2025年7月現在、連日、熱中症のニュース報道が行われています。
この暑さのせいで体に不調を覚える方も多いでしょう。
「ダルくて何もやる気がでない…」
「暑くて食欲がわかない…」
「安眠できなくて、朝から辛い…」
上記のような症状はもしかしたら「夏バテ」かもしれません。
夏バテになる背景の1つには「栄養バランスの乱れ」があります。
中でも見落とされがちなのが「マグネシウム不足」です。
今回は夏バテの原因やマグネシウムが夏バテに有効な理由、マグネシウムの効果的な3つの摂取方法をわかりやすく解説します。
最後までご覧いただければ、夏バテに対処するマグネシウム活用法を知ることができ、今年の夏を健康的に乗り切れるはずです。
ぜひ本記事を参考にしてください。
そもそも夏バテとは?

暑さに体が慣れない時期や、気温が高く湿度も高い日が続くと、多くの人が「夏バテ」に悩まされます。
ここでは、夏バテの代表的な症状と5つの原因を解説していきます。
夏バテの代表的な症状
夏バテとは、暑さによって体の調子が崩れ、日常生活に支障をきたす状態の総称です。
正式な医学用語ではありません。
一般的に「夏バテ」と呼ばれる症状には、下記のようなものがあります。
- 全身がだるい(倦怠感)
- 食欲不振
- 頭痛
- めまい
- 筋肉の痙攣(けいれん)
- 消化不良(下痢や便秘)
- 微熱の継続
- 不眠
また、気分の落ち込みや集中力の低下など、精神面にも影響を及ぼすことがあります。
これらの不調はこれからお伝えするさまざまな原因によって、引き起こされると考えられています。
夏バテになる5つの原因
夏バテの原因は複数ありますが、代表的なものは以下の5つです。
原因 | 詳細 |
---|---|
栄養バランスの偏り | 暑さや食欲不振により食事量が減り、ビタミンやミネラルなどの栄養素が不足。エネルギー代謝や体調維持に必要な栄養が十分に摂れず、疲労感やだるさにつながる。 |
気温差による自律神経の乱れ | 室内外の急激な温度差や冷房による冷えが、自律神経のバランスを崩し、体温調節や内臓機能のコントロールに影響を及ぼす。 |
胃腸の働きの低下 | 冷たい飲食物の摂取や自律神経の不調によって胃腸の働きが鈍くなり、消化不良や食欲不振が起こりやすくなる。 |
睡眠の質の低下 | 暑さや寝苦しさで深い眠りが得られず、疲れが取れにくくなる。寝不足が続くことで自律神経の機能低下や体力の消耗が進む。 |
発汗による水分と電解質(ミネラル)の不足 | 大量の汗で水分とともにナトリウムやマグネシウムなどのミネラルも失われ、脱水や筋肉のけいれん、倦怠感などを引き起こす。 |
特に夏場は大量の汗をかく機会が多いため、いつも以上にマグネシウム不足になりがちです。
「自分にマグネシウムは足りてるのかな?」
もしそう思った方は、以下の医師監修のセルフチェックをお試しください。
質問に答えるだけで、たった1分で診断結果がわかります。


汗をかいたあと、水分補給のために清涼飲料水を飲む機会が増える方も多いと思います。
しかし、そんなときに注意したいのが「スポーツドリンク」です。
一見、体に良さそうなイメージがありますが、実は糖分が非常に多く含まれているため、あまりおすすめできません。
なぜなら、糖分は「栄養素の泥棒」とも呼ばれ、体内の大切な栄養素を奪ってしまうからです。
とくに不足しやすいのは以下のような栄養素です。
・電解質(マグネシウム・カリウム・ナトリウム・クロライド)
・ビタミンB群
・ビタミンC
その代わりとしておすすめなのが「麦茶」。
麦茶はノンカフェインで体にやさしく、水分とミネラルの両方を補ってくれる優れた飲み物です。

