私たちの体のおよそ60%は水でできており、厚生労働省の「健康のため水を飲もう講座」によると、そのうちの5%を失うと脱水症状や熱中症、10%を失うと筋肉の痙攣や循環不全、20%を失うと命を落とす危険が高まると指摘されています。
健康を維持するには水を飲むことが必要不可欠で、健康のための水分補給が推奨されています。
近年は、「毎日体の中に入れるものだからこそ品質にこだわりたい」という美容や健康志向の方も増加傾向にあり、「水素水」や「アルカリイオン水」が話題になる機会も増えてきました。
しかし、実際に水素水やアルカリイオン水がどんなものなのかよくわからないという方も多いでしょう。
今回は、水素水とアルカリイオン水の作り方、働き、違い、飲むときの注意点まで詳しく解説します。
水素水の作り方

水素水というと、市販のボトル入りのものを思い浮かべる方が多いかもしれません。
しかし、実は水素水やアルカリイオン水は、自宅でも手軽に作ることができます。
作り方には、専用の機器を使う方法からマグネシウムスティックを使った簡易的な方法まであり、自分のライフスタイルに合ったものを選ぶことも可能です。
はじめに、水素水を生成する代表的な3つの方法を紹介します。
1.電気分解方式
電気分解方式は、水に電流を流して水素と酸素を発生させ、発生した水素をその場で水に溶け込ませて飲用にする作り方です。
装置の心臓部は電解セルまたは電解槽(電気エネルギーを使って電気分解を駆動させるための装置)で、白金などでコーティングされたチタン電極と、水素と酸素を分ける隔膜から成り立っています。
直流電源を入れると、陰極側で水が還元されて水素が発生し、陽極側で酸素が発生する仕組みで、生成器の構造によっては酸素は外に逃がし、水素だけを水側に導くため、水素が溶けた水だけを飲むことが可能です。
発生した水素がどのくらい溶け込むかは、気体の溶解の性質に左右されますが、水温が低めでかき混ぜすぎず、気泡が細かく供給されるほど水素が留まりやすくなります。
使い方はシンプルで、浄水カートリッジを通した水道水をタンクに入れ、電源を入れて指定の時間運転するだけです。完了後はコップに注いですぐに飲んだり、ガスバリア性の高い容器に移して早めに消費したりするのが推奨されます。
家庭に設置する据え置きタイプの水素水生成器の多くがこの方式を採用しており、スイッチひとつで安定して作れること、連続運転が可能な機種が多いこと、用途に合わせて運転時間やモードを選べることなどがメリットです。
電気分解方式は、自宅で日常的に水素水を活用したい方に最適な選択といえるでしょう。
一方、電極にスケール(水道水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどのミネラル分が固まってできた硬い白色の堆積物)が付着すると性能が落ちるため、定期的なクエン酸での洗浄や自動洗浄機能の活用、浄水カートリッジの交換が欠かせません。
水の硬度が高い地域ではスケールが生じやすいので、取扱説明書に沿ってメンテナンス頻度を少し多くすると安心です。
2.水素ガス充填方式
水素ガス充填方式は、専用のガスボンベから純粋な水素を直接水に溶け込ませる方法です。
もともとは医療や研究の分野で利用されていた仕組みで、近年は家庭用にも安全性を高めた製品が登場しています。
水素そのものを外部から注入するため、短時間で高濃度の水素水を作ることができるのが大きな特徴です。
この方式では、気体の水素に圧力をかけて水中に拡散させて水素水を生成します。
ボンベから供給された水素ガスが微細な気泡となり、水中を通過する際に水素分子が水に溶け込んでいき、水素水が作られるわけです。
ガスの圧力や供給時間、気泡の大きさによって水素濃度は変化しますが、機器によっては1ppm(1000ppb)以上の濃度を安定して生成できるタイプもあります。
また、電気を使わないため、電極の劣化やスケールの心配がない点もメリットといえるでしょう。
