仕事や育児、夜勤などが重なると、まとまった睡眠時間が取れず、気づかないうちに「分割睡眠」の状態になるケースは珍しくありません。
分割睡眠は日中の急な眠気を和らげたり、作業効率の維持につながるメリットがある一方で、取り入れ方を誤ると睡眠の質が下がり、体に負担がかかる可能性もあります。
本記事では、分割睡眠の基本から期待されるメリットや注意したいリスク、そして睡眠の質を高めるための具体的な対策について解説します。
自分のライフスタイルに合った、無理のない睡眠の取り方を探している方は、ぜひ参考にしてください。
分割睡眠とは?

分割睡眠は、昼間や夕方の仮眠など、睡眠を分けて取る方法です。
一般的な「夜にまとめて眠る方法」とは異なり、仕事や家庭の事情によって、自然と分割睡眠になっている方も少なくありません。
ここでは、分割睡眠がどのような睡眠なのか、詳しくみていきましょう。
1日の睡眠を何回かに分ける方法
睡眠には、夜にまとめて眠る「単相性睡眠」と分割して睡眠を取る「多相性睡眠」に分かれます。
分割睡眠は「多相性睡眠」に分類され、生活リズムや仕事の都合に合わせて、睡眠のタイミングを分散させる点が特徴です。
単相性睡眠と多相性睡眠の特徴は、以下表のとおりです。
| 睡眠様式 | 睡眠の取り方 | 特徴 |
|---|---|---|
| 単相性睡眠 | 夜にまとめて1回 | 一般的な睡眠スタイル |
| 多相性睡眠 | 1日を通して複数回 | 仮眠や昼寝を取り入れる |
分割睡眠の代表的なケースとしては、夜に5時間ほど眠り、昼に20分程度の仮眠を加える方法があります。
ほかにも、夜勤後の昼間に数時間眠る、夜の睡眠に加えて夕方に短い仮眠を取るケースも分割睡眠に含まれます。
睡眠時間の合計は同じでも、眠る回数や時間帯が異なる点が単相睡眠との大きな違いです。
分割睡眠になりやすい生活スタイル
分割睡眠は、特別な睡眠法として意識的に取り入れるよりも、仕事や家庭の事情など生活スタイルの影響によって、本人が気づかないうちに睡眠時間が分けられているケースが多く見られます。
主に、次のような生活環境は分割睡眠になりやすいです。
- 夜勤やシフト勤務の影響で仮眠を挟みながら生活している
- 子育てや介護によって夜中に何度か目を覚ます必要がある
- 深夜残業や早朝勤務が続き、夜にまとまった睡眠時間を確保しにくい
- 勉強や趣味の時間を夜に確保しており、睡眠時間が後ろ倒しになりやすい
- 夜に十分眠れず、昼間の眠気を短い仮眠で補っている
分割睡眠は、現代の生活リズムの中で自然に生じやすい睡眠の一つです。
自分では意識していなくても、すでに分割睡眠に近い状態になっている場合もあります。
分割睡眠のメリット3選|短い睡眠でもパフォーマンスを保てる?

