「最近、疲れやすくなった気がする」
「イライラが止まらない」
「夜、なかなか眠れない」
その症状、もしかすると「マグネシウム不足」が原因かもしれません。
マグネシウムは体内で800種類以上の酵素反応に関わり、疲労回復、ストレス軽減、睡眠の質向上など、心と体の健康を支える「縁の下の力持ち」です。
しかし、厚生労働省の調査によれば、日本人のマグネシウム摂取量は推奨量を下回っており、多くの人が不足傾向にあることが分かっています。
現代では精製された白米や加工食品が中心となり、私たちは知らないうちにこの重要なミネラルを失ってきたのです。
そこで今回はマグネシウムを活用したセルフケアで、毎日を快適に過ごすための実践方法をご紹介します。
まずは、あなたがマグネシウム不足かどうか、以下のセルフチェックから始めてみてください。
マグネシウム不足の人に起こりがちな7つの不調とは?
マグネシウム不足のセルフチェックの判定はいかがでしたでしょうか?
このセルフチェックだけでなく、あなたの現在の健康状況からもマグネシウム不足かどうかの目安をつけることができます。
以下のオーガニックサイエンスの公式YouTubeチャンネルでは、マグネシウム不足になると見られる7つの兆候について解説しています。
解説者は株式会社コミディア代表取締役であり、栄養カウンセラーでもある吉冨信長先生です。
約10分ほどの動画ですので、今すぐチェックしてみてください。
念のため、マグネシウム欠乏の7つの兆候をまとめておきますね。
- チョコレート渇望
- 片頭痛がよくある
- 不眠症・睡眠の質の低下
- 筋肉のけいれん
- 高血圧の傾向
- 血糖値が高い
- メンタル不調がある
これらの症状に心当たりがある方は、マグネシウム不足の可能性が高いと言えます。
それでは、マグネシウムがどのような働きをしているのか、詳しく見ていきましょう。
マグネシウムとは?体と心を支えるセルフケアに必須のミネラル

マグネシウムは、私たちの体に欠かせない必須ミネラルのひとつです。
骨や筋肉、神経に広く存在し、体内で800種類以上もの酵素反応に関わっています。
まずは基本的な働きから見ていきましょう。
マグネシウムの基本的な6つの働き
体内には約25gのマグネシウムが存在しており、その50〜60%は骨に、残りは筋肉や脳、神経に分布しています。
マグネシウムの主な働きは以下の6つです。
マグネシウムは筋肉を弛緩させる作用があり、カルシウムと協力して筋肉の動きを調整します。
不足すると筋肉が収縮しやすくなり、こむら返りや筋肉のけいれんが起こりやすくなります。
食事から摂った栄養素をエネルギーに変換するときに、マグネシウムは重要な役割を果たします。
疲れやすい、だるさが抜けないという症状は、エネルギー代謝の低下が原因かもしれません。
カルシウムとともに骨の構成成分となり、骨密度や骨の弾性を維持します。
マグネシウムが不足すると、骨がもろくなり骨粗しょう症のリスクが高まります。
神経細胞同士の情報伝達に関わり、神経の興奮を抑える働きがあります。
最新の研究ではうつ症状の緩和にも役立つことがわかっています。
血管を広げる作用があり、血液の流れをスムーズにして血圧を適正に保ちます。
マグネシウム不足は高血圧のリスク要因のひとつとされています。
腸内に水分を引き込む作用があり、便秘の改善に役立ちます。
慢性的な便秘に悩む方は、マグネシウムの摂取を心がけましょう。
参考:マグネシウム|厚生労働省eJIM
マグネシウムが心の健康に与える4つの効果

マグネシウムは体だけでなく、心の健康にも深く関わっています。
マグネシウムが心の健康に与える代表的な4つの効果を紹介します。
| 効果 | 詳細 |
|---|---|
| ストレスの軽減 | マグネシウムは、ストレスホルモンであるコルチゾールの分泌を抑え、リラックスしやすい状態を作ります。 |
| 不安やうつ症状の緩和 | マグネシウムは、❝幸せホルモン❞とも呼ばれるセロトニンの生成に関わっています。 セロトニンが適切に分泌されることで、不安感やうつ症状を軽減する効果が期待されます。 |
| 睡眠の質の向上 | マグネシウムは、リラックスを促す神経伝達物質であるGABA(γアミノ酪酸)の働きを助けます。 これにより、入眠がスムーズになり、深い睡眠をとりやすくなります。 |
| PMS(月経前症候群)の症状緩和 | 女性の場合、マグネシウムはPMSによるイライラや不安感を軽減する効果があります。 マグネシウムはホルモンバランスを整える手助けをするため、心の安定にも寄与します。 |
さらに嬉しい効果として、マグネシウムは抗動脈硬化作用があるため、若さを保つ「アンチエイジングミネラル」でもあるのです。
外見と内面の若々しさを保つことは、自信にもつながり、体にも心にもいいことだらけですよね。
このように、マグネシウムは体と心、両方の健康を支える重要なミネラルだと言えるでしょう。
なぜ現代人はマグネシウム不足なのか?