水素を生成する部分と水を入れる容器が完全に分かれている構造のものも多く、衛生面も安心です。
ただし、ガス充填方式は専用の機器やボンベの交換が必要であり、初期コストやランニングコストが比較的高くなりやすい傾向があります。
ガスは高圧で扱うため、メーカーの指定に従って安全に使用することが大切です。特に換気が悪い場所での使用や、火気の近くでの操作は避けましょう。
「濃度の安定性」や「水素水の純度の高さ」にこだわりたい方におすすめの方法です。
3.マグネシウム触媒方式
マグネシウム触媒方式は、電気やガスを使わずに手軽に水素水を作れる方法として人気です。
マグネシウム(金属Mg)が水と反応する際に発生する水素ガスを水中に溶け込ませる仕組みで、化学反応を利用して自然に水素を作るのが特徴です。
家庭でも簡単に実践できるうえ、持ち運びしやすいスティックタイプの製品なども多く販売されています。
基本的な反応式は「Mg + 2H₂O → Mg(OH)₂ + H₂」で、マグネシウムが水と反応し、水酸化マグネシウムと水素ガスが発生する仕組みです。このとき生じた水素ガスが水に溶け込み、水素水となります。
作り方はシンプルで、ペットボトルや専用の水筒に浄水を入れ、マグネシウムスティックを沈めて数時間待つだけです。
マグネシウム触媒方式の最大のメリットは、電源を必要とせず、どこでも使えることです。
キャンプやオフィスなど、電気分解式の機器を設置できない場所でも手軽に利用できるほか、スティックは繰り返し使えるものも多く、コストを抑えながら長期間続けられるのも大きなメリットでしょう。
一方で、水質によって反応のスピードや水素の濃度が変わる可能性がある点には注意が必要です。
特に硬度の高い水やミネラルウォーターでは反応が遅くなることがあるほか、生成の過程でできる水酸化マグネシウムが白い沈殿として残る場合があるため、飲む前によく混ぜて上澄みを飲むようにしましょう。
さらに、長期間同じスティックを使い続けると酸化皮膜ができて反応が鈍くなるため、定期的にクエン酸で洗浄するのが推奨されます。取り扱う際には、金属のマグネシウムが空気中の湿気で酸化しやすいことも覚えておきましょう。
マグネシウム触媒方式は、コストを抑えて手軽に始めたい方におすすめです。
アルカリイオン水の作り方

次に、アルカリイオン水の作り方を紹介します。
アルカリイオン水は、水を電気分解して得られる「アルカリ性の水」です。
日本では整水器や浄水器と並んで家庭用に広く普及しており、飲み水としてだけでなく料理やお茶などにも広く活用されています。
アルカリイオン水を作るには、電気分解の際に発生する「陰極側の水」を利用します。
水(H₂O)に電流を流すと、水分子が分解され、水素イオン(H⁺)と水酸化物イオン(OH⁻)に分かれます。このとき、陰極側では水素イオンが減り、相対的に水酸化物イオンが多くなるため、水がアルカリ性に傾くのです。
一方、陽極側では酸性の水が発生します。この2種類の水を分離し、アルカリ側だけを飲料水として取り出したものが「アルカリイオン水」です。
家庭用のアルカリイオン整水器には、次のような構造が備わっています。
- 水道水をフィルターでろ過して、塩素や不純物、カルキ臭を除去する機能
- その後、電解槽に送って電気分解を行う機能
- 機器によっては、電圧や電流の強さを調整し、pH(アルカリ度)を段階的に設定する機能
pHを設定できる整水器は、料理・飲用・洗顔など、用途に合わせて使い分けることができるのが特徴です。
アルカリイオン水を作る際のポイントは、「浄水フィルターの状態」と「定期的な電極洗浄」です。
フィルターが目詰まりしていると塩素除去が不十分になり、電気分解の効率が下がります。
また、水道水の硬度が高い地域ではカルシウム成分が電極に付着しやすいため、メーカーが推奨する周期で洗浄を行いましょう。
食直後や空腹時にアルカリイオン水を飲むと、胃の酸度に影響を与えやすいため、食後30分程度経ってから飲むことを基本に、体調を見ながら調整するのが望ましいでしょう。
