私たちの睡眠は常に一定の深さではなく、レム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返しながら、脳と体を休ませています。
十分に寝ているはずなのに疲れが残ったり、夜中に目が覚めたりする場合、睡眠時間だけでなく「眠りの質」が影響している可能性も考えられます。
本記事では、レム睡眠とノンレム睡眠の違いや役割、そして睡眠サイクルを整えるためのポイントを紹介します。
睡眠の質を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。
レム睡眠・ノンレム睡眠とは?

私たちが眠っている間も、脳は完全に休んでいるわけではありません。
睡眠には、レム睡眠とノンレム睡眠が交互に現れ、それぞれが異なる働きを担っています。
ここでは、レム睡眠とノンレム睡眠の特徴について解説します。
参考:レム睡眠とノンレム睡眠~睡眠周期と眠りの深さ~|品川メンタルクリニック
レム睡眠|夢を見やすい「脳が活動している睡眠」
レム睡眠は、眠っている状態でも、脳が比較的活発に働いている睡眠です。
「Rapid Eye Movement(急速眼球運動)」に由来しており、眠っている間にまぶたの下で目が小刻みに動く様子が見られることから名付けられました。
レム睡眠中は、脳の働きが起きている状態に近く、鮮明な夢を見やすいとされています。
また、レム睡眠中は、日中に得た情報や感情の整理が進むとされており、出来事を記憶として定着させたり、気持ちを落ち着かせたりする役割を担っているため、心のバランスを保つうえでも欠かせない睡眠です。
ノンレム睡眠|脳も体も深く休む「ぐっすり睡眠」
ノンレム睡眠は、脳と体の両方が落ち着いた状態で休息を取っている睡眠です。
この睡眠中は脳の活動がゆるやかになって脳波が安定し、心拍数や呼吸も次第に穏やかになりながら、体温もゆっくり下がっていく傾向があります。
また、ノンレム睡眠は、体を回復させる働きが活発になります。
成長ホルモンの分泌が促され、日中にたまった疲れの回復や、筋肉や細胞の修復が進むとされており、体のメンテナンスを行ううえで欠かせない睡眠です。
朝起きたときに「よく眠れた」「体が軽い」と感じる場合は、ノンレム睡眠がしっかり取れていると考えられます。
レム睡眠とノンレム睡眠の役割の違いは?

レム睡眠とノンレム睡眠は、それぞれが異なる役割を持ち、互いに補い合いながら、私たちの睡眠の質を支えています。
ここではレム睡眠とノンレム睡眠の違いについて詳しくみていきましょう。
参考:レム睡眠とノンレム睡眠とは?違いや睡眠のサイクルを知ってより良い睡眠につなげよう|アリナミン製薬株式会社
脳と身体の休み方が違う
レム睡眠とノンレム睡眠は、休み方の役割が分かれており、それぞれが補い合って心と体の回復を進めます。
レム睡眠では、脳の働きが比較的活発になり、体の筋肉はゆるんで休息を取っています。
つまり、眠ってはいるものの、脳は動き続けており、情報や感情の整理が進みやすい状態です。
一方、ノンレム睡眠では脳と体の両方が落ち着き、深い休息に入ります。
呼吸や心拍が穏やかになり、疲労回復や体の修復に必要な時間が確保されます。
どちらか一方が不足すると、頭は休めても体が回復しなかったり、寝てもすっきりしない状態につながりやすくなります。
夢を見る睡眠は記憶を整理している時間
私たちが夢を見るのは、主にレム睡眠の状態です。
レム睡眠中は、日中に経験した出来事が脳の中で整理され、必要な情報が思い出しやすい形にまとめられています。
また、レム睡眠は気持ちの切り替えにも深く関わる睡眠です。
嫌な出来事や緊張した経験をそのまま残すのではなく、感情を落ち着かせる働きがあるため、翌日に向けて心の状態を整える働きにつながります。
夢をよく見ると「睡眠の質が悪い」と捉えがちですが、実際にはレム睡眠がしっかり確保され、脳が適切に働いている状態の場合もあります。
レム睡眠とノンレム睡眠のバランスが健康を左右する
レム睡眠とノンレム睡眠は、量とバランスの両方が大切です。
ノンレム睡眠で体をしっかり休ませつつ、レム睡眠で脳の働きを整えることで、睡眠全体の質が保たれます。
この2つの睡眠バランスが取れていると、朝の目覚めが軽く感じられ、日中の集中力も続きやすいです。
一方で、どちらかの睡眠に偏った状態が続くと、寝た時間のわりに疲れが残ったり、頭がぼんやりする場合があります。
レム睡眠とノンレム睡眠の両方がバランスよく取れると、健やかな睡眠につながります。
睡眠サイクルの仕組み|ノンレム睡眠からレム睡眠の流れ

