「マグネシウム不足と頭痛にどんな関係があるの?」
そう思われた方もいらっしゃるでしょう。
日本イーライリリー株式会社が2021年11月に公表した調査によると、日本人の約10人に1人が頭痛の一種である「片頭痛」に悩まされています。
片頭痛がひどくなると日常生活に支障をきたし、生活の質(QOL:Quality of Life)にも悪影響を及ぼすことに。
頭痛にはさまざまな原因がありますが、その原因の一つが「マグネシウムの不足」によるものと考えられています。
この記事では、マグネシウム不足が頭痛の原因となり得る理由やそのメカニズム、日常生活で行える具体的な頭痛対策について紹介していきます。
マグネシウム不足と頭痛の関係とは?
日本で頭痛に悩まされる人の割合は、どのくらいになると思われるでしょうか?
冒頭で日本イーライリリー株式会社の調査結果をお伝えしましたが、世界でも同様の調査結果が出ています。
ドイツとイギリスに本拠を置く学術出版の世界企業でもある「Springer Nature社」によれば、日本人(成人)の約8〜10%が片頭痛に苦しんでいると報告され、以下のことを結論づけています。
“In conclusion, migraine patients in Japan experience an incremental burden compared to matched non-migraine respondents in terms of decreased HRQoL, almost twice as impaired productivities, and almost two-fold higher self-reported overall HCP visits, and higher overall indirect costs.”
「日本の片頭痛患者は、健康関連の生活の質(HRQoL)の低下、約2倍の生産性の低下、自己申告による医療機関受診回数がほぼ2倍、そして間接的な費用の増加といった負担を、非片頭痛患者と比較した場合、経験していることになります」
つまり、頭痛持ちの人は頭痛のせいで日常生活に支障が出てしまったり、生産性が健常者よりも2倍も低下してしまったり、身体的・時間的・精神的・経済的な負担を強いられてしまっているとも伝えているのです。
さらに男性よりも女性の方が片頭痛の発症率が高くなっており、なんと、3倍から4倍ほども発生頻度が上がることがわかっています。
“However, migraine burden is differential with respect to sex. Though one-year prevalences in childhood are similar, starting with puberty, migraine incidence increases at a much higher rate in females than males. Thus, migraine over the life course occurs in women three to four times more often than in men.”
「しかし、片頭痛の負担には性差がある。小児期の1年間の有病率は同程度であるが、思春期以降、片頭痛の発生率は男性より女性の方がはるかに高くなる。したがって、生涯を通じての片頭痛の発生頻度は、女性の方が男性の3~4倍高い。」
引用:PubMed「Giving Researchers a Headache – Sex and Gender Differences in Migraine」
憧れのミュージシャンのライブや年に一度の家族旅行、大事な試験の日、ここぞという時に限って頭痛に悩まされてしまうのは、筆舌に尽くしがたいほど辛いことでしょう。
ひとえに頭痛といっても、風邪や脳の病気、薬の副作用、寝不足などその原因はさまざまです。また、頭痛の一種である片頭痛の原因については、未だ完全には解明されていません。
片頭痛についてさらに知りたい方はこちらの記事をあわせてご覧ください。
【マグネシウム不足と片頭痛】原因や改善策、論文などをご紹介しますただ、マグネシウム不足が頭痛の原因の一つであるということは、さまざまな研究結果から明らかになってきています。
なぜマグネシウムの不足が頭痛に関係しているのか、次の章でそのメカニズムを紐解いていきましょう。
マグネシウム不足が頭痛を引き起こすメカニズム
そもそもマグネシウムがどんな働きをしているのかというと、、、
- 筋肉を弛緩する
- 丈夫で健康な骨を作る
- エネルギー代謝をサポートする
- 体温や血圧を調節する
- 便秘を改善する
- 神経伝達をコントロールする
- 肌を外的刺激から守る
など、私たちの体の生理機能に幅広く関わっています。
また、マグネシウムは体内の約800種類以上もの化学反応に影響を与えており、生きる上で欠かすことのできない必須ミネラルです。
頭痛との関係を考える上で注目していただきたいのが、「筋肉を弛緩する」という働きです。
マグネシウムが不足すると筋肉はうまく弛緩できなくなってしまいます。
平滑筋(筋肉)を含む組織としての血管は、マグネシウムが不足することで収縮した状態に。
この状態で
- 気圧の変化
- ストレス
- 過労や睡眠不足
- ホルモンバランスの乱れ
- セロトニンの減少
などが生じると、収縮状態の血管が急激に拡張してしまいます。
脳で同じことが起こった場合、収縮した脳の血管が急に拡張して周囲の神経を刺激・圧迫することにより、頭痛を誘発することになるのです。
これら一連のメカニズムによって、マグネシウム不足が頭痛を引き起こすのだと考えられています。
マグネシウム不足が引き起こす体の不調
マグネシウム不足は頭痛だけではなく、そのほか様々な症状も引き起こします。
代表的なものは以下の症状です。
- 筋肉の痙攣(けいれん)やこむら返り
- 不眠・睡眠障害
- 疲労・だるさ
