私たちが日常的に飲んでいる「水」には、マグネシウムやカルシウムなどのミネラルが含まれています。
なかでもマグネシウムは、私たちの体内で神経伝達や筋肉の収縮、エネルギー産生などに関わる重要なミネラルの1つです。
このマグネシウムが不足すると、疲労感やこむら返り、便秘といった不調が起こりやすくなります。
水には「硬水」と「軟水」の2種類があり、種類によってマグネシウムを補える量が変わるため、目的に合わせた水選びが大切です。
本記事では、マグネシウムと水の関係性について詳しく解説します。
水選びで迷っている方は、ぜひ参考にしてください。
硬水と軟水の違いは?

水は、含まれるミネラルの量によって「硬水」と「軟水」に分けられ、種類によって、味や飲みやすさなどが異なります。
ここで、硬水と軟水の違いを、次の3つの項目に分けて解説します。
- 水に含まれるマグネシウムとカルシウムの量(硬度)が違う
- 硬水と軟水の味に違いはある?
- 地質や地形など地域によって水の硬度は異なる
1つずつ、詳しくみていきましょう。
水に含まれるマグネシウムとカルシウムの量(硬度)が違う
水の硬度とは、1リットルの水に含まれるマグネシウムとカルシウムの合計量を数値化したもので、この数値によって硬水と軟水に分類されます。
以下は、WHO(世界保健機関)が定めた基準値です。
硬水 | 180mg/L以上 |
中硬水 | 120〜180mg/L |
軟水 | 0〜120mg/L未満 |
参考:WHO 飲料水質ガイドライン|厚生労働省
日本では、一般的に以下の基準で分類されています。
硬水 | 100mg/L 以上 |
軟水 | 100mg/L 未満 |
参考:清涼飲料水評価書 カルシウム・マグネシウム等(硬度)|厚生労働省
私たちが普段口にする、日本の水道水や国産のミネラルウォーターのほとんどは、硬度50mg/L以下で、軟水に分類されます。
一方、ヨーロッパや中東の地域では地質の性質から硬水が一般的です。
硬水と軟水の味に違いはある?
水は、基本的に無味無臭ですが、ミネラルの含有量によって味に違いはあります。
硬水は、軟水に比べてミネラルを多く含むため、口当たりが重く、わずかな苦味や渋みを感じます。
とくに硬度が高い水ほど、飲んだあとの舌触りや後味に違和感を覚える方もいます。
一方、軟水は口当たりがやわらかで飲みやすく、硬水のようなクセがありません。
そのため、赤ちゃんのミルクや和食の出汁など、繊細な味を必要とする用途に適しています。
また、お茶などの日常的な水分補給に選ばれるのも、軟水が多いです。
参考:ミネラルウォーター硬水・軟水の違いとは?選び方のポイントを解説|HAVARYS
地質や地形など地域によって水の硬度は異なる
水は、地中を流れる過程で溶け込む鉱物の違いから、その地域によって硬度も異なります。
日本は火山が多く、地層に炭酸カルシウムを主成分とする石灰岩が少ないため、軟水が主流になっています。
また、降水量が多く水の滞留時間が短いため、ミネラルが十分に吸収されないのも軟水が多い理由の一つです。
対して、ヨーロッパでは石灰岩層が広く分布しており、地下水が長時間かけて鉱物と接触するため、ミネラルが豊富に含まれる硬水が一般的です。
ドイツやフランスのミネラルウォーターに硬水が多いのも、こうした地質の違いからきています。
参考:硬水と軟水は何が違う?それぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介|Aqua Clara