私たちが眠っている間、ノンレム睡眠とレム睡眠は一定のリズムで交互に現れます。
この繰り返しの流れは「睡眠サイクル」と呼ばれており、睡眠の質にも関わる重要な仕組みです。
ここでは、睡眠サイクルの仕組みについて解説します。
参考:ノンレム睡眠とレム睡眠:小山純正|日本睡眠学会
1回90〜120分の睡眠サイクルが4〜5回続く
睡眠は、ノンレム睡眠で深い眠りへ進んだあと、浅い眠りを経てレム睡眠が訪れます。
この一連の流れを「睡眠サイクル」と呼び、1回のサイクルには約90〜120分かかり、一晩の間におよそ4〜5回ほど繰り返されます。
夜中に目が覚めても、睡眠サイクルの区切りにあたる時間であれば、特に心配する必要はありません。
浅い眠りの時間があると、次の深い睡眠へスムーズに移行しやすくなります。
眠り始めは「深い眠り」で脳も身体もリセット
睡眠の前半は、深いノンレム睡眠が多く現れます。
この時間帯は、成長ホルモンの分泌が活発になり、疲労回復や体の修復が集中的に進みます。
また、筋肉や細胞のメンテナンスに加え、免疫力の維持やストレスの回復にも関わる重要な時間帯です。
一方で、寝始めの眠りが浅い状態が続くと、回復のプロセスが十分に機能しにくくなります。
そのため、長く眠ったつもりでも疲れが残ったり、翌朝のスッキリ感を得られない場合があります。
朝に近づくほどレム睡眠が増え自然な目覚めを準備
睡眠の後半に入ると、深いノンレム睡眠は少しずつ減り、レム睡眠の割合が増えていきます。
この時間帯は、脳が徐々に活動を高めながら、目覚めに向けた準備を進める段階です。
ノンレム睡眠とレム睡眠の流れが整っていると、アラームが鳴る前に自然と目が覚めたり、起床時の負担を感じにくくなります。
朝に近づくにつれてレム睡眠が増える流れは、無理のない目覚めにつながる大切な仕組みです。
睡眠サイクルが乱れると心身にどんな影響が出る?

睡眠サイクルが乱れると、休んでいるつもりでも疲れが抜けにくいなどの不調が現れる場合があります。
また、体調面だけでなく、気持ちの落ち込みや集中力の低下などの心の状態にも表れやすくなります。
ここでは、睡眠サイクルの乱れによって起こりやすい不調について詳しく解説します。
参考:睡眠の質の低下|港北ハートクリニック
睡眠サイクルが乱れると不調が続きやすい
睡眠サイクルの乱れは、体調だけでなく生活全体の質にも影響を及ぼします。
レム睡眠とノンレム睡眠の切り替えがスムーズに行われないと、眠りが浅い状態が増えやすくなります。
ここで、ノンレム睡眠とレム睡眠が不足した場合に起こりうる不調についてみていきましょう。
ノンレム睡眠不足|疲労回復ができず体調に影響
ノンレム睡眠が不足すると、体を回復させるために必要な時間が十分に確保できなくなります。
本来この睡眠中に行われる筋肉や細胞の修復が追いつかず、体のメンテナンスが後回しになる状態です。
その影響で、前日の疲れが翌日まで残りやすくなり、階段を上っただけで疲労を感じるなど、体を動かすのが億劫になる場合があります。
さらに、ノンレム睡眠不足が続くと、免疫力が低下し、風邪を引きやすくなる、肌荒れがなかなか改善しないなどの原因にもつながります。
レム睡眠不足|脳が休めずメンタルに影響
レム睡眠が不足すると、脳内で行われる情報や感情の整理が十分に行われず、日中に経験した出来事や考えが頭の中に残り、気持ちを切り替えづらい状態が続きます。
その影響で集中力が低下し、普段なら問題なくこなせる作業でもミスが目立ちます。
また、考えが整理されないまま判断を迫られ、決断に時間がかかると感じる場面も増えていく状態です。
さらに、感情の波が大きくなり、ちょっとした出来事でイライラしたり、理由のない落ち込みを感じたりします。
睡眠の質を落とす要因は生活習慣にもある
睡眠サイクルの乱れには、日々の生活習慣が大きく関係しています。
夜遅くまでスマートフォンを見続けたり、寝る直前まで仕事や考え事をすると、脳が覚醒しやすくなり、深いノンレム睡眠に入りにくい状態が続く場合があります。
また、就寝時間や起床時間が安定しない生活も、睡眠サイクルが乱れやすくなる原因です。
こうした生活習慣の影響を理解しておくと、自分の睡眠を見直すポイントが見えやすくなります。
原因を一つずつ整理して、睡眠サイクルを整えていきましょう。
私たち人間が病気に立ち向かうために持つ、最も強力な武器は「睡眠」「運動」「栄養」の3つです。なかでも睡眠は、脳の健康を守るために極めて重要な役割を果たしています。
かつて、脳を毒素や化学物質から守る防御壁である「血液脳関門(BBB)」は、その性質が変化しないものだと考えられてきました。しかし最新の研究では、ノンレム睡眠中にこの防御壁の透過性が高まることが明らかになっています。これにより、日中の活動で脳に溜まった老廃物や不要な物質をスムーズに排出できる仕組みが整います。
この、睡眠中に脳の汚れを掃除する機能は「グリンパティック機能」と呼ばれています。ただし、このデトックス機能が正しく働くのは、十分な睡眠時間を確保できている場合に限られます。
もし睡眠不足の状態が続いてしまうと、脳内に毒素や老廃物が蓄積してしまい、その結果、頭に霧がかかったような「ブレインフォグ」や、精神的な不調、さらには神経の炎症を悪化させる原因となります。
健やかな毎日を送るために、睡眠は決して削ってはならない貴重な時間です。日々の健康維持に、質の高い睡眠を取り入れてください。
睡眠サイクルを整える5つの快眠習慣