分割睡眠を取り入れると、日中の眠気を和らげたり、作業効率が上がるなどのメリットがあります。
ただし、生活スタイルや取り入れ方によって感じ方が異なる点には注意が必要です。
ここでは、分割睡眠の代表的なメリットを3つ紹介します。
短い仮眠で眠気をリセットできる
短時間の仮眠は、強い眠気を一時的に和らげる効果が期待できます。
15分〜30分程度の仮眠を取ると、頭がすっきりし、その後の作業に集中しやすくなります。
特に眠気が出やすい14時前後に仮眠を入れると、午後のパフォーマンス維持につながりやすいとされています。
ただし、仮眠の時間が長いと目覚めたあとにぼんやりしやすくなるため、あらかじめ時間を決めて休むなどの工夫が大切です。
ストレスや疲労感の軽減につながる
分割睡眠では、夜の睡眠に仮眠を加えると、心身の負担が軽くなる場合があります。
疲労が蓄積した状態が続くと、十分な回復が追いつかず、ストレスを感じやすくなりがちです。
そこに短い仮眠を挟むと、疲労が一時的に軽減され、気持ちを切り替えやすくなる場合があります。
仮眠をうまく活用できれば、疲労回復のために必要な睡眠時間を極端に延ばさずに済むケースもあります。
作業効率の改善が期待できる
分割睡眠は、作業効率の維持や改善につながる可能性もあります。
特に夜勤や長時間勤務など、覚醒状態を保つ必要がある場面での適切な仮眠は非常に重要です。
夜勤中に2時間程度の仮眠を取ると、強い眠気や頭がぼんやりした状態を避けやすくなり、仕事中の判断ミスを減らせるとされています。
安全性や正確さが求められる仕事では、仮眠をまったく取らずに働き続けるよりも、こうした仮眠の活用がパフォーマンス維持につながる場合があります。
分割睡眠のリスク|健康面で気をつけたい4つのポイント

分割睡眠は、短期間では大きな支障がなくても、睡眠が分断される状態が続くと、体調や集中力に影響が出る場合があります。
特に注意したいリスクは次の4つです。
- 深い眠りに入りづらくなる
- 集中力や判断力が下がる可能性もある
- 体内時計が乱れやすい
- 睡眠負債がたまりやすくなる
ここでは、それぞれのリスクについて詳しく解説します。
深い眠りに入りづらくなる
分割睡眠では、睡眠が途中で区切られやすく、深い眠りに入りにくくなる傾向があります。
人間の睡眠は、浅い眠りから深い眠りへと段階的に移行する仕組みです。
そのため、まとまった時間が確保できないと回復に必要な睡眠が不足しやすくなります。
深い眠りが十分に取れない状態が続くと、朝起きたときに疲れが残ったり、睡眠時間のわりに休んだ感覚が得られなかったりする場合があります。
分割睡眠が続く際は、仮眠だけでなく夜の睡眠の質にも目を向けましょう。
集中力や判断力が下がる可能性もある
分割睡眠の状態が続くと、脳の休息が不十分になり、集中力や判断力に影響が出る可能性があります。
本人はそれほど眠気を感じていなくても、反応が遅くなったり、考えがまとまりにくくなったりする場合があります。
特に仕事や勉強、運転など、集中力を必要とする作業では、睡眠の取り方がパフォーマンスに直結しやすいため注意が必要です。
また、「なんとなく調子が悪い」と感じる状態が続く場合も、睡眠の取り方が影響している可能性があります。
体内時計が乱れやすい
分割睡眠を不規則に続けていると、体内時計が乱れやすくなります。
人間の体は、昼に活動し夜に休むリズムに合わせて、ホルモン分泌や自律神経の働きが調整されています。
睡眠時間や眠るタイミングが日によって大きく変わると、リズムが崩れやすくなり、眠りたい時間に眠れなかったり、日中に強い眠気を感じたりする原因になります。
体内時計の乱れは、体調管理の面でも影響が出やすいため、分割睡眠を取り入れる際は一定のリズムを意識しましょう。
睡眠負債がたまりやすくなる
分割睡眠では、睡眠負債がたまりやすくなる点にも注意が必要です。
睡眠負債とは、必要な睡眠が十分に取れていない状態が積み重なったものを指します。
睡眠の質や量が不足した状態が続くと、心身に次のような不調が現れやすくなります。
- 朝すっきり起きられず、目覚めが悪くなる
- 気分が不安定になり、イライラしやすくなる
- 日中の強い眠気やだるさが続く