マグネシウムが私たちの心と体に重要な役割を果たすミネラルであるにもかかわらず、現代人の多くが不足傾向にあります。
厚生労働省の「国民健康・栄養調査」によれば、日本人のマグネシウム摂取量は推奨量を大きく下回っています。
参考:令和5年 国民健康・栄養調査結果の概要|厚生労働省
では、なぜ現代人はマグネシウムが不足しやすいのでしょうか?
主な理由は以下の5つが考えられます。
① 精製食品の増加
白米や白いパンなど、精製された穀物が中心の食生活では、マグネシウムが大幅に失われています。
② 天然塩から精製塩への切り替え
1972年の塩田全廃により、マグネシウム豊富な天然塩が食卓から消えました。
③ 加工食品・ファストフード中心の食生活
製造過程でミネラルが失われやすく、手軽さと引き換えに栄養不足を招いています。
④ ストレス社会
ストレスを受けると、体内のマグネシウムが尿として排出されやすくなります。
⑤ 日本の土壌と水質の特性
火山灰土でミネラルが少なく、軟水のためマグネシウム摂取が期待できません。
このように、現代人のマグネシウム不足は「個人の食生活の問題」だけでなく、社会構造や環境要因も大きく影響しています。
より詳しく知りたい方は、こちらの記事で解説していますのでご覧ください。
マグネシウムの効果的な摂取方法3選

マグネシウム不足を防ぐには、日々の生活の中で意識的に補給することが大切です。
マグネシウムの摂取方法は大きく分けて3つあります。
それぞれの特徴を理解して、自分に合った方法を見つけましょう。
① 食事から摂取する
最も基本的で安全な方法が、毎日の食事からマグネシウムを摂取することです。
食品から摂る場合、過剰摂取の心配がほとんどなく、他の栄養素もバランスよく摂れるというメリットがあります。
マグネシウムを多く含む食品は、以下です。
- 海藻類 : あおさ、わかめ、ひじき
- 大豆製品 : 納豆、豆腐、枝豆
- 穀類 : 玄米、そば、オートミール
- 魚介類 : あさり、牡蠣、干しエビ
- 野菜類 : ほうれん草、ごぼう、枝豆
- ナッツ・種実類 : アーモンド、カシューナッツ、ごま
これらの食品をバランスよく取り入れることで、マグネシウムだけでなく、他のミネラルや食物繊維も一緒に摂取できます。
忙しい方には、コンビニでマグネシウムを多く含む食品を紹介しているこちらの記事がおすすめです。
② サプリメントで補う
食事だけでは十分なマグネシウムを摂取できない場合、サプリメントを併用するのも有効な方法です。
【サプリメントのメリット】
・必要な量を確実に摂取できる
・持ち運びが簡単で外出先や仕事先でも摂取できる
・食事の準備が難しい時でも継続できる
【摂取時の注意点】
・1日の上限量(通常の食品以外からの摂取):350mgを守る
・過剰摂取すると下痢や軟便になることがある
・腎機能が低下している方は、医師に相談してから摂取する
おすすめのマグネシウムサプリメントについては、以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
③ 経皮吸収で取り入れる
食事やサプリメント以外に、皮膚から直接マグネシウムを吸収する「経皮吸収」という方法もあります。
経皮吸収には以下のような方法があります。
【エプソムソルト入浴】
硫酸マグネシウムを配合した入浴剤を使用し、入浴しながらマグネシウムを補給します。
温浴効果で筋肉のはりやこりを和らげるだけでなく、リラックスしやすくなります。
【マグネシウムバーム・クリーム】
マグネシウムが配合されたバームやクリームを、気になる部分に直接塗る方法です。
筋肉痛やこむら返りが起きやすい部位に塗ってマッサージすることで、局所的なケアができます。
科学的な研究や論文でマグネシウムは経皮吸収できることが検証されてはいますが、まだ研究段階の部分もあり、エビデンスは限定的です。
そのため、食事やサプリメントと併用する「補助的な方法」として取り入れるのがよいでしょう。
経皮吸収の詳しいメカニズムや効果については、以下の記事で解説しています。
1日に必要なマグネシウムの推奨量と実際の摂取量

