健康や美容を意識する方にとって、ミネラルは体の調子を整えるために欠かせない栄養素の1つです。
私たちが毎日何気なく飲んでいる様々なお茶にも、体に必要なミネラルが含まれています。
今回紹介するお茶は「緑茶」「ほうじ茶」「麦茶」「ルイボスティー」「ハーブティー」など様々ですので、お茶全体の概要を把握できるように解説していきます。
「お茶で摂れる代表的なミネラル」
「お茶に含まれるミネラルのそれぞれの働き」
「現代人に不足しがちなマグネシウムが摂れるおすすめのお茶の種類」
飲み慣れたお茶を、体にやさしいミネラル補給の習慣へと変えていきましょう。
お茶に含まれる成分とミネラルの種類

お茶には、香りや味わいを引き出すだけでなく、カテキンなどの成分や日々の体調管理に役立つミネラルなど、健康にうれしい成分が多く含まれています。
本章では、お茶に含まれている成分を次の2項目に分けて解説します。
- お茶に含まれている代表的な成分
- お茶で摂れる主なミネラルの種類
それぞれの成分にどのような効果があるのか、詳しく見ていきましょう。
お茶に含まれている代表的な成分
お茶には、体に働きかけるさまざまな有効成分が含まれています。
ここで、お茶に含まれる代表的な3つの成分を紹介します。
ポリフェノールの一種で、お茶の苦味や渋みの素となる成分です。
老化や病気の原因となる活性酸素を除去する働き(抗酸化作用)や殺菌・抗菌作用、虫歯・口臭予防など、私たちの健康を多方面でサポートします。
アミノ酸の一種で、日光に当たっていない茶葉(緑茶)に含まれるお茶の旨み成分です。
リラックス作用があり、睡眠の質の向上にも効果が期待できます。
若い茶葉に多く含まれている苦味成分です。
神経を興奮させる作用があり、疲労感の軽減や眠気予防に効果が期待できます。

緑茶に関して言えば、最も有用な成分の一つである「EGCG(エピガロカテキンガレート)」はカテキンの一種として知られています。
EGCGには、本文中で述べられている効果に加え、「NAD+(ニコチンアミドジヌクレオチド)のリサイクルを促進する作用」もあり、これはエネルギー代謝の観点からも非常に有益です。
お茶で摂れる主なミネラルの種類
お茶は、先ほど紹介した成分だけでなく、ミネラルを含む飲み物でもあります。
お茶に含まれているミネラルの中でも、健康維持や体の機能を整えるうえで大切な役割を果たすミネラルは次の4つです。
- マグネシウム
- カルシウム
- ナトリウム
- カリウム
上記ミネラルは、普段の食事だけでは不足しがちなため、お茶を飲む習慣の中で手軽にミネラルが摂れるのは、心強い要素です。
参考:カテキンの種類と効果と摂取量|公益財団法人長寿科学振興財団
参考:緑茶に含まれる栄養素は?緑茶の心身に対する作用も解説|サントリーウェルネスOnline
マグネシウムが摂れるお茶の種類

