「生理前になると、毎回気分が落ち込む…」
「頭痛や下腹部の痛みで何も手につかない…」
そんなPMS(月経前症候群)の悩みを抱えている女性は、決して少なくありません。
日常生活に支障をきたすほどの症状を経験している人も多い中で、薬に頼ることに不安を感じている方もいるでしょう。
そんな中、PMSのつらさを軽減してくれる栄養素として注目されているのが「マグネシウム」です。
マグネシウムは、ホルモンバランスや神経の安定、筋肉の調整など、私たちの体内でさまざまな役割を担っているほか、PMSの多くの症状にも深く関係しているとされています。
今回は、PMSのつらい症状とマグネシウムとの関係について科学的な視点から解説し、日常生活で実践できるセルフケア法をご紹介します。
PMS軽減にマグネシウムが効く理由

生理前になると、心身のさまざまな不調を感じる人は多いでしょう。
頭痛やイライラ、気分の落ち込み、下腹部の痛みに便秘…。
これらの主な原因は「ホルモンバランスの乱れ」です。
特に排卵後から生理開始までの時期に、女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンのバランスが大きく変化し、それが自律神経や感情、身体の調子に影響を与えるとされています。
そんなPMSの不調を改善する手立ての一つとして注目されているのが、マグネシウムです。
マグネシウムには、ホルモンバランスを整えたり、神経の興奮を抑えたりする作用があるため、PMSのつらい症状を和らげるのに役立つ可能性があると期待されています。
参考:マグネシウムでPMSは改善できる?摂取方法や栄養素を解説│はなさく生命
PMSとマグネシウム不足の関係
「PMSの症状が強く出るのは、マグネシウム不足が原因の可能性がある」と言われても、いまいちピンと来ない人が多いでしょう。
しかし、実際にPMSの症状が強く出る女性には、血中マグネシウム濃度が低い傾向があるという研究報告があります。
特に、イライラや情緒不安定、頭痛、筋肉のこわばりといった症状が強い人は、マグネシウムが不足している可能性が高いと考えられているのです。
マグネシウムが不足すると、神経伝達がうまくいかず情緒が乱れやすくなったり、筋肉の緊張が取れずに痛みが出やすくなったりするため、PMSの症状がより重く、長引いてしまうケースもあります。
とりわけ現代の日本人は、マグネシウムが不足しやすいライフスタイルを送っているといわれています。
では、もしマグネシウムを積極的に摂取したら、どのようなメリットが予想されるのでしょうか?
マグネシウムがもたらす効果
マグネシウムを十分に摂取すると、次のような効果に期待できます。
- イライラや不安感の軽減
- 頭痛や筋肉の痛みの緩和
- 睡眠の質の向上による疲労回復
どの程度の変化が表れるかには個人差がありますが、マグネシウムがPMSのさまざまな不調に有効である以上は、できるだけ習慣的にマグネシウムを摂取したいところです。
特に、マグネシウムには女性ホルモンの分泌をサポートする働きがあります。
マグネシウムが不足すると、ホルモンバランスがさらに乱れ、PMSの症状が強まる──という悪循環に陥ることも。
日々の暮らしの中で意識的にマグネシウムを取り入れて、PMSの改善を試みましょう。

マグネシウムでPMSを軽減しよう!

では実際に、PMSによって現れるさまざまな不調に対して、マグネシウムがどのように作用するのかを具体的に見ていきましょう。
頭痛や吐き気、便秘、気分の落ち込みなど、多くの女性が経験する症状のメカニズムと、マグネシウムの働きについて解説します。
頭痛
生理前の頭痛は、エストロゲン(卵胞ホルモン)の急激な減少と、それに伴うセロトニンの分泌低下によって引き起こされるとされています。
セロトニンには血管を収縮させる働きがありますが、その分泌が減ると血管が拡張し、脳の神経が刺激されて頭痛が生じやすくなるのです。
マグネシウムにはホルモンのバランスを整える作用があるため、積極的に摂取することで、PMSによる頭痛を軽減できる可能性があります。
事実、片頭痛を持つ人を対象とした調査では、マグネシウムを摂取することで発作の頻度や重症度が減少したという結果が報告されています。
参考:PMS(生理前症候群)とは│池袋アイリス婦人科クリニック
参考:頭痛の原因はマグネシウム不足かも?MSSサプリで不足しがちな栄養をサポート│いわた脳神経外科クリニック
吐き気
PMSの代表的な症状の一つである「吐き気」は、子宮の収縮を促す「プロスタグランジン」という物質の過剰分泌により引き起こされる場合があることがわかっています。
この物質は子宮だけでなく、胃や腸などの消化管にも影響を及ぼし、平滑筋を収縮させて吐き気や胃のムカつきを引き起こす場合があります。
これらもやはりホルモンバランスの変化によって生じる症状ですが、実はマグネシウムには、プロスタグランジンの働きを抑制する作用もあります。
そのため、子宮の過剰な収縮を和らげ、結果的に吐き気や胃の不快感を軽減する効果にも期待されています。
参考:PMS(生理前症候群)とは│池袋アイリス婦人科クリニック
便秘
生理前になると便秘になるという方も多いでしょう。
便秘の原因も、やはりホルモンバランスの変化が影響しています。PMSの便秘は、ホルモンバランスの変化によって腸の動きが鈍くなるのが原因なのです。
マグネシウムには腸のぜん動運動を促進する働きがあるほか、水分を腸内に引き込むことで便を柔らかくする働きも。
マグネシウムを積極的に摂ることで、PMSによる便秘や腹部の張りといった不快感をケアできます。