- ホルモンバランスの乱れにより、体重増加や生活習慣病のリスクが高まる
- 自律神経の乱れによって、血圧の変動や不整脈が起こりやすくなる
- 精神的な不調が続き、抑うつ状態につながる場合がある
- 長期的には、認知機能の低下が指摘されるケースもある
分割睡眠が続く場合は、睡眠時間の合計や日中の体調などを手がかりに、睡眠負債がたまっていないかを定期的に振り返りましょう。
分割睡眠は、どうしてもまとまった睡眠が取れない状況で「最善を尽くす」ための手段です。本来人間の体は、太陽の動きに合わせて眠りと目覚めのリズムを作るように設計されています。
この100年で社会は劇的に変化しましたが、私たちの遺伝子や生物学的な仕組みはほとんど変わっていません。現代のライフスタイルにおいて、分割睡眠はやむを得ない選択肢になることもありますが、あくまで一時的な対処法と考えるべきです。
もし分割睡眠が長期にわたると、健康に大きな影響を及ぼす恐れがあります。体内で慢性的な炎症が起きやすくなるほか、体重の増加やメタボリックシンドロームの発症につながる可能性があります。さらに、免疫機能が低下したり、がんの発症リスクが高まったりすることも報告されています。
分割睡眠は短期間の対策にはなりますが、長期的な健康維持の観点では十分な注意が必要です。
ライフスタイルに合わせた分割睡眠の取り入れ方

分割睡眠は、夜勤や育児など、まとまった睡眠時間を確保しにくい生活リズムによっては支えになる場合があります。
一方で、体調によっては、かえって睡眠の質を下げてしまう可能性もあるため、自分のライフスタイルや体の状態に合っているかを見極めながら取り入れることが大切です。
ここでは、分割睡眠が役立つケースや取り入れる際に注意が必要なケースについて解説します。
夜勤や育児などでまとまって眠れない時に役立つ
分割睡眠は、夜勤や育児など、夜にまとまった睡眠時間を確保するのが難しい生活環境の中で、一時的な対処法として役立つ場合があります。
無理に長時間眠ろうとするよりも、短い仮眠を取り入れて睡眠を補うほうが、体への負担を抑えやすく、極端な睡眠不足も避けられます。
特に夜勤中や早朝勤務の合間に短い仮眠が取れると、強い眠気を和らげ、集中力を保ちやすくなります。
ただし、あくまで「今の生活を乗り切るための工夫」として捉え、生活リズムが落ち着いたら、できるだけまとまった睡眠に戻す意識も大切です。
睡眠障害や持病がある人は注意して取り入れる
分割睡眠は、すべての人にとって安全とは限りません。
睡眠時無呼吸症候群や不眠症などの睡眠障害がある場合、睡眠をさらに分断すると症状が悪化する可能性があります。
また、高血圧や心疾患、糖尿病などの慢性疾患を抱えている人は、睡眠の乱れが体調に影響しやすい傾向があります。
分割睡眠が続く場合は、自己判断せずに医師や専門家に相談しながら取り入れましょう。
体調に不安がある場合は、「仮眠を増やす」よりも「夜の睡眠の質を高める」方向を優先したほうが安心なケースもあります。
日中の強い眠気が続く場合は無理をしない
分割睡眠を取り入れていても、日中の強い眠気やだるさが改善しない場合は、睡眠負債がたまっている可能性があります。
特に仕事中や運転中に強い眠気を感じる場合は、集中力や判断力の低下につながるおそれがあります。
その状態で分割睡眠を続けるよりも、生活リズムを見直し、まとまった睡眠時間の確保を優先するほうが安全です。
眠気やだるさが続く場合は「眠気が取れない状態が続いていないか」を一つの判断基準として、分割睡眠を続けるかどうかの見直しが大切です。
分割睡眠に頼らない生活|睡眠の質を整える5つのポイント

分割睡眠を日常的に続けるよりも、まずは夜の睡眠の質を整え、体調や日中のパフォーマンスを安定させましょう。
睡眠の質が整うと、仮眠に頼らなくても日中の眠気や集中力の低下を防ぎやすくなります。
ここでは、普段の生活の中で意識したい睡眠の質を高めるポイントを5つ紹介します。
起きる時間と寝る時間を一定にする
睡眠の質を整えるうえで特に重要なのが、毎日の起床時間と就寝時間をできるだけ一定に保つことです。
人間の体内時計は、決まったリズムで動くほど安定しやすく、睡眠と覚醒の切り替えもスムーズになります。
