マグネシウム不足と「腰痛」の関係とは?ミネラル不足のSOSかも

マグネシウム不足と「腰痛」の関係とは?ミネラル不足のSOSかも

年齢を重ねるにつれ、腰の痛みに悩まされるようになった方も多いのではないでしょうか。

デスクワークで長時間座りっぱなしだったり、子育てや介護で無理な姿勢を続けていたりすると、ふとした瞬間に「ズキッ」と腰に痛みが走ることがありますよね。

腰痛の原因はもちろんさまざまですが、近年注目されているのが「マグネシウム不足」との関係です。

マグネシウムは、日本ではまだあまりなじみのないミネラルですが、欧米では日々の健康をサポートする重要な栄養素として注目されています。

特に筋肉や神経の働きと深く関わっており、腰痛とも決して無関係ではありません。

今回は、マグネシウム不足と腰痛の関係をはじめ、腰に痛みが出るメカニズムや、マグネシウムを効果的に補う方法について詳しく解説します。

マグネシウム不足と腰痛の関係

マグネシウム不足と「腰痛」の関係とは?ミネラル不足のSOSかも

近年の研究によると、腰痛の原因は骨や筋肉だけでなく、体内のミネラルバランスの乱れも大きく関係していることがわかってきました。

特にマグネシウムは、筋肉や神経の働きを調整する重要なミネラルであり、不足すると体はさまざまな不調を訴えます。

はじめに、マグネシウムと腰痛の関係について解説します。

筋肉が緊張しやすくなる

マグネシウムには筋肉を緩める作用があります。

マグネシウムが不足すると、筋肉は過剰に緊張しやすくなり、常に硬くこわばった状態になります。その結果、血流が滞り、筋肉が酸素不足になって痛みが発生しやすくなるのです。

腰の筋肉は体を支える大黒柱です。

立つ・座る・歩くといった日常の動作でも負担がかかります。

ここに筋緊張が加わると、常に張りつめた状態が続き、慢性的な腰痛を引き起こしてしまうのです。

神経が敏感になり、痛みに過剰反応

マグネシウムは、神経伝達を穏やかに保つ役割も担っています。

マグネシウムが不足すると神経が興奮しやすくなり、ちょっとした刺激にも敏感に反応するようになります。

たとえば「普段なら気にならない程度の筋肉の張り」でも、マグネシウム不足の状態では「ズキズキ」「ピリピリ」と強い痛みに感じてしまうことも。

こうした過剰な痛みの知覚も、腰痛のつらさを長引かせる要因となります。

夜間のこむら返り・腰の痛み

「夜中に足がつる」

「朝起きたら腰がだるい・痛い」

そんな経験がある方も多いのではないでしょうか。

これもマグネシウム不足による筋肉のけいれんや緊張が関係していると考えられます。

特に夜間は血流が低下しやすく、マグネシウムの不足がより顕著に影響を及ぼします。

眠っている間に腰回りの筋肉がこわばり、朝起きたときに痛みを感じるケースも少なくありません。

マグネシウム不足と「腰痛」の関係とは?ミネラル不足のSOSかも

カナダで腰痛の治療にあたる際、はっきりした外傷などの原因がないケースでは、私は「80対20の法則」をよく用いていました。つまり、腰痛の改善にはライフスタイルの見直しが8割、治療(鍼灸、マッサージ、薬など)は2割という考え方です。

マグネシウムは、この8割の「自分で取り組める部分」に入ります。たとえば、マグネシウムを豊富に含む食事を心がけたり、筋肉のバランスを整えるヨガや体幹トレーニングを行ったり、サプリメントを活用したりと、日常生活の中で実践できることが多いからです。

さらに、腰痛の軽減には1日7〜8時間の十分な睡眠を確保することや、仕事中の姿勢やデスク環境など、エルゴノミクス(人間工学)の観点から働き方を見直すことも大切です。

腰痛の原因とは?

