「筋トレ後の筋肉痛がなかなか治らない」
「筋肉を効率よくつけるには何が必要?」
「筋トレのパフォーマンスを上げるいい方法はないの?」
こうしたお悩みをお持ちの方に朗報があります。
それが今回ご紹介する「マグネシウム」です。
マグネシウムは筋肉の収縮と弛緩、エネルギー生成、タンパク質合成に関わる必須ミネラル。
激しい運動をする人やアスリートは、マグネシウムが汗と尿から失われてしまうため、一般の人より10〜20%多く摂取する必要があることが研究で明らかになっています。
この記事では、マグネシウムが筋肉にとって欠かせない理由やマグネシウムと筋肉の関係を科学的根拠とともに解説し、さらに、筋肉痛を軽減するマグネシウムの摂取法も3つ紹介していきます。
健康的な筋肉を手に入れたい、筋肉を効率よくアップしたいという方は、今回の記事を参考に筋トレ効果を最大限に高めてください。
参考:Effects of magnesium supplementation on muscle soreness in different type of physical activities: a systematic review|PubMed
マグネシウムが筋肉に必要な4つの理由

マグネシウムは私たちの体内で800以上の化学反応に関わる必須ミネラルであり、特に筋肉にとってなくてはならない存在です。
筋トレの効果を最大化し、筋肉痛を軽減するために、マグネシウムが筋肉に必要な4つの理由を見ていきましょう。
筋肉は収縮と弛緩で動いているとお伝えしましたが、実はここにマグネシウムが影響しています。
収縮にはカルシウム、そして弛緩にはマグネシウムが必要なのです。マグネシウムは自然なカルシウムブロッカーとして機能し、筋肉が収縮後に弛緩するのを助けます。
十分なマグネシウムがないと、筋肉が収縮したままになり、けいれんや足のつり、こむら返りを引き起こす可能性があるのです。
特に運動や疲労でマグネシウムが消耗されている時には、筋肉の回復において、マグネシウムの補給が大切です。
マグネシウムはATP(アデノシン三リン酸)の生成に関与しています。
ATPとはエネルギーを細胞に届ける役割をしている分子で、マグネシウムが不足してATPが充分生成されないと、エネルギーを細胞に届けることが難しくなるのです。
ATPは筋肉の収縮に必要なエネルギー供給も行っているため、ATPの生成が効率的でないと、筋肉の疲労が早まり、パフォーマンスが低下すると考えられます。
つまり、マグネシウムなしでは筋肉を動かすエネルギーを作ることも使うこともできないのです。
マグネシウムは、筋肉の修復と成長に必要なタンパク質の合成に関わっています。
リボソームの機能をサポートすることで、タンパク質合成を促進しているのです。
タンパク質は筋肉の主要な構成要素であり、その合成が十分でないと筋肉の回復や成長が妨げられます。
マグネシウムは電解質バランスを維持して、筋肉機能と水分補給を調整します。
電解質は細胞内外の水分移動を調整し、筋肉の収縮や神経伝達をサポートするもの。
特に長時間の運動や高温環境での活動中には、電解質のバランスが崩れやすいため、マグネシウムの補給が重要です。
マグネシウム不足で起こる筋トレへの3つの悪影響

マグネシウムが不足すると、筋トレの効果が落ちるだけでなく、体にさまざまなトラブルが現れることがあります。
特に激しいトレーニングを続けている人は、マグネシウムが汗と尿から失われやすく、知らないうちに慢性的なマグネシウム不足の状態になりがちです。
ここでは、マグネシウム不足が筋トレに与える3つの具体的な悪影響を解説します。
筋肉痛が長引く
通常、筋トレ後の筋肉痛は2〜3日で治まりますが、マグネシウムが不足していると1週間以上続く場合もあります。
これは、マグネシウム不足により筋肉の炎症反応が過剰になったり、タンパク質の合成がスムーズに進まなかったりするためです。
マグネシウムは血管を緩める働きがあります。
マグネシウム不足になると、筋肉への血流が減り、酸素や栄養素が届きにくくなるため、筋肉痛の回復が遅くなってしまうのです。
こむら返りが起きやすくなる
トレーニング中に突然ふくらはぎがつったり、寝ている時に足がつって目が覚めたりするのは、マグネシウム不足の典型的なサインです。
筋肉の収縮にはカルシウム、弛緩にはマグネシウムが必要ですが、マグネシウムが不足すると筋肉が収縮したまま緩まなくなり、強い痙攣を引き起こします。
こむら返りを放置すると、筋肉の微細な損傷が蓄積し、肉離れなどの大きな怪我につながるリスクもあるので注意しましょう。
以下のオーガニックサイエンスの公式YouTubeチャンネルでは、こむら返りのリスクや対処法を解説しています。
「中井鍼灸院」院長の小島友美子先生が、わかりやすく紹介しているのでぜひご覧ください。
パフォーマンスが低下する
マグネシウムが不足すると、ATP(エネルギー)の生成効率が落ち、筋力をうまく使えなくなってしまいます。
ベンチプレスやスクワットで、いつもより軽い重量でも限界を感じるようになるのです。
さらに、エネルギー供給が不安定になり、スタミナ切れを起こしやすくなります。
「自分はマグネシウム不足になっていないか?」
そのように気になった方は、以下のマグネシウム不足のセルフチェックをお試しください。
簡単な質問に答えていくだけなので、1分ほどで完了しますよ。