厚生労働省が定める「日本人の食事摂取基準(2025年版)」では、年齢や性別によってマグネシウムの推奨量を以下のように定めています。
| 年齢 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 18〜29才 | 280mg | 340mg |
| 30〜49才 | 290mg | 380mg |
| 50〜64才 | 290mg | 370mg |
しかし、「令和5年の国民健康・栄養調査」によれば、実際の摂取量は以下となり、各年代で推奨量を約60〜110mgほど下回っていることが見て取れます。
| 年齢 | 女性 | 男性 |
|---|---|---|
| 年齢 | 女性 | 男性 |
| 20〜29才 | 193mg | 229mg |
| 30〜39才 | 197mg | 241mg |
| 40〜49才 | 214mg | 238mg |
| 50〜59才 | 229mg | 256mg |
より詳しくマグネシウムの1日あたりの推奨量と摂取量を知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
マグネシウムを活用したセルフケア習慣

マグネシウムを日常生活に取り入れる工夫として、無理なく続けられる小さな習慣を7つ紹介します。
①マグネシウムを含む朝食を意識する
朝食に納豆、豆腐の味噌汁、バナナ、アーモンドなどを取り入れましょう。
特に納豆1パック(約50g)には約50mgのマグネシウムが含まれており、手軽に摂取できます。
白米を玄米に変えるだけでも、マグネシウム摂取量が大幅にアップしますよ。
②天然塩を使って調理する
精製塩ではなく、海塩や岩塩などの天然塩を使うことで、毎日の料理からマグネシウムを補給できます。
③間食にナッツ類を食べる
仕事中の小腹が空いた時、お菓子の代わりにアーモンドやカシューナッツを食べてみましょう。
アーモンド10粒(約10g)には約30mgのマグネシウムが含まれています。
持ち運びも簡単で、デスクワーク中のストレス対策にも◎
④ランチで海藻類を選ぶ
外食やお弁当を選ぶ際、わかめの味噌汁や海藻サラダがついているメニューを選びましょう。
海藻類はマグネシウムを豊富に含む食材です。
⑤エプソムソルトで入浴する
1日の疲れを癒すバスタイムに、エプソムソルト(硫酸マグネシウム)を入れた入浴を取り入れましょう。
温浴効果とともにマグネシウムの経皮吸収が期待でき、心身ともにリラックスできます。
⑥マグネシウムバームでマッサージする
就寝前に、マグネシウム配合のバームを使って、疲れた足や肩をマッサージしましょう。
こむら返りが起きやすい方は、ふくらはぎに塗っておくと予防になります。
香り付きのバームを選べば、アロマ効果も期待できます。
⑦就寝前にサプリメントを摂取する
食事だけで推奨量に達しない場合は、就寝前にサプリメントを摂取するのも効果的です。
マグネシウムには神経を落ち着かせる作用があるため、睡眠の質向上にもつながります。
自分のライフスタイルに合った方法を見つけて、心と体を整えるセルフケアを続けていきましょう。
マグネシウムとセルフケアに関するよくある質問

Q1:マグネシウムが不足するとどんな症状が出ますか?
マグネシウム不足により、以下のような症状が現れることがあります。
【身体的症状】
筋肉のけいれん、こむら返り、慢性疲労、頭痛、不整脈、便秘など
【精神的症状】
イライラ、気分の落ち込み、不安感、集中力の低下、不眠など
これらの症状にいくつか心当たりがある方は、マグネシウム不足の可能性があります。
長期的には骨粗しょう症や高血圧などのリスクも高まるため、早めに対策するようにしましょう。
Q2:マグネシウムとカルシウムはどちらを優先するべき?
どちらも重要ですが、現代人はマグネシウムの方が不足しがちです。
理想的なバランスは「カルシウム:マグネシウム = 2:1」ですが、実際にはカルシウム過多になっていることが多いと考えられます。
さらに、カルシウムを過剰に摂取すると、余った分が尿として排出される際にマグネシウムも一緒に失われてしまいます。
カルシウムのサプリを飲んでいる人ほど、意識的にマグネシウムも補いましょう。
Q3:マグネシウムサプリは毎日飲んでも大丈夫?
推奨量の範囲内であれば、毎日の摂取は問題ありません。
厚生労働省が定める1日の耐容上限量は、成人の場合 350mg/日です。
ただし、以下の点に注意してください。
・過剰摂取すると下痢になることがある
・腎機能が低下している人は医師に相談する
健康な人であれば、体に必要な分だけ吸収され、余った分は排出されるため安全です。
参考:6. 1. 4.マグネシウム(Mg)|厚生労働省
まとめ|マグネシウムを活用して効果的なセルフケアを
マグネシウムを生活にうまく取り入れることで、自律神経の乱れや慢性的な疲労、ストレスの蓄積をやわらげ、心身のバランスを整えることができます。
忙しい毎日でも、食事・サプリ・経皮吸収などのセルフケアを習慣化することで、無理なく心と体をリセットできるようになるはずです。
すぐに全部をやろうとする必要はありません。
少しずつでもいいので、ときには自分のための時間を意図的に設け、今回ご紹介したセルフケアを始めてみてはいかがでしょうか?