マグネシウムで夏バテ対策できる5つの理由

マグネシウムは私たちの体内で起こる800以上の酵素反応に関わる重要なミネラルです。
そして、夏バテに関係する多くの不調に対して間接的にサポートする働きがあると考えられています。
ここでは、その代表的な5つの理由を解説します。
発汗によって失われたミネラルの補給
夏の暑さにより汗をかくことで、ナトリウムやカリウムとともにマグネシウムも失われてしまいます。
マグネシウムは残念ながら体内で作り出せないため、汗で流れた分を補うには外から摂取しなければなりません。
体内のマグネシウム量が不足すると、筋肉のけいれんや疲労感といった症状が出やすくなる可能性があるので、仕事や運動などで汗をよくかく人ほど、食事やサプリメントでのマグネシウム補給を意識することが大切です。
エネルギー産生と疲労回復をサポート
マグネシウムは、ATP(アデノシン三リン酸)というエネルギー産生に関わる物質の合成を助ける働きがあります。
このATPは、全身の細胞で使われる「エネルギーの基礎」とも呼ばれる大切な物質です。
マグネシウムが不足すると、エネルギーの産生効率が低下し、慢性的な疲労を感じやすくなる場合があります。
したがって、マグネシウムを摂取することで、エネルギー産生が活発になり、元気な毎日をサポートしてくれるでしょう。
自律神経と睡眠の質をサポート
自律神経は、体温調節や内臓の働きを調整する役割を担っていますが、マグネシウムにはこの自律神経のバランスを整える作用があると報告されています。
また、マグネシウムはリラックスを促す神経伝達物質の合成にも関与しており、睡眠の質によい影響を与える可能性もあります。
暑さで寝苦しい夜が続くときこそ、マグネシウムを積極的に摂取することが重要です。
心拍・筋肉・神経機能のバランス調整
マグネシウムは、心臓の拍動、筋肉の弛緩、神経伝達といった生命活動の基本機能に関係しています。
特に夏場は、気温の上昇や湿度の変化により、心拍や筋肉の動きが影響を受けやすい状態です。
そこで、マグネシウムを摂取することで、これらの心臓や筋肉、神経伝達の機能がバランスよく維持しやすくなると考えられています。
食欲不振や消化機能にも関与
マグネシウムは、消化酵素の働きを助けることで、胃腸の機能を支える役割も持っています。
食欲が低下しがちな夏場において、消化を助ける環境を整えることはとても重要です。
また、マグネシウムは消化や排便に関与する酵素の働きを支える栄養素のひとつであるため、腸内環境をよい状態にする可能性があると言えるでしょう。
詳しくは以下の記事をご覧ください。
マグネシウムが便秘に有効な働きをすることが理解できるはずです。

マグネシウムが夏バテ対策につながる科学的エビデンス

「マグネシウムが夏バテ対策に本当に効果があるの?」と半信半疑な方もいらっしゃるかもしれまぜん。
ここでは世界の3つの科学的な研究、論文からその疑問に答えていきます。
- マグネシウムと疲労の関係
- マグネシウムと睡眠の関係
- マグネシウムとストレス・メンタルヘルスの関係
マグネシウムと疲労の関係
国際医学誌である「The Lancet」に掲載された研究では、慢性疲労症候群(CFS)の方にマグネシウム治療をすることで、疲労の症状が改善されたと報告しています。
(※こうした報告もありますが、すべての方にあてはまるわけではありません)
研究の目的 | ・慢性疲労症候群(CFS)患者は赤血球中のマグネシウムが低いのかを調べる ・マグネシウム治療がCFS患者の健康状態を改善するかどうかを検証する |
研究の対象 | ・症例対照研究:CFS患者20名と健常者20名(年齢・性別・社会的階層を一致) ・臨床試験:CFS患者32名(治療群15名、プラセボ群17名) |
研究方法 | ・症例対照研究:赤血球中のマグネシウム濃度を比較 ・臨床試験:週1回、6週間の筋肉注射(硫酸マグネシウムまたはプラセボ)を実施し、健康状態を評価 |
研究結果 | ・CFS患者は健常者より赤血球中のマグネシウム濃度が有意に低かった ・マグネシウム治療群の80%(12/15名)が改善を実感し、エネルギースコアも向上 ・赤血球中のマグネシウムは治療群全員で正常化、プラセボ群では1名のみ改善 |
この研究は最後に以下のように結論づけています。
“The findings show that magnesium may have a role in CFS.
(これらの結果は、マグネシウムがCFSの治療において一定の役割を果たす可能性を示している)
参照:Red blood cell magnesium and chronic fatigue syndrome|The Lancet
マグネシウムと睡眠の関係
以下の研究では不眠症状の成人(31名)にマグネシウム(1 g/日)を2週間投与したところ、睡眠の質・持続時間・深い睡眠が改善されたという結果が報告されています。
(※すべての方にあてはまるわけではありません)
“The Magnesium Condition had significant improvements compared to the Placebo Condition for sleep quality, mood, and activity outcomes (e.g., sleep duration, deep sleep, sleep efficiency, readiness, activity balance, and heart rate variability readiness)”
「マグネシウムサプリを摂取したグループは、プラセボのグループと比較して、睡眠の質、気分、活動に関する指標(例:睡眠時間、深い睡眠、睡眠効率、心身の準備度、活動バランス、心拍変動による準備度)において有意な改善が認められました」
引用:Effectiveness of Magnesium Supplementation on Sleep Quality and Mood for Adults with Poor Sleep Quality: A Randomized Double-Blind Placebo-Controlled Crossover Pilot Trial|European Society of Medicine
マグネシウムとストレス・メンタルヘルスの関係
最後に紹介する研究は、マグネシウムがストレス・メンタルヘルスに与える影響を示すものです。
(※すべての方にあてはまるわけではありません)
研究の目的 | 血清マグネシウムが低い健康成人において、マグネシウム単独 vs マグネシウム+ビタミンB6のストレス軽減効果を比較する |
研究の対象 | 健康な成人264名 |
研究方法 | 参加者を無作為に2つのグループに分け、8週間にわたって次のいずれかのサプリメントを飲んでもらう。 ・マグネシウムだけを1日300mg摂るグループ ・マグネシウム300mgに加えて、ビタミンB6を30mg一緒に摂るグループ |
研究結果 | 2つのグループとも両群ともストレス尺度スコアが約40%減少した |
また、マグネシウムとビタミンB6を併用することで、特にストレスを重度に感じている人に大きな有効性を与える可能性があると伝えています。