マグネシウム不足と「腰痛」の関係とは?ミネラル不足のSOSかも

腰痛は現代人にとってとても身近な悩みであり、原因はさまざまです。

とはいえ、腰痛の代表的な原因を理解しておけば、症状を改善したり痛みを緩和したり知恵やアイデアも生まれやすくなるでしょう。

ここでは腰痛の主な要因をご紹介します。

腰への過度な負担

重い荷物を持ち上げたり、長時間の中腰姿勢が続いたりすると、腰に大きな負担がかかります。

これが繰り返されることで、筋肉や関節が炎症を起こし、痛みが慢性化します。

重い荷物を持ち運ぶような肉体仕事はもちろん、実は意外にもデスクワークが多い人も、座りっぱなしで腰椎に負荷がかかりやすいため注意が必要です。

不自然な姿勢

猫背や反り腰など、姿勢の歪みは腰への負担を増大させます。

体のバランスが崩れることで、腰回りの筋肉に過剰な緊張がかかり、腰痛の引き金になるのです。

スマートフォンやパソコンの使用時間が長くなる現代では、姿勢の悪さによる腰痛が増えているといわれています。

ミネラル不足

「腰痛」というと、骨や筋肉などの物理的な不具合が原因で起こるもの──と思いがちですが、実は栄養面が原因で起こるケースもあります。

特にマグネシウムをはじめとしたミネラル不足は、筋肉や神経の働きに悪影響を及ぼします。

ミネラル不足が続くことで、慢性的な疲労感や筋肉痛のような違和感が腰痛として現れることもあるのです。

体内でのマグネシウムの役割

マグネシウム不足と「腰痛」の関係とは?ミネラル不足のSOSかも

マグネシウムは、私たちの体内で800種類以上の酵素の働きに関与するといわれる重要なミネラルです。

マグネシウムが腰痛にどう関係するのか、具体的な働きを見ていきましょう。

筋肉を弛緩させる

筋肉は「収縮」と「弛緩」を繰り返すことで動いています。

収縮するにも弛緩するにもエネルギーが必要で、その重要な役割を担っているのがマグネシウムやカルシウムです。

カルシウムが収縮を促す一方、マグネシウムは筋肉をリラックスさせる役割を持っています。

つまり、マグネシウムが不足すると筋肉が「収縮しっぱなし」になりやすく、痛みやこりの原因になるのです。

腰回りの筋肉も例外ではなく、リラックスさせるためにはマグネシウムの十分な補給が欠かせません。

神経の伝達を穏やかにする

神経の興奮を抑えるのも、マグネシウムの大切な役割です。

痛みの信号が脳に伝わる際、マグネシウムがその信号を適度にブロックしてくれることで、過剰な痛みの感覚を抑えてくれます。

ストレスが多い現代人は、交感神経が常に優位になりがちで、神経の高ぶりや緊張が腰痛を引き起こす一因になる場合も。

マグネシウムはそのバランスを整えるためにも役立ちます。

現代人はマグネシウムが不足しがち?

マグネシウムは、ストレスを感じることで消耗されるミネラルでもあります。

ストレスの不可から体を守るために、マグネシウムを消費してストレスによるダメージを軽減する仕組みです。

ストレス社会といわれる現代社会に生きる私たちは、大きなストレスに対応あるいは適応するために、多くのマグネシウムを消耗しがちです。

加えて、現代の食生活ではマグネシウムの摂取量が減少傾向にあります。

たとえば加工食品の増加やインスタント食品の常用により、野菜や海藻などのマグネシウム豊富な食品を口にする機会が少なくなってしまっています。

アルコールの過剰摂取も、体内のマグネシウムを消耗させます。

つまり私たち現代人は、マグネシウムを意識的に補わないと、「マグネシウム不足」の状態に陥りやすいのです。

マグネシウムを効率的に摂取するには?

マグネシウム不足と「腰痛」の関係とは?ミネラル不足のSOSかも

マグネシウムを効率よく取り入れるには、食事の見直しと日常的なケアがポイントです。

マグネシウムは海藻やナッツ類、未精製の穀物などに多く含まれていますが、硬水にも多く含まれています。

ですから、食事内容を見直すとともに、硬度の高い水を飲むようにすると効果的です。

日本は欧米と違い軟水が多い地域ですから、硬水を飲むならスーパーやドラッグストアなどで購入する必要がありますが、日本古来から豆腐作りに使われてきた「にがり」を薄めて飲むのもおすすめです。

