることを意識しましょう。
睡眠不足・寝不足の主な原因

睡眠不足や寝不足が続く背景には、さまざまな原因が関係しています。
単に生活習慣の問題だけでなく、心や体の状態、環境要因などが重なって起こるケースも多く見られます。
まずは、どのような原因が睡眠を妨げているのかを知り、自分に当てはまるものがないか確認してみましょう。
| ストレス | ストレスや緊張が続くと、心と体が休まりにくくなり、穏やかな眠りが妨げられてしまいます。 特に真面目で責任感が強い人や、物事を深く考えやすい人ほどストレスを抱え込みやすく、眠れないことを気にし過ぎてしまう傾向があります。 その結果、不眠が続きやすくなり、不眠症につながることがあります。 |
| 心の病気 | 心の病気の多くは、不眠を伴うことがあります。 近年ではうつ病をはじめとした心の不調を抱える人が増えており、単なる寝不足だと思っていた症状の背景に、実は心の病気が隠れているケースも増えています。 眠れない、あるいは強い眠気が続くほか、気分の落ち込みや意欲の低下、以前は楽しめていたことに関心が持てなくなった場合は、早めの診察が大切です。 |
| 体の病気 | 体の病気が原因で不眠が起こることもあります。 高血圧や心臓病による胸苦しさ、呼吸器の病気による咳や発作、頻尿を伴う前立腺肥大、痛みやかゆみを伴う病気など、さまざまな体の不調が睡眠を妨げます。 この場合、不眠だけに目を向けるのではなく、原因となっている病気を適切に治療することが大切です。 |
| 睡眠を阻害する障害 | 睡眠中に起こる障害が原因で、不眠の症状が表れることもあります。 たとえば、睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群では、呼吸の乱れや脚の不快な動きによって眠りが中断されやすくなります。 その結果、十分に眠った感覚が得られず、不眠の症状が続くケースも。 |
| 生活リズムの乱れ | 交替制勤務や時差のある生活によって体内リズムが乱れると、眠りにくくなることがあります。 現代は24時間社会といわれ、昼夜の区別がつきにくい生活環境のため、知らないうちに睡眠リズムが崩れやすくなっています。 |
| 環境 | 周囲の騒音や光が気になって、眠りを妨げられることもあります。 また、寝室の温度や湿度が合っていない場合も、寝つきが悪くなったり、眠りが浅くなったりしやすくなります。 |
| 薬や刺激物 | 降圧剤や甲状腺の薬、抗がん剤などの中には、睡眠を妨げる作用を持つものがあります。 また、抗ヒスタミン薬では日中の眠気が出ることも。さらに、コーヒーや紅茶に含まれるカフェイン、たばこに含まれるニコチンには覚醒作用があり、安眠を妨げる原因になります。 カフェインには利尿作用もあるため、夜間にトイレで目が覚めやすくなる場合もあります。 |
出典:不眠症|厚生労働省