マグネシウムは、骨の形成やエネルギー代謝、筋肉や神経の働きなど、私たちの健康維持に欠かせない、重要なミネラルの1つです。
しかし、現代の食生活では不足しやすいミネラルでもあり、意識的な摂取が推奨されています。
ここでは、マグネシウムを含む代表的なお茶の種類をご紹介します。
緑茶の種類によって含まれるマグネシウムの量は異なります。
抹茶:茶葉をまるごと摂取するため、ミネラルの摂取効率が高いマグネシウムをはじめとした栄養素を無駄なく取り入れられる
玉露:栄養価が高く、うまみ成分を多く含んでいる
煎茶、番茶:マグネシウムは含まれているが、抽出して飲むため、摂取できる量は抹茶よりやや少なめ
深蒸し茶は通常の煎茶よりも蒸し時間が長く、茶葉が細かくなるため、成分が湯に溶け出しやすいという特徴があり、マグネシウムも比較的多く抽出されやすいです。
茶葉をそのまま粉末にした粉末茶(粉末煎茶や粉末緑茶)は、抹茶と同様に茶葉を丸ごと摂取するため、ミネラル補給には非常に効果的です。
ほうじ茶は、加工の過程で一部の栄養素は減少するものの、もともとの茶葉に含まれるマグネシウムは残っており、飲みやすさとミネラル補給を両立できる点が魅力です。
カフェインが少ないため、就寝前や子どもでも安心して飲めます。
麦茶にはミネラルが比較的多く含まれており、マグネシウムの含有量もお茶の中ではやや高めです。
ノンカフェインで、夏場の水分・ミネラル補給として広く親しまれています。
ルイボスティーや一部のハーブティーにも、微量ながらマグネシウムが含まれているものがあります。
なかでも、ルイボスティーはノンカフェインで抗酸化作用にも注目されており、就寝前の一杯に適しています。
参考:マグネシウムが多いお茶は?様々なお茶のマグネシウム量を紹介!|森乃園
参考:夏の定番!麦茶の意外な健康効果とは?|虫歯予防や血糖値を下げるって本当?|山本山オンラインショップ
参考:ルイボスティーで便秘解消が期待できる?含まれる成分と効果、注意点も解説|健栄製薬
お茶の加工法でミネラル含有量は変わる?

お茶に含まれるミネラルは、加工方法や飲み方によって、実際に摂取できる量が変わる場合があります。
その理由として、ミネラルには水に溶けやすい「水溶性ミネラル」と、水に溶けにくい「不水溶性ミネラル」があり、お茶の抽出方法によって体に取り入れられる割合が異なるためです。
同じ茶葉でも、次のような加工法や飲み方で、ミネラルの摂取に差が生じます。
茶葉をお湯で抽出するため、水溶性ミネラル(カリウムなど)は摂取できますが、不水溶性ミネラル(カルシウムなど)は茶殻に残りやすくなります。
煎茶や玉露、番茶などがこの抽出方法でよく飲まれます。
茶葉が細かく加工されている分、やや成分が出やすくなっていますが、不水溶性ミネラルの摂取効率はやや低めです。
茶葉をそのまま粉砕してまるごと摂取できるため、水溶性・不水溶性の両方のミネラルを無駄なく取り入れられます。
ミネラル摂取を重視する場合、もっとも効率的な飲み方です。
このように、お茶は加工法や飲み方の工夫で、ミネラルの摂取効率を高められます。
目的に合わせた加工法の選定が、効率的なミネラル補給への近道となります。
参考:お茶に含まれるミネラルとは?日本茶のミネラル摂取方法もご紹介|煎茶堂東京

毎日の生活に取り入れやすいミネラル茶の習慣

ミネラルは体内での生産ができないため、日常的にこまめな摂取が大切です。
生活のさまざまなシーンに合わせたお茶の取り入れ方として、次の3つをご紹介します。
- 食事中や運動後などでこまめにお茶を摂取する
- ブレンドティーでミネラル不足を補う
- 夜のリラックスタイムにはノンカフェインのお茶が最適
健康維持や美容のためにも、ライフスタイルに合ったミネラル茶を取り入れてみましょう。
食事中や運動後などでこまめにお茶を摂取する
食事と一緒にお茶を飲むと、自然なかたちで水分とミネラルを同時に補えます。
なかでも、麦茶や深蒸し茶、粉末緑茶などはミネラルを含みやすく、日常の水分補給としておすすめです。
また、運動後は汗とともにナトリウムやマグネシウムなどが失われやすいタイミングです。
ミネラルを含んだ麦茶やルイボスティーなどで水分補給を行えば、体内のミネラルバランスの回復をサポートできます。
ブレンドティーでミネラル不足を補う
最近では、マグネシウムやカルシウムを意識したミネラルブレンド、鉄分やビタミンと組み合わせた美容ブレンドなど、栄養素を意識して作られたブレンドティーも多く販売されています。
とくに、ハトムギや杜仲茶、黒豆茶などの健康素材を取り入れたブレンドには、微量ながらもさまざまなミネラルが含まれており、栄養バランスの底上げに役立ちます。
味のバリエーションが豊富で、ミネラルだけでなく香りや味わいの面でも楽しめるため、同じお茶に飽きてしまいやすい人におすすめです。
参考:ブレンド茶・ハーブティー|ナチュラルファクトリー

