マグネシウムとカルシウムは、骨・歯・筋肉・神経といった体の機能に深く関わる代表的なミネラルです。
この2つのミネラルは、お互いに影響し合う関係にあるため、一緒に摂るとバランスを保ちやすいといわれています。
では、具体的にどのくらいの割合を意識すればよいのでしょうか?
本記事では、マグネシウムとカルシウムの関係性や理想とされる比率、日常生活での取り入れ方、さらに注意したいポイントについて解説します。
マグネシウムやカルシウムのサプリメント選びで悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
マグネシウムとカルシウムを一緒に摂ると得られる3つのメリット

マグネシウムとカルシウムは、体内で密接に関わり合いながら働くミネラルです。
カルシウムが「体を作る材料」となる一方で、マグネシウムはその利用や調整を行う役割を担っています。
マグネシウムとカルシウムを一緒に摂ると、以下3つのメリットが得られます。
- 筋肉のスムーズな動きを助ける
- 骨や歯の健康維持をサポートする
- 睡眠の質の向上などのリラックスしやすい環境をつくる
それぞれのメリットについて、詳しくみていきましょう。
筋肉のスムーズな動きを助ける
私たちが体を動かすとき、筋肉は「収縮」と「弛緩」という動きを繰り返しています。
カルシウムは筋肉を収縮させる合図を出し、マグネシウムは反対に筋肉を弛緩する方向に関わっているため、どちらか一方が不足すると、バランスが崩れ、筋肉が思うように働かなくなる可能性があります。
たとえば、スポーツ中や就寝時にこむら返りや痙攣が起こりやすいのは、この筋肉の収縮と弛緩のリズムが乱れているためです。
マグネシウムとカルシウムを一緒に摂ると、筋肉の働きがサポートされ、スポーツや日常生活での動作も安定します。
骨や歯の健康維持をサポートする
「骨や歯に必要なミネラルといえばカルシウム」というイメージですが、実はマグネシウムなしでは十分に活用されません。
実際にカルシウムは骨の主要な成分ですが、マグネシウムはカルシウムの吸収や代謝に関わり、体の中で適切に利用されるようサポートします。
そのため、カルシウムだけを摂っても効果は限られており、マグネシウムが不足していると骨が脆くなりやすい要因になり得ます。
つまり、骨や歯の「材料」であるカルシウムをしっかり活かすためには、その「裏方」として働くマグネシウムの存在が欠かせません。
とくに成長期の子どもや、加齢によって骨の健康が気になってきた方にとっては、マグネシウムとカルシウムを組み合わせた摂取が丈夫な骨や歯を維持するポイントになります。
睡眠の質の向上などのリラックスしやすい環境をつくる
マグネシウムとカルシウムは、筋肉や骨だけでなく、神経の働きにも深く関わっています。
カルシウムは神経伝達を活性化させる一方で、マグネシウムはその伝達を調整する役割を担い、リラックスを促す方向に働きます。
日常的にマグネシウムとカルシウムを一緒に摂取すると、神経の伝達がスムーズに調整され、リラックスした状態が保たれやすくなるため、寝つきが良くなるなど、睡眠の質向上につながります。
反対に、マグネシウムとカルシウムのバランスが取れていないと、神経が興奮しやすくなり、不眠やイライラといった不調につながる可能性があります。
忙しい日々やストレスが多い生活のなかで、質の良い睡眠や休養をとるためにも、バランスの取れたマグネシウムとカルシウムの摂取を心がけましょう。
参考:東京月島クリニック|カルシウムとマグネシウムで体のバランスを整えよう!
マグネシウムとカルシウムはどのような関係性なのか

マグネシウムとカルシウムは、体内でそれぞれ異なる役割を持ちながらも、密接に結びついて働いているため「どちらか一方だけを摂ればよい」というものではありません。
たとえば、サプリメントや食事で摂取したカルシウムは、まず腸で吸収され、その後血液を通じて全身に運ばれます。
この過程でマグネシウムが関与すると、カルシウムが効率的に骨や筋肉に取り込まれやすくなります。
しかし、カルシウムが多すぎてマグネシウムが不足すると、筋肉が緊張しやすくなったり、神経が興奮しやすくなる可能性があります。
反対に、カルシウムが不足していると、マグネシウムの働きも十分に発揮されません。
つまり、一方の不足がもう一方の働きにも影響を与えてしまうのです。
健康のためには「カルシウムだけ摂れば安心」ではなく、マグネシウムとのバランスを意識した摂取が大切です。
参考:大分NPO情報バンク|ミネラルの王様・マグネシウム(マグネシウムとカルシウムの関係)