なかでも意識したいのは「起きる時間」です。
起床時間を一定に保つと、夜になるにつれて自然と眠気が出やすくなり、入眠までの時間も短くなり、分割睡眠に頼らなくても日中の眠気を抑えやすくなります。
反対に、休日に遅くまで寝てしまうと平日のリズムが崩れ、体内時計がずれやすくなります。
毎日の起床時間を完璧にそろえる必要はありませんが、平日と休日の差を1時間以内に抑える意識があるだけでも、睡眠リズムは安定しやすくなります。
まずは、毎朝同じ時間に起きる習慣から始めてみましょう。
夕方以降(14時以降)の仮眠は避ける
仮眠は眠気を和らげる手段として最適な方法ですが、取る時間帯には注意が必要です。
特に夕方以降、目安として14時を過ぎてからの仮眠は、夜の睡眠に悪影響を与えやすくなります。
仮眠を取る場合は、昼食後から14時前後までを目安に、15分から30分程度に抑えるとよいでしょう。
人間の体は、午後から夕方にかけて徐々に活動モードから休息モードへ切り替わる準備を進めています。
14時以降に強い眠気を感じる場合は、仮眠で対処するよりも、早めに就寝できるよう生活リズムを整える意識が大切です。
就寝前の入浴で体を十分に温める
就寝前の入浴は、睡眠の質を整えるために取り入れやすい習慣の一つです。
体をしっかり温めると、リラックスしやすい状態に切り替わり、自然な眠気が出やすくなります。
入浴によって体温が一時的に上がると、その後ゆっくりと体温が下がっていきます。
この体温の変化に合わせて、自律神経は活動モードから休息モードへ移行しやすく、入眠までの流れも穏やかです。
目安としては、就寝の1〜2時間前にぬるめのお湯に浸かる方法が適しています。
熱すぎるお湯や就寝直前の入浴は、自律神経が刺激されて体が興奮状態になり、かえって寝つきが悪くなる場合があります。
湯船に浸かる時間が取れない日は、シャワーで済ませるよりも、足元や首元を温める意識を持つとよいでしょう。
自分の体に合った寝具を使用する
睡眠の質は、寝具との相性によって大きく左右されます。
体に合わない寝具を使い続けると、寝ている間に余計な力が入り、十分に休めない状態になりがちです。
寝具を選ぶ際、特に重要なのは、寝姿勢を無理なく支えられているかどうかです。
例えば、マットレスが柔らかすぎると体が沈み込みやすく、硬すぎると肩や腰に負担がかかりやすくなります。
また、枕の高さや硬さが合っていないと、首や肩に違和感が残り、夜中に目が覚めやすくなります。
高価な寝具を選ぶ必要はありませんが、「今の寝具で快適に眠れているか」を定期的に振り返る意識は大切です。
体への負担が少ない寝具に整えると、夜の睡眠が安定し、分割睡眠に頼らない生活にもつながります。
寝室の光・音・温度を整える
睡眠の質は、寝室の環境によっても大きく変わります。
光や音、室温が合っていないと、寝つきが悪くなったり、夜中に目が覚めやすくなったりします。
就寝時に強い照明や外からの明かりが入ると、体は活動モードに引き戻されやすいため、間接照明や遮光カーテンを活用し、寝室はできるだけ暗く保ちましょう。
また、寝室の温度や音も睡眠に影響を与える要素です。
寝室が暑すぎたり寒すぎたりすると、体は無意識に緊張し、深い眠りに入りにくくなります。
季節に応じて冷暖房や寝具を調整し、快適に感じる室温を保つと、睡眠は安定しやすくなります。
音に関しても、無音にこだわる必要はありませんが、自分にとって眠りやすい音環境を見つける意識が大切です。
参考:分割睡眠でも日中パフォーマンスを落とさない方法と寝具環境の最適解|koala
まとめ|睡眠の質が整えば日中のパフォーマンスも上がる

分割睡眠は、忙しい生活の中で一時的に役立つ反面、日常的に続けると睡眠リズムが乱れやすく、体調や集中力に影響が出るリスクもあります。
大切なのは、分割睡眠に頼り切るのではなく、まず夜の睡眠の質を整える意識を持つ姿勢です。
睡眠の質が安定すると、日中の眠気やだるさを感じにくくなり、仕事や家事のパフォーマンスも上がりやすくなります。
睡眠を「削る工夫」ではなく「整える習慣」として捉えると、心身の負担を抑えながら、安定した毎日を送りやすくなります。