夜のリラックスタイムにはノンカフェインのお茶が最適
就寝前に、水分とミネラルをしっかり摂取しておくと、夜間の脱水予防や身体の回復をサポートできます。
ただし、カフェインが含まれているお茶は覚醒作用があるため、就寝前はノンカフェインのお茶を選びましょう。
ルイボスティーやハーブティー、麦茶などは、マグネシウムやカリウムを微量ながら含んでおり、体にやさしく、リラックス効果も期待できます。
また、温かいお茶を飲むと、副交感神経が優位になり、睡眠の質向上や体内のミネラルバランスの維持にもつながります。
参考:【睡眠の質を上げる飲み物9選】寝る前に飲んで快眠を手に入れよう!|いびきメディカルクリニック
お茶でミネラル補給する際の注意点3つ

お茶は、手軽にミネラルを補給できる反面、飲み方や量によっては健康に影響を及ぼす可能性もあります。
お茶でミネラルを補給する際は、以下3つのポイントに注意しましょう。
- 飲みすぎはNG
- カフェインの摂りすぎには注意
- 特定の健康状態の方は医師に相談を
次に、それぞれのポイントについて、詳しく解説します。
飲みすぎはNG
お茶は、ミネラルや有効成分を含む健康的な飲み物ですが、飲みすぎには注意が必要です。
適量であれば体に良い成分も、過剰に摂取するとかえって不調を招く場合があります。
ミネラル補給が目的の場合も、「たくさん飲めばよい」というわけではありません。
たとえば、お茶に含まれるカテキン類(タンニン)は、胃の粘膜を刺激する性質があるため、空腹時や大量に飲んだときに胃痛や消化不良を起こす可能性があります。
また、短時間で大量のお茶を摂取すると、体内の水分バランスが崩れ、むくみにつながるおそれもあります。
身体にやさしく、無理なく続けられるよう、お茶を飲む量やタイミングに気をつけながら適度に取り入れていきましょう。
参考:水分補給にお茶は結局、良いの?ダメなの?|三菱ケミカル・クリンスイ株式会社
カフェインの摂りすぎには注意
お茶に含まれるカフェインには覚醒作用や利尿作用がありますが、過剰に摂ると以下のような影響が出る場合があります。
就寝前にカフェインを多く摂ると、寝つきが悪くなったり深い睡眠を妨げる可能性がある
過剰な覚醒作用により心拍数が上がり、ドキドキ感や不安を覚える可能性がある
妊娠中の方やカフェイン感受性が高い人は、ノンカフェインのお茶やカフェイン量の少ないほうじ茶、麦茶、ルイボスティーなどを選びましょう。
参考:カフェインの摂り過ぎに注意しましょう|奈良県医師会
特定の健康状態の方は医師に相談を
腎臓病や心疾患、高血圧などで食事制限や水分制限がある方は、お茶のミネラル成分や利尿作用が体調に影響を及ぼす可能性があります。
腎機能が低下している方の場合、カリウムの排出がうまくいかず、過剰に摂取すると体内の電解質バランスが乱れるリスクがあります。
持病がある方や体調に不安がある方は、ミネラル補給の手段としてお茶を取り入れる前に、かかりつけの医師や管理栄養士への相談をおすすめします。
参考:腎臓病とお茶|注目の「ほうじ茶」の効果効能、注意点などを解説|B-STYLE

まとめ|健康も美容もまずはお茶から!手軽においしくミネラルチャージ

お茶は、カテキンやテアニンといった有効成分に加え、カルシウムやカリウム、マグネシウムなどのミネラルも含む、優れた健康飲料です。
毎日の食事だけでは不足しがちなミネラルを、いつも飲んでいるお茶で手軽に補えるのは、大きな魅力といえるでしょう。
粉末茶やブレンドティーなど、加工法や種類によってミネラルの摂取効率にも違いがあるため、自分のライフスタイルや体調に合わせたお茶の選定が大切です。
美容や体調管理に役立つ「ミネラルチャージ」として、お茶を上手に活用してみてはいかがでしょうか。