硬度の高い水を一気に飲んでも大半は排出されてしまうため、マグネシウムを効率的に摂取するなら、薄めた硬水やにがりをちびちびと少しずつ、ひんぱんに摂取するのがおすすめです。

腰痛におすすめのマグネシウム活用法

腰痛をケアするためにマグネシウムを摂取するなら、できるだけ効率的かつ効果的な方法を選びたいですよね。

かぼちゃの種やアーモンドといったナッツ類をおやつ代わりに食べたり、白米を玄米に変えたり、わかめやひじきなどの海藻類を積極的に摂取したりなど、食生活を見直すのがもっとも自然な方法です。

より効果的にマグネシウムを活用したい場合は、エプソムソルト(硫酸マグネシウム)など、マグネシウム入りの入浴剤を活用したり、マグネシウムオイルやバームなどを使ったりして経皮吸収を試みるのがおすすめです。

スプレータイムのマグネシウムオイルを、腰などに直接塗布するのもいいでしょう。

マグネシウムは、経皮吸収によって局所的に血流や筋肉の弛緩をサポートし、ケアすることもできます。

体質やライフスタイルに合わせて、無理のない範囲で続けてみましょう。

マグネシウム摂取における注意点

マグネシウム不足と「腰痛」の関係とは?ミネラル不足のSOSかも

マグネシウムは、健康をサポートする重要なミネラルではあるものの、使い方を間違えるとトラブルの原因になることもあります。

ここでは、マグネシウムを使うにあたり気をつけておきたい注意点について解説します。

過剰摂取による副作用

マグネシウムは水溶性のミネラルで、基本的には過剰分は尿とともに排出されます。そのため、通常の食事等における過剰障害の報告がない安全な栄養素です。

ただし、サプリメントなどで一度に大量摂取すると、下痢や吐き気といった副作用を引き起こすことがあるので注意が必要です。

特にサプリメントによる経口摂取では、1日350mg(小児は体重1kgあたり5mg)を耐容上限量として制限されているので、これ以上の量を摂取しないよう用法・用量を守りましょう。

また、過剰摂取のリスクを確実に避けたい場合は、食品中心での補給を意識するのがおすすめです。

腎臓に持病がある人は要注意

必要量のマグネシウムは体内に吸収されますが、過剰分のマグネシウムは腎臓によってコントロールされ、体外へと排出されます。

しかし、腎機能が低下しているとマグネシウムを体外へうまく排出できず、血中濃度が過剰(高マグネシウム血症))になる可能性があります。

高マグネシウム血症は、軽度では吐き気や筋力低下、低血圧など、中等度では意識の混濁や低下、呼吸困難、重度だと意識消失、呼吸筋麻痺、心停止といった症状を引き起こす深刻な症状です。

腎機能に障害や持病がある方がサプリメントや入浴剤を使用する際は、医師に相談することをおすすめします。

他の生活習慣も見直そう!

当然ですが、腰痛をケアするにはマグネシウムを摂取するだけでは十分ではありません。

姿勢の改善、適度な運動、ストレスケア、質の良い睡眠など、基本的な生活習慣の見直しも大切です。

「食べれば良くなる」ではなく、「整えることで改善されていく」という視点で、生活習慣全般を見直すのがおすすめです。

たとえば、より自分に合う寝具で睡眠の質の改善を図ったり、こまめなストレッチや体操を心掛けたり。

意外と身近な人間関係のストレスが身体症状に影響する場合もあるため、生活全般的に「より快適なライフスタイル」を目指すのが理想的です。

まとめ|腰痛ケアは「体の中」から

マグネシウム不足と「腰痛」の関係とは?ミネラル不足のSOSかも

腰が痛いと、それだけで生活の質が下がってしまいますよね。

「マッサージに行っても改善しない…」

「湿布を貼っても気休めにしかならない…」

そんな慢性的な腰痛に悩む方こそ、体の内側に目を向けてみてください。

マグネシウムは、筋肉と神経を穏やかに保つために欠かせないミネラルです。

現代人に不足しがちなこの栄養素を意識的に補うことで、腰痛の改善や予防につながる可能性があります。

今日の食事にひとつ、マグネシウムを意識した食材を加えてみることから始めてみませんか?