睡眠不足・寝不足が体に与える影響

睡眠不足や寝不足は、眠気や疲れだけでなく、体のさまざまな機能に影響を及ぼします。
短期間であれば変化が自覚しにくい場合もありますが、慢性的になると心身の不調や病気のリスクにつながることもあります。
ここからは、睡眠不足が体にどのような影響を与えるのかを具体的に見ていきましょう。
自律神経への影響
厚生労働省によると、慢性的な睡眠不足は、眠気や意欲低下、記憶力減退など精神機能の低下を引き起こすとされています。
自律神経は、活動時に働く交感神経と、休息時に働く副交感神経から成り立っており、睡眠中にこの切り替えがうまく行われることで、体と心は回復します。
しかし、十分な睡眠がとれていない状態では、この切り替えがうまく機能しなくなるのです。
本来、夜間には血圧や心拍数が下がり、体は休息モードに入りますが、睡眠不足の状態では血圧が高いまま推移することもあります。
その結果、日中の眠気や倦怠感だけでなく、動悸や息苦しさ、不安感などの不調が表れやすくなる可能性が高まります。
ホルモンバランスへの影響
睡眠中は、成長ホルモンをはじめ、食欲や血糖調整に関わるホルモンが適切に分泌されることで、体の調子が整えられています。
しかし、睡眠が不足すると、このホルモン分泌のリズムが乱れてしまいます。
たとえば、睡眠不足が数日続くだけでも、食欲を抑えるホルモンであるレプチンの分泌が減少し、反対に食欲を高めるグレリンの分泌が増えることが知られています。
その結果、必要以上に食欲が増し、体重増加につながりやすくなるのです。
こうした変化が積み重なることで、将来的な生活習慣病のリスクが高まる可能性があるため、「たかが寝不足」と侮らないよう注意が必要です。
メンタルへの影響
睡眠不足や寝不足の「メンタルへの影響」も無視できません。
メンタル面では、大きく以下の2つの側面に作用します。
- 感情をコントロールする機能が低下する
- ストレスに弱くなる
まず、睡眠不足は感情を適切にコントロールしにくくするため、情緒不安定になったり抑うつ的になったりする場合があります。
加えてストレスに対抗するホルモンの分泌が不十分になることで、ストレスへの抵抗が弱くなりやすくなります。
こうして「情緒不安定」と「ストレスへの弱さ」が重なることで、些細なことでネガティブな思考にとらわれやすくなる悪循環に陥りやすくなるのです。
参考サイト:睡眠とメンタルヘルス|一般社団法人 新潟県労働衛生医学協会
身体への影響
十分な睡眠がとれていない状態では、体内で免疫細胞が十分に働けず、ウイルスや細菌に対する防御力が低下しやすくなります。
そのため、風邪をひきやすくなるだけでなく、いったん体調を崩すと回復に時間がかかる傾向があります。
実際に、睡眠時間が5時間未満の人は、8時間睡眠の人と比べて、風邪をこじらせて肺炎になるリスクが約1.4倍高いという報告もあります。
また、睡眠不足は感染症全般のリスクとも関係していることがわかっており、欧米6カ国の医療従事者2,884人を対象にした調査では、夜間の睡眠時間が1時間長い人ほど、新型コロナウイルス感染症にかかるリスクが12%低下したと報告されています。
このように、睡眠不足は単なる疲労の問題にとどまらず、体を守る免疫システム全体に影響を与えるのです。
出典:寝不足を続けるとどんなリスク(影響)があるの?|第一三共ヘルスケア
睡眠と生活習慣病の関係
厚生労働省によると、長時間労働や夜型生活による短時間睡眠、交替勤務による不規則な睡眠リズム、不眠症や睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害は、生活習慣病の罹患リスクを高めることがわかっています。
慢性的な睡眠不足状態にある人は、糖尿病や高血圧になりやすく、さらに症状が悪化しやすい傾向があります。また、狭心症や心筋梗塞、脳梗塞といった深刻な心血管疾患にも罹りやすくなることが明らかになっています。
生活習慣病の予防や改善というと、食事や運動に目が向きがちですが、睡眠も同じくらい重要な要素です。
将来の健康を守るためにも、日々の睡眠を軽視せず、早めに対策を講じましょう。
不眠症が「国民病」といわれる理由