アルカリイオン水はまろやかな口当たりが特徴で、料理やお茶などに向いています。
水素水の科学的効果

水素(H₂)は非常に小さな分子で、体内のすみずみまで行き渡ることができるとされており、細胞レベルでの働きが注目されています。
特に、水素が体内の活性酸素と結びついて水となり、酸化ストレスをやわらげる可能性があるという点が、多くの研究者の関心を集めています。
活性酸素は、紫外線やストレス、喫煙、過度な運動などによって体内で発生する物質です。
老化や生活習慣の乱れに関係すると考えられており、保健医療学雑誌に掲載された研究論文「活性酸素種と水素療法」によると、水素はこの活性酸素のうち、細胞を傷つけやすい「ヒドロキシルラジカル」と選択的に反応し、水に変えて無害化するとされています。
水素のこの性質については、東京都健康長寿医療センター研究所による水素に関する研究論文でも言及されており、健康維持や美容の分野で「酸化を抑えるサポート役」として期待されています。
動物実験や臨床研究でも、水素吸入や水素水の摂取によって酸化ストレスマーカーが低下したり、疲労感や代謝機能に一定の変化が見られたりした報告もありますが、これらの作用には個人差が大きく、すべての人への明確な作用が保証されるわけではありません。
また、水素水が特定の病気を「治す」といった医学的根拠は、現時点では確立されていないことも留意しておきましょう。
水素水を医療的な治療手段としてではなく、「毎日の健康を支える飲み物のひとつ」として取り入れるのが現実的です。
一方、水素の分子そのものは極めて安定しており、体内に残留しません。一般的には大きな有害事象の報告はありません。

水素水とアルカリイオン水の違い

水素水もアルカリイオン水も、「体に良さそうな水」として注目されており、どちらも透明で無味無臭ですが、実際には仕組みも性質もまったく異なります。
ここでは、水素水とアルカリイオン水のそれぞれの特徴を整理しながら、その違いをわかりやすく解説します。
水素水の特徴
- 水の中に水素分子(H₂)が溶け込んでいる
- 無色・無臭で、味はほとんど普通の水と同じ
- 水素分子が非常に小さいため、体内の隅々まで行き渡りやすい
- 体内で発生する酸化ストレスの軽減をサポートする可能性がある
- 作りたては特にフレッシュで、まろやかで軽い口当たり
- 時間が経つと水素が抜けてしまうため、できるだけ早く飲むことが大切
- 電気分解式・マグネシウム触媒式・ガス充填式など複数の生成方法がある
- 医薬品ではないが、健康・美容・リフレッシュ目的で人気
水素は無色・無臭の気体で、水素水はその名の通り「水の中に水素分子(H₂)が溶け込んでいる水」です。
水素の特性から、体内の酸化ストレスをやわらげる働きがあると注目されており、美容や健康維持のサポートとして人気が高まっています。
味は基本的に普通の水と変わりませんが、飲み比べると「まろやかで飲みやすい」と感じる人が多いのが特徴で、冷やして飲むとよりおいしく感じられます。
ただし、水素分子は非常に揮発しやすく、時間の経過とともに水から抜けてしまう性質があります。そのため、作ったらできるだけ早く飲むことが大切です。
ペットボトルなどで市販されている製品の場合は、水素が抜けにくい特殊なアルミパウチやガスバリア容器が使われていることが多く、家庭で作る場合も密閉性の高い容器を選ぶのが理想的です。
水素水は医薬品ではありませんが、日々の生活における「酸化をためない習慣」を意識するうえで、気軽に取り入れられます。
アルカリイオン水の特徴
- 水を電気分解して得られるpH8〜9程度の弱アルカリ性の水
- 口当たりがやわらかく、まろやかで飲みやすい
- 水分子の集合(クラスター)が小さく、体に吸収されやすいとされる
- お茶やコーヒー、ご飯を炊くなど、料理や飲み物の風味を引き立てる
- 飲用だけでなく、洗顔やうがいなどにも活用できる(pHによる)
- 市販のアルカリイオン整水器を使えば、自宅でも簡単に作れる