水を選ぶ際に「フッ素」の含有量も、重要なポイントの一つです。
以下は、主なミネラルウォーター製品に含まれるフッ素の含有量の目安です。
- Contrex(コントレックス):0.33mg/L
- Gerolsteiner(ゲロルシュタイナー):0.21mg/L
- San Pellegrino(サンペレグリノ):0.55mg/L
- Evian(エビアン):0.15mg/L
- Volvic(ボルヴィック):0.22mg/L
- Perrier(ペリエ):0.31mg/L
- Crystal Geyser(クリスタルガイザー):0.0〜0.67mg/L(ボトリング施設によって異なる)
- サントリー 南アルプスの天然水:<0.1mg/L
この点が重要とされる理由は、フッ素が内分泌かく乱物質(ホルモン撹乱物質)であり、神経毒性を持ち、マグネシウムやカルシウムと結合する性質があるためです。
これにより、腱や軟骨、臓器組織といった軟部組織の骨化(石灰化)を引き起こす可能性があります。
この観点から言えば、フッ素の含有量は少ないに越したことはありません。
マグネシウムを多く含んでいるのは硬水

硬水は、軟水と比べてマグネシウムの含有量が多いため、水を通じてミネラル補給を意識したい方や食事からのミネラル摂取が不十分な方におすすめです。
ここで、以下3つの項目について解説します。
- 硬水にはどれくらいのマグネシウムが含まれているのか
- 硬水のメリットとデメリット
- 代表的な硬水ブランド3選
一つずつ、詳しくみていきましょう。
硬水にはどれくらいのマグネシウムが含まれているのか
硬水に含まれているマグネシウムの量は、一般的に1Lあたり20〜100mg程度が目安です。
軟水に分類される日本の水道水は、1〜3mg/L程度(地域差あり)のマグネシウム含有量なので、約10〜30倍以上のマグネシウムが補給できる計算になります。
たとえば、毎日500mlの硬水を飲むと、およそ10〜50mg程度のマグネシウムを自然なかたちで補えるのです。
また、マグネシウム以外のミネラルも豊富なため、普段の食生活や水分補給などに、硬水を取り入れて効率よくミネラルを摂取しましょう。
参考:硬水の効果・飲むとどうなる?栄養成分や1日の摂取量目安、軟水との違いを解説|<公式>霧島天然水のむシリカ
硬水のメリットとデメリット
硬水は、自然にミネラルを摂取できる飲み物ですが、飲み過ぎによるミネラルの過剰摂取や体質によっては注意が必要です。
ここで、硬水のメリットとデメリットについて解説します。
硬水のメリットは、次のとおりです。
【メリット】
- ミネラルウォーターとしての健康価値が高い
- 便秘対策に効果的なマグネシウムを手軽に補える
- ダイエット中の栄養補助としても活用できる
最大のメリットは、マグネシウムやカルシウムといった必須ミネラルが豊富で、ミネラルウォーターの中でも栄養価が高い点です。
とくに、マグネシウムは便秘対策としても効果的で、ダイエット中の方に愛飲されています。
しかし、硬水も飲み過ぎると体に支障をきたす場合があります。
次に、硬水のデメリットについてみていきましょう。
【デメリット】
- 味にクセがあり、人によっては飲みにくいと感じる
- 胃腸が弱い人には合わない可能性がある
- 赤ちゃんには不向き
硬水は、ミネラル由来のクセのある味わいのため、飲み慣れていない人には苦味や重さを感じ、続けにくいと感じる場合があります。
そして、ミネラルが多く含まれる分、胃腸への負担が大きくなる場合があり、胃腸が弱い方や高齢者、体調不良時には下痢や胃もたれなどが起こる可能性もあります。
また、マグネシウム・カルシウムの含有量が多すぎるため、赤ちゃんの未発達な内臓に負担をかける可能性があります。
赤ちゃんには、基本的に軟水の使用が推奨されています。
参考:硬水と軟水の違いは?|品川イーストクリニック
参考:ミネラルウォーター硬水・軟水の違いとは?選び方のポイントを解説|HAVARYS
代表的な硬水ブランド3選
硬水を試したいけど、どれを選べば良いか迷っている方に、国内でも入手しやすい代表的な硬水ブランドを3つ紹介します。
飲み比べてみて、自分の体に合う硬水を見つけてみましょう。
【Contrex(コントレックス)】
- 硬度:約1468mg/L
- フランス産でマグネシウムとカルシウムが豊富
- ダイエット中の女性や便秘に悩んでいる方に人気
- 味のクセが強いため、初めのうちは飲みにくいと感じる
【Gerolsteiner(ゲロルシュタイナー)】
- 硬度:約1310mg/L
- ドイツ産でマグネシウムとカルシウムのバランスが良い
- 天然炭酸を含み、ほんのりだが塩味がする
- スッキリと飲みやすく、ダイエットやスポーツ後の水分補給に適している
【エビアン(evian)】
- 硬度:約304mg/L、中硬水
- フランスのアルプス天然水でバランスの良いミネラル含有量
- 味のクセが少なく、日常の水分補給などにも最適
参考:ミネラルウォーター硬水・軟水の違いとは?選び方のポイントを解説|HAVARYS
軟水でも十分なマグネシウムは摂れる?