【科学的根拠】マグネシウムと筋肉の関係

海外ではマグネシウムをサプリで摂り入れる習慣が一般化しつつあり、多くの研究や実験も行なわれています。
今回はその中でも筋肉に関連しているものを紹介します。
筋痙攣とマグネシウムの研究
American Journal of Clinical Nutritionに掲載された研究では、アスリートの筋痙攣の頻度と強度がマグネシウム補給により大幅に減少したことが示されました。
筋肉のけいれんを引き起こすような強度のトレーニングを行う被験者に、1日350mgのマグネシウムサプリメントを投与する。
9名の男性と13名の女性
・主観的筋肉痛の軽減:マグネシウム補給グループは、対照グループと比較して筋肉痛が有意に軽減しました。
・パフォーマンスの向上:運動後の筋肉回復感が向上しました。
・血糖値の変化:運動後の血糖値に対する有益な効果が観察されました。
これらの結果は、マグネシウム補給が運動後の筋肉痛を軽減し、回復を促進する可能性があることを示唆しています。
運動誘発性筋肉痛の研究
こちらはJournal of Sports Science & Medicineに掲載された研究で、マグネシウム補給が運動誘発性筋肉痛に及ぼす影響を調査したものです。
(この研究は数多くのマグネシウムに関連するリサーチがベースになっています)
主要な論文サイトなどから、関連する論文を検索し、1254件の論文を検出。
それらをスクリーニングし、4件が最終的にレビューの対象として適格基準を満たしていると判断し、内容をまとめた。
4つの研究で、計73名(60名の男性と13名の女性)が参加した。
MgSは筋肉痛を軽減し、パフォーマンスと回復を改善し、筋肉の損傷に対して保護効果を示した。
激しい運動に従事する人々は、静止した人々よりも10〜20%高いマグネシウム摂取量を推奨され、運動の2時間前にサプリなどで摂取することが推奨されることがわかった。
【最新】健康な筋肉に必要なマグネシウムとカルシウム比率

筋肉の健康を維持するためには、カルシウムとマグネシウムのバランスを保つことが重要です。
体内のマグネシウムの約60%は骨や筋肉に存在しています。
筋肉内のマグネシウムは細胞内液に集中しており、成人の体内には平均約25gのマグネシウムが含まれています。
一方、カルシウムの99%は骨と歯に。
残りは血液、筋肉、神経などの軟組織に存在しており、成人の体内に約1kg(体重の1〜2%)のカルシウムがあります。
昔はカルシウムとマグネシウムの比率は「4:1」が良いと言われていましたが、さまざまな研究が進むにつれて、現在は一般的にカルシウムとマグネシウムの比率は「2:1」が推奨されています。
(海外では「1.5:1」や「1:1」を推奨している場合も)
関連記事:マグネシウムとカルシウムは一緒に摂るべき?関係性や効果的な比率と注意点
マグネシウムとカルシウムの比率を知っておくことは重要なことではありますが、意識すべきは自分の体調やコンディションに応じて、栄養を調整することです。
こむら返りが頻繁に起こったり、ひどい肩こりや眼精疲労による瞼などの痙攣、なかなか治らない筋肉痛などの症状がある場合には、マグネシウムを多く補給すると良いでしょう。
また、以下のような人はマグネシウムが失われやすくなっているため、食事やサプリなどでマグネシウムを意識的に摂り入れましょう。
- 小麦粉や砂糖、白米などの精製食品をよく食べる人
- コーヒーやお酒を飲む人
- 激しい運動をする人
- 睡眠に悩みがある人
- 疲れが溜まりがちな人
筋肉痛を軽減するマグネシウムの摂取法3選

