虫に刺されたときのかゆみは、日常生活において思わぬストレスになります。
特に夏場は蚊に刺されやすく、かゆみに悩まされる方もいらっしゃるのではないでしょうか?
子どもや敏感肌の方がステロイドや抗ヒスタミン剤などの強い薬を使うと、肌に刺激を強く感じてしまう場合もあります。
「できるだけ薬を使わない自然な対処法はないのか?」とお悩みの方におすすめしたいのが、マグネシウムでの虫刺されによるかゆみ対策です。
この記事では、マグネシウムが虫刺されのかゆみに対してどう働くのか、科学的な根拠や具体的な活用法をわかりやすく解説します。
肌にやさしいかゆみ対策をお探しの方は、ぜひ参考にしてください。
マグネシウムが虫刺されの「かゆみ」に効く理由と根拠

マグネシウムは私たちの体内の約800種類以上の酵素反応に関与しており、エネルギーの産生や神経の伝達、筋肉の弛緩、ストレスの低減、体温や血圧の調整など、さまざまな重要な働きを担っています。
そのなかでも、今回はマグネシウムの皮膚への働きを紹介し、マグネシウムがかゆみを和らげる理由と根拠を解説していきます。
マグネシウムの皮膚への働き
マグネシウムの皮膚への働きは、主に以下のようなものが挙げられ、虫刺されによるかゆみを抑えると考えられます。
虫刺されのかゆみや赤みは、皮膚で「ヒスタミン」などの炎症性物質が放出されることで引き起こされます。
マグネシウムには、こうした炎症反応を穏やかに抑える作用があるとされており、肌の炎症を鎮めるサポートが期待できます。
マグネシウムは神経の過剰な活動を制御する働きがあり、かゆみを伝える神経の過敏さを和らげるとされています。
マグネシウムには抗菌作用があり、虫刺されによる炎症や感染症を防ぐのに役立つとされています。
マグネシウムは皮膚のバリア機能を回復させ、外部刺激から皮膚を守るのに役立ちます。
マグネシウムとかゆみの関係については、こちらの記事でも詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。

マグネシウムのかゆみ軽減に関するエビデンス
現時点では、マグネシウムが直接的にかゆみを抑制するという明確なエビデンスは不足していますが、以下の海外論文ではマグネシウムの抗炎症作用や皮膚機能への影響を通じて、間接的にかゆみを落ち着かせる可能性が示唆されています。
“Magnesium (Mg) may have several beneficial effects on human health outcomes. One hypothesized mechanism eliciting such effects is the action of Mg on serum inflammatory parameters.(中略)In conclusion, Mg supplementation may significantly reduce different human inflammatory markers, in particular serum CRP and NO levels.”
「マグネシウム(Mg)は、人の健康に対していくつかの有益な効果をもたらす可能性があります。こうした効果を引き起こすメカニズムとして仮説が立てられているのが、マグネシウムが血清炎症パラメーターに作用するというものです。(中略)結論として、マグネシウムの補給は、特に血清中のC反応性タンパク質と体内の一酸化窒素レベルを中心とするさまざまな炎症マーカーを有意に減少させる可能性があります」
引用:Effect of Magnesium Supplementation on Inflammatory Parameters: A Meta-Analysis of Randomized Controlled Trials|MDPI
このことは、マグネシウムが炎症を鎮めることで、結果的にかゆみの症状を緩和するのに役立つと言えます。
また、以下の論文ではマグネシウムの欠乏が炎症を引き起こし、かゆみを含む皮膚症状を悪化させる可能性があることを報告しています。
“During the progression of Mg deficiency in a rodent model, we have observed dramatic increases in serum levels of inflammatory cytokines [interleukin-1 (IL-1), interleukin-6 (IL-6), and tumor necrosis factor-alpha (TNF-alpha)] after 3 wk on a Mg-deficient diet.”
「マグネシウム(Mg)欠乏を誘発したラットモデルにおいて、Mg欠乏食を3週間与えた後に、炎症性サイトカイン〔インターロイキン-1(IL-1)、インターロイキン-6(IL-6)、および腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α)〕の血清レベルが著しく上昇することを観察しました」
引用:Pathobiology of magnesium deficiency: a cytokine/neurogenic inflammation hypothesis|PubMed
この研究からは、マグネシウムを摂取することで炎症が緩和され、かゆみなどの症状を和らげる可能性があると言えるでしょう。
マグネシウムを活用した虫刺されのかゆみ対策3選