軟水は、硬水に比べるとマグネシウムの含有量は少ないですが、軟水にも一定量のミネラルが含まれています。
摂取バランスを考慮すれば、軟水であっても毎日の水分補給として十分な役割を果たせます。
軟水について、次の3つの項目に分けて解説します。
- 軟水は硬水よりマグネシウム含有量が少ない
- 軟水のメリットとデメリット
- 代表的な軟水ブランド3選
それぞれ、詳しくみていきましょう。
軟水は硬水よりマグネシウム含有量が少ない
軟水は、WHOのガイドラインでは硬度が120mg/L未満の水です。
ミネラルの中でも、マグネシウムとカルシウムの含有量が少なく、マグネシウム量で見ると、1リットルあたり1〜10mg程度が一般的な範囲です。
硬水と比べると物足りなく感じる数値ですが、日常的に飲める水のため、少しずつでも確実にミネラルは摂取できます。
食事やサプリメントとのバランスを考えると、軟水でも十分なミネラル補給が可能です。
参考:軟水・硬水ってなあに?|神奈川県
参考:ミネラルウォーター硬水・軟水の違いとは?選び方のポイントを解説|HAVARYS
軟水のメリットとデメリット
軟水は味にクセがないため、人を選ばない飲み物ですが、ミネラルを積極的に摂取したい方や便秘改善などの目的に応じて水を飲む方にとっては物足りない可能性があります。
ここで、軟水のメリットとデメリットについて解説します。
軟水のメリットは次のとおりです。
【メリット】
- 味にクセがなく飲みやすい
- 和食やお茶などの繊細な風味を損なわない
- 赤ちゃんや高齢者にも安心して使える
軟水は、硬水と比べて苦味などのクセがないため、誰でも飲みやすく、日常的な飲料水として非常に取り入れやすいです。
また、赤ちゃんや高齢者などのデリケートな世代にも、安心して取り入れられるのが特徴です。
さらに、お茶や出汁などの繊細な風味を活かす料理にも最適で、食材や飲料本来の味を引き立てる効果もあります。
しかし、ミネラル含有量が少ないため、健康を意識した方たちにとっては、軟水だけでは不十分だと感じてしまうかもしれません。
次に、軟水のデメリットについてみていきましょう。
【デメリット】
- マグネシウムやカルシウムの摂取量は少なめ
- 便秘改善などの即効性は期待しにくい
軟水は、硬水よりもマグネシウムやカルシウムなどのミネラルが少ないため、サプリメントや食材との併用が必要な場合があります。
とくに、ミネラル補給を目的として水を飲んでいる方にとっては、効率が悪いと感じてしまうかもしれません。
また、即効性も現れにくいため、便秘改善や筋肉機能のサポートを目的としている方も思ったような効果が期待できない可能性があります。
軟水と硬水の性質を理解して、自分に合った飲用スタイルを確立しましょう。
「水だけではマグネシウムが不足しがち」と感じる方には、高吸収でマグネシウムを摂取できるサプリメントとしてマグリポがおすすめです。