マグネシウムを使った夏バテ対策3選

では最後に夏バテ対策につながるマグネシウムを日常生活に取り入れる方法を3つご紹介します。
- マグネシウムを豊富に含む食事|旬の夏野菜も紹介!
- マグネシウムサプリメントの摂取
- マグネシウムの経皮吸収
1つずつ順番に説明していきます。
マグネシウムを豊富に含む食事|旬の夏野菜も紹介!
まずは、食事からのマグネシウム摂取が基本です。
代表的な食品には、海藻類(ひじき、わかめ)、豆類(納豆、大豆)、ナッツ類(アーモンド、カシューナッツ)、全粒穀物(玄米、全粒粉パン)、種実類(カボチャの種、ヒマワリの種)などがあります。
夏野菜では、以下の野菜がおすすめです。
野菜 | マグネシウム含有量(mg/100g) |
---|---|
モロヘイヤ | 約69 mg |
オクラ | 約51 mg |
ゴーヤ | 約14 mg |
しし唐 | 約13 mg |
なす | 約12 mg |
きゅうり | 約12 mg(皮つき) |
ピーマン | 約11 mg |
旬の食材を活用し、栄養バランスを意識した食事を心がけられると良いですね。
また、マグネシウムを食事だけで摂りすぎることは基本的にほとんどありません。
なぜなら、食事からマグネシウムを余分に摂取しても、腸からの吸収が制限されて必要以上のものは排泄されるためです。
ただし、以下に該当する方は体に不調が表れる可能性があるため、注意しましょう。
- 腎機能が低下している人
- 下剤・制酸剤を日常的に使用している人
- サプリメントを大量に摂る人
以下の記事ではマグネシウムの副作用について詳しく解説しているので、合わせてご覧ください。

マグネシウムサプリメントの摂取
食事での摂取が難しい場合には、サプリメントを併用するのも一つの手です。
マグネシウムサプリにはさまざまな種類があり、吸収率に違いがあるため、自分に合ったサプリを見つけることが重要です。
ただし、過剰摂取には注意が必要ですので、目安量や使用上の注意を守りながら摂取しましょう。

マグネシウムの経皮吸収
マグネシウムは食事やサプリからの摂取(経口摂取)だけでなく、皮膚からも吸収(経皮吸収)されることが報告されています。
マグネシウムを含む入浴剤(エプソムソルトなど)やバーム、クリームを使うことで、日常的にマグネシウムを取り入れられます。
エプソムソルトを活用した短時間のぬるめの入浴は、経皮吸収だけでなく、リラックス感も得られるはずです。
まだお試しになっていない方は、以下の記事を参考にしてください。

まとめ:夏バテにはマグネシウムを含む栄養バランスの摂取が重要!

夏バテの症状は、心身にさまざまな影響を及ぼしますが、マグネシウムはその背景にある要因に幅広く関係している重要なミネラルです。
発汗によるミネラル不足、自律神経の乱れ、疲労やストレスなど、多くの不調に対して間接的にサポートする働きが期待されています。
今回ご紹介した3つの摂取方法(食事・サプリメント・経皮吸収)を組み合わせながら、自分に合ったマグネシウムの摂り方を試してみてはいかがでしょうか?
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