医療の分野では、「カルシウムのサプリメントは本当に必要か?」と、長い間議論が続いてきました。その理由は、私たちの食生活においてカルシウムを多く含む食品が豊富に存在しているためです。
これに対してマグネシウムは、多くの食品で不足していることが示されており、世界的に見てもマグネシウム不足はよく見られる一方で、カルシウム不足は比較的少ないのが現状です。
カナダでは、一般的な指針として、閉経後の女性、ヴィーガン、または思春期の若者に対してのみカルシウムのサプリメントを推奨していました。
さらに、補給したカルシウムが体内の軟部組織に沈着せず、きちんと骨に届くようにするためには、ビタミンD、K2、そしてマグネシウムの摂取も必要です。
食事でしっかりカルシウムが摂取できている場合、過度に摂る必要はないかもしれません。
マグネシウムとカルシウムの理想的な1日の摂取目安量と比率

マグネシウムとカルシウムは、現代の不規則な生活習慣から、どちらも不足しやすい栄養素といわれており、健康を保つためには、2つのバランスを意識した摂取が大切です。
ここで、マグネシウムとカルシウムの摂取における、年代や性別ごとの目安量と、理想とされる比率についてみていきましょう。
年代・性別ごとの1日の推奨摂取量
マグネシウムとカルシウムは、年齢や性別によって必要な量が異なります。
以下に、マグネシウムとカルシウムの1日の推奨摂取量を表にまとめました。
【年代・性別ごとのマグネシウムとカルシウムの推奨摂取量】
区分 | マグネシウム | カルシウム |
---|---|---|
成人男性(18~64歳) | 約340 mg | 約750 mg |
成人男性(65歳以上) | 約320 mg | 約700 mg |
成人女性(18~64歳) | 約270 mg | 約650 mg |
成人女性(65歳以上) | 約260 mg | 約600 mg |
参考:厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2025年版)

マグネシウムとカルシウムの効果的な比率とは?
カルシウムとマグネシウムは、それぞれの働きを支え合う関係にあるため、どちらか一方に偏った摂取では十分な効果が得られにくく、2つの摂取量の比率を意識する必要があります。
一般的に望ましいとされるマグネシウムとカルシウムの比率は、次のとおりです。
カルシウム:マグネシウム=2:1 |
たとえば、カルシウムを1日750mg摂る場合は、マグネシウムをその半分にあたる375mg摂るのが理想とされており、この比率を意識すると互いの栄養素が効率よく働きやすくなります。
サプリメントを選ぶ際や食事内容を考える際は、摂取量そのものだけでなく「2:1のバランス」を意識しましょう。
参考:東京月島クリニック|カルシウムとマグネシウムで体のバランスを整えよう!
マグネシウムとカルシウムの比率が崩れた際に影響を受けやすい体の働き
マグネシウムとカルシウムのバランスが大きく崩れると、体内でさまざまな不調が起こりやすくなります。
マグネシウムとカルシウムのバランスが崩れた場合に起こる不調は、次のとおりです。
- カルシウムが多すぎる場合
- 筋肉が緊張しやすくなったり、神経が過敏になったりする
- カルシウムが少なすぎる場合
- 骨や歯の健康が損なわれやすく、マグネシウムの働きも発揮されにくくなる
- マグネシウムが不足している場合
- 摂取したカルシウムが骨や筋肉に十分届かず、本来の役割を果たしにくくなる
上記のように、一方が不足するともう一方の働きにも影響が及ぶため、摂取量を増やすだけでなく、バランスを意識した摂取が大切です。
参考:大分NPO情報バンク|ミネラルの王様・マグネシウム(マグネシウムとカルシウムの関係)