参考:硬水と軟水の違いは?|品川イーストクリニック
参考:ミネラルウォーター硬水・軟水の違いとは?選び方のポイントを解説|HAVARYS
代表的な軟水ブランド3選
軟水は種類が豊富なため、スーパーやコンビニで手軽に手に入ります。
ここでは、日常的に取り入れやすく、信頼性の高い軟水ブランドを3つ紹介します。
価格や手に入りやすさも考慮して、自分に合った軟水を選んでみましょう。
【Volvic(ボルヴィック)】
- 硬度:約60mg/L
- フランス産でオーヴェルニュ地方の火山岩層を通過してろ過された水
- 品質管理が非常に厳しく、採水から出荷まで衛生管理が徹底されている
- 飲みやすく、料理やお茶にも適している
【Crystal Geyser(クリスタルガイザー)】
- 硬度:約38mg/L
- アメリカ産でカリフォルニア州のシャスタ山から採水
- 日本人の口にも合いやすく、適度なミネラルも含んでいる
- 価格が安く、家庭用の常備水としても人気が高い
【南アルプスの天然水(サントリー)】
- 硬度:約30mg/L
- 山梨県の南アルプス山麓で採水
- まろやかな口当たりでクセがない
- 日常の水分補給や料理に適している
参考:ミネラルウォーター硬水・軟水の違いとは?選び方のポイントを解説|HAVARYS
マグネシウムを水で摂る際の3つの注意点

マグネシウムは、硬水や軟水などの水からでも摂取は可能ですが、年齢や体質、水を飲んだ場所などによっては、思わぬ不調を招く可能性があります。
水からマグネシウムを摂取する際は、次の3つに注意しましょう。
- 年齢や体質に合わせた適量を摂取する
- 慣れない場所で硬水を飲むのは避けておく
- サプリメントと一緒に摂る場合は過剰摂取に気をつける
それぞれ、詳しく解説します。
年齢や体質に合わせた適量を摂取する
マグネシウムの1日あたりの推奨摂取量は、成人男性でおよそ340〜370mg、成人女性で270〜290mgが目安とされています。
しかし、これはあくまで「トータルの摂取量」であり、水からだけで摂る必要はありません。
基本は、サプリメントや食事からマグネシウムを摂取し、不足している分を水で補うという考え方が理想的です。
マグネシウムの摂取において、子どもや高齢者、妊娠中・授乳中の女性は、体格や消化吸収の能力が異なるため、とくに注意が必要です。
水からマグネシウムを摂る場合も、「1日に何リットルも飲む」といった極端な摂取は避け、自分にとっての適量を意識しましょう。
なお、効率的にマグネシウムを摂取したい方には、マグリポの併用がおすすめです。

慣れない場所で硬水を飲むのは避けておく
海外旅行や出張先など、普段と異なる地域の水を急に飲むと、お腹を壊してしまう可能性があります。
とくに、胃腸が敏感な人は注意が必要です。
日本の水は軟水が主流のため、ヨーロッパなど硬水が主流の地域では、腸の水分バランスが変化し、下痢・腹痛・ガスが溜まるといった症状につながる場合があります。
こうしたトラブルを避けるには、旅行前に少量の硬水で慣らしておく、または現地ではミネラル分の少ない水(軟水)を選びましょう。
初めての水は「まず少量から」が基本です。
サプリメントと一緒に摂る場合は過剰摂取に気をつける
水とサプリメントを併用する場合は、過剰摂取にならないよう注意が必要です。
マグネシウムは、体に必要な栄養素ですが、過剰に摂取すると下痢や腹痛、胃腸の不快感といった副作用がでる場合があります。
体調に異変を感じた場合は、摂取している水やサプリメントのマグネシウム量をチェックし、必要に応じて摂取量を減らすか、医師や薬剤師への相談をおすすめします。
健康のためのマグネシウム摂取が逆効果にならないよう、無理のない範囲で取り入れましょう。
参考:硬水と軟水は何が違う?それぞれの特徴とメリット・デメリットをご紹介|Aqua Clara
まとめ|マグネシウムを意識した水選びで毎日を健康に過ごす

水は、マグネシウムやカルシウムが含まれている量によって、硬水と軟水に分類されます。
水は日常的に口にするものだからこそ、自分や家族の体質やライフスタイルに合った選択が大切です。
健康目的でマグネシウムをしっかり摂りたい人には硬水、飲みやすさや家族での利用を重視するなら軟水が適しています。
無理なく取り入れやすい方法で、マグネシウムを意識した水選びを始めてみてください。