「最近よく眠れない…」「寝ても疲れが取れない…」と感じている人は、決して少数ではありません。
特に近年は不眠に悩む人の増加から、現在では不眠症は「国民病」とさえいわれるほどです。
ここからは、不眠症が国民病と呼ばれるようになった背景を見ていきましょう。
不眠症とは
不眠症は、簡単にまとめると「寝つきが悪い入眠障害」「夜中に何度も目が覚める中途覚醒」「早朝に目が覚めてその後眠れない早朝覚醒」などの症状に分けられます。
慢性的な睡眠不足や寝不足の状態になる病気で、こうした夜間の睡眠トラブルに加えて、日中に強い眠気や倦怠感、意欲の低下、集中力の低下、食欲不振などの不調が表れ、生活の質が下がってしまうのが特徴です。
不眠症と診断される目安としては、「夜間の不眠の状態が続いていること」と「その影響で日中の心身の不調を自覚し、日常生活に支障が出ていること」の2つの判断基準があります。
単に一時的に眠れない日があるだけではなく、不眠による影響が継続しているかどうかがポイントです。
特に現代人は過労気味で、諸外国に比べてストレスの割合も大きいという調査報告があります。
「睡眠時間を削るのは当たり前」とは思わず、自分自身のコンディションやパフォーマンスに問題を感じたら、できるだけ早めに睡眠環境や生活習慣を見直しましょう。
出典:不眠症|厚生労働省
不眠症を有する人の割合
日本では不眠に関する症状や、不眠症状を抱える人が決して少なくないことが、調査の結果から示されています。
厚生労働省によると、一般成人の約30〜40%の人が何らかの不眠症状を経験しているとされ、特にその割合は女性に多い傾向があります。
そのうち慢性的な不眠症として診断されるケースは、成人全体のおよそ10%程度と報告されており、年齢が高くなるほど割合がさらに増えることが指摘されています
なお、日本では成人の5%が、不眠対策として睡眠導入剤を服用しているという報告もあります。
出典:不眠症|厚生労働省
受診すべきサインとは?

眠れない状態が続いている場合でも、「そのうち治るだろう」と我慢してしまうケースは少なくありません。
しかし、不眠の背景に病気が隠れていたり、放置することで心身の不調が悪化したりすることもあります。
次のようなサインが見られる場合は、早めに専門医へ相談しましょう。
不眠状態が1ヶ月以上続いている
一時的なストレスや生活リズムの乱れであれば自然に改善することもありますが、長期間続く不眠は不眠症の可能性があるため注意が必要です。
日中の強い眠気
日中に強い眠気があり、仕事や家事、運転などの日常生活に支障が出ている場合も受診を検討しましょう。集中力の低下やミスの増加、強い倦怠感が続く場合は、睡眠の質が大きく低下しているサインです。
異常ないびきや無呼吸
就寝中に大きないびきをかいたり、呼吸が止まっていると指摘されたり、あるいは夜中に何度も息苦しさで目が覚めるといった症状がある場合は、睡眠時無呼吸症候群などの睡眠障害が疑われます。
早めの検査と治療が重要です。
不眠以外のメンタルトラブル
不眠に加えて、強い気分の落ち込みや不安感、意欲の低下が続く場合には、心の病気が関係していることもあります。
眠れないことを一人で抱え込まず、「つらい」と感じた時点で専門家に相談しましょう。
参考サイト:睡眠の悩みは何科に行けばいい?|阪野クリニック
まとめ|睡眠不足は早めの対策がおすすめ!

睡眠不足や寝不足は、日中の眠気や集中力低下といった身近な不調だけでなく、免疫力の低下やホルモンバランスの乱れ、生活習慣病のリスク上昇など、心身に幅広い影響を及ぼす場合があります。
最初は小さな違和感でも、放置することで不調が慢性化し、生活の質を大きく下げてしまうこともあります。
一方、睡眠の問題は、生活習慣を見直すことで改善に期待できるケースも多いものです。
「眠れないのは仕方ない」とあきらめず、まずは自分の体や心の声に耳を傾け、生活習慣や健康習慣の改善を意識しましょう。
もし不眠が長く続いたり、日常生活に支障を感じたりする場合は、無理をせず専門医に相談することも検討してください。
睡眠不足の解消は、できるだけ早めに対策することで深刻化を防ぎやすくなります。
本記事を参考に、今日からできる睡眠不足対策を実践していきましょう。