- 強すぎるアルカリ水(pH10以上)は飲用に不向きなので注意が必要
アルカリイオン水は、水を電気分解して得られる「アルカリ性の水」です。
アルカリイオン水のpHはおおよそ8〜9程度の弱アルカリ性で、胃酸の強い酸性をやわらげたり、口当たりをまろやかにする効果があるとされており、日本では家庭用の整水器や浄水器として広く普及しています。
アルカリイオン水のもう1つの魅力は、浄水機能を備えている点です。
水道水に含まれる塩素やカビ臭、トリハロメタンなどの不純物を取り除いてくれるため、清潔で安心な飲み水を得られます。
ただし、アルカリ性が強すぎる水(pH10以上)は飲用に適しておらず、体調や食事の内容によっては、飲みすぎると胃酸の働きを弱める場合もあるため、体の調子を見ながら取り入れることが大切です。
アルカリイオン水は弱アルカリ性で、油分や酸性の汚れを中和しやすいため、飲用以外にも洗顔や食材のアク抜き、野菜の洗浄などにも活用できます。
水素水とアルカリイオン水の違い
水素水とアルカリイオン水の違いを、わかりやすく表にまとめました。
| 項目 | 水素水 | アルカリイオン水 |
|---|---|---|
| 主な性質 | 水素分子を含む中性の水 | 電気分解によりアルカリ性になった水 |
| 生成方法 | 電気分解・ガス充填・マグネシウム反応など | 電気分解(整水器を使用) |
| pH | 中性(約7) | 弱アルカリ性(pH8〜9) |
| 味の特徴 | 無味だが軽く、まろやか | やわらかく、のどごしが良い |
| 主な目的 | 酸化ストレスをやわらげるサポート | 胃酸による刺激をやわらげる・料理や飲料のまろやかさ向上 |
| 保存性 | 水素が抜けやすく短時間で低下 | 比較的安定して長持ち |
| 主な利用シーン | 健康維持、美容、運動後のケアなど | 飲料水、料理、日常使い |
| 注意点 | すぐに飲む・密閉容器で保存 | pH10以上の水は飲用不可 |
このように、水素水は「水に特別な分子を溶かし込む」アプローチ、アルカリイオン水は「水の性質そのものを変える」アプローチで、両者は目的も生成原理も異なります。
アルカリイオン水とアルカリ電解水の違い
アルカリイオン水と似たものとして「アルカリ電解水」というものを聞いたことがある方は多いでしょう。
どちらも「アルカリ性の水」という点では共通していますが、実は用途がまったく異なります。
名前が似ているため混同されがちですが、使い方を間違えると健康に悪影響を及ぼす可能性があるため、違いを正しく理解しておくことが大切です。
まず、「アルカリイオン水」は飲用を目的とした水で、体内に取り入れても安全なように設計されています。
一方、「アルカリ電解水」は洗浄や除菌を目的とした水です。こちらも電気分解で作られますが、生成条件が異なり、pHが11〜13と非常に高い強アルカリ性です。
その強いアルカリ性によって油汚れやタンパク質汚れを分解する作用があり、キッチンや浴室、医療・介護の現場などで洗浄水として利用されています。
界面活性剤を使わずに汚れを落とせるため、環境や手肌にやさしいクリーナーとしても人気があります。
ただし、アルカリ電解水は飲用不可なので、絶対に飲んではいけません。
いずれも見た目がよく似た「透明な水」ですが、安全性と用途がまったく違うということを覚えておきましょう。
| 項目 | アルカリイオン水 | アルカリ電解水 |
|---|---|---|
| 主な用途 | 飲料・料理用 | 洗浄・除菌用 |
| pH | 約8〜9(弱アルカリ性) | 約11〜13(強アルカリ性) |
| 生成方法 | 飲用向け整水器で電気分解 | 高電圧・高濃度電解で生成 |
| 特徴 | まろやかで飲みやすい | 強い洗浄力を持つ |
| 安全性 | 飲用可能 | 飲用不可(皮膚刺激の恐れあり) |
| 主な利用場所 | 家庭・キッチン・飲用 | 掃除・業務用・医療現場など |
水素水はこんな人におすすめ!