下腹部痛
生理前や生理中に感じる下腹部の鈍い痛み。これも子宮の収縮が原因とされていますが、マグネシウムには筋肉の収縮を調整する働きがあり、過剰な緊張を緩和することで痛みをやわらげる効果が期待されています。
特に、生理痛が強い方や過敏に反応してしまう方には、マグネシウムの補給が役立つでしょう。
気分の落ち込み
PMSの期間中は、理由もなく落ち込んでしまったり、気分が不安定になったりしてしまい、自己嫌悪に陥る人も多いはずです。
しかし、これらもまたPMSの代表的な症状です。
感情的な問題ですから、「自分がいけないんだ」「自分のせいだ」と責めてしまう人も少なくないでしょう。だからこそ、気分の落ち込みはPMSでもっとも悩ましい症状の一つと言えます。
しかし、マグネシウムはこのような症状にも有効です。
なぜなら、マグネシウムには神経伝達物質であるセロトニンやGABAの働きをサポートする役割があり、情緒の安定にも寄与するからです。
また、ストレスホルモンであるコルチゾールの過剰な分泌を抑える作用もあるため、PMS期間中の情緒の不安定さや不安感を軽減する効果にも期待されています。
参考:マグネシウムでPMSは改善できる?摂取方法や栄養素を解説│はなさく生命
むくみ
生理前に体が重く感じたり、手足がパンパンに張ったりするような「むくみ」も、PMSの代表的な症状です。
体のむくみは、ホルモンバランスの変化によって体内の水分バランスが乱れることで起こります。
マグネシウムは体内のナトリウム量を調整し、利尿作用によって余分な水分の排出をサポートします。
つまり、十分な量のマグネシウムを摂取することで、体内の血液やリンパの流れが改善され、むくみの予防や解消につながるのです。
参考:片頭痛、むくみ、高血圧におすすめの栄養成分│整形外科たかひろクリニック
不眠
PMSの期間中は、寝つきが悪くなったり眠りが浅く感じられたりすることがあります。
もちろんこうした睡眠障害は決して「気のせい」などではなく、PMSが関係しています。
たとえば、PMSの期間中は、睡眠ホルモンである「メラトニン」が、ホルモンバランスの変化により十分に生成されない傾向があります。
しかし、マグネシウムを摂取することで、メラトニンの生成をサポートすることが可能です。
メラトニンはセロトニンから作られますが、セロトニンの合成にはマグネシウムが関与しているからです。
要するに、マグネシウムを摂ることで質のよい睡眠が得られる可能性がある──ということ。
睡眠不足はPMSの症状をさらに悪化させる要因となり、体調不良の悪循環に陥るリスクが高いので、できるだけ早めに対策したいところです。
参考:【医師監修】マグネシウムと睡眠の関係とは?不足した場合のリスクについても解説│WE NELL

H2:まとめ|マグネシウムを活用してPMSを乗り切ろう!

PMSの症状は人により異なりますが、毎月繰り返される周期性のものなので、症状が重い人ほどその負担は計り知れません。
「ほんの少しでも負担を軽減したい…」「毎月こんなつらい思いをしたくない…」と思っている人も多いでしょう。しかし、一方で「PMSはこういうもの」と、半ばあきらめてしまっている人もかなり多いでしょう。
本記事で解説した通り、PMSのつらい症状は、マグネシウムを積極的に摂取することで軽減できる可能性があります。

月経に伴う不調の治療をカナダで行っていた際は、いくつかの方法を組み合わせた多角的なアプローチを実施していました。たとえば、局所の筋肉痛を和らげるためにマグネシウムを肌に塗布したり、気分や睡眠、血行を整える目的で、マグネシウムを多く含む食品やサプリメントを取り入れたりといった具合です。さらに、筋肉を緩め、炎症を抑え、自律神経のバランスを整えてストレスを軽減するために、鍼治療も併用していました。
このように、一つの方法に頼るのではなく、バランスよく複数の手段を組み合わせることで、より高い効果が期待できます。
マグネシウムはPMSに伴うさまざまな症状に対応する性質を持っており、近年はさまざまな研究によりその有効性が評価されています。
PMSがつらい方は、まずは食事やサプリメントなどを活用しながら、無理のない範囲でマグネシウムを摂取する習慣を取り入れてみてはいかがでしょうか。
毎月の不快な期間を少しでも快適に乗り切るための第一歩として、マグネシウムを上手に活用していきましょう!