- イライラ・不安・うつ
- 心拍の不整や・高血圧
- 便秘
- 肌あれ
また、長期的なマグネシウム不足により、骨粗しょう症・マグネシウム欠乏症・2型糖尿病・動脈硬化・糖尿病などの大きなリスクにつながる恐れもあります。
こちらの記事ではさらに詳しくマグネシウム不足による症状を解説しているので、合わせてご覧ください。
マグネシウム不足が引き起こす症状とは?1日に必要な摂取量や予防法も解説マグネシウム不足と頭痛に関する医療論文をご紹介
ここではマグネシウム不足が実際に頭痛を引き起こすことを、科学的に証明している論文をいくつかご紹介したいと思います。
マグネシウム不足と頭痛に関する医療論文①
マグネシウム摂取が頭痛治療に有効な可能性
“Migraine prophylaxis is a stepwise procedure with lifestyle advice followed by consideration of medications. Patients should be advised to try to maintain a regular lifestyle, with regular sleep, meals, exercise, and management of stress, perhaps through relaxation techniques or other ways that are sensible for them. If this regimen does not adequately control their migraines, preventatives are indicated~
~The prophylactic properties of magnesium, riboflavin, and coenzyme Q10 are low at best, but their lack of severe adverse effects makes them good treatment options.”
「片頭痛の予防は、ライフスタイルのアドバイスに始まり、その後に薬物療法の検討を行うという手順です。患者は規則正しい生活、十分な睡眠、食事、運動、ストレス管理を心がけるよう助言され、リラクゼーション技法や自分に合った方法を取り入れることが推奨されます。この方法で片頭痛が十分にコントロールできない場合、予防薬の使用が示唆されます~
~マグネシウム、リボフラビン、コエンザイムQ10の予防効果は限られていますが、深刻な副作用がないため治療オプションとして有効です。」
引用:Sun-Edelstein C, Mauskop A. Role of magnesium in the pathogenesis and treatment of migraine. Expert Rev Neurother 2009;9:369–79
Update on the prophylaxis of migraine
マグネシウム不足と頭痛に関する医療論文②
マグネシウムは片頭痛治療の一つとして有効
“Migraine prophylaxis is a stepwise procedure with lifestyle advice followed by consideration of medications. Patients should be advised to try to maintain a regular lifestyle, with regular sleep, meals, exercise, and management of stress, perhaps through relaxation techniques or other ways that are sensible for them. If this regimen does not adequately control their migraines, preventatives are indicated~
~The prophylactic properties of magnesium, riboflavin, and coenzyme Q10 are low at best, but their lack of severe adverse effects makes them good treatment options.”
「片頭痛の予防は、ライフスタイルのアドバイスに始まり、その後に薬物療法の検討を行うという手順です。患者は規則正しい生活、十分な睡眠、食事、運動、ストレス管理を心がけるよう助言され、リラクゼーション技法や自分に合った方法を取り入れることが推奨されます。この方法で片頭痛が十分にコントロールできない場合、予防薬の使用が示唆されます~
~マグネシウム、リボフラビン、コエンザイムQ10の予防効果は限られていますが、深刻な副作用がないため治療オプションとして有効です。」
引用:Sun-Edelstein C, Mauskop A. Role of magnesium in the pathogenesis and treatment of migraine. Expert Rev Neurother 2009;9:369–79
Update on the prophylaxis of migraine
マグネシウム不足と頭痛に関する医療論文③
マグネシウムが片頭痛予防に効果ありの可能性
“Fenoprofen, ibuprofen, ketoprofen, naproxen, naproxen sodium, MIG-99 (feverfew), magnesium, riboflavin, and subcutaneous histamine are probably effective for migraine prevention (Level B).”