睡眠サイクルを整えるためには、睡眠の質を高める意識が大切です。
睡眠の質は、日々の過ごし方や習慣によっても大きく左右されます。
ここでは、睡眠サイクルを整えるために意識したい5つの睡眠習慣を紹介します。
参考:レム睡眠とノンレム睡眠とは?違いや睡眠のサイクルを知ってより良い睡眠につなげよう|アリナミン製薬株式会社
毎日同じ時間に寝て起きる習慣をつける
毎日ほぼ同じ時間に起きる習慣を続けると、体内時計が整いやすくなります。
起床時間が安定すると、朝の光を浴びるタイミングもそろい、睡眠と覚醒のリズムが自然と形成されます。
一方で、平日と休日で起床時間が大きくずれると、体内時計もずれやすくなるため、休日の寝だめなどには注意しましょう。
無理に就寝時間を固定しようとせず、まずは起床時間をそろえる意識が大切です。
起床時間が安定すると、夜の眠気も自然に整います。
睡眠の質を高める栄養素をしっかり摂る
睡眠の質を高めるには、日々の食事内容も重要な要素です。
特に、以下の栄養素は神経の興奮を和らげ、リラックスした状態で眠りに入る助けになります。
筋肉の緊張を緩める働きがあり、就寝前の体を落ち着かせる働きを持つ
マグネシウムを多く含む食材:海藻類やナッツ類など
体内でセロトニンやメラトニンの材料となり、睡眠リズムを整える働きを持つ
トリプトファンを多く含む食材:大豆製品、乳製品など
上記栄養素を日々の食事にバランスよく取り入れ、睡眠の質を高めていきましょう。
入浴で体をしっかり温める
就寝の90分ほど前に入浴すると、眠りに入りやすくなります。
入浴によって体温が一時的に上がり、その後に体温が下がる流れが眠気を促します。
熱すぎるお湯は目が冴えやすい(交感神経が優位になる)ため、リラックスできる40度程度の温度で10分〜15分を目安にしっかり体を温めましょう。
また、シャワーだけで済ませるより、湯船につかる方が体温変化を作りやすいです。
カフェインの摂取は夕方以降控える
カフェインには覚醒作用があり、摂取後も数時間にわたって影響が続きます。
特に、夕方以降にコーヒーやエナジードリンクを飲むと、夜になっても頭が冴えた状態が続きやすいです。
就寝前は麦茶や白湯、ハーブティーなどを取り入れると、体が落ち着きやすくなります。
適度な運動で眠気をつくる
日中に適度な運動を取り入れると、睡眠に必要な心地よい疲労感がたまり、夜に自然な眠気が訪れやすくなります。
運動は、ウォーキングや軽いストレッチなど、無理なく続けられるものでも十分です。
日常生活の中で体を動かす時間を少し増やすだけでも、睡眠の質に良い影響が期待できます。
ただし、就寝直前に激しい運動を行うと交感神経が刺激されるため、夕方までを目安に行いましょう。
まとめ|睡眠は「時間」だけでなく「質」も大切

十分な睡眠時間を確保していても、疲れが取れなかったり、日中に眠気を感じる場合は、睡眠の「質」が影響している可能性があります。
私たちの睡眠は、レム睡眠とノンレム睡眠を交互に繰り返しています。
この2つのリズムが整うと、心と体がしっかり回復し、質の良い睡眠につながります。
睡眠は「長く眠る」だけでなく、「どう眠るか」が大切です。
できることから一つずつ取り入れ、自分に合った睡眠習慣を整えていくと、毎日の快適さや健康につながります。