水素水は、美容や健康、リフレッシュなど、さまざまな目的に合わせて活用できます。
ここからは水素水の活用法とともに、どんな方に水素水がおすすめかを解説します。
健康・美容にこだわりたい人
体内で発生する酸化ストレスは、肌のくすみや疲労感の原因になる可能性があるとされているため、こうしたダメージを予防したい方にとって、水素水は自然なアプローチのひとつとなるでしょう。
また、水素水は無味無臭でカロリーもゼロ。化学的な添加物を避けたい人や、内側から美しさを育てたい人にもぴったりです。
日々のスキンケアや栄養バランスとあわせて取り入れることで、外側からだけでなく内側からもコンディションを整える意識が高まるでしょう。
心身をリフレッシュしたい人
忙しい毎日やストレスの多い生活の中で、「なんとなく疲れが抜けない…」「気持ちがすっきりしない…」と感じている人にも、水素水はおすすめです。
特に軽い運動のあとや入浴後など、体が温まって代謝が高まっているタイミングで水素水を飲むと、よりリフレッシュしやすいと感じる方もいます。
また、コーヒーやジュースを常温の水素水に置き換え、できるだけ体への刺激を少なくしたり、気分を自然な形でリセットしたりするのにも役立ちます。デスクワークの合間や夜のリラックスタイムにもおすすめです。
ダイエット中の人
水素水はもちろん甘味料や添加物を含まないため、食事制限中でも安心して飲めます。
ジュースやスポーツドリンクの代わりに水素水を選ぶことで、自然と糖分の摂取を抑えられるだけでなく、軽やかで飲みやすいのでこまめな水分補給にも適しています。
ダイエット中は特に代謝が下がったり、体内の老廃物が溜まりやすくなったりすることがあるため、しっかりと水分を摂って代謝のめぐりをサポートしたいところです。
口内トラブルを予防したい人
水素水で口の中を潤すことで唾液分泌を促すことが期待でき、口内環境を保ちやすくなるといわれます。水素水は無味無臭で刺激が少ないため、毎日の水分補給として自然に取り入れやすいのが魅力です。
特にストレスや加齢、睡眠中の口呼吸などによって口の中が乾きやすい人は、水素水をこまめに飲む習慣をつけるとよいでしょう。
また、水素水は金属イオンを多く含む硬水と違い、やさしい口当たりで歯や粘膜への刺激が少ないのも特徴です。うがいに使うと口の中がさっぱりしやすいので、朝や就寝前の口腔ケアにもおすすめです。
アルカリイオン水はこんな人におすすめ!

次に、アルカリイオン水をおすすめしたいタイプについて解説します。
料理にこだわりたい人
アルカリイオン水はpH8〜9程度の弱アルカリ性で、口当たりがやわらかく、素材の持つ味をまろやかに引き出してくれます。
たとえば、お米を炊くときにアルカリイオン水を使うと、ふっくらと艶のあるご飯に仕上がりやすくなり、お茶やコーヒーを淹れると、苦味や渋味がやわらいで香りが引き立つと感じる方もいます。
味噌汁やスープなど「出汁の味や香り」にこだわりたい方や、食材の持つ自然な風味を大切にしたい方にもおすすめです。
口臭が気になる人
口臭の多くは、口の中が乾いて細菌が増えることや、食後に残った汚れが分解されることによって発生します。
アルカリイオン水はまろやかで刺激が少なく、口内をやさしく潤してくれるため、こうしたトラブルの予防に役立ちます。
特に、弱アルカリ性の水は、酸性に傾いた口内環境を穏やかに中和し、バランスを整えてくれるのが特徴です。
朝起きたときや外出先での乾燥対策としても便利です。
さらに、アルカリイオン水は金属臭や塩素臭が少ないため、水道水に比べて口の中に残る不快感がほとんどありません。
飲み水としてだけでなく、口臭対策として取り入れられることがあります。
生活習慣を見直したい人
「最近なんとなく体が重い…」「疲れやすくなった気がする…」という方は、生活習慣を見直す第一歩として「水の質」から見直してみるのがおすすめです。
弱アルカリ性のアルカリイオン水は、胃酸の刺激をやわらげたり、食後のムカつきを軽減したりする目的で愛用されることがあります。
毎日口にする水をアルカリイオン水に変えるだけで、自然と「飲む」「食べる」「体をいたわる」というリズムが整いやすくなるでしょう。
また、味がまろやかで飲みやすいため、自然に水分摂取量が増え、体内のめぐりをサポートする習慣づくりに役立ちます。
健康を整えるもう一つの効果的な方法として、歯磨き粉の代わりに重曹(ベーキングソーダ)を使うことがあげられます。
重曹には、細菌が作るバイオフィルム(膜状の汚れ)を分解する作用があり、口内の細菌の増殖を抑えることで口臭を改善する効果があります。
さらに、歯垢の付着を防ぎ、歯石(歯科で定期的に除去される固い汚れ)の蓄積を抑える助けにもなります。