「フェノプロフェン、イブプロフェン、ケトプロフェン、ナプロキセン、ナプロキセンナトリウム、MIG-99(フェーバーフュー)、マグネシウム、リボフラビン、皮下注射ヒスタミンは片頭痛予防において効果がある可能性があります(レベルB)」
引用:Holland S, Silberstein SD, Freitag F, Dodick DW, Argoff C, Ashman E. Evidence-based guideline update: NSAIDs and other complementary treatments for episodic migraine prevention in adults. Neurology 2012;78:1346-53.
マグネシウム不足による頭痛を改善する3つの方法
マグネシウム不足による頭痛を改善する代表的な方法として、以下の3つが挙げられます。
- マグネシウム不足による頭痛の改善法1:食事
- マグネシウム不足による頭痛の改善法2:サプリメント
- マグネシウム不足による頭痛の改善法3:経皮吸収
順番に内容を確認していきましょう。
マグネシウム不足による頭痛の改善法1:食事
現代人は環境や生活習慣・食習慣の変化にともない、近年ますますマグネシウムの摂取量が不足しているといわれています。
厚生労働省がまとめた報告書によると、成人1日あたりのマグネシウムの必要量は、以下の値が目安とされています。
性別 | 1日のマグネシウム必要量 |
---|---|
男性(18歳以上) | 約 340~370 mg |
女性(18歳以上) | 約 270~310 mg |
そうはいわれても、実際に自分が必要量を摂取できているのか、よくわかりませんよね。
気になる方は14問の簡単なクイズに答えるだけでマグネシウム診断ができる、こちらをぜひお試しになってください。
普段の食生活を振り返ってみて、偏りがあるなと思い当たる方は、すぐにその場で結果がわかるのでオススメです。
マグネシウム不足自己診断テストもちろん、食事だけで必要なマグネシウムをすべて摂ろうとするのは無理があります。
毎回マグネシウムを豊富に含んだ食材を取るのは大変ですし、そこまで時間もお金もかけていられないというのが正直なところではないしょうか。
そこで、次に紹介するサプリメントでマグネシウムを補充する方法も併用すると、より効果的にマグネシウムを体内に摂取できるようになるはずです。
マグネシウム不足による頭痛の改善法2:サプリメント
サプリメントのメリットは、手軽に必要な時にサッと手に取って摂取できることです。
さまざまな種類のマグネシウムサプリメントがありますが、『マグネシウムの種類』と『吸収率に着目して』サプリメントを選ぶようにしてください。
なぜなら、マグネシウム自体の種類によっては、せっかく摂取しても吸収されにくい性質のものもあるからです。
例えば、酸化マグネシウムは水に溶けにくい「非水溶性」であり、体内での吸収が難しいとされています。
それに対して、塩化マグネシウムは水溶性なので、消化器官でより簡単に分解・吸収される性質をもっているのです。
どのサプリメントを選んだらいいかで悩まれる方は、ぜひ一度こちらの「マグリポ」をご覧になってみてください。
リポソーム化という特別な技術によって吸収率が高く、純日本産のマグネシウムサプリメントであるため安心安全です。
マグネシウム不足による頭痛の改善法3:経皮吸収
マグネシウムはお肌からも吸収することが可能です。
「エプソムソルト」という言葉をお聞きになったことはありませんか?
エプソムソルトは入浴剤として使用されることが多いです。
直接お湯に溶かしてから入浴することで筋肉をリラックスさせたり、浸透圧の変化を利用して体内から老廃物を排出したりとデトックス効果も期待できます。
入浴剤とは異なるのですが、肌に直接塗るタイプのものもあります。
こちらは「マグバーム」というバームタイプの製品です。
100%天然由来でお肌にやさしい設計になっています。香りも無臭・ラベンダー・オレンジの3種類があり、自分の好みや気分に合わせて使い分けることもできますよ。
まとめ
今回はマグネシウム不足と頭痛の関係について、その原因やメカニズム、改善法を解説してきました。
一見何の関係もないように思えたマグネシウム不足と頭痛の関係ですが、マグネシウムの働きが頭痛に影響するということがわかっていただけたかと思います。
ただ、頭痛の原因はいまだ解明されていないことも多く、自分だけで判断することはやめましょう。症状が続く場合や気になる場合は、必ず医師に相談してくださいね。
ぜひ本記事を参考にしていただき、頭痛のこと、マグネシウムのこと、そしてご自身の健康について見直すきっかけにしていただければと思います。