WHOでは成人男性のマグネシウムの推奨摂取量は1日あたり400〜420mg、成人女性は310〜320mgとしていますが、多くの人が不足しがちです。
ではどのようにしてマグネシウムを摂取して筋肉をケアすればいいのか?
それは「食事・サプリメント・経皮吸収」という3つの摂取方法がおすすめです。
以下、順番に解説していきます。
食事によるマグネシウムの摂取
基本的にマグネシウムに限らずすべての栄養素に言えるのは、バランスの取れた食事から摂取するのが最善であるということです。
マグネシウムが豊富に含まれる食材は以下の通り。
ぜひ積極的に摂り入れてみてください。
ほうれん草、ケール、スイスチャードはマグネシウムの優れた供給源です。
これらの野菜は、マグネシウムだけでなく、他の重要なビタミンやミネラルも豊富に含んでいます。
アーモンド、かぼちゃの種、ひまわりの種は多くのマグネシウムを含んでいます。
これらは手軽に摂取できるだけでなく、健康的な脂肪やタンパク質も提供します。
玄米、キヌア、オーツも優れたマグネシウム源です。
これらの穀物は、炭水化物としてエネルギーを提供し、食物繊維も豊富に含まれています。
豆、レンズ豆、ひよこ豆はマグネシウムが豊富です。
これらは植物性タンパク質の供給源でもあり、ベジタリアンやビーガンの食事にも適しています。
下記ではコンビニで買えるマグネシウムが豊富な食品を紹介しているので、こちらもあわせてご参照ください。
サプリメントでのマグネシウムの摂取
マグネシウムは基本的に食事から摂取するのがベストであるとお伝えしましたが、サプリメントで補助的に補うのも有効な方法です。
なぜなら、日々マグネシウムを考慮した献立を考えるのは負担が大きいため、現代人の食事は小麦や白米、砂糖などマグネシウム含有量が少ない食品を口にすることが多くなっているためです。
そのため、すでにマグネシウム不足を感じている人は、マグネシウムをサプリメントで補うのがベターだと言えます。
サプリメントは、吸収率や効果に違いがあります。
便秘薬でもマグネシウムの一種である酸化マグネシウムが処方されますが、これは細胞内にマグネシウムを取り込むには適していない種類です。
昔から使われる塩化マグネシウムや、細胞膜と同じリン脂質のカプセル・リポソーム化したマグネシウムなど、吸収率を考慮したマグネシウムサプリを摂り入れるようにしましょう。
関連記事:マグネシウム不足の原因とは?体に起こる症状や改善策も解説!
関連記事:マグネシウムサプリのおすすめはこれ!人気5選&吸収率で選ぶ失敗しないコツ
経皮吸収によるマグネシウムの摂取
マグネシウムは食事やサプリメントといった経口摂取だけでなく、経皮から摂取する方法もあります。
特にマグネシウムを摂取して下痢や胸やけなどの反応が出やすい人は、まずは経皮吸収を試してみるのもいいかもしれません。
もちろん経皮吸収したマグネシウムが内臓や体の内部にまで届くというわけではありませんが、こむら返りや眼精疲労、肩こり、肌トラブルなど表面的なお悩みの改善をサポートしてくれます。
経皮吸収の方法には主に2パターンあります。
マグネシウムバームやクリームを肌に塗布すると、筋肉のリラックスと痛みの軽減に役立ちます。
バームやクリーム以外にも、オイルスプレータイプのものなどバリエーションも増えてきているので、ご自身の好みに合わせて使い分けると良いでしょう。
ただし、製品によっては刺激が強く肌がひりひりすることも多いため、製品選びには気を付けましょう。
エプソムソルト(硫酸マグネシウム)を使った入浴は、筋肉の痛みを和らげ、リラックスを促進します。
温かいお湯にエプソムソルトを加えることで、マグネシウムの皮膚からの吸収が示唆されています。
関連記事:マグネシウム風呂の効果とは?疲労回復・美肌を目指す健康入浴法
まとめ|筋肉痛の軽減にはマグネシウムの摂取で健康的なケアを!
マグネシウムは私たちの生命維持だけでなく、筋肉の弛緩、エネルギー生成、タンパク質合成という、筋トレに欠かせない必須ミネラルです。
不足すると筋肉痛が長引くだけでなく、こむら返りが起きやすくなり、パフォーマンスの低下にもつながります。
今回ご紹介したマグネシウムの3つの摂取法=「食事・サプリメント・経皮吸収」を意識して、マグネシウムを摂取してみてください。
適切にマグネシウムを補給することで、あなたの筋トレ効果を最大限に引き出し、筋肉痛や筋肉疲労の回復に役立つはずです。