加えて、重曹は口内環境をアルカリ性に保つ働きもあるため、細菌の繁殖をより効果的に抑制することができます。

水素水・アルカリイオン水を飲む際の注意点

水素水やアルカリイオン水は、体にやさしいイメージから健康志向の人々に広く親しまれていますが、正しい飲み方や扱い方を理解しておくことも大切です。
どちらも安全性の高い水ですが、性質を知らずに誤った方法で飲んだり保存したりすると、体に負担をかけてしまう場合もあります。
ここでは、水素水とアルカリイオン水を日常生活に取り入れる際に気をつけたいポイントを紹介します。
できるだけすぐに飲む
水素は時間の経過とともに水からどんどん抜けていってしまうため、水素水を作ったらできるだけ早く飲むことが大切です。
コップに注いでから数分も経つと、水素濃度が下がってしまうこともあるため、作りたてをその場で飲むのが理想です。
家庭で水素水を作る場合は、できるだけ密閉性の高いアルミボトルや専用の水素水容器を使いましょう。
また、冷たい状態の方が水素が抜けにくいので、作った後は冷蔵庫に保管し、長時間放置せず早めに飲み切るのがポイントです。
薬との併用を避ける
水素水やアルカリイオン水は、どちらも体にやさしい水ではありますが、pHや成分の違いによって薬の吸収や作用に影響を及ぼす可能性があります。
特にアルカリイオン水は、pH8〜9の弱アルカリ性であるため、酸性の薬剤(胃薬や一部のサプリメントなど)を中和してしまうおそれがあるため、注意が必要です。
この作用により薬の効果が弱まったり、吸収が変化したりする可能性もあります。
また、水素水も薬の成分によっては水素分子との反応で薬効が安定しにくくなる可能性があります。
そのため、薬を飲むときは基本的に「常温の水道水」または「浄水」を使うと安心です。
水素水やアルカリイオン水を飲む場合は、薬の服用から30分〜1時間ほど時間をあけて飲むようにしましょう。
アルミ製の容器を使用する
水素水の保存には、アルミ製の容器がもっとも適しています。
非常に小さい水素分子は、プラスチックやガラスのような一般的な容器では簡単に通り抜けてしまいますが、アルミ製のボトルやパウチは気体を通しにくい「ガスバリア性」が高いため、水素を比較的長時間保つことができます。
市販の水素水の多くがアルミパウチで販売されているのも、そのためです。
また、容器のフタもしっかり密閉できるものを選びましょう。
開け閉めの回数が多いと、それだけ空気と触れる時間が増え、水素が逃げやすくなります。なるべく一度に飲み切れる量を作り、開封したら早めに飲むのが理想です。
腎臓が弱い人は注意
アルカリイオン水は、一般的には健康な人が飲む分には問題ありません。しかし、腎臓がうまく働いていない場合、体内の酸とアルカリのバランス(pHバランス)を自力で調整する力が弱くなっていることがあります。
腎臓は、体の中の老廃物を排出し、血液のpHを一定に保つ役割を持っています。そのため、アルカリ性の水を多く摂取すると、体内のpHが過度にアルカリに傾き、「代謝性アルカローシス」と呼ばれる状態を引き起こすリスクがあるのです。
軽度であれば倦怠感や食欲不振などの症状で済みますが、重症化すると体調を崩すおそれがあります。
また、腎臓疾患の治療中の人や、医師から水分制限を指示されている人は、飲む水の種類や量を自己判断で変えるのは避けた方が良いでしょう。
どうしてもアルカリイオン水を取り入れたい場合は、必ず医師や専門家に相談することが大切です。
水素水に関するQ&A

水素水やアルカリイオン水に興味を持っていても、「どのくらい飲めばいいの?」「いつ飲むのが効果的?」「子どもが飲んでも大丈夫?」など、気になる疑問を抱く人は多いでしょう。
ここでは、水素水を中心に、飲み方の目安やタイミング、安全性などに関するよくある質問と回答を紹介します。
水素水はどのくらいの量を飲めばいい?
水素水の摂取量に厳密な決まりはありませんが、厚生労働省は1日あたり1〜1.2L程度の水を飲むことを推奨しています。
飲みすぎる必要はなく、毎日の生活の中で無理なく続けられる範囲で取り入れるのが理想です。
たとえば、朝起きた直後のコップ1杯(約200mL)、運動後や入浴後にもう1杯、そして寝る前に軽く1杯といったペースでも十分です。こまめに飲むことで体内の水素濃度を維持しやすくなり、フレッシュな状態の水素水を取り入れやすくなります。
また、冷たすぎる水を一気に飲むと胃に負担をかけることがあるため、常温かやや冷たい程度がベストです。体調や季節に合わせて飲むタイミングも調整しましょう。
水素水はどのタイミングで飲めばいい?