マグネシウムとカルシウムのサプリメントを選ぶ際の3つのポイント

マグネシウムとカルシウムは、食事からの摂取が理想ですが、現代の食生活では必要な量をすべて食材から補うのは難しく、サプリメントを取り入れて不足分を補う方法が広がっています。
しかし、マグネシウムやカルシウムのサプリメントは種類が多く、商品によって成分配合や品質が大きく異なるため、安易に選んでしまうと、十分な効果が得られないどころか、場合によっては摂りすぎになるリスクもあります。
ここでは、マグネシウムとカルシウムのサプリメントを選ぶ際に押さえておきたい3つのポイントを紹介します。
実際にどんな基準で選べばよいのかを、具体的に確認していきましょう。
マグネシウムとカルシウムの含有比率を確認する
前章でも紹介しましたが、マグネシウムとカルシウムの理想とされる比率は「カルシウム:マグネシウム=2:1」です。
カルシウムばかりが多く、マグネシウムが極端に少ないサプリメントを摂り続けると、体内のバランスが崩れ、せっかく摂ったカルシウムがうまく活用されない可能性があります。
商品を選ぶ際は、ラベルに記載されたマグネシウムとカルシウムの「含有量」をしっかり確認し、理想比率に近いものを選びましょう。
添加物や不要成分を避ける
サプリメントは毎日続けて摂るものだからこそ、安心して摂取できるかどうかも重要なポイントです。
サプリメントの製造に添加物は欠かせない存在ですが、使用量を最小限に抑えることは可能とされているため、保存料・着色料・香料などの余分な添加物が含まれている商品はなるべく避け、できるだけシンプルな成分構成のものを選びましょう。
また、カルシウムやマグネシウム以外にも、ビタミンDやビタミンK2など、吸収や働きをサポートする成分が加えられている商品はプラスの要素になりますが、人工的な甘味料や不要な添加物が多いものは長期的な摂取に向きません。
安心してサプリメントを活用するためにも、原材料表示を細かく確認する習慣を持つと良いでしょう。
吸収率の高い形状を選ぶ
同じマグネシウムやカルシウムでも、体に吸収されやすいかどうかは形状や化合物の種類によって異なります。
たとえば、マグネシウムなら「グリシン酸マグネシウム」、カルシウムなら「クエン酸カルシウム」などは吸収率が比較的高いといわれています。
また、サプリメントには錠剤・カプセル・粉末・ドリンクタイプなどさまざまな形状があり、それぞれ吸収率や使いやすさにも違いがあります。
粉末やドリンクタイプは吸収が比較的スムーズな傾向がありますが、摂取しやすい分、必要摂取量以上を取りやすいため注意が必要です。
一方で、錠剤やカプセルタイプは持ち運びやすく摂取量を管理しやすいのが特徴ですが、粉末やドリンクタイプに比べると吸収率はやや低いとされます。
サプリメントは一度だけで効果を実感できるものではなく、継続することで健康に役立ちます。
成分の良し悪しだけでなく、無理なく習慣にできる形状かどうかも意識しましょう。
マグネシウムとカルシウムを摂取する際の3つの注意点

マグネシウムやカルシウムは、摂り方を誤ると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。
ここでは、マグネシウムとカルシウムの摂取時に意識したい3つのポイントを解説します。
過剰摂取による副作用や健康リスク
マグネシウムやカルシウムの過剰摂取は、次のような不調を引き起こす恐れがあります。
【マグネシウムの場合】
- 下痢や吐き気
- 重度の場合は不整脈や低血圧など
【カルシウムの場合】
- 便秘
- 腎結石のリスクが高まる
とくに、サプリメントは食事よりも効率的に摂れる反面、含有量が高いため知らず知らずのうちに過剰摂取につながりやすいため注意が必要です。
健康を意識して取り入れたはずが、逆効果になる場合もあるため、厚生労働省が示す1日の推奨量を目安にした摂取が大切です。

特定の薬との飲み合わせには注意が必要
ミネラルは体内でさまざまな物質と結びつきやすく、薬の作用にも影響を及ぼす可能性があります。
たとえば、抗生物質と同時にマグネシウムやカルシウムを摂取すると、薬の吸収が妨げられ効果が十分に発揮されない場合があります。
また、降圧剤や利尿剤の一部とも相互作用が報告されており、血圧や電解質バランスに影響を与えるリスクがあります。
普段から薬を飲んでいる方は、サプリメントを始める前に必ず主治医や薬剤師に相談しましょう。

持病がある人や妊娠中の摂取は医師に相談する
心疾患や腎疾患といった持病を持つ方は、体内でのミネラル代謝が通常とは異なる場合があり、マグネシウムやカルシウムの過剰摂取によって症状を悪化させるリスクがあります。
市販のサプリメントを自己判断で取り入れるのではなく、医師に相談して摂取の必要性や適量を確認しましょう。
また、妊娠中や授乳中の女性も、体に必要な栄養素のバランスが変化するため、サプリメントの安全性には配慮が必要です。
とくに妊娠中の場合は、胎児への影響も考慮しなければならないため、サプリメントを検討している際は、購入前に専門家のアドバイスを受けましょう。
まとめ|マグネシウムとカルシウムを日々の生活にバランスよく取り入れよう

マグネシウムとカルシウムは、骨や筋肉、神経の働きを支えるうえで欠かせないミネラルです。
どちらか一方だけでなく、バランスのとれた摂取を意識すると、体内での働きがよりスムーズになり、日々の健康維持に役立ちます。
また、サプリメントを利用する際は、次の3つに注意が必要です。
- 必要以上に摂らない
- 薬との相互作用に注意する
- 体調やライフステージに応じて医師に相談する
健康的な毎日を送るために、マグネシウムとカルシウムを賢く取り入れていきましょう。