ここでは、マグネシウムを使って虫刺されのかゆみを和らげる具体的な方法を3つご紹介します。
- マグネシウム入浴
- マグネシウムクリーム・スプレー
- マグネシウムサプリメント
順番に確認していきましょう。
マグネシウム入浴
エプソムソルト(硫酸マグネシウム)などを用いた入浴法は、海外では古くからリラクゼーションや筋肉疲労のケアとして親しまれてきました。
全身の炎症を穏やかに抑える、神経の興奮を鎮めるなどの観点から、虫刺されによるかゆみに対しても有効だと考えられます。
使い方は簡単で、150〜200リットルのお湯に150〜300g(約1カップ) のエプソムソルトを入れて、15〜20分程度ゆったりと浸かれば、体を温めながら成分をしっかり吸収できるでしょう。
エプソムソルトや皮膚から成分が吸収される仕組みについては、以下の記事を参考にしてください。


マグネシウムクリーム・スプレー
患部に直接使えるのがマグネシウムの外用タイプです。
マグネシウムクリームやスプレー、オイル、バームなど、さまざまな形態があります。
市販薬のような即効性は高くはありませんが、肌にやさしい処方のため、小さな子どもや肌の刺激に弱い方にも使いやすいのが魅力です。

マグネシウムサプリメント
体内のマグネシウムが不足していると、神経の過敏さや免疫反応が強く出やすくなる可能性があります。
マグネシウムのサプリメントを摂取することで、体内のマグネシウムレベルを高め、全身の炎症を落ち着かせることが考えられます。

虫刺されの「かゆみ」はなぜ起きる?

そもそも、なぜ虫に刺されるとかゆみが生じるのか?
かゆみが起こる仕組みと対処法、注意点について解説していきます。
虫刺されによるかゆみの原因とメカニズム
虫に刺されると、皮膚に「異物(蚊の唾液成分など)」が侵入し、体は「これを排除しよう」と免疫反応を起こします。
この際にヒスタミンという物質が分泌され、皮膚の神経が刺激されることで、私たちは「かゆみ」を感じるのです。
ヒスタミンはまた、毛細血管を拡張させて血流を促進し、赤みや腫れも引き起こします。
つまり、虫刺されのかゆみは「アレルギー反応」の一種だと言えます。
虫刺されによるかゆみの一般的な対処法と注意点
虫刺されの一般的な対処法は、患部へ薬を直接塗ることです。
かゆみや赤みを抑える薬としては、主に以下の3種類が利用されます。
薬の種類 | 特徴 |
---|---|
ステロイド | 強力な抗炎症作用を持ち、赤みや腫れ、かゆみをすばやく抑える効果があります |
抗ヒスタミン薬 | かゆみの原因物質であるヒスタミンの作用を抑制し、アレルギー反応を緩和します |
鎮痒(ちんよう)薬 | 患部の神経に働きかけて、かゆみそのものを鎮める作用があります |
ただし、これらの薬を使用する際には以下の点に注意が必要です。
- 長期間使用すると副作用が起きる可能性がある
- 敏感肌や小さな子どもには刺激が強すぎることがある
- 化学成分にアレルギー反応を示す場合がある
- 虫刺されを掻いて傷になっている部分に塗ると、しみて痛みを伴うことがある
こうした一般薬はかゆみや炎症に直接働きかけるため高い効果が見込めますが、副作用や体への影響を考えると、使い方には注意が必要です。
とくに、自然派志向の方や、肌へのやさしさを重視したい方には、マグネシウムのような天然成分によるかゆみへの対処が新たな選択肢となり得るでしょう。

もう一つ興味深い視点として挙げられるのは、「かゆみを和らげる物質」に対する東洋医学の見解です。
中国医学において、かゆみは「熱性の毒素」(例えば蚊の唾液)と、皮膚の根本的な乾燥によって引き起こされると考えられています。
そのため、皮膚を潤すと同時に、冷性の性質を持つ生薬や物質(例:マグネシウム)を使用するというのが基本的な理論です。
この理論に基づくと、マグネシウムを含む外用製剤が有用とされる理由も明確です。
皮膚を保湿することで「乾燥」を防ぎ、冷却作用によって「熱」を鎮める(=炎症やヒスタミン反応を抑える)ことができるのです。
さらに、マグネシウムに加えて取り入れると良いのが、ビタミンB1の経口摂取です。
その理由は、ビタミンB1が代謝された際に体臭として皮膚から排出される「特有のにおい」にあります。
このにおいは、ニンニクや酢と同様に蚊が嫌うとされており、蚊に刺されにくくなる予防的効果が期待できます。
まとめ:虫刺されの自然なかゆみ対策としてマグネシウムを活用しよう!
今回はマグネシウムが虫刺されのかゆみに対してどう働くのか、そのメカニズムとエビデンス、マグネシウムを活用したかゆみ対策を解説してきました。
虫刺されによるかゆみを抑える場合、一般的にはすぐに効果が現れやすい医薬品を使用する方が多いかと思われます。
しかし、肌のデリケートな方や副作用を避けたい方、自然な処方でかゆみを緩和したい方には、マグネシウムを使ったケアがおすすめです。
ぜひこれからの新しいかゆみ対策として、マグネシウム製品を取り入れてみてはいかがでしょうか?