水素水を飲むタイミングは、目的やライフスタイルによって変わりますが、基本的には体が水分を必要としているタイミングに合わせると良いでしょう。
具体的には、以下のような時間帯に飲むのがおすすめです。
- 朝起きた直後…寝ている間に体は汗や呼吸で水分を失っているため、朝の水素水は体内の水分を補うのに適しています。胃の中が空っぽの状態では吸収がスムーズなので、水素が効率よく行き渡るとされています。
- 運動や入浴の前後…汗をかいたあとや体温が上がっているときは、代謝が活発になっているため、水素水の取り込みもスムーズです。特に運動後に飲むと、体のリフレッシュを助ける水分補給として役立ちます。
- 仕事や勉強の合間…ちょっとリフレッシュに飲むのもおすすめです。軽くストレッチをしたあとや気分転換のタイミングで一口飲むだけでも、頭と体がすっきりと整いやすくなります。
- 就寝前…就寝前の一杯も良い習慣です。寝る前に水分を補うことで、睡眠中の脱水を防ぎ、翌朝のだるさをやわらげるサポートにもつながります。
水素水・アルカリイオン水は怪しくない?
中には、「水素水やアルカリイオン水って本当に効果があるの?」「なんだか少し怪しい…」と感じる人もいるかもしれません。
水素水やアルカリイオン水は、いずれも自然な化学反応を利用して作られていますが、健康効果を誇張した広告が一時期出回ったことから、疑問を持つのは自然なことです。
結論から言うとどちらも怪しいものではありませんが、正しい知識と選び方が大切です。
たとえば、製品によって品質や濃度に差がある可能性があり、たとえ「高濃度水素水」と表示されていても、すでに水素が抜けてしまっている製品や、正確な濃度を明示していないものがあったりする可能性もあります。
水素は抜けやすいため、パッケージや製造方法、信頼できるメーカーかどうかをきちんと確認することが大切です。
選ぶときは、以下をチェックするようにしましょう。
- 濃度やpHが明記されているもの
- 信頼できるメーカーの商品
- 飲用目的で安全基準を満たしているもの
乳幼児に水素水を与えてもいい?
乳幼児に水素水を与えること自体は、基本的には大きな問題はありませんが、乳幼児はまだ腎臓や消化機能が十分に発達していないため、極端に濃い水素水や加工度の高い商品は避けた方が安全です。
家庭で作る場合は、水道水や浄水を使い、濃度が安定した新鮮な水素水を少量ずつ与えるようにしましょう。
また、赤ちゃんや小さな子どもは基本的に「母乳」や「ミルク」から水分を摂っています。離乳期以降でも、飲み水は「常温の軟水」がもっとも体にやさしいとされています。水素水を取り入れる場合は、あくまで補助的な水分補給として、日常的に与えすぎないことが大切です。
水素水に副作用はない?
水素水は、現在のところ一般的には安全とされています。
水素は体内に取り込まれても残留することがなく、余分な分は自然に体外へ排出されます。
そのため、摂りすぎによって害を及ぼす心配がないのが大きな特徴です。
ただし、腎臓や心臓に疾患のある方、医師から水分摂取を制限されている方は、どんな種類の水であっても飲みすぎに注意しましょう。
まとめ|水素水・アルカリイオン水を目的に合わせて選ぼう!

水素水もアルカリイオン水も、それぞれ異なる仕組みと魅力を持った「体にやさしい水」ですが、どちらの水も「飲み方」「保存方法」「目的」に合わせて適切に活用することが大切です。
本記事で解説したように、水素水は作りたてをすぐに飲む、アルカリイオン水は体調やpHに注意するなど、いくつかのポイントを押さえておけば、ライフスタイルに上手に取り入れることができるでしょう。
水素水もアルカリイオン水も、特定の症状を治したり抑えたりするものではありませんが、日常に取り入れることで気分のリフレッシュを図れたり、生活習慣を見直すきっかけになったりするはずです。
特に美容や健康にこだわりたい方にとって、毎日のように体に入れる「水」の質は大切です。
水素水もアルカリイオン水も、専用の機器や道具を利用すれば自宅で手軽に作ることができるので、あなたの暮らしに合った理想の一杯を見つけて、生活習慣を「水」から見直してみてはいかがでしょうか。

